存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃

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ディアターナが目覚めたのは
翌日の夕方に近くなった頃だった。

「お嬢様 お目覚めですか
すぐに医師を呼んでまいります」

侍女が部屋から出るとディアターナは
水を飲んだ

「ふぅ 美味しい」

アレは何だったのか…
身体に注がれた暖かい力。
コリーアンナが言っていた
「聖女の後継者」って何?
他の聖女と呼ばれた人達は
どうしたのかしら?
神殿で勉強した聖女の歴史や由来。
あ、、殿下が魔法だとか言ってたな。
よく分からないけれど…
陛下ならば聞いてくださるかな…

そんな事を考えていた時
部屋に入って来たのは医師らしい人物と
団長だった。

アベルはディアターナの隣に立ち
顔を覗き込んだ。

「体調はどうだ?
あの時、、何があったんだ」

その時
医師がアベルに微笑んだ

「殿下、先に診察をさせて頂いても?」

「あぁそうだったなすまない」

ん?今  団長の事を殿下って言った?
騎士団長のアベル卿じゃなかったっけ。

医師は「すぐに終わりますから」
そう言いながら脈や血圧をはかり

「はい、問題はありませんが
気になる事はありますか?」と
ディアターナに聞いた。

「はい大丈夫です」
そう答えながら
ディアターナは「殿下」「殿下」「殿下」
という言葉が頭の中でグルグルしている

「あの、、団長さんは殿下なのですか?」

ディアターナの質問に医師や侍女たちは
固まった。

し、知らなかった??
嘘ですよね?では何故ここに??

アベルは表情を変えずに言った

「皆、1度 部屋から出てくれるか」

2人になるとアベルは言った

「アベル・ギャンドゥ
この西帝国の代2皇子だ」

「……な、なるほどですね」

「他に質問はあるか」

いや質問は無いですけど驚きましたよ
でも陛下とお会いした時も
石碑に行った時も…なるほど
だから一緒に居たのですね、、

そうだ!ならば!

「質問というかお願いがあります
皇帝陛下と話がしたいです」

アベルはディアターナの願いを聞き
少し考えた

「何を話したいんだ」

「色々とあった事を…です」

「コリーアンナについてならば
私も聞きたいが」

「そうですか…でもまずは陛下に…」

アベルは何故か苛立った

お前に会ったのは俺が先だぞ
なぜ俺に言わないんだ。
お前を聖女だと認めたのは俺だ。
そうでなければ今頃は牢屋で
尋問を受けていたんだぞ。
それにこの部屋は…この部屋は、、

クッソォ!何が言いたいんだ、
俺だって忙しいし
後で報告を
受ければいいだけじゃないか!

「わかった。話は伝える
会うかどうかは陛下次第だからな」

そう告げると部屋から出て行って
しまった。

ディアターナは
なんか、、怒らせちゃった?
あ、そうか!ここまで運んでくれた
礼を言うのを忘れたからだわ!
今度 会ったらきちんとしないと。
そう思っていた。


【ジャラス王国】

男たちは平民も騎士も皆が総出で
氾濫を防ぐ為に土や石で壁を作り
死力を尽くしていたが
もはや体力的にも精神的にも限界が
近づいていた。
そして一部の人々が神殿に押し入ろうと
神殿の門を壊し始めると
神官たちの制しも虚しく
神殿は占拠されてしまった。


【西帝国】

勇者の森へ行き数日後
ディアターナの元に
皇后から茶の誘いがあった

「お嬢様、、本日の午後に
お茶をしたいと皇后から連絡が
ありましたので支度をさせて頂きます」

皇后?皇帝ではなくて?
戸惑ったが断る事などできる訳が無い。
そういえば皇后には会った事が無いわ
どんな方なのかしら?
支度を終えたディアターナは
皇后が待つ庭園へと向かった。

「待っていましたよ」

皇后はディアターナを見ると優しく声を
かけた

「お招き頂きましてありがとうございます
ジャラス王国から来ました
ディアターナ・ルシェと申します
よろしくお願いします」


「さ、座って
限られた時間で色々と話したいのよ。
あなたの事は陛下からも息子たちからも
聞いているからだいたいは
わかっているわ」

皇后は侍女長だけを残し
他の侍女をさげるとゆっくりと話し出した。

「今、陛下はとても慌ただしくしているの
あなたの耳に入っているのかわからない
けれど、ジャラスで反乱が起こったの
私たちの元に入った情報によると
民の一部が神殿を占拠して
聖女を出すように訴えているようよ。
ジャラスは…
聖女ディアターナがジャラスに
居ない事を発表したのよ
けれど失敗したみたいね
民はものすごく反発して
何故、聖女ディアターナが居なくなった
のか説明しろ。と宮を囲んでいるらしいわ」

ディアターナは雨が降り続いている。
そう聞いてはいたが聖女ビオンヌが
居るから大丈夫だと思っていた。

「あの、、もう1人聖女が居ます」

ディアターナの言葉に「そうね」
と返した皇后だったが

「もう1人の聖女にちょっとした
疑惑があるみたいね。
でもそれはジャラスが発表してからの
話になるわ」

「疑惑…」

「さ、あなたの話をしましょう。
陛下を含む殿下2人、そして
王宮の秘書官と執事 後ここに居る
侍女長ね。あなたが聖女だと知る人物は
あなたに同行した騎士ぐらいかしら。
今日あなたを呼んだのは
あなたの今後について身の振りを
決めて欲しいからなのよ
これから幾つか提案するわ
どうしたいか決めてちょうだい」

ディアターナは身の振りという
言葉に緊張を走らせた…



続く

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