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37 変×変は普通?
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暑い熱い。体を冷やしてリビングに戻る。
茜にペットボトルを渡す。
すっかり疲れてる様子でタオルを頭に巻いてソファに沈んでる。
ドライヤーを持ってきて乾かしてやる。
されるがままだ。
こんなことをしてる自分が信じられない、強制されてもいないのに。
大分乾いた髪にキスをして終わりと告げる。
バスタオルを回収して洗濯機に入れておく。
隣に座るとお礼を言われた。
「いつでも喜んで。」
思ってもみなかったがなかなか楽しかった。
しばらく楽にもたれていた茜が少し体を起こし膝を抱えて顔を隠して聞いてきた。
「近藤さん、私は・・・普通ですか?」と。
あえて誉め言葉として言うが普通なんて言葉じゃ収まらないぞ。
それをどう表現するか。
『変。』の一言に集約される。
どこが変なのか不安そうにも見える。
いまさらビックリした顔をしたのに、こっちが驚くぞ。
まさか自覚がないのか?
聞きたかった夏の日の話をした。エビと見つめ合って、挨拶してた話。
何の話をしてるのかという。やっぱり酔ってたのか。
記憶にもないようだ。
「変でもいいんだよ。それがいいところだから。」
納得いかないようだが慰めるように言った。
うつむく彼女の頭を撫でながら。
面倒な女、騒がしい女、変な女・・・・。
絶対に一緒にいたくないはずなのに、何で今一緒にいるんだか。
欠点をチャームポイントにまで昇華させて褒める、そんな自分の心の軌跡はかつてない、あり得ない脱線状態だった。
慣れとは恐ろしい。
それにしても「可愛いよな」と評価する高田の刷り込みが、結構な部分影響があった気がするのだが、乗せられたか?
考えたくないぞ。
結局自分も『変』だということだろう。
普通の女には興味をもたず、距離を置いていた面倒な部類の女に引き寄せられるとは。
ん?そういえばさっきシャワーの下で変態と言われたことを思い出した。
ちょっとおふざけが過ぎたかと思わないでもないが、はっきりと聞こえた。
『変』に『変』を重ねると『普通』に戻る気がするが。
そこは聞いておこうか。最初が肝心だ。
「茜、さっきシャワーの下で何か言ったか?」
俯いた顔が少し上がったがまた伏せられた。
一瞬あがった顔は微妙な顔をしていた。
「せっかく体を洗ってあげようとしたのに、なんだが酷い言い草で罵られた気がするが。」
「人の事を変だなんて言いながら、あんな・・・・・。」
「だってついつい手と指が動いてしまって。」
「嫌だと言ったのに。ぜんぜん聞いてくれない。」
怒った声で言われた。
「本当に嫌だったか?だって声も震えてたし、足を巻き付けてきたからてっきり茜も。」
「もういです。もう、いい・・・・いいです。」
遮られて言われた。
「そうか、良かった。」
見えてる真っ赤な耳が可愛くて、指で軽く触れる。
気持ちよく感触を味わってると、くぐもった声が聞こえてきた。
「いつもあんなことしてたんですか?」
相変わらず膝に顔をつけて、うつむいたまま聞く。
表情が見えないのだか怒っているのではないだろう。むしろ逆・・・・。
丸まった体ごと抱き寄せる。
「だから違うって。それはもう知ってるだろう?そんなマメな働きはしない。信じるか?」
無言で返事はない。
「茜、どうすればいい?茜は普通じゃない。俺にとっては唯一無二だ。その辺の普通とは違うから。変でも何でも他に変わりはいないから。」
「私は・・・・どう反応すればいいんですか?それが分からない。」
「反応とは?」
「だから・・・・・変な反応してませんか?その・・・普通ですか?」
口が「あ」の形で止まった。もしかして・・・・
「さっきから聞いてたのは、・・・・そのことだったのか?」
「だからそう聞いてます。勝手に近藤さんがエビの話をしたんじゃないですか。」
「なるほど。でも俺も分からないよ。だいたい普通とか変ってなんだ。特殊とかなら・・・・縛られるとか女王様とろうそくとか?そこまではしないぞ。」
「私はそこまでは言ってません。あれでいいんですか?って聞きたいだけです。」
「いいに決まってる。何度も何度も気持ちいいって伝えてるのに。」
いきなり耳を塞ぐ彼女。
顔を寄せていた自分の顎に彼女の指が突き刺さり、声が出た。
「痛い。」
さすがに顔を上げて、手を耳から離してこっちを見る目が心配そうで。
「大丈夫だから。」顎をさすりながら言う。
「ごめんなさい。」手を伸ばして触れようとして止まった指。
手を取って抱き寄せた。
「あんまりいろいろ考えなくていいから。多少の事じゃあ今更驚かないよ。」
彼女がうなずいたのが分かった。
結局シャワーの下の戯れは許されたのか?
眠そうになった彼女を寝室に連れて行き寝かせる。
それでも布団の中でこっちを向いて、自分を見上げて待つ大きな瞳。
「茜、本当に嫌だったか?」
一応聞いてみた。
しばらく何のことか分からなかったらしいが、どうにか思い出したらしい。
眠気が飛んだように表情を変えて、暗がりじゃなかったら真っ赤になってた顔も見れたかもしれない。
「ひどい。もう、いいです。」
布団に潜り込みながらも顔は自分の胸にくっついている。
頭を撫でながらキスをして目を閉じる。
「おやすみ。また明日な。」
「おやすみなさい。」
小さく胸元で聞こえた。
しばらく髪を撫でながら、いつのまにか寝ていた。
茜にペットボトルを渡す。
すっかり疲れてる様子でタオルを頭に巻いてソファに沈んでる。
ドライヤーを持ってきて乾かしてやる。
されるがままだ。
こんなことをしてる自分が信じられない、強制されてもいないのに。
大分乾いた髪にキスをして終わりと告げる。
バスタオルを回収して洗濯機に入れておく。
隣に座るとお礼を言われた。
「いつでも喜んで。」
思ってもみなかったがなかなか楽しかった。
しばらく楽にもたれていた茜が少し体を起こし膝を抱えて顔を隠して聞いてきた。
「近藤さん、私は・・・普通ですか?」と。
あえて誉め言葉として言うが普通なんて言葉じゃ収まらないぞ。
それをどう表現するか。
『変。』の一言に集約される。
どこが変なのか不安そうにも見える。
いまさらビックリした顔をしたのに、こっちが驚くぞ。
まさか自覚がないのか?
聞きたかった夏の日の話をした。エビと見つめ合って、挨拶してた話。
何の話をしてるのかという。やっぱり酔ってたのか。
記憶にもないようだ。
「変でもいいんだよ。それがいいところだから。」
納得いかないようだが慰めるように言った。
うつむく彼女の頭を撫でながら。
面倒な女、騒がしい女、変な女・・・・。
絶対に一緒にいたくないはずなのに、何で今一緒にいるんだか。
欠点をチャームポイントにまで昇華させて褒める、そんな自分の心の軌跡はかつてない、あり得ない脱線状態だった。
慣れとは恐ろしい。
それにしても「可愛いよな」と評価する高田の刷り込みが、結構な部分影響があった気がするのだが、乗せられたか?
考えたくないぞ。
結局自分も『変』だということだろう。
普通の女には興味をもたず、距離を置いていた面倒な部類の女に引き寄せられるとは。
ん?そういえばさっきシャワーの下で変態と言われたことを思い出した。
ちょっとおふざけが過ぎたかと思わないでもないが、はっきりと聞こえた。
『変』に『変』を重ねると『普通』に戻る気がするが。
そこは聞いておこうか。最初が肝心だ。
「茜、さっきシャワーの下で何か言ったか?」
俯いた顔が少し上がったがまた伏せられた。
一瞬あがった顔は微妙な顔をしていた。
「せっかく体を洗ってあげようとしたのに、なんだが酷い言い草で罵られた気がするが。」
「人の事を変だなんて言いながら、あんな・・・・・。」
「だってついつい手と指が動いてしまって。」
「嫌だと言ったのに。ぜんぜん聞いてくれない。」
怒った声で言われた。
「本当に嫌だったか?だって声も震えてたし、足を巻き付けてきたからてっきり茜も。」
「もういです。もう、いい・・・・いいです。」
遮られて言われた。
「そうか、良かった。」
見えてる真っ赤な耳が可愛くて、指で軽く触れる。
気持ちよく感触を味わってると、くぐもった声が聞こえてきた。
「いつもあんなことしてたんですか?」
相変わらず膝に顔をつけて、うつむいたまま聞く。
表情が見えないのだか怒っているのではないだろう。むしろ逆・・・・。
丸まった体ごと抱き寄せる。
「だから違うって。それはもう知ってるだろう?そんなマメな働きはしない。信じるか?」
無言で返事はない。
「茜、どうすればいい?茜は普通じゃない。俺にとっては唯一無二だ。その辺の普通とは違うから。変でも何でも他に変わりはいないから。」
「私は・・・・どう反応すればいいんですか?それが分からない。」
「反応とは?」
「だから・・・・・変な反応してませんか?その・・・普通ですか?」
口が「あ」の形で止まった。もしかして・・・・
「さっきから聞いてたのは、・・・・そのことだったのか?」
「だからそう聞いてます。勝手に近藤さんがエビの話をしたんじゃないですか。」
「なるほど。でも俺も分からないよ。だいたい普通とか変ってなんだ。特殊とかなら・・・・縛られるとか女王様とろうそくとか?そこまではしないぞ。」
「私はそこまでは言ってません。あれでいいんですか?って聞きたいだけです。」
「いいに決まってる。何度も何度も気持ちいいって伝えてるのに。」
いきなり耳を塞ぐ彼女。
顔を寄せていた自分の顎に彼女の指が突き刺さり、声が出た。
「痛い。」
さすがに顔を上げて、手を耳から離してこっちを見る目が心配そうで。
「大丈夫だから。」顎をさすりながら言う。
「ごめんなさい。」手を伸ばして触れようとして止まった指。
手を取って抱き寄せた。
「あんまりいろいろ考えなくていいから。多少の事じゃあ今更驚かないよ。」
彼女がうなずいたのが分かった。
結局シャワーの下の戯れは許されたのか?
眠そうになった彼女を寝室に連れて行き寝かせる。
それでも布団の中でこっちを向いて、自分を見上げて待つ大きな瞳。
「茜、本当に嫌だったか?」
一応聞いてみた。
しばらく何のことか分からなかったらしいが、どうにか思い出したらしい。
眠気が飛んだように表情を変えて、暗がりじゃなかったら真っ赤になってた顔も見れたかもしれない。
「ひどい。もう、いいです。」
布団に潜り込みながらも顔は自分の胸にくっついている。
頭を撫でながらキスをして目を閉じる。
「おやすみ。また明日な。」
「おやすみなさい。」
小さく胸元で聞こえた。
しばらく髪を撫でながら、いつのまにか寝ていた。
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