優良なハンターと言われたその人の腕前は?

羽月☆

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9 あっさり覆った予定と追加される時間について。

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あれから外に一緒に出ることもなく、一人の時間は前よりもゆるりと過ごせるようになった。
人はどんな環境にも慣れるものらしい。
素晴らしい適応能力をみせて、一人の時間は鼻歌なんて歌いながら仕事をしたりして。
しかも急ぎの仕事は急いでやれば終わる。
それ以外は必要な日時をしっかり言ってくれるので一層余裕をもっていられる。

ああ・・・・そこは感謝感謝。


そしてやっぱり経費の振り出しは大きい。
移動のタクシーと食事代とお土産代と何らかの贈り物。
宛先を見ると会社名の事もあるし、個人名の事もある。
この中に彼女への貢物をいれてても分からないくらい。
だって女性の名前もあった。
私が同行した少ない会社の中には男性の担当者しかいなかったけど、そんな事もあるだろう。


金額は大きくても鬱陶しい訳じゃない。
専務の予定を見て突き合わせながら確認して細かく内容をつけ足しておく。

やっぱり彼女のプレゼントはないかな?

そういえばこの間の食事代の領収書を見てない。
どうしたんだろう?
『経費にする。』そう言ったのに。


ドアがノックされた。
いつもの軽いお知らせのような感じでもない。
まだ帰ってくる時間ではないはず。

返事をして立ち上がり、ドアを開けたら。


「お疲れ様。」




「お疲れ様です、林森さん。残念ですが専務は外出中で、もうしばらく戻られません。」


ちゃんと丁寧に留守番秘書としての態度で説明する。


「ああ、知ってる。昼に聞いたよ。」



それなのに来たの?


「一人で寂しいかなって、話をしに来たんだ。」




「まだ勤務時間ですが・・・・。」


「もちろんプライベートな時間をもらおうなんて思ってないよ。」


「・・・・・。」


「この間の事、専務にすぐに伝えたんですね。」


思わず低い声になった。


「ああ・・・だってあいつが誤解されたままなのも可哀想だし、お互い誤解は解けたでしょう?」

「お互いって何ですか?私の分は知りません。」


「まあ、それはいいとして、体調悪い部下に嫌味を言うようなやつじゃないから。」




「・・・・はい。それは直接言われました。」



「良かった。」


「静かだね。一人だとずいぶん仕事がはかどりそうだよね。」


それは逆だ。つい油断して集中力が切れるんだから。

「まあ・・・・。」


「でもやっぱり寂しいよね?」


林森さんは納得顔でうなずいてる。
返事はしてない。
寂しい・・・・??????


「あいつもさ、ほら、なかなか立場があるからさ。」


分かってます。それはそれは立派な立場があります。
そうじゃなったら私がここにいる理由なんてないでしょう。


「でもうまくいって良かった。それを直接言いたくて。あいつをよろしく。もういろいろありがとう。じゃあね。」


最後まで笑顔でそう言って手を振って部屋からいなくなった。


友達思い・・・・・・そんな一言でくくってみたけど、本当にいい人らしい。
優樹菜さんが羨ましくなる。
あんなにいい人の林森さんに最高と言われた優樹菜さんが。


やっぱり集中することもなく、その後もぼんやりとハッとして画面を見つめるを繰り返した。
それでもまあまあ仕事は終わる。
お付き合い外出も残業も思ったほどなし。
マイペースで自由な気もしてきて、寂しいより解放感。
だってランチも手をあげれば今まで通り混ぜてもらえる日々だし。




「ねえ、どう?」


そろそろ聞きたいらしくて飲み会が開かれた。
主役級に話題の中心に立った私。


「う~ん。」


「何何?」

「別に一緒にいる時間は思ったより少ないし、一人で留守番をして自由な時間が増えてる。」

「何してるの?」


「経費の精算と頼まれた書類作りとたまに他の課の人との調整とか。」


「それで何か驚くようなドキドキなことは?」


「・・・・まったくない。」

今自分の口調が不本意だと響かなかったか心配になった。
まったくあったら困る事態だ。

「まともに話もしてないくらい。本当のところ挨拶くらいだよ。」

「もっとプライベートな話題を振られないの?」

「そんな雰囲気にもならない。」

やっぱり不本意には響いてないと思う。
ただただ最初から分かってた事実を教えるのみ。


「なんだかね・・・・。」


「でもこの間林森さんと飲んだら嬉しそうだったよ。那智先輩には香月も楽しんで働けてると思うよってニコニコして言ってた。」


「なんで?・・・・林森さんがどうしてそんなこと言うの?」

「さあ?」

「でも専務はやっぱり忙しいみたい。いろんな人と会ってるみたいだし。」

「それはそうでしょう。社長と副社長もすごいだろうし。」


「上の階で会わないの?」


「会わないよ。私もあの部屋から出るのはトイレくらいだし。」

皆の期待は裏切ったけど、予想通りとも言える展開。
ただそんな内容だと私が話題の中心にいた時間はすぐに終わったらしい。



「じゃあ、比呂はどうなった?」

皆が比呂に注目する。
私も見た。赤い顔を、この上なくうれしそうな顔を。
明らかにその場の主役は交代、話題も盛り上がりがありそうな雰囲気になった。

友達から飛びぬけて二人で会ってるとは聞いていた。
いよいよ特別な二人になったらしい。


「おめでとう。」

「ありがとう。やっと思い切ってみました。」


「だって誘われたんだったら大丈夫だったでしょう?」

「でもそんなに特別に言われたりもしてなかったし。微妙な感じだったんだもん。」


「良かったよね。いい人そうだったし。」

綾香が誘った彼氏主催の飲み会で比呂とその彼は出会ったらしい。
確かその誘いは私にもあったのに。
異動の色々で参加は見合わせたのだ。
そんなタイミングで一人はちゃんと幸せをつかんでた。


ああ・・・・・。


「いいなあ。」

つい本音の言葉がこぼれた。


「じゃあ、特に上の階でバタバタしてないようだったら香月も誘うから。」


「本当?いつ?」


「今月中には何とか。」


それは来週かその次じゃない。
お願いしたい。

「詳しくは彼氏の方から連絡来たら教えるから。」

「うん、楽しみに待ってる。」

「いいよ。」


「すごくうれしそうじゃない。」

詠歌に笑顔で揶揄われた。

「もちろんです。」



それから本当に彼氏と話をしてくれたらしい綾香。

「香月、今週金曜日、誘うから。大丈夫だよね?」

「もちろん、全力フル装備で参加したい。」

「いいよ、空回りしないようにね。何かあったら要相談、要会議で。」

久しぶりに楽しい予定ができた。
だって最近なんだか・・・・相手が彼女付きの林森さんだけ?
今度こそ・・・・自分が主役の一人に!!!

「専務と変な噂が出ないように必死なの?」

いきなりそう言われた。


「何で?普通にいいじゃない。私だって楽しい週末を毎週迎えたいし。」

「どんな人が来るの?」

「分からないけど、彼氏の会社の人と友達かな?年もバラバラかもね。」

もういい人だったら年なんて・・・たぶん関係ない。
だって、そんなおじさんは来ないよね?


早速携帯に予定をいれた。
嬉しくて自分が楽しそうな顔をしてるのが分かる。
だって久しぶりだし、もう期待したいし。

ランチを終わりにして立ち上がった。
もう午後の仕事も笑顔になりそう。
週末までずっと笑顔で仕事できそうじゃない。

そう思ってたらすぐ近くにいたらしい林森さんに声をかけられた。
私はそのまま笑顔であいさつができたらしい。

「お疲れ様です、林森さん。」

「・・・お疲れ。なんだか楽しそうな話が聞こえてたけど。」

「本当ですか?恥ずかしいです。今週は楽しい予定ができたんです。」

「友達とその彼と飲みに行くんだ。」

「はい。」その彼とその友達と、ですが・・・・。

「本当に楽しみみたいだね・・・・。」

「もちろんです。すごく久しぶりなんです。期待に舞い上がってしまいそうです。浮かれて見えますか?」


「大丈夫・・・・かな・・・・?」

「林森さんも優樹菜さんとデートでしょう?」

「まあ、そうかな?」

「じゃあ、お互いに楽しい週末に向けてもう少し頑張りましょうね。」

笑顔で手を振って別れた。

非常階段をのぼりながらも鼻歌が出そう。
でもさすがに上の階に着いたら落ち着いた。背筋もしゃんとして、鼻歌も止んだ。
静かに奥の自分の部屋を目指した。


まだ専務は戻って来てない。
金曜日の予定はチェック済みで、専務は外回りがあるから一人留守番で定時で上がれるだろう。
何かあるわけもないし、あっても自分が必要なことにはならないから。



それなのに・・・・。


書類を提出したら名前を呼び止められて告げられた。
久しぶりの同行予定、それもよりによって今週金曜日の午後。
さっき時間も確認したけど、それ?
だから、なぜ?

返事が遅れた。
予定を確かめたと思ってくれただろう、タブレットを開いて確認していた短い時間。

専務は直帰だろうと喜んだ午後の予定。
当然終了予定がいつもより遅め。

「じゃあ・・・・少し遅めになると思ってた方がいいですか?」


すごくすごく控えめに聞いた。



「ああ、悪いがそうなると思ってほしい。資料はまた事前に渡すから。」

「・・・・はい。分かりました。」


お昼の時間に浮かんでいただろう笑顔が消えた。
さっきまで心の中でワクワクしていた思いもシュンと音を立てて消えた。
何て破壊力のある誘いなんだろう。


それでもしょうがない。仕事だから。


遅くなるらしい。じゃあ、断るしかないじゃない。

しばらくして専務が出て行った。
その隙に綾香に連絡した。謝った。断った。
泣けてきそう・・・・。
楽しみにしていた分ガッカリがずしんと来た。

予定表につけたビールマークも消した。

山あり谷あり喜びあり悲しみあり。
だからって何でよりによって今週なんだろう?
もし本当に意味があるとしたら、必要とされてるならまだ・・・。
ただ隣にいるんだったら、それは無意味にしか思えない。
今までだって意味を感じたことはなかった。
専務のお仕事見学。それだけ。


専務が帰ってこないと次の仕事もないのに。

しょうがないので自分の机の掃除をした。
ウェットティッシュで拭いて、引き出しも拭いて、ロッカーも拭いて。

そんなに汚れることもないけどね。



帰ってきた専務の手から仕事をもらった。
資料を黙々と綴じこむ。

ひたすらもくもく。

会議室で出来るからまだいい。
ちょっとだけ独り言をぶつぶつ言っても誰も来ないし。
端から並べたプリントを一枚づつ取り、端を閉じる。
そんな雑用が稀にある。

ポケットの中で携帯が震えた。
そっと見たら綾香からだった。

『タイミングが悪いなあ。今週はもう予約してるし他の子を誘うね。でもまたやるから。その時は参加してね。』

本当にタイミングが悪いのは専務の方です。
まったく・・・・・。

つい最後に口に出た。

資料をそろえて向きなおったらそこにいて、資料を放り投げてしまうくらいに驚いた。
いつからいたの?

「終わりました。」

「ああ。」

そう言って出て行った専務。
何しに来たの?

資料は私が持ってる。
びっくりしたけど落とすことも放り投げることもしないで、何とか無事だったから。


金曜日の予定が相手の都合で延期になったり、もしくは時間変更を打診されたり、そんな事を思ったりもしたのに、よく考えれば他の子をキャスティングされたから今更参加はできない。じゃあ、残業代をもらうしかない。


そして良くも悪くも予定はそのまま。
直帰のつもりでまたタクシーに乗った。

今日の運転手さんもベテランそうな感じだった。
こなれた会話をされながらも丁寧に運転してくれた。
当然会話の相手は私だった。
隣の人は口を聞かないから。

それでも無言でいるよりはいいかも。

気のいい運転手さんなら話してても楽しい。

あっという間に着いたからお礼を言った。
『行ってらっしゃい。』まで言われて笑顔で降りた。

さすがにカードの支払い後に領収書をもらった専務もお礼を言っていた。
いつも言ってた?
先に降りて離れるから分からない。


タクシーを見送り、一緒に目の前のビルに入った。


「こんにちは。お疲れ様です、志波さん・・・と。」

「同行させていただきました、新山です、よろしくお願いします。」その理由は分かりません、そう心の中で付け加えた。

「ああ、先に聞いて想像していたよりずいぶん若いから。」

名刺を交換して着席する。
いい人らしく笑顔で挨拶してくれた。

それでも仕事の話は二人で完結するくらいで、やっぱり見習い以外の理由は分からない。
それが今週の金曜日で、しかも午後だった理由なんて全く見当たらない気しかしない。

仕事の話をして、その後少し情報交換をしたりして。
途端に専務も柔らかくなる。
毎度毎度新鮮な雰囲気に変わる。

会社の中だともしかしてプレッシャーとかあるんだろうか?
副社長と比べられるのかもしれない。
仕事内容は社長と副社長にも随時報告してるんだろう。
それは上司に報告するのと会社のトップとしての父兄に報告するのと、どう違うんだろう?


それは分からない。
まだまだそんなに会社員生活も長くないんだから。


気が付くと世間話がちょっとした愚痴になっていた。
こっそり上司の文句を言ってる相手の人。
専務もうなずいてる気配だ。

まあ、いろいろあるだろう。
林森さんに出世ナンバーワンと言われる立場でも、それだから余計に。

のんびりと横並びで仕事をしていた時は良かった。
でもあのままあそこにいたらその内面倒な役割を負わされたりするんだろう。
さっさと詠歌が産休育休に入って、それでも一人でコツコツとキャリアを積んでいたかもしれない。
だから遅れまいと綾香にお願いしたのに。
絶対次回を開いてもらおう。



結局最後まで自分のいる意味は見いだせないまま終わった時間。

コーヒーを片付けられて、お礼を言って外に出た。
すっかり飲み会が始まる時間。
諦めきれない自分もいた。


「悪かった。」

時計をちらりと見たのに気が付かれた。

「いいえ。そんなに遅くはないです。」

それでも迷わずに直帰でいい時間だ。

それでも私からは言えない。

「食事をしよう。」

また誘ってくれた。
そしてまた静かなふたりの時間を想像する。

「もしかして、急ぐ用があるか?」


「・・・いいえ。」

とっくにキャンセルしました、泣く泣く断りました、今からじゃあもう手遅れです。

ああ、また愚痴っぽいつぶやきが勝手に出てくる。


歩き出した背中について行く。
直帰するつもりだったのに、美味しい物には惹かれてしまう自分の弱さ。
これで彼氏ができたら『デートです!!』って帰っていいのかな?なんてちょっと思ってみましたが、どうでしょうか?
背中を見つめて聞いてみても返事はない。

『帰ります!!』なんて言えないよね。

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