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第二章 憂鬱
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2320年 7月19日木曜日
ピピピー、ピピピー
「こら、もう起きなさい今日終業式でしょ、明日から学校ないんだから」
まだ眠い。母親の忙しい声と耳障りなタイマーの音が僕を眠りから引きずり出す。しがみつこうとしても今度は学校に遅れたらまずいという不安が体を包み込みそれを払うかのように咄嗟に起きる。今日は午前中で終わりだから帰ったらまた一眠りしよう。そう誓いながら支度をして家を出る。太陽の光と共に街の光が照りつける朝。そこら中を飛び交う目障りな飛行型ロボットを横目に通学路を歩く。
「おう、鈴木じゃねえか」
後ろで佐藤の声がした。
「朝から浮かない顔してんなぁ。そんなに今日のテスト返しが嫌か?それよりよぉ昨日のツイッター見たか⁉︎トリシスのライブが7月30日にやるらしいぜマジ楽しみだよな。」
テスト返しは嫌だがこの顔は別に元からだと反抗しようとしたが面倒くさかったのでこいつの話に合わせる事にした。佐藤はバトミントン部の友人で生粋の地下アイドルオタク。さっきのはトリプルシスターズ、通称トリシスっていうグループだ。最近はバーチャル空間での実態の見えないアイドルが主流だからそれよりかは幾分かマシなのかもしれないと思い僕も時々彼について行ってライブを見たりする仲だ。
「俺も予定空いてたら行ってみようかな」
「おう、いこうぜ!」
「あ、清水じゃねぇか。お前も昨日見たかトリシスのライブ情報、マジで上がるよな!…」
退屈な終業式が終わり、憂鬱なテスト返しも終わった僕達に夏休みの宿題が渡された。僕はこの中の一項目に目をやった。夏休み特別課題⁉︎
夏休みに自分の中で特別なことをしてそれを1200字以上でレポートに書いて提出するらしい。しかもそのレポートの参考にと日本の有名タレント渡辺直人さんが講演会をしにきてくれているらしい。僕は憂鬱な面持ちで講堂へ向かった。みんなは直人さんの話を目を輝かせて一生懸命に聞いていた。一方僕はひたすらに苦痛だった。直人さんは幼い頃はなんの個性もない人だったらしいが何か特別になりたいと思い自分の奇想天外な発想や行動などを世界に発信したらそれが認められたそうだ。それと比べて僕はどうだ、特別になろうとせずただ不安を抱えて過ごす日々。直人さんのように特別になろうと思っても諦めが先に勝ってしまう、それが僕だ。そんな既に捨てたはずの劣等感に耐えながら長い講演会を終えた。夏休み課題どうしよう、そう思いながら歩いていると、帰り途中の道端で一人の中年男性がの垂れていた。
ピピピー、ピピピー
「こら、もう起きなさい今日終業式でしょ、明日から学校ないんだから」
まだ眠い。母親の忙しい声と耳障りなタイマーの音が僕を眠りから引きずり出す。しがみつこうとしても今度は学校に遅れたらまずいという不安が体を包み込みそれを払うかのように咄嗟に起きる。今日は午前中で終わりだから帰ったらまた一眠りしよう。そう誓いながら支度をして家を出る。太陽の光と共に街の光が照りつける朝。そこら中を飛び交う目障りな飛行型ロボットを横目に通学路を歩く。
「おう、鈴木じゃねえか」
後ろで佐藤の声がした。
「朝から浮かない顔してんなぁ。そんなに今日のテスト返しが嫌か?それよりよぉ昨日のツイッター見たか⁉︎トリシスのライブが7月30日にやるらしいぜマジ楽しみだよな。」
テスト返しは嫌だがこの顔は別に元からだと反抗しようとしたが面倒くさかったのでこいつの話に合わせる事にした。佐藤はバトミントン部の友人で生粋の地下アイドルオタク。さっきのはトリプルシスターズ、通称トリシスっていうグループだ。最近はバーチャル空間での実態の見えないアイドルが主流だからそれよりかは幾分かマシなのかもしれないと思い僕も時々彼について行ってライブを見たりする仲だ。
「俺も予定空いてたら行ってみようかな」
「おう、いこうぜ!」
「あ、清水じゃねぇか。お前も昨日見たかトリシスのライブ情報、マジで上がるよな!…」
退屈な終業式が終わり、憂鬱なテスト返しも終わった僕達に夏休みの宿題が渡された。僕はこの中の一項目に目をやった。夏休み特別課題⁉︎
夏休みに自分の中で特別なことをしてそれを1200字以上でレポートに書いて提出するらしい。しかもそのレポートの参考にと日本の有名タレント渡辺直人さんが講演会をしにきてくれているらしい。僕は憂鬱な面持ちで講堂へ向かった。みんなは直人さんの話を目を輝かせて一生懸命に聞いていた。一方僕はひたすらに苦痛だった。直人さんは幼い頃はなんの個性もない人だったらしいが何か特別になりたいと思い自分の奇想天外な発想や行動などを世界に発信したらそれが認められたそうだ。それと比べて僕はどうだ、特別になろうとせずただ不安を抱えて過ごす日々。直人さんのように特別になろうと思っても諦めが先に勝ってしまう、それが僕だ。そんな既に捨てたはずの劣等感に耐えながら長い講演会を終えた。夏休み課題どうしよう、そう思いながら歩いていると、帰り途中の道端で一人の中年男性がの垂れていた。
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