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フクロウ

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その日からしばらくジルを警戒しながら過ごした。

が……

ジルは復讐しにくる様子もなく、ただ月日が流れた。





秋。

山の木々に紅葉と黄葉が生い茂る季節。

私はのんびりと【株広場かぶひろば】でくつろいでいた。

「ん……」

そのときだった。

ふと視界に、とある生物の姿が目に入った。

フクロウである。

目の前の樹木の枝のうえに、留まっていたのだ。

素朴な表情でこちらを見ている。

ふふ、可愛いな。

森だから、こういう自然生物にはよく出くわす。

私はエサをやりたいと思い、チョコレート魔法でチョコを生成した。

フクロウが食べられるサイズのチョコである。

「ほら、お食べ」

樹木の根元あたりに、チョコレートを投げる。

するとフクロウが、枝から飛び降りた。

チョコレートを食べ始める。

(フクロウって、チョコレート食べるのかな?)

と、いまさら思うが……

現に食べてるのだから、それが真実なのだろう。

フクロウがチョコレートを完食する。

「もっと欲しいですか? いいですよ」

と、私はチョコレート魔法でさらにチョコを作り、2、3個、放り投げる。

フクロウがそれをついばんで食べる。

はぁ……和む。

いいね、こういうの。

まったりしてて。

「ん……」

そのときフクロウが飛んだ。

バサバサと翼をバタつかせ……

なんと、私の頭の上に着地した。

「……」

えっと……

これは、どう解釈すればいいんだろう?

「そ、そこは止まり木じゃないです、よ……?」

と言ってみる。

「ホー、ホー」

とフクロウが鳴いた。

うーん。

コレもしかして、なつかれた?

(フクロウになつかれるとは……)

と私はおどろく。

でも、まあいいや。

フクロウ、可愛いし。

私はそのまま立ち上がり、山小屋への帰路を歩いた。






山小屋へたどり着くまで、フクロウはずっと私の頭上に、とどまり続けていた。

そして。

山小屋にたどりつく。

この数か月のあいだに、大工さんの手によって山小屋はすっかり修復されている。

「ん……」

そのときフクロウは、いきなり飛び始めて。

山小屋の屋根の折り返し部分―――いわゆるむねの部分に、着地した。

「そこも止まり木とは言いがたいけど……」

しかし自分の定位置を見つけたらしい。

フクロウは、そこから動かない。

この場所こそ、自分の居場所だといわんばかりに、

「ホー、ホー」

と、のんきな鳴き声をあげた。

「まあ、いいか」

と私は微笑んだ。

そのとき、井戸のほうから、クレアベルがやってきた。

水汲みをしていたらしい。

クレアベルは、私の視線の先を見て、言った。

「フクロウ、か……あれは、トキフクロウだな」

「トキフクロウ?」

「時を告げるフクロウだよ。決まった時間に、大きく鳴いたり、鳴かなかったりするんだ」

「ふーん……」

なるほどね。

そういう習性のフクロウなのか。

私は思いついたので、ぽつりとつぶやく。

「じゃあ、トキちゃんですね」

命名、完了だ。

こうしてトキフクロウが山小屋に住み着くことになった。

和やかな1日が終わっていく。
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