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侵入してきた者たち
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月日は流れ……
冬が明ける。
雪解けの春。
すっかり積もった雪たちは消えて、綺麗な緑と草木が山を覆い始めていた。
そんなある日のこと。
私は、アイリスと二人で森に入っていた。
採集のためである。
採集したいのは、塩草と砂糖草である。
――――塩草と砂糖草。
それは、名前の通り、塩と砂糖の味がする野草だ。
(この異世界って、塩とか砂糖が、簡単に手に入るんだよね)
前世の、いわゆる中世ヨーロッパの時代では、塩と砂糖は高級品だった。
しかし、この異世界は別だ。
なぜなら塩草・砂糖草が存在するからだ。
塩草と砂糖草は、それぞれ水にひたして熱すると……
草のエキスがしみだして、水に溶け込む。
すると塩水となり、砂糖水になるのだ。
つまり異世界では、いとも簡単に塩と砂糖が入手できてしまう。
しかも、この塩草・砂糖草は本当にどこでも生えている。
だから塩と砂糖は高級品などではなく。
非常に安価に手に入るものなのだ。
(葉が特徴的だから、間違えて採ってしまうこともないんだよね)
フォークのような形の葉を持つ、濃厚な深緑色の草が塩草。
スプーンのような形をした葉を持つ、美しい若緑色の草が砂糖草。
非常にユニークな形をしているので、間違えることはない。
私とアイリスは、いくらかの塩草・砂糖草を採取したあと、背中の籠へと放り込む。
――――そのとき。
足音がした。
茂みから人が現れる。
盗賊である。
「……!」
目があってしまう。
盗賊は、男が2人、女が2人だ。
イカつい顔をした赤髪の男。
きつい目つきの赤髪の女。
キザな感じの青髪の男。
くちびるがやたら太い緑髪の女。
この4人組である。
「子ども……か」
緑髪の女が、蛇のような目で私たちを見つめながら、つぶやいた。
その視線に怯えて、アイリスが一歩後ずさった。
イカつい赤髪の男が周囲をぐるりと見渡してから、告げる。
「ガキ以外はいねえな」
「ええ。そうね。周囲に人の気配はないわ」
と赤髪の女が答える。
緑髪の女が言った。
「ドレアスさんが言ってたの、どっちだっけ」
「茶髪のほうだろ? ……アレ? こいつら茶髪じゃねーな。人違いか?」
と青髪が疑問を口にする。
ちなみに私はいま、半分は茶髪だけど、半分はクリーム色だ。
……このやりとり、以前にもあった気がするな。ザカルとの戦いのときに。
赤髪の男が聞いてきた。
「おいガキども。セレナってやつを知らねえか?」
私は答えた。
「セレナは私ですが」
「おお、やっぱりそうじゃねえか!」
と赤髪の男は歓喜する。
「髪を染めただけだったようね」
と赤髪の女は納得した。
冬が明ける。
雪解けの春。
すっかり積もった雪たちは消えて、綺麗な緑と草木が山を覆い始めていた。
そんなある日のこと。
私は、アイリスと二人で森に入っていた。
採集のためである。
採集したいのは、塩草と砂糖草である。
――――塩草と砂糖草。
それは、名前の通り、塩と砂糖の味がする野草だ。
(この異世界って、塩とか砂糖が、簡単に手に入るんだよね)
前世の、いわゆる中世ヨーロッパの時代では、塩と砂糖は高級品だった。
しかし、この異世界は別だ。
なぜなら塩草・砂糖草が存在するからだ。
塩草と砂糖草は、それぞれ水にひたして熱すると……
草のエキスがしみだして、水に溶け込む。
すると塩水となり、砂糖水になるのだ。
つまり異世界では、いとも簡単に塩と砂糖が入手できてしまう。
しかも、この塩草・砂糖草は本当にどこでも生えている。
だから塩と砂糖は高級品などではなく。
非常に安価に手に入るものなのだ。
(葉が特徴的だから、間違えて採ってしまうこともないんだよね)
フォークのような形の葉を持つ、濃厚な深緑色の草が塩草。
スプーンのような形をした葉を持つ、美しい若緑色の草が砂糖草。
非常にユニークな形をしているので、間違えることはない。
私とアイリスは、いくらかの塩草・砂糖草を採取したあと、背中の籠へと放り込む。
――――そのとき。
足音がした。
茂みから人が現れる。
盗賊である。
「……!」
目があってしまう。
盗賊は、男が2人、女が2人だ。
イカつい顔をした赤髪の男。
きつい目つきの赤髪の女。
キザな感じの青髪の男。
くちびるがやたら太い緑髪の女。
この4人組である。
「子ども……か」
緑髪の女が、蛇のような目で私たちを見つめながら、つぶやいた。
その視線に怯えて、アイリスが一歩後ずさった。
イカつい赤髪の男が周囲をぐるりと見渡してから、告げる。
「ガキ以外はいねえな」
「ええ。そうね。周囲に人の気配はないわ」
と赤髪の女が答える。
緑髪の女が言った。
「ドレアスさんが言ってたの、どっちだっけ」
「茶髪のほうだろ? ……アレ? こいつら茶髪じゃねーな。人違いか?」
と青髪が疑問を口にする。
ちなみに私はいま、半分は茶髪だけど、半分はクリーム色だ。
……このやりとり、以前にもあった気がするな。ザカルとの戦いのときに。
赤髪の男が聞いてきた。
「おいガキども。セレナってやつを知らねえか?」
私は答えた。
「セレナは私ですが」
「おお、やっぱりそうじゃねえか!」
と赤髪の男は歓喜する。
「髪を染めただけだったようね」
と赤髪の女は納得した。
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