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街づくり開始

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 とりあえず、木材を運ぶ班と設計班、必要な家具を買う班の3つに分けることになった。

 俺・澪凜・五十鈴・瑠七の4人が家具を買う班、一姫・奈津三・四織の3人が設計班になった。
 残ったリヴェルガ・二葉・六華・咲八香の3人が木材班になったが、誰かがボソッと『おバカチーム…』と言ったら、3人とも怒っていた。



「ナギサ!これなんかどうなんじゃ?」

「あら、こちらのマグカップなんかも素敵ですよ。」

「この置物もなかなか良いな。」 

「そうかもね…。」

 澪凜・五十鈴・瑠七は気に入った商品を見つけては、俺のもとに持ってきて見せてくる。
 正直こういった買い物はあまりした事がないので、なんと返して良いのかわからない。
 
「他の班は大丈夫かな…。」

 俺は目の前ではしゃぐ3人をボーッと眺めながら、1人小さく呟いた。




「どんな家がいいのかしら。」

「…………大きいのがいい。」

「四織に賛成。せっかくなら、大豪邸がいいわね!」

 海底の空壁の中では、一姫・奈津三・四織の3人が白紙の紙を見て話し合っていた。

「まぁこれから人が増えるかもしれないから、大きめに造って損はないわね。」

「………本読む部屋欲しい。」

「私は綺麗な庭ね!優雅にお茶を飲みながら、この海の景色を堪能したいし。」

「はいはい。全く、それくらいナギサ君に素直に接すればいいのに。ずっとツーンってしてたら嫌われちゃうわよ?」

「べ、別に関係ないでしょ?!」

 一姫にからかわれた奈津三は、顔を真っ赤にして立ち上がった。四織がそばでビックリしている。

「なら、私が貰っちゃおうかな~?ナギサ君優しそうだし。」

「か、勝手にしなさいよ!」

「…………2人とも肉食。」

「そうとも言えるわね。」

「私を入れないでよっ!」

 3人は楽しそうに話しながら、設計図を作っていった。





「たくさんあるな。」

「いっぱいですね!」

「たくさーん!」

「ボクも手伝う!」

 陸から1番近い森の前では、リヴェルガ・二葉・六華・咲八香の4人が木をじっと見ていた。

「どれくらい必要なんだ?」

「どうなんでしょう…。多くて損はないと思います。」

「いっぱい持って帰ろうよ!」

「ボクもやる!」

「よし、じゃあ適当に持って帰るとしよう。」

 リヴェルガは、目の前の木に手を回した。

「ふんっ!」

 そして思いっきり引き上げ、肩に担いだ。そのまま反対方向を向き、海の方を眺めた。

「あの辺か。」

 空壁のあたりを予測し、海に向かって木をぶん投げた。木は海の中を高速で進んでいき、空壁の近くの海底に突き刺さった。

「すごいですね!」  

「りゔぇっち頭いい!」

「ボクも!」

「よし、我らが主人のために頑張るぞ!」

「「「おー!」」」

 4人は手当たり次第に、楽しみながら木材回収を進めていった。




「しかし…買いすぎてしまったな。」

『シャー』

 買い物を終え、俺たちは海に向かっていた。惟吹だけでは持ちきれず、全員1つは紙袋を持っている。

「とりあえずこれで終わり…あれ?」

 買ってきて欲しいものリストに書かれているものは全て買ったと思っていたが、紙が2枚重なっていた。

「あら、一姫の字ですわね。」

「海牛と海羊か。」

「ウミウシ?ウミヒツジ?何それ?」

 俺の疑問に、五十鈴と瑠奈は嬉しそうな顔をした。

「海に住む牛と羊ですわ。海牛のお肉はとても美味で、海羊の毛は最高級品でとても着心地がいいんですの!」

「どちらともここから遠く離れたところに生息しているからな。この大陸の人間は知らなくてもおかしくはない。」

「へぇ…そんなのがいたんだ。どうしよう、一回荷物を置きに帰る?」

「それならわっちと惟吹に任せなんし。3人でそやつらを持って帰ってきてくれ。」

「わかった、じゃあお願い。」

 荷物を空気泡に入れ、海に入って俺は海牛のところへと案内してもらう事にした。




 俺たちは、大陸から1万キロほど離れた海底にいた。こっちにも太陽の光が海底を照らし、見たことのない魚達が優雅に泳いでいる。

「えっと…どんなやつなの?海牛と海羊って。」

「そうですね…あまり見た目は変わりませんわよ?」

「ただ臆病者だからな。人前にあまり姿を見せん。岩陰とか砂の中に潜ってるやつもいる。」

「砂の中?!大変そうだな…。」

 俺はとりあえず、その場で索敵サーチを発動した。反応が多くてわからないが、何個かじっとして動かない反応がある。

「あそこらへんかな。」

 動かない反応の方に手を向けて、水弾ウォーター・バレットを放ってみた。

『ブモォォォオオオ!!』

「うわっ、ほんとにいた!」

 水弾が海底に着弾すると、砂を撒き散らして1匹の牛が出てきた。言われていた通り、地上のいるものとさほど変わらず水色の縞模様があるくらいだ。

「『水鎖ウォーター・バインド』」

『ブモォ?!』

 逃げようとした牛の前脚に、瑠奈が鎖をつないで逃げられないようにした。

「ナギサ様、その調子で見つけていきましょう!」

「了解。」

 俺と五十鈴は牛や羊たちを探し、瑠奈が全て拘束していった。


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