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髪の色

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冬。

雪が降り積もる季節。

私はホワイトチョコレートに、とある能力が宿っていることに気づいた。

それは、なんと2つもある。

――――1つは、ホワイトチョコレートをぶっかけた相手にマーキングできる能力。

この能力を使えば、一定距離までなら相手の居場所を把握し続けることができる。

チョコレート・マーキングとでも呼んでおこう。

――――1つは、遠距離にある景色を観察できる能力。

チョコレート・ロープを伸ばした先端を、目のような形に変える。

その【チョコレート・アイ】を通して、景色を見ることができる。

ロープをどこまでも伸ばせば、遠距離にある物事も、視界に映すことができるわけだ。

(便利すぎるね、ホワイトチョコレート!!)

私はチョコレート魔法の新たな可能性に、興奮を隠せなかった。








ある日の朝。

私は、髪色かみいろがまた変化し始めていることに気づいた。

「今度はホワイトチョコレートの色ですか……」

と、鏡の前でぽつりつぶやく。

私の髪はカカオチョコレートの色――――

つまり、茶色だったのだが……。

なんと、髪の左半分がホワイトチョコレートの色に変わり始めていた。

頭頂部から中間までが茶色、中間から毛先までが薄い黄色になっている。

色の変わり目は、滑らかなグラデーションを描いていた。

(髪の右半分に、色の変化はないね)

ということは……

髪の左半分だけが、ホワイトチョコレートの色に変わるってこと?







その予感は的中した。

3日後。

私の髪の右半分は、依然としてカカオ色のままで。

髪の左半分だけ、ホワイトチョコレートの色に変わっていた。

頭の真ん中、正中線せいちゅうせんの位置できっぱりと二つの色に分かれている。

「お姉ちゃん、右側だけ髪色、変わったね」

アイリスがいってくる。

アイリスから見れば右、私から見れば左半分の髪が、変色へんしょくしているのだ。

「なんというか……メチャクチャな髪色だな」

と、クレアベルが苦笑した。

異世界人には、こういう二色状態ツートンカラーは珍しく思えるだろう。

私は、鏡を見つめる。

カカオマスが持つ茶色と、ココアバターが持つ黄色は、同じ暖色だんしょくなので、反発はしない。

似合っているかはわからないが、意外に違和感はなかった。

ただ。

(目立つよねぇ……)

と、私は思った。







週末。

昼。

雪が止んでいた、やわらかな晴れの日。

テオくん、ヘンリックくん、ラミサさん、ユズナさんと会う。

冬でも、ときどきは剣術教室が開かれ、剣の練習をしたりしている。

さて、出会ってすぐに、四人の視線が私の髪へと集中した。

開口一番、テオくんが叫ぶ。

「誰だよ、お前!?」

ひどいな。

私だよ、私!

顔でわかるでしょ。

「髪、染めたの?」

とラミサさんが聞いてきた。

「いいえ、実は――――」

と前置きしてから、私は二色髪ツートンヘアになってしまった事情を説明する。

すると、テオくんが笑った。

「チョコレート魔法が髪の色を変えたって? うはは! やっぱりお前、頭おかしいな!」

「おかしいのは頭ではなく髪です! 頭はまともです!」

と、私は訂正を要求した。

ラミサさんが肩をすくめながらいってくる。

「頭はおかしくないと思うけど、魔法はいろいろおかしいと思うわよ」

うん、確かにおかしいね。

チョコレート魔法は、謎多き魔法である。

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