紹介し忘れましたが、これが兄です。

羽月☆

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11 次の日の約束は?

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薄く目を開けると春日さんに顔を見られていた。
暗闇の中とは言え恥ずかしくて。
横を向いて両手で顔を覆った。

「どうしたの?奈央さん。」

「嫌って・・・・言ったのに。恥ずかしくて、見ないでください。」

「嫌って・・・・。だって気持ちよさそうに声、うっ。」

春日さんの口をふさいだ。
もう絶対私の顔はこれ以上にないくらい真っ赤だと思う。
暗くて良かった。

「まさか、・・・・知らなかった?」

「・・・・何をですか?」

「ポイント。」

知りません、そう言ってまた顔を横に向けた。
今のはもういいです、聞かないでください、の意味ですが、・・・本当に知らなかった。
そんなに探り当てられたことがなかったから。普通に普通にしか。
言えるわけはない。
春日さんは今まで探ってきたんでしょうが・・・・・・そういうことだろう。
いろんな女の人を抱いたんでしょう?
ちょっと胸が痛んだ。
横を向いた顔、体もそっと横に向けて春日さんに背中を向けた。

又自分勝手な私が顔を出す。嫉妬する醜い自分も。ほんとうに嫌。

「奈央さん、なんでそっちむくの?ごめんね。何だろう?」

訳が分からなくても謝る春日さん。
やっぱり妹みたいに、どこまでも優しく甘やかして。

「私はお兄さんが欲しい訳じゃありません。」

言い返した。

「当たり前だから。ハルヒとは違うよ。」

すぐに言い返されたけど、全然違う。そんな事じゃない。

「そんなに優しく・・・してもらう価値はありません。嫌な女です、私はどうしようもなく。」

「どうしてそんな風に言うの?」

きっと悲しい顔で言ってる。声でわかる。

「そんな女は幸せになれないんです。だから選んでもらえなかった、だから愛してると言った同じ口で子供を可愛がる言葉も次々と出てきて・・・・。春日さんが今まで愛してきた女の人たちとは違うんです。そんなに深く愛されたことはないんです。自分勝手で、嫌な女なんです。」

つい正直に言ってしまった。
・・・気が付いただろうか、不倫していたと、子供もいる男の人と。

背後では沈黙が続いていた。
情けなくて涙が出る。
隠したいと頑張ってきたのに言ってしまった。
心のどこかでは許されるんじゃないかと思いたい自分もいて。
どこまでもしたたかに計算しながら、甘える女、どうしようもない。
だらしない女になった。最低。自分。

「奈央さん、優しくしなくていいんなら、いくらでもできますよ。昨日からずっと誰かを思い出してましたよね、だからずっと壁を作るように。縋るような目をしながら、すぐ後に拒否するよな目をして。だから言いましたよね。忘れてくれるんなら何でもすると。僕が抱いてその誰かを追い出せるのなら何度でも抱きます。それで忘れてくれるなら。ちゃんとこっちを向いてほしいのに、僕は初めて会った時から奈央さんを選んでましたよ。何が足りないのか、言ってください。」

「だから・・・私にはそんな価値はないと。足りないとかじゃないです。こぼれるほど余ってます。・・・・。」

「じゃあ、何ですか?」

「・・・・私はそんな、ハルヒちゃんのような素直でかわいい部分はないです。もっと計算高くて、嫉妬深くて、ズルくて、醜くくて、どうしようもない身勝手な女です。きっと本当の私を知ったら春日さんだってがっかりします。」

「ハルヒはそんなことは言ってませんよ。優しくて落ち着いた大人の人だと。」

「そんなの先輩面した私です。そんな顔くらい私も持ってます。」

「じゃあ、誰に対してそんな言うような嫌な女になるんですか?」

「好きになった人にです。当たり前です。」

「そうですよ、当たり前です。誰だってそうなりますよ。好きな人の過去の男の影にも嫉妬するし、いろいろ計算もします。有休をとって偶然を装って出会おうと思ってましたよ。気に入られようと言葉を紡ぎだして気持ちを引き寄せようと努力したり、体を重ねればもっともっと今までの誰かよりも喜ばせようと考えてさぐったり。さっき有頂天でしたよ。誰も探り当ててないところに触れて。何故か背中を向けられましたが。そうやって頑張れば頑張るほど本当の自分を隠してふるまって。でもそんな風じゃ長くは続かないですよ。疲れますよ。・・・・今、全部言いましたよ。ズルい男でしょう?勝手に片思いして、妹の細い情報を拾うようにして何とかしのいで。どうにかして近づきたくて。計算しつくしましたよ。あの偶然がどんなにうれしかったか分かってくれますか?いつまでも離したくなくてズルズルと付き合わせて。今日だってランチで満足しようと思って帰る決心をしたのに。目が覚めたら欲しくてたまらなくてこっそり触って。昨日から耳を触ってずっと誘ってましたよ。その気になるように。こんな男ですよ。醜いですか?」

また許そうとするの? 
それとも、私だけじゃないと言ってくれる春日さんのセリフを信じていいの?


「いいじゃないですか、納得できないなら計算高いしたたかな者同士ということでも。お似合いです。」

体の向きをかえられた、簡単に向き直る自分。
だから忘れて。そう呟いてキスをされた。
深く、舌を絡ませてきれいとは言えない、舐めまくるようなキス。
どんなに取り繕っても無理。
もう欲しくて、くっつけあった部分はさっきと同じようにゆっくり刺激し合いお互いを欲しがっている。

「春日さん、愛してください、今までの女の人より、もっと。」

視線を合わせてお願いする。

「もちろん、誰より。」

腰を持たれてゆっくり体を沈めてきた。

「本当に大丈夫ですか?最後の最後で止められる自信はないですよ。」

「大丈夫です。お願いです。そのまま。」

ゆっくり腰をスライドさせて春日さんが動く。
ゆるい快感がかつてない安堵感をもたらす。

抱かれているのに快感より安心感がある。
そう思ってたけど動きが早くなりお互いの息が上がると声を押さえるのも難しいくらいで。
さっき探られた場所を責められる。

「いやぁ、い・・・ぁあっぁっ。・・はぁ、ぁ・・・」

「奈央さん、嫌がらないで、ね。いいよね。教えて。」

「はぁぁ、はぁあ、い、いい。気持ちい・・・・ぃ。」

もっともっと。どっちが欲しがってるのか分からない。
私はもっと刺激と快感を、春日さんはもっと声をと。
そのまま足を持たれてぐっと深くまで入れて突かれる。

お互いに声を出しながら達した。
中で動く春日さんのものが吐き出したものまでちゃんと飲み込んだ。
春日さんが離れて私のそこも拭いてくれる。
抱き合うようにくっついて息を整える。

「気持ちいい。すごく中は気持ちいいよ。」

「うん。」それしか言えない。

まだ鼓動と息が落ち着かなくて。
ランチに行ける?間に合う?今何時?
声に出てたらしく時計を見て教えてくれる。
朝だと思ってたけどまだまだ真夜中だったらしい。
良く寝たと思ったのに。

抱き寄せられて顔が目の前に来た。
春日さんの顔。

「いいんですか?こんな女で。」

「いいよ。奈央は僕でいい?」

呼び捨てで呼ばれた。

「もちろんです。あの日からすごく気持ちが揺れて、会いたかったです。」

「だってメールは素っ気なかったけど。」

「だって・・・・なんだか揶揄われてるような気がして。どうしていいか分からなっくて。」

「良かった。偶然会えて。」

「ギイチさんに感謝ですね。」

「ねえ、何でギイチはギイチなのに僕は春日さんなの?」

「だってギイチさんはその名前しか知りません。」

「僕の名前は?」

 「一鉄さんですよね。覚えてますよ。」

「じゃあ、呼んで。家族はテツって呼ぶけど一鉄でいい。」

春日さんが似合うのに。

「一鉄さん。」

「ありがとう。」キスをされた。


「ハルヒちゃんは春日ハルヒでいいんですか?」

「そうだよ。」

「春日の名前をハルヒに呼び変えてるんだと思ってました。」

「変な名前だけど、本人は気に入ってるみたいだし。」

「可愛いですね。ピッタリです。春の日もハルヒも。」

「もう、ハルヒの話はいいよ。変な気分になる。ハルヒの友達を抱いてる気分で。」

「だって先に知り合ったのはハルヒちゃんです。」

「え~、そこは同時だってば。挨拶したじゃん。」

「だって本当に挨拶だけ。あの時妹をよろしくって言ってくれれば顔を見たのに。てっきり彼氏と思ってて。」

「顔を見たら・・・どうだったの?」

「もっとハルヒちゃんの語るお兄ちゃん像に具体的に顔がついて親近感が増してたと思います。」

「そうなの?しまった。でもあの時サラッて去って行ったのは奈央だよ。ずっと背中見てたのに全然気にせず歩いて行ったよね。」

「そんな、見てたんですか?」

「そうだよ。だからハルヒが気にしたんじゃない。言ったじゃない、ひとめぼれだって、ずっと片思いしてたって。」

「だって、あれだけで。」

「そう、あれだけで充分だった。」

「すっごく。あの時からこうなりたかった。ずっとそう思ってた。」

キスをしてまた体を寄せ合う。
体を触られながらも自分からどんどんあふれてくるものを感じる。
春日さんが手をやり、すごいというほどに自分の体は感じてる。

奈央、そう呼ばれるたびに、特別な感じがうれしくて。

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