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第二章・二度目の人生とは?
9・凍える心
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使用人達が寝静まっている深夜、屋敷内は物音一つしない。だけど私だけは待っている…愛するあの人を。今夜は帰って来てくれるのかしら?私の元へと。そんなことだけで幸せに包まれる…それが私だけの感情だったとしても。
あっ、エズラだわ!帰って来てくれたのね?この力強い足音はあの人で間違いないわ。私だけが知っている、私だけの音…
かつてはそんなことを思っていた私。今度こそはこの想いを断ち切る…そう決めていたのに、その時の心情に引き戻されそうになる…それだけは嫌っ!
──私は今、フレデリカ・ノートンなのよ?フレデリカ・ロウレンなんかじゃない!
そう心の中で叫んで、耐え切れずにきつく目を閉じた。そんなこととは知らないスチワートは…
「あれっ、兄さんだ…どうしたのだろう。どうしてここにいるのかな…」
そのことから、示し合わせていた訳でなく、スチワートはまるで知らなかったことが分かる。私はまだ相当に動揺していて、エズラの方に振り向けないでいた。全身を硬くしたまま、俯いて微かに震える。どうしてよいのか分からずに…
「フレデリカお嬢様、エズラ・ロウレン様がおいでになりました!ハァ、ハァッ」
やはり兄弟…やることが同じ。またしてもカイは、付いてくるのがやっとだったよう。そのおかげでほんの少し気持ちが和らいで、心を落ち着けてから前を向く。すると…
「急な訪問をお許し下さい…ノートン令嬢。今回弟が求婚状をお送りした件、私共では与り知らぬことでした。おまけにそのことを知った騎士団の上層部の人間が、あろうことか伯爵様に受けていただけるようお願いしてしまったようなのです。申し訳ありません!」
懐かしいようなその声に、ドクンと胸の奥が響く。そして私は密かに驚愕していた…そんなエズラに。その穏やかな話しぶり…こんなふうに話す人だったの?
いつも私にはぶっきらぼうで、愛情なんて欠片も感じなかった。話すことは必要最低限で…業務連絡のようなもの。
ああこの人は、私が妻でなければこれだけ流暢にしゃべれる人だったんだ。そう知ってしまって急速に心が凍える。
「兄さん、そんなにいけないことだったかな?だって仲間に聞いたら、女性と二人だけで会いたければ、婚約するか結婚しないといけないって。だから俺はその手順を踏もうと…」
その言葉に動揺しつつも、どこか納得する。スチワートの態度はどこかそういうものとは違う気がしていた。結婚することへの気負いが皆無というか、現実味がないというか…
やはりこの人は、見かけよりはずっと精神が子供なのね。人とよく接することで鍛えられるべきところが、そういう経験がそもそも欠けてしまっている。良く言えば純粋、悪く言えば人を振り回しかねないってこと。
予期せぬエズラの登場で、心の中は再び傷付いて血を流していたけど、今の私達にとってはこれが初対面になる。自分の気持ちを隠して、落ち着いて対応するしかないと思う。それがまた、この人達と関わらないようにする近道だから。
「そうだったのですね?スチワートにロウレン卿。こちらといたしましても、まだ結婚など考えられずにいました。だから大丈夫です!この件はお互いに縁がなかったということで…」
恐る恐るそう言う私を、涼やかな蒼い瞳が見つめている。それに気付いたらまた動揺しそうになる。
この視線を私がどれだけ受けたかったか、あなたは分かっている?
振り向いて欲しいと、私が望むものはそれだけだった。お金も地位もいらない!欲しかったのは、私を見て穏やかに微笑むあなただけ…
──そんなちっぽけの願いも、叶えられなかった。
「フフッ。自分の心って、ままならないものなのね。どこまでも…」
思わずボソッと口に出してしまう。エズラとスチワートはそんな私を不思議そうに見ていた。だけどその意味を尋ねたりはしなかった。きっと結婚のことを言っているのだと思ったよう。すると…
「ではフレデリカ、俺にとって初めての友達になってくれないか?どこまでも無知でまるで気が利かない男だけど、君を裏切る真似だけはしない!そう誓うよ」
いつになく真剣な顔をして私を見つめるスチワート。友達に?それでも断らなきゃダメ!そう思うのに…
「わ、私でよければ友人になりましょう。特に何をするでもないけど」
そんな心とは裏腹にそう答えてしまっていた。断るべきなことは分かっていたけど、孤独なこの人を更に孤独にしてしまうことは、とてもじゃないけど出来ないと。耐え切れないほどの孤独を、嫌というほど知っている私…だからまるで自分自身のことのように感じてしまう。私にとっても初めての友人…そんな存在が出来れば、心は満たされるの?それを知りたいと願う。
「ノートン令嬢がそれでよろしければ…ですが迷惑でしたら、いつでもそうおっしゃって下さい。そしてノートン伯爵家様には、私から謝罪致しますので」
そう伝えて頭を下げるエズラ。その口調はどこまでも穏やか。私は相変わらず目を見ることが出来ず「よろしくお願いします…」と弱々しく答えるのがやっと。すると…
「そうだ!今度デビュタントがあるんだろう?その時は俺とパートナーとして参加してくれないか。自分自身のデビュタントはしていないし、そんな華やかな場など出席したこともない。だけどフレデリカと一緒なら経験してみたいと思うんだ。どうかな?」
「ええっ…デビュタントに?」
前の時とは違って、デビュタントのパートナーはまだ決まっていない。きっとお父様が嫌々ながらも、務めてくれるのだと思ってるんだけど…どうしよう?
だけどもしスチワートと参加出来たら、少しは楽しみになる。迷惑そうなお父様に頼むよりもずっと。
「そう言ってくれるなら、こちらこそお願いします。だけど準備は大丈夫?おまけにダンスだって…」
衣裳はエズラのものを借りるとして、だけどダンスだけは一朝一夕で何とかなったりしない。だからホントに大丈夫なのかしらと不安になって…
「これから練習するから大丈夫。俺って案外運動神経がいいんだぜ?だから任せて!」
任せる?それは疑問だけど、それでもいいかと思い始める。二人でデビュタントを楽しんで、笑って過ごせればそれが私にとって最高のデビュタントになる。以前はエズラと共に参加したけど、ダンスを一曲踊っただけでいつの間にか居なくなっていた。片やシンシアは、お父様とお兄様と参加して凄く楽しそう…おまけに着ているのは私のものだったドレス。お母様と同じになる筈だったのに…
寂しさと虚しさだけが心に残ったデビュタント。またそうだったら、そんなの必要だとも思えないわ!
「ええ、二人でデビュタントを楽しみましょう」
「ああ、そうしよう!」
スチワートと二人でそう笑い合っていると、何やら視線を感じる。そしてその方に目を向けると…
「お姉様、楽しそうですわね。私もそのお仲間に、入れてもらえませんか?」
そこには鮮やかな微笑みを浮かべるシンシアが!今日はお兄様と出掛けていたはずなのに…もう帰って来ていた?
楽しい気持ちは途端に萎み、どうしてシンシアがこの場にいるのかと疑問だけが頭を占める。私の婚約のことなど、気にも留めていなかった筈よね?そしてシンシアという人は、目的もなく自ら動いたりなんかしない。何を企んでいるの?シンシア。
あっ、エズラだわ!帰って来てくれたのね?この力強い足音はあの人で間違いないわ。私だけが知っている、私だけの音…
かつてはそんなことを思っていた私。今度こそはこの想いを断ち切る…そう決めていたのに、その時の心情に引き戻されそうになる…それだけは嫌っ!
──私は今、フレデリカ・ノートンなのよ?フレデリカ・ロウレンなんかじゃない!
そう心の中で叫んで、耐え切れずにきつく目を閉じた。そんなこととは知らないスチワートは…
「あれっ、兄さんだ…どうしたのだろう。どうしてここにいるのかな…」
そのことから、示し合わせていた訳でなく、スチワートはまるで知らなかったことが分かる。私はまだ相当に動揺していて、エズラの方に振り向けないでいた。全身を硬くしたまま、俯いて微かに震える。どうしてよいのか分からずに…
「フレデリカお嬢様、エズラ・ロウレン様がおいでになりました!ハァ、ハァッ」
やはり兄弟…やることが同じ。またしてもカイは、付いてくるのがやっとだったよう。そのおかげでほんの少し気持ちが和らいで、心を落ち着けてから前を向く。すると…
「急な訪問をお許し下さい…ノートン令嬢。今回弟が求婚状をお送りした件、私共では与り知らぬことでした。おまけにそのことを知った騎士団の上層部の人間が、あろうことか伯爵様に受けていただけるようお願いしてしまったようなのです。申し訳ありません!」
懐かしいようなその声に、ドクンと胸の奥が響く。そして私は密かに驚愕していた…そんなエズラに。その穏やかな話しぶり…こんなふうに話す人だったの?
いつも私にはぶっきらぼうで、愛情なんて欠片も感じなかった。話すことは必要最低限で…業務連絡のようなもの。
ああこの人は、私が妻でなければこれだけ流暢にしゃべれる人だったんだ。そう知ってしまって急速に心が凍える。
「兄さん、そんなにいけないことだったかな?だって仲間に聞いたら、女性と二人だけで会いたければ、婚約するか結婚しないといけないって。だから俺はその手順を踏もうと…」
その言葉に動揺しつつも、どこか納得する。スチワートの態度はどこかそういうものとは違う気がしていた。結婚することへの気負いが皆無というか、現実味がないというか…
やはりこの人は、見かけよりはずっと精神が子供なのね。人とよく接することで鍛えられるべきところが、そういう経験がそもそも欠けてしまっている。良く言えば純粋、悪く言えば人を振り回しかねないってこと。
予期せぬエズラの登場で、心の中は再び傷付いて血を流していたけど、今の私達にとってはこれが初対面になる。自分の気持ちを隠して、落ち着いて対応するしかないと思う。それがまた、この人達と関わらないようにする近道だから。
「そうだったのですね?スチワートにロウレン卿。こちらといたしましても、まだ結婚など考えられずにいました。だから大丈夫です!この件はお互いに縁がなかったということで…」
恐る恐るそう言う私を、涼やかな蒼い瞳が見つめている。それに気付いたらまた動揺しそうになる。
この視線を私がどれだけ受けたかったか、あなたは分かっている?
振り向いて欲しいと、私が望むものはそれだけだった。お金も地位もいらない!欲しかったのは、私を見て穏やかに微笑むあなただけ…
──そんなちっぽけの願いも、叶えられなかった。
「フフッ。自分の心って、ままならないものなのね。どこまでも…」
思わずボソッと口に出してしまう。エズラとスチワートはそんな私を不思議そうに見ていた。だけどその意味を尋ねたりはしなかった。きっと結婚のことを言っているのだと思ったよう。すると…
「ではフレデリカ、俺にとって初めての友達になってくれないか?どこまでも無知でまるで気が利かない男だけど、君を裏切る真似だけはしない!そう誓うよ」
いつになく真剣な顔をして私を見つめるスチワート。友達に?それでも断らなきゃダメ!そう思うのに…
「わ、私でよければ友人になりましょう。特に何をするでもないけど」
そんな心とは裏腹にそう答えてしまっていた。断るべきなことは分かっていたけど、孤独なこの人を更に孤独にしてしまうことは、とてもじゃないけど出来ないと。耐え切れないほどの孤独を、嫌というほど知っている私…だからまるで自分自身のことのように感じてしまう。私にとっても初めての友人…そんな存在が出来れば、心は満たされるの?それを知りたいと願う。
「ノートン令嬢がそれでよろしければ…ですが迷惑でしたら、いつでもそうおっしゃって下さい。そしてノートン伯爵家様には、私から謝罪致しますので」
そう伝えて頭を下げるエズラ。その口調はどこまでも穏やか。私は相変わらず目を見ることが出来ず「よろしくお願いします…」と弱々しく答えるのがやっと。すると…
「そうだ!今度デビュタントがあるんだろう?その時は俺とパートナーとして参加してくれないか。自分自身のデビュタントはしていないし、そんな華やかな場など出席したこともない。だけどフレデリカと一緒なら経験してみたいと思うんだ。どうかな?」
「ええっ…デビュタントに?」
前の時とは違って、デビュタントのパートナーはまだ決まっていない。きっとお父様が嫌々ながらも、務めてくれるのだと思ってるんだけど…どうしよう?
だけどもしスチワートと参加出来たら、少しは楽しみになる。迷惑そうなお父様に頼むよりもずっと。
「そう言ってくれるなら、こちらこそお願いします。だけど準備は大丈夫?おまけにダンスだって…」
衣裳はエズラのものを借りるとして、だけどダンスだけは一朝一夕で何とかなったりしない。だからホントに大丈夫なのかしらと不安になって…
「これから練習するから大丈夫。俺って案外運動神経がいいんだぜ?だから任せて!」
任せる?それは疑問だけど、それでもいいかと思い始める。二人でデビュタントを楽しんで、笑って過ごせればそれが私にとって最高のデビュタントになる。以前はエズラと共に参加したけど、ダンスを一曲踊っただけでいつの間にか居なくなっていた。片やシンシアは、お父様とお兄様と参加して凄く楽しそう…おまけに着ているのは私のものだったドレス。お母様と同じになる筈だったのに…
寂しさと虚しさだけが心に残ったデビュタント。またそうだったら、そんなの必要だとも思えないわ!
「ええ、二人でデビュタントを楽しみましょう」
「ああ、そうしよう!」
スチワートと二人でそう笑い合っていると、何やら視線を感じる。そしてその方に目を向けると…
「お姉様、楽しそうですわね。私もそのお仲間に、入れてもらえませんか?」
そこには鮮やかな微笑みを浮かべるシンシアが!今日はお兄様と出掛けていたはずなのに…もう帰って来ていた?
楽しい気持ちは途端に萎み、どうしてシンシアがこの場にいるのかと疑問だけが頭を占める。私の婚約のことなど、気にも留めていなかった筈よね?そしてシンシアという人は、目的もなく自ら動いたりなんかしない。何を企んでいるの?シンシア。
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