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9 夏の花火の夜
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花火の始まりの合図。
会場が静かになったと思ったら、一発どんと大きく響いた。
それからは一斉に花火が打ちあがった。
天気もよくて少し風がある日。
それは絶好の花火空だと隣の人が言う。
昼間は暑かった。
涼しい自習室で勉強をしていたけど、行き帰りが暑かった。
あと少しで数学強化の塾の日々は終わる。
萌ちゃんとは時々遊ぼうねと約束をしている。
もしかしたら猫を貰えるかもしれないと嬉しそうに教えてくれた。
そうしたら絶対会いに行くって言ってる。
さすがに紺さんとはそんな約束はできないから、夏が終わったら会うことも勉強を教わることもないんだろう。
花火の夕方、浴衣に着替えさせてもらった。
お姉ちゃんも浴衣を着て早々に出かけてる。
家を出る前に大人しく歩きなさいとお母さんに注意されていた。
それは無理なんじゃないでしょうか?
手にはお揃いの布が巻き付いた籠バッグがある。
皆が揃ったら当然お互いに褒め合う。
来る途中おじいさんにも褒めてもらった。
お姉ちゃんはわざわざ見せに寄ったらしい。
私もくるりと一周して褒めてもらった。
「しおりちゃんは誰と見るの?」
「クラスの仲良しの友達です。去年から友達と行ってます。」
「人が多いから気を付けてね。」
「はい。行ってきます。」
手を振って出かけた。
何も言わなかったけど、委員長もきっと誰かと来てるかもしれない。
おじいさんと見るんじゃないんだろう。
女の子と見る画は想像できなかった。
きっとクラスの男子と・・・・。
沼田君たちと。
そう思った。
あちこちで待ち合わせしてる人の集団はいた。
地域のお祭りの中でも大きいからたくさんの人が来る。
夜だし、はぐれたらもう会えない、現地集合も難しいくらい。
自分達の中学だから、運動場じゃない、離れた教室の前とかだとなんとかなるかな。
それでも暗いと思うから。
いつもより動きにくい恰好と足元で、人の合間をすり抜けるのに必死だった。
いろんな浴衣の柄に目が奪われてしまう。
かき氷を食べたいなあ、横目で見たりして。
先頭の子がずんずん進んで、そんな事も言い出す暇もなく。
後でもいいか。
色んな匂いがする。
お祭りの匂いだ。
ソースや甘い匂いや、油の匂い。
チラリと視界の端にお姉ちゃんが見えた気がした。
姿が似ていた気がした。
でも浴衣が違ったかな?
止まってもっとよく見ようとしてもチラチラとしか見えない。
男の人が見えた。
お姉ちゃんより背の高い大人の人。
やっと見えたと思ったら、やっぱり浴衣が違った。
別人の大人の二人だった。
なんでかちょっとだけホッとした。
歩き出そうと視線を前に向けたら、視界に見覚えのある浴衣の姿がなかった。
あれ?
もう?・・・花火見る前から迷子になってしまった。
どうしよう。もう、なんてダメなんだろう。楽しみにしてたのに。
一体どこまで歩いて行くつもりだったのか、それも聞いてない。
『ごめんなさい。お姉ちゃんを見かけて立ち止まったら、皆と離れてしまいました。どこにいますか?』
取りあえず立っていても動く人にぶつかられてしまう。
端の方へ行ってフェンスにもたれた。
楽しみにしてたのに、まさか一人で見るの?
まだ誰も携帯に返信くれないまま。
明るい画面で写真を見る。
たくさんの黒い写真が並ぶ。
あんの写真だ。
小さいころから今まで何枚も撮った。毎日撮った。今も撮り続けてる。
丸い目は少し緑のようにも見える。光の加減だろうか。
顔を大きく映すとチャームポイントの靴下履き忘れの足が写らない。
ゴロンと横になって投げ出された足をいれたらとても可愛い。
片手で猫じゃらしを持って揺らして撮った写真はもっと可愛い。
全部可愛い。
内緒だけど、ナオより一路より可愛い。
おじいさんも委員長も自分の家の猫が一番だと思ってるだろうか?
きっとね。
本当に誰も気がついてくれないのか、携帯は静かなまま。
顔をあげて見ても誰もいない。
「しおりさん。」
ビックリした。
久しぶりに名前を呼ばれた。
最初の最初はフルネームで呼ばれたんだった・・・・・、そんな事を思い出した。
そこに委員長がいた。
一人だった。
「待ち合わせ?」
「ううん、皆で来たのによそ見した間に迷子になったの。連絡しても誰も気がついてくれない。花火が終わるまで会えないかも・・・・。委員長は?誰と?」
「僕は一人。おじいちゃんにはお土産のリクエストをされて、ついでにお小遣いももらった。」
そう言って美味しそうな匂いのする袋を見せてくれた。
イカ焼きらしい。
あ~、匂いが私を誘う。
「花火見てたら冷たくなるね。」
「いいらしい。お酒のおつまみだって言ってた。」
じゃあ、急いで帰るわけでもないらしい。
それは見るでしょう、花火。
運動場の隅のフェンス。
明かりが届かなくて暗い。
「よく私だと分かったね、暗いよ。」
「携帯見てて顔だけが明るく照らされてたから。」
周りを見ると確かに顔が明るく浮かんでる人たち。
「ちょっと怖いね。ニヤリと笑ったりしたらホラーみたい。」
「うん、怖かった。」
「え・・・・・・・。」
冗談で言ったのに。
「ああ、嘘嘘。ニコニコしてたから、もしかしてあんの写真を見てたのかなって思ってた。」
その通りです。心の中で可愛いを連発してました。
「ねえ、委員長はやっぱり一路が一番かわいい?」
そう聞いた。
じっと見つめられた。
「それはしおりさんはあんが一番だってことだよね。」
「・・・うん、あの白い足が好きなの。一本だけ履き忘れてる黒い脚も。目も丸くてかわいい、女の子の顔をしてる。ナオとは違うもん。お姉ちゃんは自分に似て美人だって言ってる。」
「そうだね、かわいいね。」
そう言われてなぜか照れてしまった。
だからあんの話?一路の話?
視線をはずす。
正面を見た時に放送があって一発大きな音がして花火が上がった。
携帯は静かなまま。
もう会えない。
でもいい・・・・・かな。
委員長と二人でフェンスにもたれて花火を見上げた。
誰もが上を見ている。
『うわあっ。』
そんな声が聞こえる。
でもその内聞こえなくなるほどドンドンと打ちあがる音が続いて。
大きく咲いた花火がゆっくりと空に溶けていく。
白い煙になって、流されて。
「今日は最高の花火日和だな。」
「そうかもね。」
委員長が言うように風があって煙は流されていく。
そうするとしばらくしてまた黒いキャンパスが広がって、そこに大輪の花が咲く。
打ち上げる音が体に響くくらい。
そしてすごくドキドキもしてる。
さっき声が聞こえなくて、少しだけ近寄ったら、手が触れた。
手が当たって、イカ焼きと私のバッグがくっついて音を立てて。
委員長が急いでイカ焼きを別な手に移した。
「ごめん、臭いがついちゃうね。」
「嫌いじゃない・・・・好きだよ。」
そう言った時、丁度花火がお休みで、思ったより自分の声が大きく聞こえた。
きっと気のせいだろう。
打ち上げる音が響かないのに、自分の心臓がうるさい。
一緒に宿題はやれてないけど、約束の花火は一緒に見れた。
偶然だけど、一緒に見れた。
一時間くらいの花火のあと、灯りがついて、人が動き始めた。
いつの間にか携帯に連絡があった。
『しょうがないなあ。もう一人で見なさい!!』
『会うのは無理だよね。』
『終わったら、理科室の前に集合しよう。露店巡りしたい。』
「じゃあ、理科室で皆が待ってくれてる。一緒にいてくれてありがとう。一緒に見れて良かった。」
「うん。僕も。僕はおじいちゃんのところにイカを届ける。少しだけ来ない?」
「早く・・・・みんなと別れたら、・・・行く、かも。」
「待ってる。二人と一匹で、待ってるから。」
うなずいて歩きだした。
今日は泊りなんだろう。
毎週そうだったのだろうか?
夏は野菜がたくさん採れると言っていた。
毎週手伝って、美味しく二人で食べてたのかもしれない。
私もおじいさんに分けてもらってお母さんに渡した。
時々料理しておじいさんに持って行った。
ナオは冷たく冷やしたキュウリが好きらしい。
前足で挟んで食べていた。
おじいさんの手作りは美味しいと思うのかもしれない。
会場が静かになったと思ったら、一発どんと大きく響いた。
それからは一斉に花火が打ちあがった。
天気もよくて少し風がある日。
それは絶好の花火空だと隣の人が言う。
昼間は暑かった。
涼しい自習室で勉強をしていたけど、行き帰りが暑かった。
あと少しで数学強化の塾の日々は終わる。
萌ちゃんとは時々遊ぼうねと約束をしている。
もしかしたら猫を貰えるかもしれないと嬉しそうに教えてくれた。
そうしたら絶対会いに行くって言ってる。
さすがに紺さんとはそんな約束はできないから、夏が終わったら会うことも勉強を教わることもないんだろう。
花火の夕方、浴衣に着替えさせてもらった。
お姉ちゃんも浴衣を着て早々に出かけてる。
家を出る前に大人しく歩きなさいとお母さんに注意されていた。
それは無理なんじゃないでしょうか?
手にはお揃いの布が巻き付いた籠バッグがある。
皆が揃ったら当然お互いに褒め合う。
来る途中おじいさんにも褒めてもらった。
お姉ちゃんはわざわざ見せに寄ったらしい。
私もくるりと一周して褒めてもらった。
「しおりちゃんは誰と見るの?」
「クラスの仲良しの友達です。去年から友達と行ってます。」
「人が多いから気を付けてね。」
「はい。行ってきます。」
手を振って出かけた。
何も言わなかったけど、委員長もきっと誰かと来てるかもしれない。
おじいさんと見るんじゃないんだろう。
女の子と見る画は想像できなかった。
きっとクラスの男子と・・・・。
沼田君たちと。
そう思った。
あちこちで待ち合わせしてる人の集団はいた。
地域のお祭りの中でも大きいからたくさんの人が来る。
夜だし、はぐれたらもう会えない、現地集合も難しいくらい。
自分達の中学だから、運動場じゃない、離れた教室の前とかだとなんとかなるかな。
それでも暗いと思うから。
いつもより動きにくい恰好と足元で、人の合間をすり抜けるのに必死だった。
いろんな浴衣の柄に目が奪われてしまう。
かき氷を食べたいなあ、横目で見たりして。
先頭の子がずんずん進んで、そんな事も言い出す暇もなく。
後でもいいか。
色んな匂いがする。
お祭りの匂いだ。
ソースや甘い匂いや、油の匂い。
チラリと視界の端にお姉ちゃんが見えた気がした。
姿が似ていた気がした。
でも浴衣が違ったかな?
止まってもっとよく見ようとしてもチラチラとしか見えない。
男の人が見えた。
お姉ちゃんより背の高い大人の人。
やっと見えたと思ったら、やっぱり浴衣が違った。
別人の大人の二人だった。
なんでかちょっとだけホッとした。
歩き出そうと視線を前に向けたら、視界に見覚えのある浴衣の姿がなかった。
あれ?
もう?・・・花火見る前から迷子になってしまった。
どうしよう。もう、なんてダメなんだろう。楽しみにしてたのに。
一体どこまで歩いて行くつもりだったのか、それも聞いてない。
『ごめんなさい。お姉ちゃんを見かけて立ち止まったら、皆と離れてしまいました。どこにいますか?』
取りあえず立っていても動く人にぶつかられてしまう。
端の方へ行ってフェンスにもたれた。
楽しみにしてたのに、まさか一人で見るの?
まだ誰も携帯に返信くれないまま。
明るい画面で写真を見る。
たくさんの黒い写真が並ぶ。
あんの写真だ。
小さいころから今まで何枚も撮った。毎日撮った。今も撮り続けてる。
丸い目は少し緑のようにも見える。光の加減だろうか。
顔を大きく映すとチャームポイントの靴下履き忘れの足が写らない。
ゴロンと横になって投げ出された足をいれたらとても可愛い。
片手で猫じゃらしを持って揺らして撮った写真はもっと可愛い。
全部可愛い。
内緒だけど、ナオより一路より可愛い。
おじいさんも委員長も自分の家の猫が一番だと思ってるだろうか?
きっとね。
本当に誰も気がついてくれないのか、携帯は静かなまま。
顔をあげて見ても誰もいない。
「しおりさん。」
ビックリした。
久しぶりに名前を呼ばれた。
最初の最初はフルネームで呼ばれたんだった・・・・・、そんな事を思い出した。
そこに委員長がいた。
一人だった。
「待ち合わせ?」
「ううん、皆で来たのによそ見した間に迷子になったの。連絡しても誰も気がついてくれない。花火が終わるまで会えないかも・・・・。委員長は?誰と?」
「僕は一人。おじいちゃんにはお土産のリクエストをされて、ついでにお小遣いももらった。」
そう言って美味しそうな匂いのする袋を見せてくれた。
イカ焼きらしい。
あ~、匂いが私を誘う。
「花火見てたら冷たくなるね。」
「いいらしい。お酒のおつまみだって言ってた。」
じゃあ、急いで帰るわけでもないらしい。
それは見るでしょう、花火。
運動場の隅のフェンス。
明かりが届かなくて暗い。
「よく私だと分かったね、暗いよ。」
「携帯見てて顔だけが明るく照らされてたから。」
周りを見ると確かに顔が明るく浮かんでる人たち。
「ちょっと怖いね。ニヤリと笑ったりしたらホラーみたい。」
「うん、怖かった。」
「え・・・・・・・。」
冗談で言ったのに。
「ああ、嘘嘘。ニコニコしてたから、もしかしてあんの写真を見てたのかなって思ってた。」
その通りです。心の中で可愛いを連発してました。
「ねえ、委員長はやっぱり一路が一番かわいい?」
そう聞いた。
じっと見つめられた。
「それはしおりさんはあんが一番だってことだよね。」
「・・・うん、あの白い足が好きなの。一本だけ履き忘れてる黒い脚も。目も丸くてかわいい、女の子の顔をしてる。ナオとは違うもん。お姉ちゃんは自分に似て美人だって言ってる。」
「そうだね、かわいいね。」
そう言われてなぜか照れてしまった。
だからあんの話?一路の話?
視線をはずす。
正面を見た時に放送があって一発大きな音がして花火が上がった。
携帯は静かなまま。
もう会えない。
でもいい・・・・・かな。
委員長と二人でフェンスにもたれて花火を見上げた。
誰もが上を見ている。
『うわあっ。』
そんな声が聞こえる。
でもその内聞こえなくなるほどドンドンと打ちあがる音が続いて。
大きく咲いた花火がゆっくりと空に溶けていく。
白い煙になって、流されて。
「今日は最高の花火日和だな。」
「そうかもね。」
委員長が言うように風があって煙は流されていく。
そうするとしばらくしてまた黒いキャンパスが広がって、そこに大輪の花が咲く。
打ち上げる音が体に響くくらい。
そしてすごくドキドキもしてる。
さっき声が聞こえなくて、少しだけ近寄ったら、手が触れた。
手が当たって、イカ焼きと私のバッグがくっついて音を立てて。
委員長が急いでイカ焼きを別な手に移した。
「ごめん、臭いがついちゃうね。」
「嫌いじゃない・・・・好きだよ。」
そう言った時、丁度花火がお休みで、思ったより自分の声が大きく聞こえた。
きっと気のせいだろう。
打ち上げる音が響かないのに、自分の心臓がうるさい。
一緒に宿題はやれてないけど、約束の花火は一緒に見れた。
偶然だけど、一緒に見れた。
一時間くらいの花火のあと、灯りがついて、人が動き始めた。
いつの間にか携帯に連絡があった。
『しょうがないなあ。もう一人で見なさい!!』
『会うのは無理だよね。』
『終わったら、理科室の前に集合しよう。露店巡りしたい。』
「じゃあ、理科室で皆が待ってくれてる。一緒にいてくれてありがとう。一緒に見れて良かった。」
「うん。僕も。僕はおじいちゃんのところにイカを届ける。少しだけ来ない?」
「早く・・・・みんなと別れたら、・・・行く、かも。」
「待ってる。二人と一匹で、待ってるから。」
うなずいて歩きだした。
今日は泊りなんだろう。
毎週そうだったのだろうか?
夏は野菜がたくさん採れると言っていた。
毎週手伝って、美味しく二人で食べてたのかもしれない。
私もおじいさんに分けてもらってお母さんに渡した。
時々料理しておじいさんに持って行った。
ナオは冷たく冷やしたキュウリが好きらしい。
前足で挟んで食べていた。
おじいさんの手作りは美味しいと思うのかもしれない。
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