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ドレアス
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<ジル視点>
ジルは、キトレルの街から遠く離れた都市にいた。
その都市の繁華街には、とある酒場がある。
酒場の地下は、裏の人間だけが集っている。
ジルはそこで、ある人物と会っていた。
「久しぶりだな、ジル」
「ああ、探したぜ。ドレアスさん」
――――ドレアス。
年齢136歳。
大柄な体格。
黒髪のほつれた髪。
鋭い瞳。
シワの刻まれた顔。
ほどよく生えたヒゲ。
危ない雰囲気をかもしているオッサンである。
漆黒の戦闘衣服をまとっている。
ドレアスは、ジルの師匠であった。
もちろん殺し屋である。
「風の噂で聞いたぜ? お前、逮捕されそうになったそうだな」
とドレアスが言った。
「ああ。……まさにその件で、あんたを探していたんだよ」
そう。
ジルは、脱走してからずっとドレアスを探していた。
さんざん自分を侮辱し、圧倒した、憎きセレナを殺すためである。
ジルは、ドレアスに言った。
「あんたの力を貸してくれ。殺してほしいやつがいるんだ」
「ふむ」
「セレナっつーガキだ。俺はそいつにやられて、牢獄にぶち込まれそうになった」
「ガキにやられたのか? それは傑作だな」
「笑い事じゃねえ。あのガキはバケモンだ。だから、あんたの力を借りてえんだよ」
ジルが真剣な顔で、ドレアスに懇願する。
ドレアスは肩をすくめた。
「ジル。昔の俺たちは師弟だったが、いまは赤の他人だ。他人に殺しの依頼をするときは、どうすべきかわかるだろ?」
「ちっ……カネかよ。1000万リソルでどうだ」
「2000万リソル」
「……1300万」
「1700万」
「わかったよ。1500万払えばいいんだな?」
ジルの言葉に、ドレアスは微笑んだ。
「ああ。1500万で構わん。だが、今は持ち合わせがないんだろ?」
「いや、ある程度はある。が、さすがに1500万をポンと出すのは無理だ」
「だったらツケにしておいてやる」
交渉成立である。
ドレアスは言った。
「しかしお前がバケモンと呼ぶぐらいだから、相当強えんだろうな、そのガキは?」
「ああ、強い。俺じゃ相手にならなかった」
「そうか。どんなやつなんだ?」
「それがな―――――」
ジルが、経験したことを話す。
ジルにとっては負けた決闘の話なので、口にするのも屈辱的ではあった。
しかし、それ以上に、セレナの情報をできるだけ伝えたいという想いが勝った。
セレナをぶっ殺せるなら、ジルにとってこの程度は恥ではなかった。
「ふむ……」
ドレアスは困惑した顔をした。
「つまり、異様に打たれ強く、攻撃力も高い。攻守ともに図抜けたガキだということか」
「そうだ」
「しかし、いまいちわからんことも多いな。できれば、実際に戦ってる場面を見てみたいところだ」
ドレアスはあごをさすりながら、告げた。
「よし。とりあえず、捨て駒を差し向けよう」
「捨て駒?」
「ああ。俺に弟子入りしてきた4人組がいるんだがな。これがまた使えない連中なんだ」
「そいつらを捨て石にするのか?」
「おう。見込みのないやつらを、いつまでも面倒見る気はねえからな」
とドレアスは笑う。
さらにドレアスは言った。
「その4人組と戦わせて、セレナっつーガキの力量を測る」
「……瞬殺されて終わるだけだと思うがな」
「それでもわかることは沢山ある」
ドレアスの言葉に、ジルは納得する。
ドレアスの基本は、分析だ。
相手の魔力や戦闘技術から、攻撃パターンを予測し、頭の中で対処法を組み立てる。
それがドレアスの殺し屋としてのスタイルだ。
ドレアスは言った。
「決行は冬が明けてからにしよう。それまでに、いろいろ準備を整えておくさ」
「ああ。頼んだぜ」
セレナを殺すためにドレアスが動き出すのだった。
ジルは、キトレルの街から遠く離れた都市にいた。
その都市の繁華街には、とある酒場がある。
酒場の地下は、裏の人間だけが集っている。
ジルはそこで、ある人物と会っていた。
「久しぶりだな、ジル」
「ああ、探したぜ。ドレアスさん」
――――ドレアス。
年齢136歳。
大柄な体格。
黒髪のほつれた髪。
鋭い瞳。
シワの刻まれた顔。
ほどよく生えたヒゲ。
危ない雰囲気をかもしているオッサンである。
漆黒の戦闘衣服をまとっている。
ドレアスは、ジルの師匠であった。
もちろん殺し屋である。
「風の噂で聞いたぜ? お前、逮捕されそうになったそうだな」
とドレアスが言った。
「ああ。……まさにその件で、あんたを探していたんだよ」
そう。
ジルは、脱走してからずっとドレアスを探していた。
さんざん自分を侮辱し、圧倒した、憎きセレナを殺すためである。
ジルは、ドレアスに言った。
「あんたの力を貸してくれ。殺してほしいやつがいるんだ」
「ふむ」
「セレナっつーガキだ。俺はそいつにやられて、牢獄にぶち込まれそうになった」
「ガキにやられたのか? それは傑作だな」
「笑い事じゃねえ。あのガキはバケモンだ。だから、あんたの力を借りてえんだよ」
ジルが真剣な顔で、ドレアスに懇願する。
ドレアスは肩をすくめた。
「ジル。昔の俺たちは師弟だったが、いまは赤の他人だ。他人に殺しの依頼をするときは、どうすべきかわかるだろ?」
「ちっ……カネかよ。1000万リソルでどうだ」
「2000万リソル」
「……1300万」
「1700万」
「わかったよ。1500万払えばいいんだな?」
ジルの言葉に、ドレアスは微笑んだ。
「ああ。1500万で構わん。だが、今は持ち合わせがないんだろ?」
「いや、ある程度はある。が、さすがに1500万をポンと出すのは無理だ」
「だったらツケにしておいてやる」
交渉成立である。
ドレアスは言った。
「しかしお前がバケモンと呼ぶぐらいだから、相当強えんだろうな、そのガキは?」
「ああ、強い。俺じゃ相手にならなかった」
「そうか。どんなやつなんだ?」
「それがな―――――」
ジルが、経験したことを話す。
ジルにとっては負けた決闘の話なので、口にするのも屈辱的ではあった。
しかし、それ以上に、セレナの情報をできるだけ伝えたいという想いが勝った。
セレナをぶっ殺せるなら、ジルにとってこの程度は恥ではなかった。
「ふむ……」
ドレアスは困惑した顔をした。
「つまり、異様に打たれ強く、攻撃力も高い。攻守ともに図抜けたガキだということか」
「そうだ」
「しかし、いまいちわからんことも多いな。できれば、実際に戦ってる場面を見てみたいところだ」
ドレアスはあごをさすりながら、告げた。
「よし。とりあえず、捨て駒を差し向けよう」
「捨て駒?」
「ああ。俺に弟子入りしてきた4人組がいるんだがな。これがまた使えない連中なんだ」
「そいつらを捨て石にするのか?」
「おう。見込みのないやつらを、いつまでも面倒見る気はねえからな」
とドレアスは笑う。
さらにドレアスは言った。
「その4人組と戦わせて、セレナっつーガキの力量を測る」
「……瞬殺されて終わるだけだと思うがな」
「それでもわかることは沢山ある」
ドレアスの言葉に、ジルは納得する。
ドレアスの基本は、分析だ。
相手の魔力や戦闘技術から、攻撃パターンを予測し、頭の中で対処法を組み立てる。
それがドレアスの殺し屋としてのスタイルだ。
ドレアスは言った。
「決行は冬が明けてからにしよう。それまでに、いろいろ準備を整えておくさ」
「ああ。頼んだぜ」
セレナを殺すためにドレアスが動き出すのだった。
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