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「さて、皆が揃って会いたいなど
珍しいな何か伝えたい事でもあるのか?
聞こう」

マルティナは重鎮達に問う

重鎮達は顔を見合わせながら
マルティナに向き合った

「えーこの度の皇太子任命につきまして
皇后様はどの様にお考えでしょうか」

「さあな、必ず第1皇子が継ぐのだろ?
少し早くなっただけではないのか」

「いや、しかしですな
物事には順序というものがあります
皇后様はご存知だったのでしょうか」

「その順序とやらを教えるのは
そなたたちであろう?
皇帝学を放棄し学ばず者を支持したのは誰だ?」

「しかし…」

「私は嫁いでから国政を考え、民を思い
今も務めに邁進している
皇帝を育て、面倒を見る立場では無い」

そこで見計らった様に宰相が入った

「皇后様皇帝より「離宮の予算を増やせ」
と言われております」

宰相はさりげなく
振り当てられた予算と支出が書かれた
書類を配った

「「「!?」」」 重鎮達は書類を見て固まった

「ご覧の通り離宮で多くの国費が
使われています」

宰相の言葉に皆が驚いた

「皇后宮の3倍近いぞ?」

「先程は旅行と仰ってましたか…」

「いや待って下さい皇后は何故止めない
のですか」

「皇帝命だからです」

しれっと答えたマルティナを見て
会議室はシーンと静まり返った

マルティナは重鎮達の表情を見て
話を進めた

「何もしてない訳では無い
離宮では1度袖を通した物は使用しない
ようだからな…
そのドレス等を引き取り生地に戻し
南帝国に売っている
その収入で水路を引き、道を整え
街を整備しているのだ」

「なんと…」

「今日の茶は口に合うか?」

「え?はい」

「ならば良かった。この茶は
南でしか手に入らない希少な茶葉だ
皆が集まるというので特別に用意した
南は中央に感謝している
上質な生地が手に入るとな…」

重鎮達はマルティナの策を知った

「さて、この事態をどう考えるのか
皆の意見を聞きたい」

「「「……」」」

「それぞれが この国の未来を見据え
正しき判断をしてくれる事を願う
そうだ、皆に配ってくれるか」

侍女が重鎮達にラッピングされた箱を
配った

「今日の茶葉だ。
持ち帰り夫人に渡すと良い。
きっと喜ぶだろう」

マルティナは今日はこのくらいで
十分だと判断して席を立った

重鎮達はマルティナの手腕を認めざる
得なかった

マルティナが廊下に出るとズカズカと
ローガンが向かって来た

「これは皇后殿、おや?会議ですかな?
なんと世論では皇后殿が国を治めて
いるかの様な噂がありますなぁ
困った事です。
それはひとえに有能な官僚達のおかげ
でしょう。しかし皇帝も大変ですなぁ
ジュークス陛下の心労を察しますよ。
でも我が娘ナミリュがお側に居ますので
皇后殿は民の為に実力を見せてください
あー
ところで重鎮達とは何を話されたのですか」

「そなたには関係ない事だ」

「そうでしょうか?私の初孫が
皇太子になるのですよ?関係ないは
間違いでございます」

「そうか、ならば皆に聞け」

「あはははっ、そうですね
皇后殿とて心中穏やかではありませんか失礼しました」

そこに会議室から出てきていた重鎮達が
ローガンを見ていた

「ローガンよ発言には気をつけろ
くだらぬ口を塞がぬならば不敬罪で
首を落とすからな」

マルティナはローガンを見上げた

「チッ 大変申し訳ございません」

ローガンは礼もせずマルティナを
通り過ぎた
そして笑顔で重鎮達を見れば
冷ややかな視線がローガンに向いた

「な、何だ…」
ローガンは笑顔で重鎮達に会釈をし
先へと進んだ

「ちきしょう、小娘め!
お前なんぞ引き摺り落としてやる!」

マルティナに敵意をむき出しにしながら
離宮へと向かった


ナミリュ

全く、ドレスを新調するぐらいで
毎回ケチを付けてくる面倒な奴 !
何が才女よ!チヤホヤされて馬鹿みたい
ジュークスの妃になる為に
どれだけあいつの好みを演じたと
思ってるのよ。
それなのに誰よマルティナって?
そう思ってた
けれどさ、あのうるさい先代皇后が
あっという間に居なくなってくれてさ
神が味方してくれた。って感じ?
今じゃ まぁまぁいい物を着て
毎日のように好きな物を食べられて
もうすぐ皇太子の母になるのよ?
最高だわ。そうしたらマルティナって女
追い出してやる
お父様とジュークスをもっと利用するわ

ネイサンの頭を撫でながら
マルティナを追い出す事を楽しみに
日々を過ごしていた


ジュークス

「クッソ!」
どいつもこいつも勉強ってうるさいな!
ネイサンが嫌だと言っているんだぞ?
何人も代わりやがって。
この国にはまともな教師が居ないのか!
勉強なんか出来なくても血があれば
皇帝になれるんだ
しかしだ、まさかマルティナまで
子を産むとはな…あれは失敗だったなー
でもまぁネイサンを皇太子に任命したし
任命式が終わって落ち着いたら
母子を追い出すかな…ん?
そういえばレドモンドだっけ?
あいつ最近見ないな…
まぁいいか

ジュークスは想像以上にアホだった

ローガン

あの会議で何があったんだ?
ナミリュのおかげで重鎮達と同等に
なれたと思っていたが…
あ、そうか!我がローガンから
皇太子が誕生するからやっかみか!
面倒な老人達だ…
まぁいい、立場逆転までもう少しだな

ローガンは1人 クソ微笑んでいた


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