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1吉川祥子 つぶやきたい時
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早いものでもう5年がたつ。
最初の頃は自分で言うのもなんだが、それはそれはとても可愛らしくて。
ちょっと威厳がないくらいだからと思って、信頼を得るためにもカチッとしたシャープな服を選び、言葉選びにも気を配って。疲れた疲れた。
なんて言ってる間にすっかり可愛い格好が似合わなくなった。
そして強くたくましく頼りがいがある姉御肌みたいな私が出来上がったのだ。
え、もう?
自分が一番びっくり!
誰もが言う、『落ち着いて見えますね。』って、それは褒めてますか?
結婚相談所で働く私。最初はお客様の方が年上で。
それでもすぐに同世代みたいな感じで見られる気がしてきた。
まあ、仕事上はそれでもよしとしていた。
そして頼りなくても親身になる共感方向の路線で仕事をしていた同期はちゃかりと顧客の幸せだけじゃなくて自分の幸せを見つけて去っていった。
人の幸せばかり手伝って自分が幸せになれないなんてどういうことよ~。
叫びたい。必然的に会社でのポジションが上がり立場上もう降りれない。
は~、本当に私の幸せを世話してくれる人はいないの?
悲しい28歳 確実に5歳は上に見られる私。
吉川祥子 誰がつけたか『日比谷の吉祥天様』と呼ばれてる。
日比谷のオフィスに配属になり最初の頃はランチも楽しめてたのに、今じゃあ携帯食片手に仕事している日々。
今もオフィスから遠くの背の高いビルを見ながらつかの間の休息。
予約が立て込んで皆がんばってる、面倒などと言ったらいけない。
自分本位な、わがままな、理想だけが高いクライアントがどんどんこっちに流れてくる。
入会後のフォローで問題児に認定されると担当者以外に私も面談する。
この仕事は人と人を結ぶ。
双方の思いが合うようなペアリングができると快感を覚えてしまうけど、そんなペアはまれ。
とにかく何度か会ううちにお互い条件を譲歩していき落ち着くペアが多い。
まったく譲歩する気がない人はなかなか厄介で・・・・。
それでも吉祥天と呼ばれるからには何とかしてうまく落ち着かせたい!
難しい問題児こそやりがいがあるはず。
こうして今日も誰かの幸せのために働く私です。
CMでも見かけるような大手の結婚相談所。
その中でも日比谷にオフィスを構えてるせいかサラリーマン、OLさん男女ともにおしゃれで素敵な条件の人が多い。その分妥協なんかしない。
まず驚くのは大学をでてすぐに登録する人。就職と同時くらいに。
少しは社内ラブとか合コンを楽しみましょうよ。
決して引っ込み思案とかじゃない普通の可愛い女の子も多い。
理由を尋ねると手っ取り早いと。
条件で篩をかけた中から確実に優先したい条件で相手を選ぶ。
趣味など聞かなくてもある程度は情報として載っている。
たしかにそういう個人チャートはできるだけ個性重視でお願いしてるし、学歴年収も特に男の人は証明できるものを提出してもらう。
面倒な手間をかけているがお互いに信頼を裏切るわけには行かない。
それでもちょっとカタログから選ぶように直線的なもので、自分で働いておきながら抵抗がないわけではない。
今だって私がどこかに登録するかといえば今は考えられない。
まだ自分で見つけたいと希望を持っていたい。
でもダメなら、最終的には誰かの手を・・・なんて。
40歳くらいの人になるとそんなことを思い始めるのかキャリアアップしたOLさんやとうとう自力をあきらめた人、なんとか30台で駆け込みたい人も多い。
もちろん望む年齢は同じか少し上になる。
こうして男性も50歳くらいまでは登録者が多い。
バツって言葉は使わないけど離婚経験した人もたくさんいる。
元から条件として出しておけば楽なんだと思う。
その条件でもと望まれる方、気にしない方をカップリング成功に導くと本当に幸せを感じてしまう。
なんだかんだ言っても思ってもやりがいも感じてしまって、この仕事が好きだってことにつきる。
こうして一日が終わる頃にはヘトヘトになってもね。
休日はバラバラで平日が多いのは仕方がない。木曜日がオフィスの定休日。
それ以外でもう一日。きちんと休みは取れるのが救いだ。
明日は木曜日。
みんなが帰ってしまったオフィスに一人。
照明を落とし廊下の明りで窓に映る自分の姿を見る。
こんなに寂しそうな立ち姿は一人のときだけ。
誰かがいるときはもっと胸を張ってシャンとするから。
さて私も帰ろう。
戸締りを確認して入り口を出ようとしたときに、エレベーターが上がってきて止まる音がした。
すぐにドアが開き後輩の明くんがこっちに走ってくる。
「すみません。忘れ物です。」
デスクの引き出しを開けてるような音がしてバッグにしまいながら戻ってくる。
隣にきてもう一度繰り返す。
「すみませんでした。」
明るく元気に言われて、あんまりすみません感が無いよ・・・・。
明君のためにつけた照明を又消す。
思ったより背が高いなあと遠くの窓に映った自分と彼の姿を見て思った。
こんなに近くで並ぶ姿を客観的に見ることも少ないから。
一緒にエレベーターに乗りビルを出る。
入り口のところで挨拶をして別れる。
「祥子さん 全然飲み会来られませんよね。今日この後一緒にどうですか?」
勘弁してくれ。疲れの見えない若い子達が集まるところに行くなんて。
明君は三年後輩で25歳 きっと飲んでるのもアンダー25メンバーでしょう。
「ごめんね、今日は都合が悪いわ。」
大人の言い訳でさらりとかわして駅に向かう。
「じゃあ、お疲れ様でした。」
そう残念そうでもない声を意識しないようにして手を振って歩き出す。
日比谷オフィスはとても仲が良い。
後輩も皆明るい子達、しかも可愛い子ばかり。
一緒にいるとどうしてもお姉さんキャラを続けてしまう。
それは疲れるのだ。
本当は私も誰かを頼って甘えてみたい。見た目より弱いのよ、多分。
そのまままっすぐに一人暮らしの部屋へ帰るべく駅に向かう。
スーツを脱いで私が素顔でいられる部屋へ。
最初の頃は自分で言うのもなんだが、それはそれはとても可愛らしくて。
ちょっと威厳がないくらいだからと思って、信頼を得るためにもカチッとしたシャープな服を選び、言葉選びにも気を配って。疲れた疲れた。
なんて言ってる間にすっかり可愛い格好が似合わなくなった。
そして強くたくましく頼りがいがある姉御肌みたいな私が出来上がったのだ。
え、もう?
自分が一番びっくり!
誰もが言う、『落ち着いて見えますね。』って、それは褒めてますか?
結婚相談所で働く私。最初はお客様の方が年上で。
それでもすぐに同世代みたいな感じで見られる気がしてきた。
まあ、仕事上はそれでもよしとしていた。
そして頼りなくても親身になる共感方向の路線で仕事をしていた同期はちゃかりと顧客の幸せだけじゃなくて自分の幸せを見つけて去っていった。
人の幸せばかり手伝って自分が幸せになれないなんてどういうことよ~。
叫びたい。必然的に会社でのポジションが上がり立場上もう降りれない。
は~、本当に私の幸せを世話してくれる人はいないの?
悲しい28歳 確実に5歳は上に見られる私。
吉川祥子 誰がつけたか『日比谷の吉祥天様』と呼ばれてる。
日比谷のオフィスに配属になり最初の頃はランチも楽しめてたのに、今じゃあ携帯食片手に仕事している日々。
今もオフィスから遠くの背の高いビルを見ながらつかの間の休息。
予約が立て込んで皆がんばってる、面倒などと言ったらいけない。
自分本位な、わがままな、理想だけが高いクライアントがどんどんこっちに流れてくる。
入会後のフォローで問題児に認定されると担当者以外に私も面談する。
この仕事は人と人を結ぶ。
双方の思いが合うようなペアリングができると快感を覚えてしまうけど、そんなペアはまれ。
とにかく何度か会ううちにお互い条件を譲歩していき落ち着くペアが多い。
まったく譲歩する気がない人はなかなか厄介で・・・・。
それでも吉祥天と呼ばれるからには何とかしてうまく落ち着かせたい!
難しい問題児こそやりがいがあるはず。
こうして今日も誰かの幸せのために働く私です。
CMでも見かけるような大手の結婚相談所。
その中でも日比谷にオフィスを構えてるせいかサラリーマン、OLさん男女ともにおしゃれで素敵な条件の人が多い。その分妥協なんかしない。
まず驚くのは大学をでてすぐに登録する人。就職と同時くらいに。
少しは社内ラブとか合コンを楽しみましょうよ。
決して引っ込み思案とかじゃない普通の可愛い女の子も多い。
理由を尋ねると手っ取り早いと。
条件で篩をかけた中から確実に優先したい条件で相手を選ぶ。
趣味など聞かなくてもある程度は情報として載っている。
たしかにそういう個人チャートはできるだけ個性重視でお願いしてるし、学歴年収も特に男の人は証明できるものを提出してもらう。
面倒な手間をかけているがお互いに信頼を裏切るわけには行かない。
それでもちょっとカタログから選ぶように直線的なもので、自分で働いておきながら抵抗がないわけではない。
今だって私がどこかに登録するかといえば今は考えられない。
まだ自分で見つけたいと希望を持っていたい。
でもダメなら、最終的には誰かの手を・・・なんて。
40歳くらいの人になるとそんなことを思い始めるのかキャリアアップしたOLさんやとうとう自力をあきらめた人、なんとか30台で駆け込みたい人も多い。
もちろん望む年齢は同じか少し上になる。
こうして男性も50歳くらいまでは登録者が多い。
バツって言葉は使わないけど離婚経験した人もたくさんいる。
元から条件として出しておけば楽なんだと思う。
その条件でもと望まれる方、気にしない方をカップリング成功に導くと本当に幸せを感じてしまう。
なんだかんだ言っても思ってもやりがいも感じてしまって、この仕事が好きだってことにつきる。
こうして一日が終わる頃にはヘトヘトになってもね。
休日はバラバラで平日が多いのは仕方がない。木曜日がオフィスの定休日。
それ以外でもう一日。きちんと休みは取れるのが救いだ。
明日は木曜日。
みんなが帰ってしまったオフィスに一人。
照明を落とし廊下の明りで窓に映る自分の姿を見る。
こんなに寂しそうな立ち姿は一人のときだけ。
誰かがいるときはもっと胸を張ってシャンとするから。
さて私も帰ろう。
戸締りを確認して入り口を出ようとしたときに、エレベーターが上がってきて止まる音がした。
すぐにドアが開き後輩の明くんがこっちに走ってくる。
「すみません。忘れ物です。」
デスクの引き出しを開けてるような音がしてバッグにしまいながら戻ってくる。
隣にきてもう一度繰り返す。
「すみませんでした。」
明るく元気に言われて、あんまりすみません感が無いよ・・・・。
明君のためにつけた照明を又消す。
思ったより背が高いなあと遠くの窓に映った自分と彼の姿を見て思った。
こんなに近くで並ぶ姿を客観的に見ることも少ないから。
一緒にエレベーターに乗りビルを出る。
入り口のところで挨拶をして別れる。
「祥子さん 全然飲み会来られませんよね。今日この後一緒にどうですか?」
勘弁してくれ。疲れの見えない若い子達が集まるところに行くなんて。
明君は三年後輩で25歳 きっと飲んでるのもアンダー25メンバーでしょう。
「ごめんね、今日は都合が悪いわ。」
大人の言い訳でさらりとかわして駅に向かう。
「じゃあ、お疲れ様でした。」
そう残念そうでもない声を意識しないようにして手を振って歩き出す。
日比谷オフィスはとても仲が良い。
後輩も皆明るい子達、しかも可愛い子ばかり。
一緒にいるとどうしてもお姉さんキャラを続けてしまう。
それは疲れるのだ。
本当は私も誰かを頼って甘えてみたい。見た目より弱いのよ、多分。
そのまままっすぐに一人暮らしの部屋へ帰るべく駅に向かう。
スーツを脱いで私が素顔でいられる部屋へ。
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