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第三章・偶然の連続
21・嫌な予感
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翌日の早朝私が起きると、隣ではまだクリスティンが眠っていた。初めてだわ…朝の寝顔を見れるなんて。こうして眠る姿を見ると、ガセルダムスの時の面影がまだ残っていると感じる。前髪が下りてるからかしら…
その前髪にそっと手を伸ばし微笑みながら触れる。そして肩先にキスを一つ落として、それからそっとベッドから出る。
今日は離婚のことを伝えようと、実家のノートン伯爵家に行くことになっている。街の一等地にあるアノン邸とは違って、農産物を扱う事業をしている実家は農業地帯に屋敷があって…
ここから三時間ほどもかかるし、早朝から出発するとケイトと御者には伝えてある。離婚…その気持ちが昨夜、揺らがなかったかと言えば嘘になる。こんなにもクリスティンを愛している!そう思ったもの…
だけど今、離れなくてはもう二度とそれが叶わなくなるかも…そう感じている。そして私は、クリスティンを恨むことになるのが何より怖い!
きっとクリスティンは、そんな私の気持ちを知らないわね。気付くこともしない…私が女の意地や気まぐれで、離婚したいと言い出したと思っているの?そうじゃないのに…
そしてそんな感傷から、もう一度愛する人を振り返る。それから音を立てないようにして静かに寝室を出た。
「ふうっ…」
目の前のケイトが溜め息を吐く。まだ眠いの?と思ったけど、どうにも違うようだわ。私とクリスティンの離婚…そのことに一番ショックを受けたのは、間違いなくケイト。だから朝からずっと元気がない。それに申し訳ない気持ちで一杯だけど、どうしようもないし…
そしてケイトともお別れなんだと思うと、私だって淋しい!そんな私からの視線を受けたケイトは、ハッと姿勢を正して…
「すみません、溜め息など…ですがお願いがあります!アノン家を出る時は、どうぞ私もお連れ下さい」
それには驚いて目を見開く!まさか…と。
「本当に?だけど何の保証もないのよ。アノン侯爵家で働くよりも給金だって少ないかも知れないし…それにロッド様のことは?離婚したらアノン家と遠縁の立場の人とは、おいそれと会えなくなってしまうわよ!」
それにケイトは静かに目を閉じる。そしてフルフルと首を横に振っている。そして大きな目が再び開かれた時、大粒の涙がポロポロ溢れて…
「いいえ、シルビア様。私は再びお会いした時から、お側を離れないと決めているのです。それはシルビア様がアノン家の奥様でなくなったとしても同じです。ですから…お願いです!」
「つっ、ケイト…あなた!」
それから二人で、馬車の中で抱き合って泣いた。きっとノートン家に着く頃には目元が腫れているだろう。だけどそんなのどうでもいい!ケイトの私に対する思い遣りに、その温かさに涙が止まらなかった。ひとしきり泣いた後、笑顔で「こちらこそよろしくね」とケイトに伝えて…
私はこの時を一生忘れない。何も得られなかったアノン侯爵家での生活…だけどそうじゃなかった!こんなに心強い味方を得られたのだと。そう気付くと心の中は、すっかりと温かくなっていた…
そして馬車に揺られて着いた先には、3人の家族が家の前でウロウロしているのが見える。私はそれに、今しがたやっと引っ込んだ涙が再び流れ落ちて…
──私は決して一人ではない!それにまた気付かされる。
父は優しくここに帰ってくるように言い、弟は「相変わらず不器用なんだから!」と私を叱る…だけどその目には涙が光っていた。そして義妹のプリシラは何も言わずにそっと私の肩を抱き締める。
私が何かを伝える間もなく、家族達は離婚後のことを考えてくれたよう。それを心の底から有り難いと思う。理由も打ち明けていない離婚では、もしかして受け入れて貰えないかも?なんて思った時もあったけど、やはり家族…何も言わずとも、私の気持ちは分かってくれていたよう。だけど同時に私は思っていた…間違っても実家に戻ることは出来ないと。
侯爵家を追われた女が戻るとなると、どれだけ迷惑を掛けてしまうのか…
クリスティンはそんなことを望まないと思うが、他の貴族家はそうは思わない。きっとアノン家に睨まれたくなくて、ノートン家との取引を控えたり、悪くすれば取引中止ということも…
それでもきっと、この家族達は温かく迎えてくれる。だけどプリシラは今カインの子を妊娠していて、そして初めての出産。そんな大事な時に不安な気持ちにさせる訳にはいかない!
やはりクリスティンの言う通りにしなければならないの?城で行われる第二王子御誕生の御祝いパーティー。それにまるで見世物のように出席する…それに私は耐えられるかしら?
きっとフェリシアやその侍女のキャサリンは、そんな私を嘲笑うだろう。それを甘んじて受け入れるの?何とか今直ぐ離婚出来ないものだろうか…
そんな悩みはあるものの、それから久しぶりに家族との楽しい時間を過ごす。離婚のことは一切触れられずに、あれやこれやと取り留めのない話をした。それからもうこんな時間だと帰ろうとすると…
「姉さん、雨が強く降っているし、明日帰ったらどうだろう。それに今日からだってこの家に居ていいんだよ?」
いつもは憎まれ口ばかりのカインが、そんな優しいことを言ってくる。それに涙を堪えて微笑みながら「生意気なのよ!」と額をコツンとする。
それでもやはりアノン邸に帰らない訳にはいかないと「大丈夫だから。また来るわね!」と努めて明るく伝えてノートン邸を後にした。
「雨脚が強くなって来たわね…でもまだ明るいから大丈夫よね?」
心配になって御者にそう声を掛ける。熟練の腕の御者は「このくらいなら大丈夫ですよ!」と明るく言ってくれる。それなら大丈夫だと判断して馬車を走らせる。それが少し進んだ後、急に止まって…
「奥様、ここのところの雨で地盤が緩くなっていたようです。倒木が道を遮っていますし、違う道から帰らせていただきます」
そんなことを伝えられて、途端に不安になる。ノートン邸に引き返そうか?そう頭によぎる。だけど経験が豊富な御者の言う事…それがベストなんだろうと、それを了承して進んだ。
大きな河の近くの道で不安を感じるけど、綺麗に整備されている。だから滅多なことはないだろうと思っても、やはり心配になる…川際を通る時などは緊張して、車窓からそれをじっと見守る。それからやっと危ないところを通り過ぎ、安心してホッと息を吐く。
「緊張しましたね…シルビア様。ここを過ぎればあとは安心です。坊ちゃまも心配しているでしょうし、早く帰りましょう」
ずっと無言で緊張していたケイトも、ホッとした様子でそう言って微笑む。クリスティンが心配している?そうだったらいいけど…
そんな思いが込み上げて複雑な気持ちになるけど、心配くらいはしてくれるでしょうと思い直し帰路を急ぐ。
平坦な道になって少し行くと、突然足場が悪くなる。それにガタガタと馬車は揺れ、そしてゆっくりと車体が傾き始めて…
──あっ、危ない!!
そう思った直後、突然の衝撃!そして私は馬車の壁に嫌と言うほど打ち付けられた。
どれだけ時間が経ったのだろう…ほんの数分かしら?全身が痛んで、目も開けられない!それに身体が濡れているのか物凄く寒い。何とか動かせる指先で探ってみると…土?
ザラザラとしたものが指に触れギョッとする。それからチクッと何かが刺さり顔を顰めた。どうしたのだろう?何が起こったの!私は痛みに耐えながら、頭が働くようになるのを待った…
その前髪にそっと手を伸ばし微笑みながら触れる。そして肩先にキスを一つ落として、それからそっとベッドから出る。
今日は離婚のことを伝えようと、実家のノートン伯爵家に行くことになっている。街の一等地にあるアノン邸とは違って、農産物を扱う事業をしている実家は農業地帯に屋敷があって…
ここから三時間ほどもかかるし、早朝から出発するとケイトと御者には伝えてある。離婚…その気持ちが昨夜、揺らがなかったかと言えば嘘になる。こんなにもクリスティンを愛している!そう思ったもの…
だけど今、離れなくてはもう二度とそれが叶わなくなるかも…そう感じている。そして私は、クリスティンを恨むことになるのが何より怖い!
きっとクリスティンは、そんな私の気持ちを知らないわね。気付くこともしない…私が女の意地や気まぐれで、離婚したいと言い出したと思っているの?そうじゃないのに…
そしてそんな感傷から、もう一度愛する人を振り返る。それから音を立てないようにして静かに寝室を出た。
「ふうっ…」
目の前のケイトが溜め息を吐く。まだ眠いの?と思ったけど、どうにも違うようだわ。私とクリスティンの離婚…そのことに一番ショックを受けたのは、間違いなくケイト。だから朝からずっと元気がない。それに申し訳ない気持ちで一杯だけど、どうしようもないし…
そしてケイトともお別れなんだと思うと、私だって淋しい!そんな私からの視線を受けたケイトは、ハッと姿勢を正して…
「すみません、溜め息など…ですがお願いがあります!アノン家を出る時は、どうぞ私もお連れ下さい」
それには驚いて目を見開く!まさか…と。
「本当に?だけど何の保証もないのよ。アノン侯爵家で働くよりも給金だって少ないかも知れないし…それにロッド様のことは?離婚したらアノン家と遠縁の立場の人とは、おいそれと会えなくなってしまうわよ!」
それにケイトは静かに目を閉じる。そしてフルフルと首を横に振っている。そして大きな目が再び開かれた時、大粒の涙がポロポロ溢れて…
「いいえ、シルビア様。私は再びお会いした時から、お側を離れないと決めているのです。それはシルビア様がアノン家の奥様でなくなったとしても同じです。ですから…お願いです!」
「つっ、ケイト…あなた!」
それから二人で、馬車の中で抱き合って泣いた。きっとノートン家に着く頃には目元が腫れているだろう。だけどそんなのどうでもいい!ケイトの私に対する思い遣りに、その温かさに涙が止まらなかった。ひとしきり泣いた後、笑顔で「こちらこそよろしくね」とケイトに伝えて…
私はこの時を一生忘れない。何も得られなかったアノン侯爵家での生活…だけどそうじゃなかった!こんなに心強い味方を得られたのだと。そう気付くと心の中は、すっかりと温かくなっていた…
そして馬車に揺られて着いた先には、3人の家族が家の前でウロウロしているのが見える。私はそれに、今しがたやっと引っ込んだ涙が再び流れ落ちて…
──私は決して一人ではない!それにまた気付かされる。
父は優しくここに帰ってくるように言い、弟は「相変わらず不器用なんだから!」と私を叱る…だけどその目には涙が光っていた。そして義妹のプリシラは何も言わずにそっと私の肩を抱き締める。
私が何かを伝える間もなく、家族達は離婚後のことを考えてくれたよう。それを心の底から有り難いと思う。理由も打ち明けていない離婚では、もしかして受け入れて貰えないかも?なんて思った時もあったけど、やはり家族…何も言わずとも、私の気持ちは分かってくれていたよう。だけど同時に私は思っていた…間違っても実家に戻ることは出来ないと。
侯爵家を追われた女が戻るとなると、どれだけ迷惑を掛けてしまうのか…
クリスティンはそんなことを望まないと思うが、他の貴族家はそうは思わない。きっとアノン家に睨まれたくなくて、ノートン家との取引を控えたり、悪くすれば取引中止ということも…
それでもきっと、この家族達は温かく迎えてくれる。だけどプリシラは今カインの子を妊娠していて、そして初めての出産。そんな大事な時に不安な気持ちにさせる訳にはいかない!
やはりクリスティンの言う通りにしなければならないの?城で行われる第二王子御誕生の御祝いパーティー。それにまるで見世物のように出席する…それに私は耐えられるかしら?
きっとフェリシアやその侍女のキャサリンは、そんな私を嘲笑うだろう。それを甘んじて受け入れるの?何とか今直ぐ離婚出来ないものだろうか…
そんな悩みはあるものの、それから久しぶりに家族との楽しい時間を過ごす。離婚のことは一切触れられずに、あれやこれやと取り留めのない話をした。それからもうこんな時間だと帰ろうとすると…
「姉さん、雨が強く降っているし、明日帰ったらどうだろう。それに今日からだってこの家に居ていいんだよ?」
いつもは憎まれ口ばかりのカインが、そんな優しいことを言ってくる。それに涙を堪えて微笑みながら「生意気なのよ!」と額をコツンとする。
それでもやはりアノン邸に帰らない訳にはいかないと「大丈夫だから。また来るわね!」と努めて明るく伝えてノートン邸を後にした。
「雨脚が強くなって来たわね…でもまだ明るいから大丈夫よね?」
心配になって御者にそう声を掛ける。熟練の腕の御者は「このくらいなら大丈夫ですよ!」と明るく言ってくれる。それなら大丈夫だと判断して馬車を走らせる。それが少し進んだ後、急に止まって…
「奥様、ここのところの雨で地盤が緩くなっていたようです。倒木が道を遮っていますし、違う道から帰らせていただきます」
そんなことを伝えられて、途端に不安になる。ノートン邸に引き返そうか?そう頭によぎる。だけど経験が豊富な御者の言う事…それがベストなんだろうと、それを了承して進んだ。
大きな河の近くの道で不安を感じるけど、綺麗に整備されている。だから滅多なことはないだろうと思っても、やはり心配になる…川際を通る時などは緊張して、車窓からそれをじっと見守る。それからやっと危ないところを通り過ぎ、安心してホッと息を吐く。
「緊張しましたね…シルビア様。ここを過ぎればあとは安心です。坊ちゃまも心配しているでしょうし、早く帰りましょう」
ずっと無言で緊張していたケイトも、ホッとした様子でそう言って微笑む。クリスティンが心配している?そうだったらいいけど…
そんな思いが込み上げて複雑な気持ちになるけど、心配くらいはしてくれるでしょうと思い直し帰路を急ぐ。
平坦な道になって少し行くと、突然足場が悪くなる。それにガタガタと馬車は揺れ、そしてゆっくりと車体が傾き始めて…
──あっ、危ない!!
そう思った直後、突然の衝撃!そして私は馬車の壁に嫌と言うほど打ち付けられた。
どれだけ時間が経ったのだろう…ほんの数分かしら?全身が痛んで、目も開けられない!それに身体が濡れているのか物凄く寒い。何とか動かせる指先で探ってみると…土?
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