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リディアは目を開けた

「身体、、痛くは無いかな?
動くのかしら?」 

指をピクリと動かす

「あ、動いたわ。それにしても静かね
安置所なのかしら?」

「リディア様、目覚めたのですね
私はサーシャよ 聞こえるかしら?
あ、返事は声に出さなくてもいいわ」

そんな事を言われてもリディアは
どうしたらいいのかわからない

「さぁ、リディア様 聖女の誕生よ」

リディアの身体が光に包まれると
ふわりと浮いた

ちょ!怖いわ…

喪服を着た人達が集まっていて
頭を下げていた

私の葬儀なのね。

光に気がついた人達がリディアを見て
いた

あんぐりと口を開け固まっている人

「きゃあ」 後退りしながら転ぶ人

「な、何だ!」 何故かリディアに
ファイティングポーズを向ける人


あ、そうだった…聖女のフリしないと!
リディアは聖女ってこんな感じ?
そう思いながら両手を広げた

キラキラとした光がリディアを包み
誰かがリディアの身体を支えた

リディアがチラリと横目で見ると
服装から神官だと察して
神官に支えられながら柩から出ると
聖女サーシャが話した

「神から認められた新たな聖女が
君臨しました」

その言葉に参列者は戸惑いを隠さなかった

「今朝、神託により目覚めたリディア様
は本日より聖女としての役目を果たす
べく私達と共に神殿に移ります」

リディアは固まった参列者に
笑顔を向けて

「神の導きにより聖女として蘇る事に
なりました」

サーシャをチラリと見るとパチリと
ウインクが返ってきた

会場では失神する者も居て
パニックがあった様だったが
リディアは神官達に守られながら
ゆっくりと会場を後にした。

神殿の1室では

「私は副神官のクラウスです
聖女サーシャ様の指示を受け しばらく
リディア聖女様を保護する事に
なりましたので わからない事が
ありましたら私クラウスに
お尋ねくださいませ」

遠目から見た事はあったが
神官という立場の人に近寄ったのは
初めてだった
優しそうな中に凛とした雰囲気を持ち
女性と言ってもいい程の美男子だ

「大神官ルースと聖女サーシャ様に
お会いする前に身支度を整えますので
女性神官と代わります」

クラウスが部屋から出ると
女性神官達がリディアを風呂に入れ
身体を流した

リディアは神官達に聞いてみた

「あの、、女神様は何か言ってますか?」

「私達には何も、、というか聞こえません
神託を聞ける方が聖女様って事です」

あ!聖女のフリって言ってたのに!
聖女じゃないってバレちゃうわ
リディアは焦った

「リディア様は まだ聞こえませんか?
蘇り直後ですから仕方ありませんよ」

え?何で蘇りとか普通に言ってるの?

リディアがキョトンとしていると

「サーシャ様から聞いています
蘇り直後は神託を聞こえるまで少し時間がかかると」

「蘇りを信じるの?」

「信じるも信じないも
実在にリディア様がいらっしゃるじゃ
ないですか」

神官達は ふふっ と笑っていた

サーシャ様…ナイスフォローですわ
さすが聖女様。

リディアはホッとしていた


葬儀会場では

一体何が起こったのかとパニックする
人が居たり

聖女誕生を見れて縁起が良いと
話す人が居たりと騒ぎ出していた

聖女サーシャは

「皆さん、突然の事に驚いた事でしょう
リディア様には神力が宿っていました
その力が蘇りを認め
魂が身体に戻りました
今はまだ体力が戻っていない為に
神力を使うのに時間を必要とします
私サーシャがリディア様を補佐し
導きます。聖女リディア誕生まで
見守ってください」

戸惑っていた参列者はサーシャの言葉に
頷きながら拍手を送っていた

そして、、バレンスティン公爵は
ただ納得出来ずに立ち尽くしていた

サーシャが廊下に出ると追って来たのは
バレンスティン公爵だ

「サーシャ様!お待ちください」

「あら、公爵様…お久しぶりです」

「リディアが聖女とは何ですか
娘には神力などありません」

「いえ、ありますから蘇ったのですよ」

「いや、あの子は普通の子です」

「貴方様は親ですわよね?
きちんとリディアと向き合ってましたか?」

「……」

「神もお怒りでしょうね」 ふふっ

サーシャは公爵に笑顔を向けると
会場を後にした


支度を終えたリディアは
案内されたダイニングでサーシャを
待っていた

「ごめんなさい、お待たせしました」

入って来たサーシャを見て
リディアは慌てて席から立った

「サーシャ様、色々とありがとうございます。よろしくお願いいたします」

「リディア様、私達は同じ聖女です
遠慮など要りませんわ
喧嘩しながら逞しい聖女を目指しましょう」

サーシャの提案に引き攣るリディア
だった

サーシャから護衛として紹介されたのは
ラース・ファダンだった
彼は5歳の頃に聖力が現れて聖騎士に
なったらしい
今後はリディアの専属護衛として
他の聖騎士をまとめ
ラースの指示で動くので
何かあればラースに伝える様に言われた

そして大神官のルースを紹介され
大神官や副神官達は聖女の指示で
動く為、副神官をリディアの専属にして
スケジュールの確認や日常生活の事は
クラウスに言う事になった

軽く食事を終えたサーシャは

「さてと、私は帰りますね
リディア様 明日にお話しましょう」

護衛と一緒に出て行ったサーシャを見て
思い出した

サーシャ様は皇太子妃殿下だったわね
それで聖女とか、
サーシャ様って最強だったわ!

サーシャを見送った後
クラウスと一緒に部屋へと戻ると
リディアは疲れて早々に眠りについた






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