存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃

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次の日
ディアターナの元に団長がやって来た

「すぐに支度をしてくれ」

どうやら石碑まで団長が連れて行って
くれるらしい

「歩けば1日はかかるが馬ならば
昼には到着するだろう」

「連れて行ってくれるのですか
嬉しいです」

団長の指示に従って団長の馬に乗る。
若い騎士の馬に乗った時も
かなり驚いたが団長の馬は更に
大きかった。

「馬に乗れないのか」

「はい、そうですね」

「この国では女性でも馬は普通に乗るぞ。
貴族ならば乗れない者は居ない」

「そうですか…」

んな事言われてもこの国の人じゃないし…

「少し飛ばすから手網をしっかり握って
離すなよ」

団長の周りには護衛と思われる騎士が
5人程居た。

「さ、出発だ」

馬が走り出すとディアターナは
怖くて息をする事も忘れて必死に
しがみついく。意識が飛びそうに
なりながらも頑張って手網を握った

おぉー神よ、、か弱な私をお守りくださいぃ

ついにディアターナの意識がぶっ飛び
ほとんどの時間、記憶を失っていた。

「ついたぞ」
団長の言葉に意識を取り戻したが
ディアターナはもうヘロヘロだった
自力では歩けずに騎士が石碑の前まで
連れて行ってくれる。
その時ディアターナは
いや、もう石碑とかいいから寝かせてよ
横になりたいんだけど。と思っていた

「あれ?」
石碑から何か強いエネルギーを感じとり
ディアターナが我に返る

ドザッ!

ディアターナが突然石碑の前で跪くと
付き添っていた騎士や団長
「何があった?」と心配したが
その時
ディアターナを囲むように風が吹き
風の壁が出来た

「うっ、団長、、近づけません…」

付き添っていた騎士が風の壁に
はね飛ばされた。

ディアターナは風の中で初めて感じる
エネルギーを受け取っていた。

凄いわ、何だろうこの力は…
身体は軽くなるし頭の中は
スッキリしていく…

キラキラとした光がディアターナを包むと
騎士たちはその光景を呆然と見ていた

「あぁ、、貴女様が初代聖女である
コリーアンナですね。
私は23代目聖女のディアターナです。
お会いできて嬉しく思います」

ディアターナの前にはコリーアンナの
姿が見えているらしいが
騎士たちには全くわからなかった。

「はい」
「そうですね」
「え、知りませんでした」
「ふふふ、ありがとうございます」
「はい とても嬉しいです」

誰かと話しているディアターナを
見ている騎士たちは信じられなかった。
今までも何人もの人々が石碑に触り
祈った。
もちろん騎士たちも…そして皇帝も…

ディアターナが本物の聖女だと
証明するのに言葉は要らなかった。

しばらくするとキラキラした光が消え
ディアターナが立ち上がり
振り返った。

「コリーアンナ様と話が出来ました。
ありがとうございます」

ニコリと微笑むディアターナを見た
団長も言葉少なく「そ、そうか」
とだけ言った。

「あのぉーもう少しだけいいですか?」

「なんだ」

「すぐに終わりますので」

「構わないが日が暮れる前に頼む」

「はい」

石碑の前に立ったディアターナは
そっと指で表面をなぞった。
するとその場所が光り文字が浮かんだ

「お、おい写せ」
団長が側近に言うと慌てて文字を
書き写していく

「ちょっと早くて…追いつけません」

ディアターナはスっと指先に浮かぶ文字を
読んでいるみたいだった

「聖女!もう少しゆっくり頼む」
思わず団長が声をかけると
ディアターナは
「大丈夫ですよ。後で伝えますから」
そう言った
ディアターナの指が離れると
消えてしまう文字に皆は固まっていた。

その時だ
「団長!至急王宮にお戻りください」
騎士が早馬で知らせを伝えた

団長は「今か!」と返すも
騎士を見て緊急だと察し
「聖女を頼んだ」
そう告げると名残惜しそうに
走り去って行った。

しばらくするとディアターナは
石碑に刻まれた文字を読み終わり
振り返った。

「すみませんお待たせしました。
あれ?団長さんは…」

秘書官騎士はハッとして
「団長は急用にて戻りました
帰りは私の馬で帰りますが
よろしいでしょうか」
と言った。

「もちろんです。ありがとうございます」

ディアターナは騎士に助けてもらいながら
馬にまたがると
騎士たちはディアターナを大切に
小屋まで連れ帰ってくれた。

なんかさぁ、、行きと帰り
全然違うよね?気のせいかな?
あの団長って人が乱暴なのかな?
それともみんな私が聖女だって
認めてくれたって事なのかな?

まぁいいか!コリーアンナ様に
会えたし話もできたし
秘密も知れたしね…大満足な1日だったわ

この日の夜
ディアターナはぐっすり眠っていた。


ディアターナが小屋に到着した頃
西帝国の王宮では各大臣が招集され
会議室に集まっていた。
その中には皇帝陛下に皇太子殿下も
揃っていた。

夕食時間が過ぎた頃
団長も会議室に入った

「陛下、アベル殿下が到着致しました」

「わかった」

「遅くなりました」

「構わない早く座りなさい」

アベルが席につくと大臣たちが
困惑した表情で資料を見ている

何があったんだ…
アベルに緊張がはしった。


続く
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