存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃

文字の大きさ
3 / 28

3

次の日
ディアターナの元に団長がやって来た

「すぐに支度をしてくれ」

どうやら石碑まで団長が連れて行って
くれるらしい

「歩けば1日はかかるが馬ならば
昼には到着するだろう」

「連れて行ってくれるのですか
嬉しいです」

団長の指示に従って団長の馬に乗る。
若い騎士の馬に乗った時も
かなり驚いたが団長の馬は更に
大きかった。

「馬に乗れないのか」

「はい、そうですね」

「この国では女性でも馬は普通に乗るぞ。
貴族ならば乗れない者は居ない」

「そうですか…」

んな事言われてもこの国の人じゃないし…

「少し飛ばすから手網をしっかり握って
離すなよ」

団長の周りには護衛と思われる騎士が
5人程居た。

「さ、出発だ」

馬が走り出すとディアターナは
怖くて息をする事も忘れて必死に
しがみついく。意識が飛びそうに
なりながらも頑張って手網を握った

おぉー神よ、、か弱な私をお守りくださいぃ

ついにディアターナの意識がぶっ飛び
ほとんどの時間、記憶を失っていた。

「ついたぞ」
団長の言葉に意識を取り戻したが
ディアターナはもうヘロヘロだった
自力では歩けずに騎士が石碑の前まで
連れて行ってくれる。
その時ディアターナは
いや、もう石碑とかいいから寝かせてよ
横になりたいんだけど。と思っていた

「あれ?」
石碑から何か強いエネルギーを感じとり
ディアターナが我に返る

ドザッ!

ディアターナが突然石碑の前で跪くと
付き添っていた騎士や団長
「何があった?」と心配したが
その時
ディアターナを囲むように風が吹き
風の壁が出来た

「うっ、団長、、近づけません…」

付き添っていた騎士が風の壁に
はね飛ばされた。

ディアターナは風の中で初めて感じる
エネルギーを受け取っていた。

凄いわ、何だろうこの力は…
身体は軽くなるし頭の中は
スッキリしていく…

キラキラとした光がディアターナを包むと
騎士たちはその光景を呆然と見ていた

「あぁ、、貴女様が初代聖女である
コリーアンナですね。
私は23代目聖女のディアターナです。
お会いできて嬉しく思います」

ディアターナの前にはコリーアンナの
姿が見えているらしいが
騎士たちには全くわからなかった。

「はい」
「そうですね」
「え、知りませんでした」
「ふふふ、ありがとうございます」
「はい とても嬉しいです」

誰かと話しているディアターナを
見ている騎士たちは信じられなかった。
今までも何人もの人々が石碑に触り
祈った。
もちろん騎士たちも…そして皇帝も…

ディアターナが本物の聖女だと
証明するのに言葉は要らなかった。

しばらくするとキラキラした光が消え
ディアターナが立ち上がり
振り返った。

「コリーアンナ様と話が出来ました。
ありがとうございます」

ニコリと微笑むディアターナを見た
団長も言葉少なく「そ、そうか」
とだけ言った。

「あのぉーもう少しだけいいですか?」

「なんだ」

「すぐに終わりますので」

「構わないが日が暮れる前に頼む」

「はい」

石碑の前に立ったディアターナは
そっと指で表面をなぞった。
するとその場所が光り文字が浮かんだ

「お、おい写せ」
団長が側近に言うと慌てて文字を
書き写していく

「ちょっと早くて…追いつけません」

ディアターナはスっと指先に浮かぶ文字を
読んでいるみたいだった

「聖女!もう少しゆっくり頼む」
思わず団長が声をかけると
ディアターナは
「大丈夫ですよ。後で伝えますから」
そう言った
ディアターナの指が離れると
消えてしまう文字に皆は固まっていた。

その時だ
「団長!至急王宮にお戻りください」
騎士が早馬で知らせを伝えた

団長は「今か!」と返すも
騎士を見て緊急だと察し
「聖女を頼んだ」
そう告げると名残惜しそうに
走り去って行った。

しばらくするとディアターナは
石碑に刻まれた文字を読み終わり
振り返った。

「すみませんお待たせしました。
あれ?団長さんは…」

秘書官騎士はハッとして
「団長は急用にて戻りました
帰りは私の馬で帰りますが
よろしいでしょうか」
と言った。

「もちろんです。ありがとうございます」

ディアターナは騎士に助けてもらいながら
馬にまたがると
騎士たちはディアターナを大切に
小屋まで連れ帰ってくれた。

なんかさぁ、、行きと帰り
全然違うよね?気のせいかな?
あの団長って人が乱暴なのかな?
それともみんな私が聖女だって
認めてくれたって事なのかな?

まぁいいか!コリーアンナ様に
会えたし話もできたし
秘密も知れたしね…大満足な1日だったわ

この日の夜
ディアターナはぐっすり眠っていた。


ディアターナが小屋に到着した頃
西帝国の王宮では各大臣が招集され
会議室に集まっていた。
その中には皇帝陛下に皇太子殿下も
揃っていた。

夕食時間が過ぎた頃
団長も会議室に入った

「陛下、アベル殿下が到着致しました」

「わかった」

「遅くなりました」

「構わない早く座りなさい」

アベルが席につくと大臣たちが
困惑した表情で資料を見ている

何があったんだ…
アベルに緊張がはしった。


続く

あなたにおすすめの小説

【完結】王子は聖女と結婚するらしい。私が聖女であることは一生知らないままで

雪野原よる
恋愛
「聖女と結婚するんだ」──私の婚約者だった王子は、そう言って私を追い払った。でも、その「聖女」、私のことなのだけど。  ※王国は滅びます。

【完結】ある公爵の後悔

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
王女に嵌められて冤罪をかけられた婚約者に会うため、公爵令息のチェーザレは北の修道院に向かう。 そこで知った真実とは・・・ 主人公はクズです。

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

愛してくれない人たちを愛するのはやめました これからは自由に生きますのでもう私に構わないでください!

花々
恋愛
ベルニ公爵家の令嬢として生まれたエルシーリア。 エルシーリアには病弱な双子の妹がおり、家族はいつも妹ばかり優先していた。エルシーリアは八歳のとき、妹の代わりのように聖女として神殿に送られる。 それでも頑張っていればいつか愛してもらえると、聖女の仕事を頑張っていたエルシーリア。 十二歳になると、エルシーリアと第一王子ジルベルトの婚約が決まる。ジルベルトは家族から蔑ろにされていたエルシーリアにも優しく、エルシーリアはすっかり彼に依存するように。 しかし、それから五年が経ち、エルシーリアが十七歳になったある日、エルシーリアは王子と双子の妹が密会しているのを見てしまう。さらに、王家はエルシーリアを利用するために王子の婚約者にしたということまで知ってしまう。 何もかもがどうでもよくなったエルシーリアは、家も神殿も王子も捨てて家出することを決意。しかし、エルシーリアより妹の方がいいと言っていたはずの王子がなぜか追ってきて……。 〇カクヨムにも掲載しています

【完結】病弱な妹に魔力を分け続け死ぬ寸前の私を、宮廷魔術師になった旧友が攫ってくれました。家族を捨てて幸せになっていいんですか?

未知香
恋愛
「あなたはもう十分楽しんだでしょう? 今度はミアーラの番よ」 膨大な魔力と知識を持ち、聖女候補とまで言われた、天才魔術師エリアーナ。 彼女は、病弱な妹ミアーラの為、家族に言われるまま自らの膨大な魔力を差し出すことにした。 「そうだ。私は健康で、今まで十分に楽しんできた。だから、あげるのは当然だ」 魔力を与え続けた結果、彼女は魔力を失い、容姿も衰え、社交界から姿を消してしまう事となった。 一方、妹ミアーラは姉から与えられた魔力を使い、聖女候補として称賛されるように。 家族の呪縛に縛られ、「今まで多くを貰いすぎていたのだ」と信じ、利用され続けるエリアーナ。 そんな彼女の前に現れたのは、かつての旧友であり宮廷魔術師となった青年だった。 ハッピーエンドです!

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。