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2 出会いの翌日
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嫌なものの一つ。主任会議。
なりたくてなったわけじゃないし、やりたくてやってるわけでもないのに。
勤務年数と年齢だけで選ばれた気がする、押し付けられたが正解の主任の役職。
メリットはというとちょっと夜勤が減ってる。それくらい。
日勤を終えて疲れてるところに始まる会議。
でも休みの日に来るのはもっと耐えられない。
疲れてるのに、疲れたら余計に些細なミスが増えるのに。
休ませて欲しい。
会議と勉強会と新人教育、雑用が増えてる今。
こなれた頃の後輩がキラキラとして見えて、何でもてきぱきとできる先輩にあこがれてたはずなのに、私は磨り減るように疲れている。
昨日のお休みだって・・・・。
結局ゲームも参加せず少し離れたところで話をしていた。
だって本当にマニアックなクイズ大会のイベントで。
分かりませんというより知りません。
問題中の単語すら理解不能だった。
肝心の美幸はずっと同じ人と一緒にいたので別行動でよかった。
春日さんのお相手も同志と盛り上がってて問題なし。
ゲームにはチーム一丸となって参加してるみたいだった。
春日さんが笑って言っていた。
じゃあってことで終わった後電車に乗って都内まで戻り食事をした。
・・・・流れで・・・・。
朝は遠いと思って本を持ってきて読んでいた。結構読めた道のり。
帰りは横に春日さんがいてずっとおしゃべりをしていた。
上手なんだと思う。退屈せずあっという間に都内に戻ってこれたから。
ご飯を食べませんかと誘われて、一緒にお店に入って食事をした。
一応、そう一応おしゃれをしてきた私。
めったに見えるところにはつけないアクセサリーも、自転車通勤では着ることのないヒラヒラしたワンピースも。
それなりにがんばってはみたんだ。
「奈央さん、その服似合ってますね。色も、形も。すごくおしゃれです。」
本当にさらりと褒める人。
名前を確認されてからずっと下の名前で呼ばれてる。
「ありがとうございます。」
なんだかわざとかと思うほどグラスを片手に持って女性を褒める人。
手馴れてる気がして警戒レベルが上がる。
さっきの膝乗せの件といい、侮らないようにしよう。
「今考えてること当てましょうか?」
「何ですか?」
ちょっと内心のドキドキは隠して普通の顔で聞いてみる。
「『こいつはいつもこんなことを言ってるな!』でしょう?」
ビックリ!その通りすぎて顔に出たかも。このやり取りも毎回なのかしら?
「違いますよ。こんなこと誰にでも言いませんし、普通の顔してさらっと言ってる振りです。奈央さんを前にして緊張してますよ。本当にドキドキを見せられなくて残念です。」
ちらりと見たら笑顔で、全然緊張感ないし。
気にしないようにして食事に専念するように食べる。
感想を言い合い、目先のことに話題を広げ、個人的なことを話すこともなく。
最後にお酒をお代わりして。
今日はよく眠れそう。すでに眠い。
遠かったから朝も早起きだったし。
お酒も程よく回る。
さすがにあくびなんてしないけど、ちょっとばれたみたい。本当に鋭い。
私ってそんなにバレやすい?
「あとデザートありますよ。コーヒーで目覚ましして帰りましょうね。」
優しい言い方が子供に対する言い方にも聞こえる。
「デザート楽しみです。」
向かいの席でちょっと笑い声がしたような・・・・。
そう、食事も美味しかったしデザートも期待出来ると思う。
お水をもらい飲んで、少し目が覚めた気がする。
運ばれてきたデザート三種類。美味しかった。
頼んだ濃いコーヒーも目覚ましにぴったり。
じゃあ行きましょうか?そういわれて席を立つ。
「誘ったから驕りますよ。」
そういわれて名前しか知らない人にご馳走になった。
「美味しかったです。ご馳走様でした。」
「良かったです、また一緒に来たいですね。」
また?・・・・さらりと言われた?
だって本当に名前しか知らない。そのまま駅に向かう。
少し前を歩く私にうしろから声がかかった。
「奈央さん、これ名刺です。連絡もらえたらうれしいです。」
渡された名刺には個人のアドレスが入っていたけど、でも会社のだよね?
よくある手書きのものはなく。
社名を見てもよくわからない。
「本当に待ってますから。」
そういわれて見上げる。
春日さんが笑ってるけど、ちょっと自信なさそう?・・・そうでもないか?
不真面目な感じはない。
食事のお礼はするべきよね。だから出すとは思うけど。
「私、名刺は持ってなくて。すみません。」
「いえ。」
無くさないでくださいね、そう言って春日さんの名刺を持つ手をそっと包まれた。
優しい感じ。やっぱり手馴れた奴とか思わないでもないけど。
手はすぐ離れたので私も名刺を財布にしまった。
そしてあのあと本当によく眠れて。メールを送らなかった。
失礼な奴って思われてるかな?
だって仕事の名刺だし。会社のパソコンでしょう?
ただ今日になってもまだ送ってない。
打ち込んで内容も決めて保存してあるのに。
お礼だけ、すごくシンプルなメールになってしまって。
送信できずに何度か見直して。
時間が経つほどにしづらくなるのに。
意識しすぎかも、でもはっきりとした理由はわからないまま。
聞き上手話し上手で、一緒にいても構えずにすむ。
お互いあまり深く探るような質問もなく、今のところ個人情報なんて・・・・名前くらい?あと身長。
まるで同僚との会話みたいな。想像で、あくまでも。
本当にどうしよう。・・・・・とりあえず・・・今は会議前だから忘れよう。
主任会議は毎月ある。
つまるところ書類でいいのでは、集まらなくても。
いつもそう思うのに。誰も言いださないから。
今日も消せない疲労をはりつけたいつもの顔が揃って始まった。
なりたくてなったわけじゃないし、やりたくてやってるわけでもないのに。
勤務年数と年齢だけで選ばれた気がする、押し付けられたが正解の主任の役職。
メリットはというとちょっと夜勤が減ってる。それくらい。
日勤を終えて疲れてるところに始まる会議。
でも休みの日に来るのはもっと耐えられない。
疲れてるのに、疲れたら余計に些細なミスが増えるのに。
休ませて欲しい。
会議と勉強会と新人教育、雑用が増えてる今。
こなれた頃の後輩がキラキラとして見えて、何でもてきぱきとできる先輩にあこがれてたはずなのに、私は磨り減るように疲れている。
昨日のお休みだって・・・・。
結局ゲームも参加せず少し離れたところで話をしていた。
だって本当にマニアックなクイズ大会のイベントで。
分かりませんというより知りません。
問題中の単語すら理解不能だった。
肝心の美幸はずっと同じ人と一緒にいたので別行動でよかった。
春日さんのお相手も同志と盛り上がってて問題なし。
ゲームにはチーム一丸となって参加してるみたいだった。
春日さんが笑って言っていた。
じゃあってことで終わった後電車に乗って都内まで戻り食事をした。
・・・・流れで・・・・。
朝は遠いと思って本を持ってきて読んでいた。結構読めた道のり。
帰りは横に春日さんがいてずっとおしゃべりをしていた。
上手なんだと思う。退屈せずあっという間に都内に戻ってこれたから。
ご飯を食べませんかと誘われて、一緒にお店に入って食事をした。
一応、そう一応おしゃれをしてきた私。
めったに見えるところにはつけないアクセサリーも、自転車通勤では着ることのないヒラヒラしたワンピースも。
それなりにがんばってはみたんだ。
「奈央さん、その服似合ってますね。色も、形も。すごくおしゃれです。」
本当にさらりと褒める人。
名前を確認されてからずっと下の名前で呼ばれてる。
「ありがとうございます。」
なんだかわざとかと思うほどグラスを片手に持って女性を褒める人。
手馴れてる気がして警戒レベルが上がる。
さっきの膝乗せの件といい、侮らないようにしよう。
「今考えてること当てましょうか?」
「何ですか?」
ちょっと内心のドキドキは隠して普通の顔で聞いてみる。
「『こいつはいつもこんなことを言ってるな!』でしょう?」
ビックリ!その通りすぎて顔に出たかも。このやり取りも毎回なのかしら?
「違いますよ。こんなこと誰にでも言いませんし、普通の顔してさらっと言ってる振りです。奈央さんを前にして緊張してますよ。本当にドキドキを見せられなくて残念です。」
ちらりと見たら笑顔で、全然緊張感ないし。
気にしないようにして食事に専念するように食べる。
感想を言い合い、目先のことに話題を広げ、個人的なことを話すこともなく。
最後にお酒をお代わりして。
今日はよく眠れそう。すでに眠い。
遠かったから朝も早起きだったし。
お酒も程よく回る。
さすがにあくびなんてしないけど、ちょっとばれたみたい。本当に鋭い。
私ってそんなにバレやすい?
「あとデザートありますよ。コーヒーで目覚ましして帰りましょうね。」
優しい言い方が子供に対する言い方にも聞こえる。
「デザート楽しみです。」
向かいの席でちょっと笑い声がしたような・・・・。
そう、食事も美味しかったしデザートも期待出来ると思う。
お水をもらい飲んで、少し目が覚めた気がする。
運ばれてきたデザート三種類。美味しかった。
頼んだ濃いコーヒーも目覚ましにぴったり。
じゃあ行きましょうか?そういわれて席を立つ。
「誘ったから驕りますよ。」
そういわれて名前しか知らない人にご馳走になった。
「美味しかったです。ご馳走様でした。」
「良かったです、また一緒に来たいですね。」
また?・・・・さらりと言われた?
だって本当に名前しか知らない。そのまま駅に向かう。
少し前を歩く私にうしろから声がかかった。
「奈央さん、これ名刺です。連絡もらえたらうれしいです。」
渡された名刺には個人のアドレスが入っていたけど、でも会社のだよね?
よくある手書きのものはなく。
社名を見てもよくわからない。
「本当に待ってますから。」
そういわれて見上げる。
春日さんが笑ってるけど、ちょっと自信なさそう?・・・そうでもないか?
不真面目な感じはない。
食事のお礼はするべきよね。だから出すとは思うけど。
「私、名刺は持ってなくて。すみません。」
「いえ。」
無くさないでくださいね、そう言って春日さんの名刺を持つ手をそっと包まれた。
優しい感じ。やっぱり手馴れた奴とか思わないでもないけど。
手はすぐ離れたので私も名刺を財布にしまった。
そしてあのあと本当によく眠れて。メールを送らなかった。
失礼な奴って思われてるかな?
だって仕事の名刺だし。会社のパソコンでしょう?
ただ今日になってもまだ送ってない。
打ち込んで内容も決めて保存してあるのに。
お礼だけ、すごくシンプルなメールになってしまって。
送信できずに何度か見直して。
時間が経つほどにしづらくなるのに。
意識しすぎかも、でもはっきりとした理由はわからないまま。
聞き上手話し上手で、一緒にいても構えずにすむ。
お互いあまり深く探るような質問もなく、今のところ個人情報なんて・・・・名前くらい?あと身長。
まるで同僚との会話みたいな。想像で、あくまでも。
本当にどうしよう。・・・・・とりあえず・・・今は会議前だから忘れよう。
主任会議は毎月ある。
つまるところ書類でいいのでは、集まらなくても。
いつもそう思うのに。誰も言いださないから。
今日も消せない疲労をはりつけたいつもの顔が揃って始まった。
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