【完結】シルビア・アノンは悔恨の念を抱く。この結婚は失敗だったと…

MEIKO

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番外編

二人の朝*

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 アレックスの指が、私の身体に触れる。最初は遠慮がちに、そしてだんだんと大胆になって…それを少しだけじれったい思いになる。だけどこの人に愛されている…そう感じるから平気だわ。
 それなら私から仕掛ける?なんて思って、太い首元にぎゅっと抱きつく。それにあなたは、どこをどう触っていいのか分からないみたいね…そんなところも大好き!

 盛り上がった肩から逞しい二の腕の、筋肉の隆起を頬でスリッと撫でる。その温かさと弾力に安心感を覚えて…そっと胸を押し当ててみる。それにビクッと身体を震わせるアレックスが!そんなあなたにそっと耳元で囁くの…

 「きて?アレックス…もう待てないわ」

 まるで免罪符を得たように、途端に激しく弄られる身体。私の全てがあなたのものなのよ?そしてあなたも私だけのもの…あの人とは違う刺激に身悶えて、深く…強く繋がる。その快感に思わず嬌声を上げて!

 「あっ…あ、はぁ…ん」

 何度も過ぎ行く波…さざ波のような静けさから荒ぶる波へと移り行く。あなたをしっかり捉えていないと離れそうになり、途端に心細くなってしまう…だけど私はもう二度と離さない!そう決めたのよ?
 そして快感に身を委ねて激しく揺さぶられ、その刺激に弾け飛んで…二人でその向こう側まで到達する。
 これが愛し愛されるということ。幸せだわ…そして朝まで同じベッドで眠る。お互いの寝息を聞きながら…

 「んっ。ふ…ぁ、もう朝?」

 こんなに深い眠りはいつ以来かしら?安心して寝たせいか、熟睡してしまったよう。そして気怠く髪を掻き上げて、もう起きなきゃね…と目をパチッと開ける。すると…

 「えっ!ア、アレックス…起きてたの?」

 目の前には、私の寝顔を見ながら微笑む愛しい人がいて…

 ──すっごく恥ずかしい!それに寝顔変じゃなかったかしら?

 「おはよう!夢なんじゃないかと思って、何度も見直しちゃったよ…本物の君だった!」

 ──チュッ。

 そんな甘いことを囁きながら、私の頬にキスを落とすアレックス。そんな甘々な行動をされることに慣れていない私は、途端に顔を真っ赤にしてしまって…

 「嫌だわ…ずっと私の顔を見ていたの?だけど心配しないで。もうどこにも行ったりしないから…ね?」

 恥ずかしさで一杯だったけど、安心させなきゃという気持ちで私からもキスをする。それにアレックスは嬉しそうに破顔して…

 ──気恥ずかしいわ…もーう!

 こんな経験すらも初めてな私は、ドキドキする胸を押さえながら心を落ち着ける。

 「風呂に入っておいでよ?湯をたっぷりと張っておいたから。何なら一緒に…」

 「今直ぐ入ってくるわね!エリックと朝食を取らないといけないし…ねっ?」

 これ以上は身が持たないと、エリックとの朝食をだしにしてやんわりと断る。それにちょっとだけ不満そうなアレックスだったけど、構わずに立ち上がろうとすると…

 「わっ!危ない」

 思いっきり蹌踉めいてしまい、咄嗟にアレックスに支えられる。誰のせい?ってちょっとだけ睨むと、ニッコリと笑ったアレックスにそのまま抱き上げられて…

 「俺、シルビアの下僕なんだ…だからお任せくださいね?ハハッ」

 「うん?ちょっと!」

 アレックスは上機嫌で、バスルームへと向かって私を運んで行く。そして私が茫然としている間に出際よく寝衣を脱がせ、浴槽にそっと浸して…

 「ああ…良い気持ち!」

 たっぷりと張られた湯の温かさとアロマの香りに癒される。まるで本物の薔薇園に居るような芳醇な香りに包まれて、戸惑っていたことも忘れそう。暫くそうして気持ち良さを堪能していると、アレックスは浴槽の後ろにある椅子に腰掛け、私の髪を櫛で丹念に梳かしだす。
 そんな至れり尽くせりに微笑むと…ちょっとだけ悪戯心が湧いてくる。そして振り返って…

 「あっ、何を?わーっ!」

 パシャリ!と湯が飛び散るのも構わずに、驚いた表情のアレックスに抱き着く。乾いていた白いシャツが濡れ、逞しい胸が貼り付いている。それにはゴクリと唾を飲み込んで…張りのある筋肉に指をそっと這わせてみる。

 「俺の主人は悪戯好きだ…これには応えないと!」

 ──えっ…?

 濡れた身体をグッと引き寄せられると身体がピッタリと触れる。するとお互いの熱を持つ部分が合わさって…
 それに身体を揺らす私に満足気なアレックスは、繊細な指使いで臀部から背の方へと舐めるように撫で上げて…

 「ハァ…ン!ああ…」

 そう声を上げると、同時に奥が湿り気を帯びる。昨夜の名残りがある身体は、簡単に快感を拾ってしまって…その瞬間、ビクビクと身体を跳ねさせる。ハァハァと肩で息をして見上げると、満面の笑みを浮かべているアレックスがいて…

 「俺の奥さんは本当に可愛い!」
 
 そう嬉しそうに言ってくるアレックスに「私だけ?」と呟いてから肩に手をかけ、えい!と力いっぱい手前に引っ張る。

 ──バシャーン!!

 「アハハッ!濡れちゃったじゃないか~」

 浴槽の中に落ちてずぶ濡れになったアレックスが、可笑しそうに笑っている。それには私もつられて…

 「旦那様にもお返しよ!」

 それから二人でひとしきり笑う。だけどふと気付くと、バスルームがビショビショになっていて…

 「ま、まずいぞ!」
 
 その後、スーザンとケイトにこっ酷く叱られた二人だった…
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