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第34話
しおりを挟む数日間は柊生の事が気になりつつも、式の準備で忙しく過ごしていた。
「ももと出会ってから結婚まであっという間だったなぁ」
ソファでくつろいでいると冬馬さんはそう言いながら私の横に座った。
「そうだね」
「婚姻届は式の後出しに行こうか」
顔を私の方に傾け、優しい眼差しをくれる。それなのに私としたら‥‥。
「うん、そうだね」
「どうしたの?まさかマリッジブルーってやつ?」
「なにそれ?」
「結婚前とかに気分が落ち込んだり不安になったりするらしいよ」
「マリッジブルーかぁ‥‥」
私のこの胸のザワザワはマリッジブルーなんだ。そう思う事で少し気分が楽になった気がした。
そして式前日、最終確認の為店を閉めていた。冬馬さんと私は各自実家に帰り、ゆっくり過ごす事にしていた。
「いよいよ明日かぁ」
私の母がお茶を淹れながら言った。
「寂しい?」
「そりゃこんな早くに結婚するとは思ってなかったからね!でも冬馬さんはいい人だし、あんたは幸せになれるよきっと」
「うん‥‥そうだよね!」
父はというといつもと変わらずテレビばかり見て無反応だ。
「お父さんもたまには何か言ったらどうなの」
母は不満そうにそう言いながら椅子に腰掛けた。
「いいよ、逆に何か言う方が気持ち悪いじゃん」
私がそう言うと一瞬こちらを見てまたテレビの方を向いた。
「父親ってのはね言いたい事があっても娘には言いにくいものなのよ」
「お父さんは特にだよね」
「でもね、本当は寂しいのよ」
母が口に手を添え小声で言ってきた。
「そうなの?」
「だって結婚が決まってから急にゴルフ始めたのよ」
「なんで?」
「きっと気を紛らわせたかったんじゃない?」
「そうなんだぁ」
ふと、冬馬さんも実家でこんな話してるのかな、なんて考えていた。
「お父さん、明日よろしくね」
すると、父は微妙に頷いたような気がした。
時刻も6時を回って私と母は夕ご飯の支度をしていた。
その時私のスマホが鳴った。
冬馬さんかなと思い画面を見た私は一瞬ドキッとした。
柊生からの着信だった。
しかし今は実家、それも明日には式も控えている。この電話を出てしまうと、柊生に会いたいからと呼び出されるに違いない、そう思った私はスマホをポッケにしまった。
こんな大事な日に限ってどうしてかけてくるんだろう。
私は明日に備えて早めに休む事にした。
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