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公爵家から王宮に戻ったアリーリアに
エドアルドから食事の誘いがきた
「久しぶりの家はどうだった?」
「ゆっくり出来ました」
「そうか、久しく公爵に会ってないな」
そうでしょうね。毎日、何時間も
モナリナと過ごしているのだから…
「そうだ、今度レストランで食事を
しよう。君が好きな海鮮料理がいいな」
「ここの食事で十分ですわ」
それからアリーリアは公務以外の
誘いを断りエドアルドと距離を置いた
わかっているのよ。
貴方は国王になる人だもの
これから側妃を迎える時が来るって…
私が嫉妬に耐えられない程に未熟だとは
自分でも驚いているのよ
でもね、せめて…今だけは
今だけでも…愛して欲しかったの
こんな終わり方は悲しすぎるわ
時折
王宮の庭園に令嬢達の声が聞こえ
茶を楽しんでいるのがわかったが
この頃アリーリアは考える事に疲れていた。
あれからずっと令嬢達に…モナリナに
哀れみの視線を向けられ続けて
アカデミーの机には手紙が置かれていた
「まだ決断ができませんか」
「私達の願いが届きますように」
「エドアルド殿下に幸多き事を願います」
「邪魔者が消えます様に」
そんな手紙を目にしたクラスメイトは
アリーリアに声もかけられずに
チラチラと見るばかりだった
「そうよね。
私には友人すら居ないのだから…
アカデミーで交流を広げるなんて
遅かったのよ」
アリーリアは自分の無力感に襲われた
「ふふふ、確かにね
こんな器で王太子妃なんか無理よね」
心が病んでいったアリーリアは
いつも小さな箱を見つめていた
エドアルドのアカデミー卒業式で
パートナーとして参加したアリーリアは
皆の視線を集めていたが
そこには以前の愛くるしい
アリーリアはそこにはいなかった。
エドアルドとのダンスを終えると
「私はこれにて失礼させて頂きます」
エドアルドの手を振り払って馬車に
向かった
モナリナと踊る貴方を見たくない。
あの女が得意がる嫌味な顔を
見たくない。
イチャイチャしたいならば
私の居ない場所でしてよ…
振り返らずに立ち去った
エドアルドは立ち去るアリーリアを
見ながら唇を噛み締めたが
そこに待っていたと言わんばかりに
モナリナが現れエドアルドを
ダンスホールの中央に連れて行った
それからエドアルドは公務の為
王宮に居る事があまりなかった様だった
それで良かった。居ない方がいい
アリーリアはエドアルドの側近達からも
距離も取っていた
時が過ぎて
アリーリアは結婚式の日程を聞きながら
その日に備えて心の準備を進めていく
時折、エドアルドがアリーリアの部屋に
顔を出すが会話などは無い。
エドアルドが侍女達に指示を出して
確認を済ませると
当たり障りのない挨拶を済ませて
部屋を後にするだけだった
テラスで思い返していたアリーリアは
ふと今に戻った
「色々あったわね
モナリナ嬢って参列していたのかしら?
これからは遠慮なく
エドアルドと愛し合ってね」
月を見上げながら深呼吸する
「さすがに少し肌寒くなってしまったわ」
その時だ
ガチャ
寝室の扉が開くとエドアルドが入ってきた
護衛が静かに廊下で待機している様子だ
エドアルドはテーブルの上にある
空のグラスにワインを注ぐと一気に
飲み干してベッドサイドに腰をかけた
アリーリアは「今ね」とテラスから
部屋へと戻った
ベッドサイドに座ったエドアルドは
アリーリアを見ると
「心の準備は出来たのかな?」と
言った
アリーリアは
「えぇ、準備ならば既に出来ているわ」
と微笑んでワイングラスを手に取った
「頼むわよ店主さん、、
一瞬で逝かせてくださいね」
グラスのワインを一気に飲み干した
んー!! 苦い!苦しい!
グッ…熱い! 胸が焼ける様に熱を持った
グハッ !!
アリーリアの口から鮮血が吹き出す
「はあ、もう、、もう、、苦しくないわ…
本当に…すぐだったわ
店主さん……ありがとう」
消えゆく意識の中
エドアルドの叫び声が聞こえる
「な、何をしたんだ!!
誰か !! すぐに宮医を呼べー!
ダメだ!逝くなアリーーーー!!」
廊下に居た人達の叫び声と足音が
響いてくる
こんな風に抱きしめられたのは
いつぶりかしら……
アリーリアは最後の力を振り絞った
「よかった…わ…ね
じゃま もの は 消えて あ げる…」
もう エドアルドの声が聞こえない
目も見えない
終わった…のね
アリーリアは静かに目を閉じた
アリーリア・グラマラス王太子妃殿下
この日18年の人生に幕を降ろした
エドアルドから食事の誘いがきた
「久しぶりの家はどうだった?」
「ゆっくり出来ました」
「そうか、久しく公爵に会ってないな」
そうでしょうね。毎日、何時間も
モナリナと過ごしているのだから…
「そうだ、今度レストランで食事を
しよう。君が好きな海鮮料理がいいな」
「ここの食事で十分ですわ」
それからアリーリアは公務以外の
誘いを断りエドアルドと距離を置いた
わかっているのよ。
貴方は国王になる人だもの
これから側妃を迎える時が来るって…
私が嫉妬に耐えられない程に未熟だとは
自分でも驚いているのよ
でもね、せめて…今だけは
今だけでも…愛して欲しかったの
こんな終わり方は悲しすぎるわ
時折
王宮の庭園に令嬢達の声が聞こえ
茶を楽しんでいるのがわかったが
この頃アリーリアは考える事に疲れていた。
あれからずっと令嬢達に…モナリナに
哀れみの視線を向けられ続けて
アカデミーの机には手紙が置かれていた
「まだ決断ができませんか」
「私達の願いが届きますように」
「エドアルド殿下に幸多き事を願います」
「邪魔者が消えます様に」
そんな手紙を目にしたクラスメイトは
アリーリアに声もかけられずに
チラチラと見るばかりだった
「そうよね。
私には友人すら居ないのだから…
アカデミーで交流を広げるなんて
遅かったのよ」
アリーリアは自分の無力感に襲われた
「ふふふ、確かにね
こんな器で王太子妃なんか無理よね」
心が病んでいったアリーリアは
いつも小さな箱を見つめていた
エドアルドのアカデミー卒業式で
パートナーとして参加したアリーリアは
皆の視線を集めていたが
そこには以前の愛くるしい
アリーリアはそこにはいなかった。
エドアルドとのダンスを終えると
「私はこれにて失礼させて頂きます」
エドアルドの手を振り払って馬車に
向かった
モナリナと踊る貴方を見たくない。
あの女が得意がる嫌味な顔を
見たくない。
イチャイチャしたいならば
私の居ない場所でしてよ…
振り返らずに立ち去った
エドアルドは立ち去るアリーリアを
見ながら唇を噛み締めたが
そこに待っていたと言わんばかりに
モナリナが現れエドアルドを
ダンスホールの中央に連れて行った
それからエドアルドは公務の為
王宮に居る事があまりなかった様だった
それで良かった。居ない方がいい
アリーリアはエドアルドの側近達からも
距離も取っていた
時が過ぎて
アリーリアは結婚式の日程を聞きながら
その日に備えて心の準備を進めていく
時折、エドアルドがアリーリアの部屋に
顔を出すが会話などは無い。
エドアルドが侍女達に指示を出して
確認を済ませると
当たり障りのない挨拶を済ませて
部屋を後にするだけだった
テラスで思い返していたアリーリアは
ふと今に戻った
「色々あったわね
モナリナ嬢って参列していたのかしら?
これからは遠慮なく
エドアルドと愛し合ってね」
月を見上げながら深呼吸する
「さすがに少し肌寒くなってしまったわ」
その時だ
ガチャ
寝室の扉が開くとエドアルドが入ってきた
護衛が静かに廊下で待機している様子だ
エドアルドはテーブルの上にある
空のグラスにワインを注ぐと一気に
飲み干してベッドサイドに腰をかけた
アリーリアは「今ね」とテラスから
部屋へと戻った
ベッドサイドに座ったエドアルドは
アリーリアを見ると
「心の準備は出来たのかな?」と
言った
アリーリアは
「えぇ、準備ならば既に出来ているわ」
と微笑んでワイングラスを手に取った
「頼むわよ店主さん、、
一瞬で逝かせてくださいね」
グラスのワインを一気に飲み干した
んー!! 苦い!苦しい!
グッ…熱い! 胸が焼ける様に熱を持った
グハッ !!
アリーリアの口から鮮血が吹き出す
「はあ、もう、、もう、、苦しくないわ…
本当に…すぐだったわ
店主さん……ありがとう」
消えゆく意識の中
エドアルドの叫び声が聞こえる
「な、何をしたんだ!!
誰か !! すぐに宮医を呼べー!
ダメだ!逝くなアリーーーー!!」
廊下に居た人達の叫び声と足音が
響いてくる
こんな風に抱きしめられたのは
いつぶりかしら……
アリーリアは最後の力を振り絞った
「よかった…わ…ね
じゃま もの は 消えて あ げる…」
もう エドアルドの声が聞こえない
目も見えない
終わった…のね
アリーリアは静かに目を閉じた
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