聖女になる道を選んだので 自分で幸せを見つけますね[完]

風龍佳乃

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次期侯爵夫人リディアが
薬を飲み眠りについた

その知らせは貴族に広まった


記者が「リディアの決意」として
発売した記事が飛ぶ様に売れて
バレンスティン公爵とマスラン侯爵
そしてハワードに対して厳しい目が
向けられた。

仮死状態に入ったリディアは
普通ならば「死」とされるだろう
リディアの思惑通りになった

「マスランよ、娘の亡骸は我がバレンスティンで埋葬する。すぐに引き渡せ」

「しかしリディアは我が家の人間だ
そちらで埋葬するのはいかがなものか」

「ハワードというクズが離縁状を
叩きつけサインをさせておきながら
よくも言えたな」

「ハワードが勝手にした事で
マスラン家の意思ではない」

「そのハワードは婚外子を作りリディアを蔑ろにした挙句、浮気女を迎えると
言ったそうだな」

「そ、それは…」

「どう、責任を取るつもりだ」

「ハワードは除籍する」

「勝手にしろ!リディアは返してもらう」

バレンスティン公爵は
マスラン侯爵に眠るリディアを
公爵家に運んだ

バレンスティン公爵は貴族達に白い目を
向けられていたが
「娘をバレンスティンの人間として送る」
そう声明をして葬儀の準備を進めた

王宮では
リディアの訴えを無下にした陛下にも
異変が起きていた
貴族達は陛下の顔色を伺っていたが
皇后は違った。リディアの葬儀に参列し
彼女の意思を尊重する。とした
陛下は見えない冷たい空気を
身に感じていた。


マスラン侯爵家

この日、マスラン侯爵家に
ライド子爵とケイティ子爵令嬢が居た

「ハワードから聞いた
ケイティよ我が息子の子を生み
そして腹にも宿しているらしいな」

「それは…私はハワード様を愛し
ハワード様が望んでくださったから…」

「ライド子爵よ、婚外子がどのような
運命を辿るのかわからなかったのか」

「我が子爵家で受け入れるつもりです」

「そうか、ならば我が息子とは
関係ないな」

ケイティが言葉を発す

「待ってください。
奥様には申し訳ないと思っています…
ですが子に罪はありません
私はハワード様と一緒に子を育てる
つもりです」

「……なるほどな。今の発言に偽りは無いか?」

「はい、もちろんです」

「わかった。ハワードとの結婚を許そう
だが、ハワードは除籍とする為
子爵に迎えれば良い
明日にも平民となる男だからな」

「「……??」」

「どうした?愛があれば良いのだろう?
ハワードをくれてやる
もうマスラン侯爵家とは関わらないで
くれ。以上だ」

その日の夕方
ハワードの荷物がライド子爵家に
運ばれて
子爵家ではパニックが起きていた


黄泉の世界

リディアは心地よく目覚めた

私… 成功したのかな?失敗したのかな?

その時だった  ふわふわ
光の球がリディアの周りを飛んでいる

わぁ、綺麗…

「目覚めたのね」

「あ、はいっ」

「私は人間が言う神とか女神って存在よ」

「神…ですか」

「そうよ説明するからちゃんと聞いてね
貴女は薬を飲んで仮死状態になったわ」

「えぇ、母の形見なんです」

「聖女になる事を拒んだラティアね」

「そうです」

「聖女の血は貴女の娘に継がれていたわ」

「私の娘?」

「そうよ。私ね貴女に怒っているの
でもアーリがもう一度 貴女に入りたい
って言って聞かないのよ」

「……??」

「今から彼女の神力を貴女に入れるから
アーリの代わりに聖女として生きて。
貴女の子は聖女になる予定だったの…
そうね、あの薬は仮死状態を維持して
目覚めた時に神力を発揮させる物よ
貴女の母は貴女に神力を譲りたかった
そして自身が聖女になる事を拒んで
そのまま眠ったわ…
ラティアの魂がアーリを呼んだのよ」

「アーリって言うの?私の娘…」

「私が命名したのよ
時間がないの。貴女の身体は目覚め
ないと、どんどん崩れていくわ
鼓動している時に戻らないとね
埋葬されてしまったら出られなくなるわ
だから急がないといけないのよ」

「聖女になりたくて神力薬をのんだわ
でも私、夫を許したくは無い
もちろん父もよ
聖女みたいに優しくなれないと思う」

「ふふっ、聖女が優しいなんて
誰が決めたの?思い込みよ罪と罰…
飴と鞭…色々よ」

「そう…ですか」

「で?受け入れるのかどうか返事が
欲しいわ
アーリの神力を貴女の身体に
入れるけれど、馴染むまで時間が
かかるわ
神力を注ぐから神力を使えるまでは
聖女のフリをしていてね」

「聖女のフリ?」

どういう事?

「そう、フリ!聖女サーシャに
神託を伝えて協力してもらうから
馴染むまでサーシャの指示に従ってね
じゃあ行くわよ
魂が貴女に入ったらアーリは消滅するわ
だからアーリの代わりに聖女になるの」

「わかりました」


女神はリディアに向かって
光の魂を注いぐと
リディアの身体が光に包まれていく

光の中に溶けていくリディアは
黄泉の国から消えた
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