7 / 8
勤勉な異世界令嬢はアレに熱中する
しおりを挟む
私はいつもより数段寝心地の悪いベッドで着慣れない服を着て目を覚まします。
「…夢、ではないのよね。やっぱり。」
昨日は婚約破棄をされたり、異世界に召喚されたりと現実を受け止める暇もありませんでした。
改めて考えてみると、夢物語のようね。
元いた世界より遥かに技術が進歩し、伊里奈さんたちのように一部の人は魔術を使う世界に来たこと。
そして、私自身も悪魔の力を得たこと。
どちらも自分のことでなければ、信用できません。
元いた世界に戻れたとしても、きっと私の冒険は愚かな女の妄言と片付けられるのでしょうね。
まあ、帰る方法も分かりませんけど。
昨日の早苗ママの言葉を思い返します。
『本来であれば、召喚した悪魔は召喚主の願いを叶え対価を得たら帰っていくの。でも、今回伊里奈ちゃんは間違った召喚をしちゃったから…』
私が伊里奈さんの願いを叶えたとしても帰られる保証は無い、と続く言葉は濁されましたね。
少しも怖くない、と言えば嘘になります。
ですが、私に帰る場所はあるのでしょうか?
侯爵家は、おそらく私を見限るでしょう。
私があの場から消えた以上、悔しいですが婚約破棄は私有責で決まったでしょうしね。
なんなら、全ての罪を私に擦り付けているかも。
「だったら、私はこの世界で生きます。」
私は決して俯いたりしません。
私自身の誇りのために。
手始めに私はこの世界のことを調べる手段を早苗ママに尋ねてみました。
「私が答えてあげれば良いんだけど今日は仕事があるのよね。伊里奈ちゃんは寝込んでいるし。」
そう、伊里奈さんは今死んだように眠っています。
早苗ママが言うには2日ほど眠り続け、その後1週間程度は酷い倦怠感に苛まれるそうです。
原因は、魔術を行使した代償。
本来伊里奈さんは悪魔を召喚するクラスの魔術を使う能力が無いのですが、ズルをしてしまいました。
そのズルの代償を今身体で支払っているわけです。
「そうね…あ!パソコンの使い方教えるからネットで色々調べてみると良いかも。」
そう言って案内された部屋の机には、何冊か本と謎の黒い物体が置いてあります。
あの金属の板と箱の集合がパソコンかしら?
戸惑う私を置きざりにして、早苗ママが何かしら操作するとパソコン(仮)に絵が現れました。
「これパソコンね。軽くネットの使い方を教えるから私が帰ってくるまで自由に使っていいわよ。お昼ご飯は昨日も説明した冷蔵庫に入っているからね。」
この日、私はネットに圧倒されました。
そもそも私はこの世界の言語を知りません。
なので、まずはそれを理解するのに6時間ほど。
次にネットの情報は私の知識を全て否定しました。
学園で学んでいたことが間違いだらけだったなんて…
最後に、ネットの情報は膨大過ぎました。
私は一介の学生レベルでは学習しない内容さえ進んで取り組んだ勤勉な人間と自負しています。
そんな私に与えられた膨大過ぎる情報は食欲など完全に忘れ去るほど熱中させました。
ああ、素晴らしいわ!本当に!
なお、夜遅くに帰った早苗ママにはたいへんお叱りを受けてしまいました…
「いい?イーリスちゃん。勉強熱心なのは良いことだと思うわよ。それでもご飯は忘れないで。」
「…夢、ではないのよね。やっぱり。」
昨日は婚約破棄をされたり、異世界に召喚されたりと現実を受け止める暇もありませんでした。
改めて考えてみると、夢物語のようね。
元いた世界より遥かに技術が進歩し、伊里奈さんたちのように一部の人は魔術を使う世界に来たこと。
そして、私自身も悪魔の力を得たこと。
どちらも自分のことでなければ、信用できません。
元いた世界に戻れたとしても、きっと私の冒険は愚かな女の妄言と片付けられるのでしょうね。
まあ、帰る方法も分かりませんけど。
昨日の早苗ママの言葉を思い返します。
『本来であれば、召喚した悪魔は召喚主の願いを叶え対価を得たら帰っていくの。でも、今回伊里奈ちゃんは間違った召喚をしちゃったから…』
私が伊里奈さんの願いを叶えたとしても帰られる保証は無い、と続く言葉は濁されましたね。
少しも怖くない、と言えば嘘になります。
ですが、私に帰る場所はあるのでしょうか?
侯爵家は、おそらく私を見限るでしょう。
私があの場から消えた以上、悔しいですが婚約破棄は私有責で決まったでしょうしね。
なんなら、全ての罪を私に擦り付けているかも。
「だったら、私はこの世界で生きます。」
私は決して俯いたりしません。
私自身の誇りのために。
手始めに私はこの世界のことを調べる手段を早苗ママに尋ねてみました。
「私が答えてあげれば良いんだけど今日は仕事があるのよね。伊里奈ちゃんは寝込んでいるし。」
そう、伊里奈さんは今死んだように眠っています。
早苗ママが言うには2日ほど眠り続け、その後1週間程度は酷い倦怠感に苛まれるそうです。
原因は、魔術を行使した代償。
本来伊里奈さんは悪魔を召喚するクラスの魔術を使う能力が無いのですが、ズルをしてしまいました。
そのズルの代償を今身体で支払っているわけです。
「そうね…あ!パソコンの使い方教えるからネットで色々調べてみると良いかも。」
そう言って案内された部屋の机には、何冊か本と謎の黒い物体が置いてあります。
あの金属の板と箱の集合がパソコンかしら?
戸惑う私を置きざりにして、早苗ママが何かしら操作するとパソコン(仮)に絵が現れました。
「これパソコンね。軽くネットの使い方を教えるから私が帰ってくるまで自由に使っていいわよ。お昼ご飯は昨日も説明した冷蔵庫に入っているからね。」
この日、私はネットに圧倒されました。
そもそも私はこの世界の言語を知りません。
なので、まずはそれを理解するのに6時間ほど。
次にネットの情報は私の知識を全て否定しました。
学園で学んでいたことが間違いだらけだったなんて…
最後に、ネットの情報は膨大過ぎました。
私は一介の学生レベルでは学習しない内容さえ進んで取り組んだ勤勉な人間と自負しています。
そんな私に与えられた膨大過ぎる情報は食欲など完全に忘れ去るほど熱中させました。
ああ、素晴らしいわ!本当に!
なお、夜遅くに帰った早苗ママにはたいへんお叱りを受けてしまいました…
「いい?イーリスちゃん。勉強熱心なのは良いことだと思うわよ。それでもご飯は忘れないで。」
0
あなたにおすすめの小説
未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~
キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。
その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。
絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。
今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。
それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!?
※カクヨムにも掲載中の作品です。
冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。
水垣するめ
恋愛
主人公サラ・ゴーマン公爵令嬢は第一王子のマイケル・フェネルと婚約していた。
しかしある日突然、サラはマイケルから婚約破棄される。
マイケルの隣には男爵家のララがくっついていて、「サラに脅された!」とマイケルに訴えていた。
当然冤罪だった。
以前ララに対して「あまり婚約しているマイケルに近づくのはやめたほうがいい」と忠告したのを、ララは「脅された!」と改変していた。
証拠は無い。
しかしマイケルはララの言葉を信じた。
マイケルは学園でサラを罪人として晒しあげる。
そしてサラの言い分を聞かずに一方的に婚約破棄を宣言した。
もちろん、ララの言い分は全て嘘だったため、後に冤罪が発覚することになりマイケルは周囲から非難される……。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。
五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」
婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。
愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー?
それって最高じゃないですか。
ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。
この作品は
「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。
どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。
婚約破棄ですか……。……あの、契約書類は読みましたか?
冬吹せいら
恋愛
伯爵家の令息――ローイ・ランドルフは、侯爵家の令嬢――アリア・テスタロトと婚約を結んだ。
しかし、この婚約の本当の目的は、伯爵家による侯爵家の乗っ取りである。
侯爵家の領地に、ズカズカと進行し、我がもの顔で建物の建設を始める伯爵家。
ある程度領地を蝕んだところで、ローイはアリアとの婚約を破棄しようとした。
「おかしいと思いませんか? 自らの領地を荒されているのに、何も言わないなんて――」
アリアが、ローイに対して、不気味に語り掛ける。
侯爵家は、最初から気が付いていたのだ。
「契約書類は、ちゃんと読みましたか?」
伯爵家の没落が、今、始まろうとしている――。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる