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第31話

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 すっかり外は明るくなりカーテンの隙間から光が差し込んでいる。

 俺もカエさんに会えた安心感で眠ってしまっていた。

 カエさんはまだ眠っている。
 もうひと時も離れたくない、そう思った。

「うぅん、アニさん起きてたの?」

「うん、まだ寝てていいよ」

「起きるよ。それに今日は仕事はお休みするよ、今は離れたくない」

 カエさんはよっぽど寂しかったのだろう、強い力で抱きついてきた。

「俺も離れたくないよ」

「それとね、アニさんに話さないといけない事があるの」

「話すこと?」

「うん。驚かないで聞いてね」

「驚く事があったの?」

「実はね‥‥‥出来ちゃったの」

「出来ちゃったって何が?」

「出来たの。赤ちゃん」

「そうなんだぁ。‥‥‥‥‥‥‥えぇぇぇぇぇぇ!!!」

 カエさんのまさかの報告に驚愕した。

「そりゃ驚くよね。アニさんが居なくなって調子が悪くなったから病院行ったんだけど、そこで発覚したの」

「あ、あぁ、ごめん本当に驚いた」

 本当にビックリしすぎて現実味がなかった。こうゆう時はなんて言ってあげたらいいのかすらも分からない。

「まさかたったの一回で出来るなんて思ってもみなかったよ」

「そうだよね、でも」

「でも?」

「おめでとう」

「ありがとう」

「結婚しよう」

 これは運命だ。試験がなんだ、架空世界がなんだ、新しい命が現にここに宿っている。紛れもない事実だ。

「ふふっ。喜んで」

 俺たちはたった今から家族だ。
 そして俺はカエさんとお腹の子供を守るために地上での生活を安定させる必要があった。

 しかしそれからというもの、今までの事が嘘だったかのようにスムーズに仕事も決まり地下に戻されないかとヒヤヒヤしながらも過ごす事が出来た。

 とても幸せで充実した毎日。

 ここまでの生活を手に入れるまでに色々あったが、結果的に俺はトンさんに感謝をしている。元気にやってるかなトンさん。
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