わかったわ、私が代役になればいいのね?[完]

風龍佳乃

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迎えたパーティー当日
ブェールス侯爵は緊張した面持ちで
リディーを迎えに王宮入りした。

「リディー、本当に申し訳ない
けれど最高のデビューにするからな」

控え室についた侯爵は廊下で
娘の準備を待っていた。

「ブェールス侯爵様
リディアーナ様のお支度が整いました」

侯爵は「ふぅ」と呼吸をすると
娘の居る部屋に入った

そこにはリディアーナでもなく
リディーとも違う
華やかで凛とした少女が立っていた。

「あぁ、、リディアーナ綺麗だよ」

侯爵はリディーに近づくと
リディーの耳元で

「綺麗だよリディー」と言った

「ふふふ、ありがとうございます」

そこには まだあどけなさが残る
可愛らしい娘が居た

「さぁ行こうか」

侯爵が腕を出すとリディーは手を回し

「よろしくお願いします」と微笑んだ

パーティー会場に到着すると
母とカルロスが待っていた。

「…リディーおめでとう。
とっても素敵だわ」

母はウルウルした目でリディーを
見つめた。

カルロスも

「さすがリディーだな
リディーとリディアーナの中間を
こんなにうまく表現するなんてな。
おめでとうリディー楽しんでおいで」

その時
カルロスがリディーにメモの様な紙を
スッと渡した。
会場に入ってからリディーは
手渡されたメモをそっと見た。


一生に一度のパーティーだ
楽しんでくれ。  テリウス


メモに驚いたリディーだが

え?本当に?楽しんでいいの?やったぁ

皆はリディーの危険性を忘れていた。


テリウス皇太子殿下から
祝いの言葉があり
初めて皇太子殿下を見た令嬢達は
目をキラキラさせている

そして始まったダンスタイム

1曲目
リディーは父とゆっくりダンスを踊った

「リディーとても上手だよ
初めての相手に選んでくれてありがとう」

「うふふ、たくさん練習したのよ」

「あぁ知っているよ…
リディー、君には感謝しかないよ」

リディアーナが倒れてから
娘と踊る事を諦めていた侯爵は
リディーと踊れた事に胸を熱くしていた

2曲目
カルロスが誘い ダンスを楽しむ

「リディーとても上手だね
努力がわかるよ」

「あら、兄様のエスコートが
良いのよ。オホホっ」

3曲目
どこかの子息が誘いに来た

皆は さすがに3曲目は辛いだろうから
断わるだろう。と思っていた

が、、

「はい」

リディーは子息の手を取ると再び
ホールに向かった

侯爵もカルロスも ドキドキしながら
リディーを見守っている

曲が流れはじめた

よりによってサンバだと!?

危険を感じた侯爵、カルロス、テリウス
が身を乗り出した。

「ぽぅ~」

時すでに遅し…
ノリノリになったリディーは
激しくステップを踏みながら
腰をクネクネしているではないか!

「ま、待て……っ」

テリウスの言葉が虚しく曲に消えた…

そして侯爵とカルロスは
目と口を開きリディーを呆然と見ていた。 


「楽しかったわ」

ダンスに誘った子息はサンバなど踊れず
ただリディーの隣でもたついていた。

「誘ってくれてありがとう」

子息はその言葉だけが救いだった

リディーが侯爵の元に戻ると
カルロスがリディーの手を引き
慌てて通路へと連れて行った

「どうしたの兄様?」

「いや、なんと言うか……
た、楽しめたかい?リディー…」

「とても楽しかったわ
最後の曲は私にぴったりだったわ」

ニコニコのリディーの後ろに人影が
見え
カルロスはとっさにリディーを
隠した。

「ハハハ…ブェールス侯爵令嬢
随分と楽しんだようだなぁー」

声の主はテリウス殿下だった

時折 見せる豹のような目つきで
カルロスを見た

「皇太子殿下にご挨拶申し上げます」

カルロスが挨拶するもテリウスは
固まったままだ

リディーは振り返ると

「本日は楽しい時間をありがとうございます」

と、笑顔を見せた

「うん、うん、楽しんだよね…
そうだろうな。そうとしか見えなかったよ」

「はい」

空気を読めていないリディーに代わり
カルロスが入った

「今日は特別な日ですので
どうか穏便にお願いいたします」

「ふむふむ、、特別な日だなぁ
確かに特別だよなぁ…さぁ場所を変えようか」

テリウスは王族用の部屋へと向かった。

カルロスは騎士に父と母に
殿下とリディアーナとともに居る事を
伝えてほしいと頼んだ。

「さぁ特別な日だからなぁ
楽しい話をしようではないか」

部屋に通されたカルロスは
リディーの隣から離れなかった。

ソファーに座った後
室内に重たい空気が流れている

カルロスは自分が発して良いのかと
テリウスの様子を伺っていた。

カルロスの全身から何やら嫌な汗が
滲み出てきた時だった

リディーがソファーから立ち上がった。

「テリウス皇太子殿下に感謝いたします」

テリウスがリディーを見た

「感謝?」

「はい、殿下の伝言通りに楽しみました」

テリウスはメモの事だとわかった

「そうか、、なるほどな
メモを見たから楽しんだと…そうか」

「はい。
私はずっと姉の代わりですから…
でも、今日は自分らしくいられたので」

その言葉にテリウスとカルロスは
視線を落とした

「リディー嬢…
会場に戻って楽しんでも良いし
部屋に戻って休んでもいい…
リディー嬢すまなかったな」

「なぜ謝るのですか?」

「「…………」」

「カルロス、リディー嬢を連れて
行きなさい」

「あ、はい」

カルロスは退席の挨拶をすると
リディーを連れて部屋から出た

ソファーの背もたれに身体を委ねて
天井を見ている
テリウスを見ながら…



つづく
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