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第七章・新たな局面
43・まさかの告白
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そう唖然とする私に全く気付いていないスティーブ殿下は、更に私を驚かせることを言ってくる。
「アリシア、君は皇后様にお会いしたことはあるか?会ったなら、キャロラインにソックリで驚いただろう?」
お祖父様が側にいる安心効果は、私だけではないようだ。それが殿下にも有効なのか、いつになく饒舌な殿下。元々こういう人だったのかもね?そして皇后様が!?と驚く。
「いいえ、私はまだ皇后様にはお会いしてないのです。妊娠中だったこともあり…そんなに似ているのですか?」
さっきまではルーシーの件で気を取られていたけど、そう言われたらこっちが気になる!親友のキャロラインのことでもあるし…そしてそれこそが、殿下のキャロラインへと態度の核だったのでは?と思われて…
「皇后様がキャロラインの伯母なのは知っているな?それは生き写しかと思われるように似ている。だから…キャロラインに辛く当たってしまったのだと自覚している。違う人物なことはもちろん頭では分かってる!だけどどんどん皇后様にソックリになっていくキャロラインを近くで見ていたら、とてもじゃないけど側には居られないと…そう思ってしまったんだ!」
さっきまでの吹っ切れたような明るさは何処へやら、そう言ってガクリと項垂れる殿下。するとお祖父様がその気持ちを代弁するように…
「アリシアも聞いているかと思うが、殿下も最初は皇后様にとても懐かれていた。だけどウィリアム殿下が生まれたことで、疎外感を抱いてしまったのだ。自分だけが家族ではない…と。そして、皇太子妃に内定されたキャロライン様との関係も始めは良好だった。それが…まるで皇后様を見ているようだと、プレッシャーを感じるように…」
そう言ってお祖父様も殿下の心情を思って押し黙る。私はそれに納得するような、しないような複雑な感情に包まれる。キャロラインを見ると、心が苦しくなったのだろうことは分かる。だからってキャロラインに対して、ああやって良い訳ではない!皇族として、皇太子として、自分を律する心の強さを持つべきだわ!そんな弱い心が全てを引き起こしたんじゃないの?それで自分は、皇太子の器ではないと言ったのか…
「私はキャロラインに辛く当たってしまった…ああしながらも、結局は自分の心を傷付けていることを分かっていたが…。私とキャロラインは凄くよく似ていて、孤独で報われない思いを抱いていた子供だったのに。それを癒して守ってやるべきだったが、自分だけ楽な方へと逃げてしまったんだ!いっそキャロラインからどこまでも嫌われて、離れて貰った方がいいと…」
そんな告白に言葉もない…この人もまた、孤独の中に囚われていたのだと。キャロラインから嫌われたかった?馬鹿言ってんじゃないわよ!ホント自分に甘すぎるっ。
だけど同時に思い知る…華々しい皇太子殿下、それがこの人にとっては足枷以外の何ものでも無かったのだと…
だけどそうなるとルーシーは?ルーシーの存在は逃げなんだということになるけど…
私は意を決して聞いてみることにした。これより先はきっと、何年も会うこともないだろう。それならば…と。
「それで?スティーブ殿下にとって、ルーシー・バーモント令嬢はどういう存在だったのです?私達から見れば言葉は悪いですが…不貞の相手だと思っていました。キャロラインという婚約者がいながら恋人同士になったのだと…違うのですか?」
それに殿下は、項垂れていた顔をバッと上げる。その顔は…いつになく驚愕している。へっ…その顔の方が驚きなんですけどー!
「えっ…ルーシーと私が恋人同士?どうしてそのような…本当にそう見えていたのか?だけどロブやニクソンだって一緒に居たではないか?そして少し前にはアンドリューだって…」
殿下はそう言って困惑している。な、何を言ってるんだろう?この人は…。どう考えてもあれはそうでしょうよ!
「ええっ!それはないですよね?帝都学園に通う生徒の99.9%は、そう思っていましたよ?」
「そう思われていた方が驚きなんだが!そうか、そう思われていたのか…」
この期に及んで、何だか訳が分からないことになってきた…その100%じゃない0.1%はあなたですけど?と言いたいくらいだ。じゃあさ、あの私の暴言騒動だけど、あれ本当に事実無根だと怒っていたわけ?それが本当ならばそうなるわ!
「だけど待って下さい!ルーシー嬢はそう思ってませんよね?彼女は殿下と、お付き合いしていると思ってたと思いますが?」
そう言う私に殿下の表情はピキッと固まる。それを見ていたら、これは誤魔化そうとしているのではなく、本当の気持ちなんだと愕然とする。な、なんて分かりにくい人なの?
殿下はそれに「いや…彼女はそう思って無かったと思うが…」などど言い出し、本当に呆れる。それはお祖父様だって同じ思いで「そういうことも学ばせるべきだったのか…」と頭を抱えている。
「だけど二人ともそう言うが、私が彼女に対して『好き』などと言ったこともないし、それはルーシーだって同じなのだぞ?なのにそう言われても…確かに彼女と話していると、余計なことを考えずに済んで楽だった。あの明るさに救われていたのも事実ではある…」
あれは好きだという感情なんかじゃ…とか呟いている殿下。それで分かったけど、この人は思った以上に子供なのよ!そんな小学生のような殿下に、これまでの苦労は何だったのだろう?とガックリ…
「分かりました…でも、キャロラインを傷付けたのは事実です。ですから必ず謝って下さい!それと…最後に一つだけ聞いてもいいでしょうか?」
観念してそう言う私に殿下は、「必ず会って貰って謝る!」と誓って、「聞きたいこと?」と不思議そうな顔をする。私達が殿下とルーシー、間違いなく付き合い出したと確信したのは、ロブのあの発言があったからだ。でなければ限りなく黒に近い、チャコールグレーくらいだと思っていたから…
「ロブが私に言ったんです。ルーシーから、もう自分と殿下に近付くなと言われたと。それは恐らくニクソンもだと思います」
私はこれを聞いて、二人の邪魔はするな!という意味だと思った。それはロブも同じで…
ルーシーがどこまで望んでいたのかは知らない…愛人?皇妃?まさか皇后!だから邪魔者であるキャロラインやロブ、そしてニクソンを排除しようとしたのよ。殿下はそのつもりじゃ無かったのは分かったけど、それはルーシーも同じだとは思えない!でなければ、あれ程執拗にキャロラインに嫌がらせする必要なんてないもの!そう思って殿下を見ると、眉間に皺を寄せて難しい顔をしている。うん…?
「それは初耳だけど…私も実は不思議だったんだ。あれ程一緒にいたロブやニクソンが何故近くに居なくなったのか…と。アンドリューのように、私に対して愛想を尽かしたのだと思っていて…聞けなかった!」
グハッ!この人…どこまでなんだろう?人付き合いが出来ないにも程がある!どうしてそんな思考になるんだか…おまけにアンドリューだと?
「アンドリューは違いますよ!前は朗らかで魅力的だったルーシーが、変わってしまったから離れたと言っていました。だから殿下のせいでは…」
「そ、そうか!!」
めっちゃ嬉しそう…だけど何だか凄く疲れたわ。もう限界かも?
「殿下…アリシアは皇帝陛下にもお会いしましたし、もう限界かと…このくらいでご容赦下さい」
お祖父様が私のそんな様子を察してくださり、それに殿下も「ああ!すまない」と立ち上がった。そして…
「今日は本当にありがとうアリシア。最後に君に会えて嬉しかった!」
「いいえ、私こそ。どうか隣国に行かれてもお元気でお過ごし下さい!」
そう言って頭を下げた。もしかしてこれが会う最後になる可能性だってある…そう思って深々と。
そしてクルリとお祖父様方へ顔を向けると、「来週ルーベルト邸に来なさい」という言葉に笑顔で頷く。それから来た時と同じくジャックマンに案内されながらこの温室から出て行く。だけど後ろから「あっ!」という殿下の声が聞こえた。それで何だろう?と振り向くと…
「アリシア!随分前で忘れていたが、ルーシーが君のことを言っていたと思う。ええっと…そうだ!アリシアという友達がいるって…」
──な、なんですって!?
「アリシア、君は皇后様にお会いしたことはあるか?会ったなら、キャロラインにソックリで驚いただろう?」
お祖父様が側にいる安心効果は、私だけではないようだ。それが殿下にも有効なのか、いつになく饒舌な殿下。元々こういう人だったのかもね?そして皇后様が!?と驚く。
「いいえ、私はまだ皇后様にはお会いしてないのです。妊娠中だったこともあり…そんなに似ているのですか?」
さっきまではルーシーの件で気を取られていたけど、そう言われたらこっちが気になる!親友のキャロラインのことでもあるし…そしてそれこそが、殿下のキャロラインへと態度の核だったのでは?と思われて…
「皇后様がキャロラインの伯母なのは知っているな?それは生き写しかと思われるように似ている。だから…キャロラインに辛く当たってしまったのだと自覚している。違う人物なことはもちろん頭では分かってる!だけどどんどん皇后様にソックリになっていくキャロラインを近くで見ていたら、とてもじゃないけど側には居られないと…そう思ってしまったんだ!」
さっきまでの吹っ切れたような明るさは何処へやら、そう言ってガクリと項垂れる殿下。するとお祖父様がその気持ちを代弁するように…
「アリシアも聞いているかと思うが、殿下も最初は皇后様にとても懐かれていた。だけどウィリアム殿下が生まれたことで、疎外感を抱いてしまったのだ。自分だけが家族ではない…と。そして、皇太子妃に内定されたキャロライン様との関係も始めは良好だった。それが…まるで皇后様を見ているようだと、プレッシャーを感じるように…」
そう言ってお祖父様も殿下の心情を思って押し黙る。私はそれに納得するような、しないような複雑な感情に包まれる。キャロラインを見ると、心が苦しくなったのだろうことは分かる。だからってキャロラインに対して、ああやって良い訳ではない!皇族として、皇太子として、自分を律する心の強さを持つべきだわ!そんな弱い心が全てを引き起こしたんじゃないの?それで自分は、皇太子の器ではないと言ったのか…
「私はキャロラインに辛く当たってしまった…ああしながらも、結局は自分の心を傷付けていることを分かっていたが…。私とキャロラインは凄くよく似ていて、孤独で報われない思いを抱いていた子供だったのに。それを癒して守ってやるべきだったが、自分だけ楽な方へと逃げてしまったんだ!いっそキャロラインからどこまでも嫌われて、離れて貰った方がいいと…」
そんな告白に言葉もない…この人もまた、孤独の中に囚われていたのだと。キャロラインから嫌われたかった?馬鹿言ってんじゃないわよ!ホント自分に甘すぎるっ。
だけど同時に思い知る…華々しい皇太子殿下、それがこの人にとっては足枷以外の何ものでも無かったのだと…
だけどそうなるとルーシーは?ルーシーの存在は逃げなんだということになるけど…
私は意を決して聞いてみることにした。これより先はきっと、何年も会うこともないだろう。それならば…と。
「それで?スティーブ殿下にとって、ルーシー・バーモント令嬢はどういう存在だったのです?私達から見れば言葉は悪いですが…不貞の相手だと思っていました。キャロラインという婚約者がいながら恋人同士になったのだと…違うのですか?」
それに殿下は、項垂れていた顔をバッと上げる。その顔は…いつになく驚愕している。へっ…その顔の方が驚きなんですけどー!
「えっ…ルーシーと私が恋人同士?どうしてそのような…本当にそう見えていたのか?だけどロブやニクソンだって一緒に居たではないか?そして少し前にはアンドリューだって…」
殿下はそう言って困惑している。な、何を言ってるんだろう?この人は…。どう考えてもあれはそうでしょうよ!
「ええっ!それはないですよね?帝都学園に通う生徒の99.9%は、そう思っていましたよ?」
「そう思われていた方が驚きなんだが!そうか、そう思われていたのか…」
この期に及んで、何だか訳が分からないことになってきた…その100%じゃない0.1%はあなたですけど?と言いたいくらいだ。じゃあさ、あの私の暴言騒動だけど、あれ本当に事実無根だと怒っていたわけ?それが本当ならばそうなるわ!
「だけど待って下さい!ルーシー嬢はそう思ってませんよね?彼女は殿下と、お付き合いしていると思ってたと思いますが?」
そう言う私に殿下の表情はピキッと固まる。それを見ていたら、これは誤魔化そうとしているのではなく、本当の気持ちなんだと愕然とする。な、なんて分かりにくい人なの?
殿下はそれに「いや…彼女はそう思って無かったと思うが…」などど言い出し、本当に呆れる。それはお祖父様だって同じ思いで「そういうことも学ばせるべきだったのか…」と頭を抱えている。
「だけど二人ともそう言うが、私が彼女に対して『好き』などと言ったこともないし、それはルーシーだって同じなのだぞ?なのにそう言われても…確かに彼女と話していると、余計なことを考えずに済んで楽だった。あの明るさに救われていたのも事実ではある…」
あれは好きだという感情なんかじゃ…とか呟いている殿下。それで分かったけど、この人は思った以上に子供なのよ!そんな小学生のような殿下に、これまでの苦労は何だったのだろう?とガックリ…
「分かりました…でも、キャロラインを傷付けたのは事実です。ですから必ず謝って下さい!それと…最後に一つだけ聞いてもいいでしょうか?」
観念してそう言う私に殿下は、「必ず会って貰って謝る!」と誓って、「聞きたいこと?」と不思議そうな顔をする。私達が殿下とルーシー、間違いなく付き合い出したと確信したのは、ロブのあの発言があったからだ。でなければ限りなく黒に近い、チャコールグレーくらいだと思っていたから…
「ロブが私に言ったんです。ルーシーから、もう自分と殿下に近付くなと言われたと。それは恐らくニクソンもだと思います」
私はこれを聞いて、二人の邪魔はするな!という意味だと思った。それはロブも同じで…
ルーシーがどこまで望んでいたのかは知らない…愛人?皇妃?まさか皇后!だから邪魔者であるキャロラインやロブ、そしてニクソンを排除しようとしたのよ。殿下はそのつもりじゃ無かったのは分かったけど、それはルーシーも同じだとは思えない!でなければ、あれ程執拗にキャロラインに嫌がらせする必要なんてないもの!そう思って殿下を見ると、眉間に皺を寄せて難しい顔をしている。うん…?
「それは初耳だけど…私も実は不思議だったんだ。あれ程一緒にいたロブやニクソンが何故近くに居なくなったのか…と。アンドリューのように、私に対して愛想を尽かしたのだと思っていて…聞けなかった!」
グハッ!この人…どこまでなんだろう?人付き合いが出来ないにも程がある!どうしてそんな思考になるんだか…おまけにアンドリューだと?
「アンドリューは違いますよ!前は朗らかで魅力的だったルーシーが、変わってしまったから離れたと言っていました。だから殿下のせいでは…」
「そ、そうか!!」
めっちゃ嬉しそう…だけど何だか凄く疲れたわ。もう限界かも?
「殿下…アリシアは皇帝陛下にもお会いしましたし、もう限界かと…このくらいでご容赦下さい」
お祖父様が私のそんな様子を察してくださり、それに殿下も「ああ!すまない」と立ち上がった。そして…
「今日は本当にありがとうアリシア。最後に君に会えて嬉しかった!」
「いいえ、私こそ。どうか隣国に行かれてもお元気でお過ごし下さい!」
そう言って頭を下げた。もしかしてこれが会う最後になる可能性だってある…そう思って深々と。
そしてクルリとお祖父様方へ顔を向けると、「来週ルーベルト邸に来なさい」という言葉に笑顔で頷く。それから来た時と同じくジャックマンに案内されながらこの温室から出て行く。だけど後ろから「あっ!」という殿下の声が聞こえた。それで何だろう?と振り向くと…
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──な、なんですって!?
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