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今とこれからと
第六十五話 儀式の事
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イレーナと二人で朝食の準備を進めていると、良い匂いにつられたのかシアンが起きてきた。
「信希ぃー…おはよぉー。おいしそうな匂い…する…」
「ああ、おはよう。よく眠れた?」
「うん…、途中で一回も起きなかったの久しぶりぃ…」
「それは良かった。もうすぐ朝ごはんだからね、ゆっくりしてて?」
「はーい…」
まだ完璧に目覚めていないシアンは、寛ぐためのスペースによたよたと歩いて行き再び眠るのか倒れてしまった。
「もう終わりそうだね。イレーナ皆を起こしてきてくれる?」
「はい、わかりました」
本当は自分で皆を起こしに行ってもいいんだけど、流石に女性は寝起きを見られるのを嫌うだろうと思って、いつもイレーナにお願いすることにしている。
このあたりはもう少し関係が近く?なってからみんなに確認してみようかな…。
イレーナやユリアは、オレの寝ているところに遠慮なく来ているくらいだからな…。もしかしたらこの世界にはそういった常識はないのかもしれない。
──。
みんなが集まり朝食を済ませていく。
「あの、ベッドと布団は最高だな。こんなに快適な寝心地は宿でも味わえまい」
「本当ですの、お城で使っていたベッドよりも快適に過ごせましたの」
「流石にそれは言いすぎじゃない?元居た世界の知識を取り入れているけど、王族が使っているなら国で一番いいベッドでしょ?」
「それはそうですけど…でも、信希様が作ったベッドに比べれば床で寝ているようなものですの!」
なかなか認めることもできないが、この世界の寝具の技術はそこまで進歩していないのだろうか?宿で使ったベッドにしても、そこまで悪いと感じなかった。
変わったことと言えば、ある程度高級なマットレスと羽毛布団に…。
「あー、部屋自体が静かだからじゃないか?いつもはもう少し周囲の音とか聞こえているだろう?」
「い、言われてみれば…」
「いやはや、個室が欲しいと言ったもののここまでの良い物を準備してくれるとは思わなかった。流石といった感じだな」
「喜んでもらえたならなによりだよ」
「今度は、レストも信希のお部屋にも行っていいー?」
「ん-…?」
レストは急にどうしたのかな…?
イレーナやユリアが来たりしているのを知っているんだろうか…、別にいいんだけど…いいんだけどね…?こうもとんとん拍子に…。
「いいんじゃないですか?だから信希は自分の部屋のベッドを大きく作ったんでしょう?」
「かっかっか、信希も隅に置けんのぉ」
「ま、まいったな…」
「ダメなのぉ…?」
「わ、わかったよ。いいけどせっかく自分の部屋もあるんだよ?」
「ほんとぉ!?毎日じゃないの!」
「じゃあボクもー!」
「わたしもっ!」
ほら…こういうことになるでしょう…。
とても嬉しいんだけど、寝る時は本当にまずいよ…。だって、あっちがね…。困ったなぁ…。
自分の食事も終わり片付けをしていると、みんなが座っているところで、イレーナがみんなに儀式の事を報告するみたいだった。
「皆さん今日は満月になりそうなので、儀式の準備をしましょう」
「おお、ついに来たか。あいわかった」
「こちらも了解ですじゃ。手伝えることがあれば何でも言うと良いのじゃ」
「時間はどうする?すぐに準備を始めるのか?」
「そうですね…。ロンドゥナさんどうでしょうか?夜じゃないとダメだと思うんですけど」
「そうだな。準備と言ってもその必要があるのはイレーナとミィズくらいじゃ。この人数の儀式なら貢ぎ物も必要ないし、イダンカに向けて少し進んでおいてもいいだろう」
「そうしましょうか」
「大丈夫なの?なんか体力を使うみたいなことを言ってたと思うけど」
「ん-…正直ワタシもどのくらい消費するのか分かっていないんですよね。初めてですし…」
「なるほど…、やっぱり心配だな…」
「…何がですか?」
「オレの知識だけど、そういう儀式なんかで自分の実力?とか関係なしに生け贄になることで召喚が成功したりするものが多かったから…」
「大丈夫…とは言えませんよね。分からないことですから…、もしもワタシに何かあったら信希が助けてくれるでしょう…?」
そう告げてくるイレーナの声は頼りなく感じてしまうが、オレはイレーナとずっと一緒に居ることが出来るかもしれない人間なんだ。
そして、彼女の事を守りたいと決めたあの時から心は決まっている。
「もちろんだ。だからこそ無茶はさせたくないんだ。今日はこのままここで準備することにしないか?その方が万全の状態で臨めるだろう?」
「そうですね、わかりました。じゃあそうしましょうか」
「みんなもいいかな?」
「もちろんだとも、そもそも急いでいないのだから始めからそうすればよかったな」
「ロンドゥナの言う通りじゃな、ワシも問題ない。このままゆっくりするとしよう」
みんなの体調の事を考えれば当たり前のことだよな。しかも、儀式のこと自体あまり情報がないみたいだし…。神とやらを召喚するためにみんなが力を使うんだから、そのくらいの情報は伝えておいてもいいんじゃないか?お?神よ?
みんなから神を召喚する儀式の事を聞いてから、神と呼ばれているのにこの世界に住む人たちの扱いが少しだけ乱暴なような気がして、少しばかり腹が立つ。
あちらからしたら全世界の一人かもしれないが、オレたちからしたらその一人がとても大切だったりするわけだ。そんなことも理解できていない神だったら、そもそも依頼とか役目とか聞く気も起きないな…。
考えすぎることでどんどん不安が大きくなってくるが、こればかりは『大丈夫』と言っている彼女たちを信じるしかない…。
オレが心配しすぎているのであれば何も問題ない。もしも、彼女たちに何かあれば必ずオレが助けよう。そう心に決めて儀式の開始を待つことにした。
──。
「信希ぃー…おはよぉー。おいしそうな匂い…する…」
「ああ、おはよう。よく眠れた?」
「うん…、途中で一回も起きなかったの久しぶりぃ…」
「それは良かった。もうすぐ朝ごはんだからね、ゆっくりしてて?」
「はーい…」
まだ完璧に目覚めていないシアンは、寛ぐためのスペースによたよたと歩いて行き再び眠るのか倒れてしまった。
「もう終わりそうだね。イレーナ皆を起こしてきてくれる?」
「はい、わかりました」
本当は自分で皆を起こしに行ってもいいんだけど、流石に女性は寝起きを見られるのを嫌うだろうと思って、いつもイレーナにお願いすることにしている。
このあたりはもう少し関係が近く?なってからみんなに確認してみようかな…。
イレーナやユリアは、オレの寝ているところに遠慮なく来ているくらいだからな…。もしかしたらこの世界にはそういった常識はないのかもしれない。
──。
みんなが集まり朝食を済ませていく。
「あの、ベッドと布団は最高だな。こんなに快適な寝心地は宿でも味わえまい」
「本当ですの、お城で使っていたベッドよりも快適に過ごせましたの」
「流石にそれは言いすぎじゃない?元居た世界の知識を取り入れているけど、王族が使っているなら国で一番いいベッドでしょ?」
「それはそうですけど…でも、信希様が作ったベッドに比べれば床で寝ているようなものですの!」
なかなか認めることもできないが、この世界の寝具の技術はそこまで進歩していないのだろうか?宿で使ったベッドにしても、そこまで悪いと感じなかった。
変わったことと言えば、ある程度高級なマットレスと羽毛布団に…。
「あー、部屋自体が静かだからじゃないか?いつもはもう少し周囲の音とか聞こえているだろう?」
「い、言われてみれば…」
「いやはや、個室が欲しいと言ったもののここまでの良い物を準備してくれるとは思わなかった。流石といった感じだな」
「喜んでもらえたならなによりだよ」
「今度は、レストも信希のお部屋にも行っていいー?」
「ん-…?」
レストは急にどうしたのかな…?
イレーナやユリアが来たりしているのを知っているんだろうか…、別にいいんだけど…いいんだけどね…?こうもとんとん拍子に…。
「いいんじゃないですか?だから信希は自分の部屋のベッドを大きく作ったんでしょう?」
「かっかっか、信希も隅に置けんのぉ」
「ま、まいったな…」
「ダメなのぉ…?」
「わ、わかったよ。いいけどせっかく自分の部屋もあるんだよ?」
「ほんとぉ!?毎日じゃないの!」
「じゃあボクもー!」
「わたしもっ!」
ほら…こういうことになるでしょう…。
とても嬉しいんだけど、寝る時は本当にまずいよ…。だって、あっちがね…。困ったなぁ…。
自分の食事も終わり片付けをしていると、みんなが座っているところで、イレーナがみんなに儀式の事を報告するみたいだった。
「皆さん今日は満月になりそうなので、儀式の準備をしましょう」
「おお、ついに来たか。あいわかった」
「こちらも了解ですじゃ。手伝えることがあれば何でも言うと良いのじゃ」
「時間はどうする?すぐに準備を始めるのか?」
「そうですね…。ロンドゥナさんどうでしょうか?夜じゃないとダメだと思うんですけど」
「そうだな。準備と言ってもその必要があるのはイレーナとミィズくらいじゃ。この人数の儀式なら貢ぎ物も必要ないし、イダンカに向けて少し進んでおいてもいいだろう」
「そうしましょうか」
「大丈夫なの?なんか体力を使うみたいなことを言ってたと思うけど」
「ん-…正直ワタシもどのくらい消費するのか分かっていないんですよね。初めてですし…」
「なるほど…、やっぱり心配だな…」
「…何がですか?」
「オレの知識だけど、そういう儀式なんかで自分の実力?とか関係なしに生け贄になることで召喚が成功したりするものが多かったから…」
「大丈夫…とは言えませんよね。分からないことですから…、もしもワタシに何かあったら信希が助けてくれるでしょう…?」
そう告げてくるイレーナの声は頼りなく感じてしまうが、オレはイレーナとずっと一緒に居ることが出来るかもしれない人間なんだ。
そして、彼女の事を守りたいと決めたあの時から心は決まっている。
「もちろんだ。だからこそ無茶はさせたくないんだ。今日はこのままここで準備することにしないか?その方が万全の状態で臨めるだろう?」
「そうですね、わかりました。じゃあそうしましょうか」
「みんなもいいかな?」
「もちろんだとも、そもそも急いでいないのだから始めからそうすればよかったな」
「ロンドゥナの言う通りじゃな、ワシも問題ない。このままゆっくりするとしよう」
みんなの体調の事を考えれば当たり前のことだよな。しかも、儀式のこと自体あまり情報がないみたいだし…。神とやらを召喚するためにみんなが力を使うんだから、そのくらいの情報は伝えておいてもいいんじゃないか?お?神よ?
みんなから神を召喚する儀式の事を聞いてから、神と呼ばれているのにこの世界に住む人たちの扱いが少しだけ乱暴なような気がして、少しばかり腹が立つ。
あちらからしたら全世界の一人かもしれないが、オレたちからしたらその一人がとても大切だったりするわけだ。そんなことも理解できていない神だったら、そもそも依頼とか役目とか聞く気も起きないな…。
考えすぎることでどんどん不安が大きくなってくるが、こればかりは『大丈夫』と言っている彼女たちを信じるしかない…。
オレが心配しすぎているのであれば何も問題ない。もしも、彼女たちに何かあれば必ずオレが助けよう。そう心に決めて儀式の開始を待つことにした。
──。
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