優良なハンターと言われたその人の腕前は?

羽月☆

文字の大きさ
8 / 22

8 ちょっとだけ言いつけられたらしい愚痴の一部分。

しおりを挟む
朝、ちょっとだけ重たい気持ちは消せないまま、いつものように部屋にたどり着いた。
専務はまだ来てなかった。

水筒を置いて、今日の専務の予定をチェックして、外出時間を計算して一人の時間を出して、残りの二人の時間を出して。

手元に残った書類は少しだけ。
それをすすめようとパラパラ見てたら専務がやってきた。


「おはようございます。」

「・・・おはよう。」

じっと顔を見られた気がするのは、思いっきりこの間愚痴を言った後ろめたい気持ちのせいだと思う。

まさか言いつけてないよね。内緒にしてくれてるよね、バレてないよね。


「今日の予定は変わりないようでしたら、先週からの書類仕事を午前中やります。何か他にありますか?」


そう言ったら領収書を出された。
それをもらっても、そんな量じゃない。



「予定は変わりないけど、午後は一緒に外に出てほしい。」

えぇ・・・・まさかそんな突然の同行有りなんだ・・・。
驚きと軽い・・・ショック。
さっき出した二つの時間が全く狂うじゃない。


「はい。」

平静なふりして返事をする。

「あとで書類は渡すから。」

「はい、じゃあ先週の続きをやります。」

それでもやっぱりトーンダウンしてしまったかもしれない。
もう一度専務の予定を見る。
午後ゆっくりの直帰パターンだろうか?
私はそれでもいいくらいの時間だ。
現地解散で専務はタクシーでここに戻るのかもしれない。
タクシーの運転手さんになんて全く興味も持たずに、ただ書類を捲るだけの移動する空間で。


ミーティングに出てもすぐに帰ってきた専務。
特別なことはないんだろう。
そう毎日毎日目新しい事があるわけじゃないだろう。

引き続きの仕事をカタカタとやり、前半の二人の時間をやり過ごす。
ランチはどうしようかと考えて、友達に連絡するのはやめた。
多分今日の予定を思ってため息しか出ないと思う。

仕事を終わりにしたのがちょうどお昼だった。

専務は区切りがつかないのか、まだ部屋にいる。


お昼になった、確実に時間は回った。


「専務、お昼に行ってもいいですか?」

「ああ・・・もちろん。」

顔をあげられて珍しく目が合った。

「じゃあ、行ってきます。」

財布を持って外に出た。
コーヒーを買う列に並んで、ついでにサンドイッチも買って。


専務はいつもパソコンだけ持ってお昼に行くけど、何を食べてるの?
副社長の愛妻弁当が二人分?
それとも毎回何かを頼んでる?

謎。

私とは無言劇のような食事時間でも、お兄さんとなら盛り上がって甥っ子姪っ子の写真に顔が緩むんだろうか?
今はそれも全く想像できない。


下の階にいるのを見かけた時は楽しそうだなあなんて見てたのに、思いっきり笑顔だったのに。私との二人のあの空間では全くだ。

同期と部下の違い。
もしかして笑顔でいるとよからぬ誤解をされるとか、全く好みじゃいのに熱っぽく見られても困るとか、そんな感じで笑顔封印?
でも前に四人で飲んだ時もシラッとした表情だった。
林森さんは全力で楽しそうだったのに。
一人は彼氏がいて、もう一人はあきらかに圏外。
じゃあ、楽しめないかなあって。
いっそ林森さんと2人だったら男子トークが出来たりしたのにって・・・・・。


別に・・・林森さんが誘って来たのに・・・・・。

つい呟いて部屋のドアを開けた。
だって専務がお昼にいることなんてなかったじゃない。
まさかいるなんて思わないから。


なのに・・・・いた・・・・。

自分の机で緩い音楽が鳴る中、サンドイッチを口にしていた。


思い切って開けたドア、今更閉められない。


お互い見つめ合うこと数秒。

「ノックもせずに失礼いたしました。いらっしゃるとは思わなくて。」

「いや、大丈夫。」

ペーパーバッグにも入ってないコーヒーとサンドイッチは私の手にあり、ここで食べるつもりですと言ってる。



気まずい・・・許可を取るべき?回れ右するべき?


「音楽、気にならないなら・・・・。」


「はい、大丈夫です。」

しょうがない・・・・と思う心は隠していつものように・・・ご存じでしょうが、まあまあのいつものように自分の席で食べ始めた。


携帯に集中するのも失礼だろうか?
少しだけ見て手から離した。


「食事はいつもそんな感じ?」

いきなり聞かれた。

「いいえ、今日は先週から割と食べた方なので、控えようと思っただけです。社食や友達と外に出て食べることもあります。」


「ああ・・・・そう言えば・・・・林森と彼女と飲むって聞いてたけど。」

飲んだとは聞いてない?

「はい、二人のデートに仲間入りさせていただきました。素敵な人で楽しく食事もできました。優樹菜さんとお会いしたことはありますか?」

「ないよ。一度ならず写真を見せられたことはあるけど。」


自慢されたんだろうか?
しっかり者で叱ってくれると、そんなエピソードとともに。


「・・・・新山さんも、友達には出来ないような話ができたんじゃない?」

出来た出来た、思いっきり。酔ってしまったからです、何て言えるわけない。
チラリと表情をうかがうけど特別な質問じゃないらしい。


「まあ、そうでしょうか。二人の話を聞いてた方が多かったです。きっと林森さんは私にも自慢の彼女を見せたかったんでしょう、そう思いました。」


そうかな・・・・。


小さく言われた。


サンドイッチだけにして良かった。
あっという間に食べ終わった二人。

コーヒーを静かに飲む。

同時に会話も終わった。
珍しく会話だった。専務の辞書にあんなに単語登録されてたなんて。


先に専務が部屋を出た。

ホッと息を吐く・・・・・まったく味わえてないけど、いいや。
明日は友達と食べよう、一人だとしてもこの部屋は出よう。


音楽は静かに流れたまま。
さっきの会話を思い出すけど・・・・。
なんであんなに無表情でいられるんだろう。
せめて共通の知り合いの話の時くらいはもっと緩んだ表情でいいのに。
だいたい外でクライアントと話する時はもっと違う表情を見せてたじゃない。

責任者の顔と契約を決めた後の安堵の顔と。
横にいてもそんな感じなのは分かったくらいなのに。

結局また愚痴になった。
最近愚痴っぽい。
仕事をしてないときはずっとそんな感じだ。仕事をしてる時でさえ・・・。
あんなに嫌われてるかもって諦めてるのに、そこは諦めて受け入れたつもりなのに。
まだまだ向けられる表情に文句を言いたい自分。

しつこいなあ・・・・自分。


静かな音楽はストリングスの綺麗なメロディーの音楽だった。
こんな感じが好きなんだろうか?

そういえば一人暮らしだと聞いた気がする。
やっぱり実家だと社長がいつもいることになる。
そうなると鬱陶しいとか思うんだろうか?

でもきっと大きな家で調度品も素晴らしくて、掃除も行き届いて綺麗なお母さんがいるんだろう。

空っぽになった上司の机をずっと見ていた。

不在にホッとしてるはずなのに、いない間もそこに姿を浮かび上がらせてたらしい。


サンドイッチのフィルムをまとめて、コーヒーを飲み切り部屋を出た。


そういえばあれから林森さんとも連絡は取ってない。
まさか嫌われただろうか?
一緒に飲んだらもれなく友達の文句を聞かされる、そんな相手になったんだから。


歯磨きをして化粧直しをする。


部屋に戻ると専務は戻って来ていて、音楽は止められていた。


「これ、午後の訪問先の書類だから。」

そう言われて最初の頃のように書類を渡された。

「はい。」


その束を持って席に戻る。

「後一時間くらいで出るから。」

「はい。」


それ以外突然の同行の説明はなかった。
どうして急に?

何か役割があるのなら教えてほしい。
何かを期待されてるのなら教えてほしいのに。


時間になるころ支度をして、待つ。
声がかかるのを待つ。

立ち上がり荷物をいれて出かける準備を始めた専務の気配を感じる。


「それじゃあ、行こう。」

「はい、よろしくお願いします。」

そう言ってお辞儀をしたら視線を止められた。
何だろう?

そのまま二人で外に出る。
タクシーを捕まえてもらい、乗り込んで。

やっぱり運転手さんの名前を見る。

なかなか高齢な方のようだった。
ご苦労様です。

それほどの時間もかからずに着いた。
本当に何も言われてない。しょうがないから自分から言い出してみた。


「今日の同行で私ができることがあるんでしょうか?」




「・・・とりあえず、いてもらえればいい。」

本当にそうなんだろうか?
答えるまでに時間がかかった。
女性がいるだけでも何かが上手くいくなら、それだけでよければ私も気が楽だ。


それでも挨拶が終わると本当にそこにいるだけだった。
真面目なふたりが意見を出し合い話し合いを進めていく。
ある程度目途がついたら次回の予定を決めて。

終わった・・・・。

最後にもう一度挨拶をして、終わり、以上???


相手先の会社を出て聞きたいけどそのまま後ろについて歩くだけ。
この時間だと会社に帰るかどうか微妙なところだろう。

私はそのまま直帰でもいいですよね?
目の前の背中に向かってそう訴えていたら、くるりと向きを変えられた。


「この後の予定は?」

ない、帰りたい!

そう思ったけど・・・。


「預かっていた書類は提出し終わってます。何か他にあるなら出来ます。」

今仕事のキリはいいし問題ない、帰っても良さそうな気もする・・・でも急ぎの物があるなら手伝える・・・と控えめに伝わるように、そう言ってみた。


「じゃあ・・・・・食事に行こう。」


それは急ぎの案件ですか?
私が必要なことですか?
それは業務ですか?

言いたいことは一つ。
じゃあ・・・・って続けるなら『帰りたい』に決まってるのに。

そんな事言えるわけもなく、何か仕事上の話があるのかもしれない。
だから『じゃあ』になるんだろう。

また無言の背中について行く。



だって返事はかすかにうなずいて『諾』と伝えてしまった。


当然その辺の居酒屋なんてところじゃなくて、近くのホテルの高いフロアにあるところに連れてこられた。
贅沢な気分に思わずテンションが上がりそうだけど、さすがにそこまで無邪気にはなれない。


すべての注文は任せたまま。

お酒が注がれて、軽くグラスを合わせて飲む。


ああ・・・・美味しいんだもん。それは間違いない、表情もちょっとだけ緩む。


「仕事は慣れた?」

「何か足りないところがありますか?」

質問に質問で返してしまった。
だって慣れるわけはない、何よりも目の前の人との距離に。

「特にない。」


そう言われて少しはほっとした。
まさかここでダメ出しもつらいから。


食事が来るまでひたすらお酒を口にしていて、うっかり酔いはじめを自覚してくる。
食事をサーブしてもらったあと、グラスが再び満たされた。

そのボトル、もしかしたら一本空いてしまうかもしれないですよ。
相手もただ静かにグラスに口をつけてるのだから。

この間の失態を思い出し、グラスは置いた。


誘ったんだから何か会話をしてほしい。
でも望むのも無理な気がする。

ひたすら前菜の美しさを見て、それが何だか脳内で分解するように考えて、ゆっくり手を出した。



「いろいろと今回は・・・・勝手が分からない。」


つぶやかれた言葉はさっきの質問に続くのだろうか?

「すみません。こちらこそ手際が悪かったり、いろいろと上手くできてないところがあったりするので・・・・。」


心当たりがあるかと言われたら、あんまりない。
それほど特別な秘書技術の必要な役割もない気がして。
でもそもそも経理から新人の私を引っ張って来た時点でその辺は予想できたんじゃないの?と言いたくもあり。

それでも反省会だったのだろうかとがっかりもする。

そんな心のつぶやきも続けられるくらい二人の間には沈黙が横たわる。

ゆっくりと食事をしててももうメインを待ってる状態。
重たくない軽めのコースだから、あとはメインとデザートだろう。
それは楽しみだ。
ひたすら食事に集中してやる。
どうせ驕りでしょう?
だってまだ仕事の時間だし。
途中終業の時間になるかもしれないけど、誘ったのはそっちだし。

間違いなくここを出たら直帰です!!


「この間、林森から電話があった。いきなり電話は珍しいし、あの日は一緒に飲んでるって知ってたけど。」

あの日・・・・当日・・・・。
林森さん、何を言った?
もしかして私の愚痴にちょっとだけ腹が立って言いつけたパターン?

そんなこと・・・・・しないよね?


自分からは言わない、まだ謝らない。




「いろいろ思うことがあって。」


何を?


手の動きはさっきから止まってる。


「悪かった。」


そこは大切、何を聞いたの?


「いえ、ちょっと話をしただけですから、別に何も気にしてません。」

そう、何も・・・・・気にしない・・・振りで行く。

あの場を振り返る話は強引に終わらせた。
とりあえず一言も褒めてない時点でいくらかは伝わっただろう。
愚痴以外何もなかったと思う。

謝られたと言うことは私が怒ってるってことは伝わったらしいいから。
運ばれてきたメインにゆっくり手を動かし始めた。
美味しいんだと思う、全力で味わえてないけど、量が少ないから黙々と手と口を動かせばいい。


そしてあっという間にデザートを待つ。
進みの早いテーブルかもしれない。
早い時間でお客様はまばら。
他のテーブルの進み具合を追い抜いたのかもしれない。


小さなデザートと紅茶が運ばれてきた。


あと少し。
月曜日から一日が長い。
やっと終わりが見えてきた!!



「ああでも言わないと早退して帰らないと思ったから。本当に申し訳なかった、あれは・・・本当にその場で思いついた理由だから・・・気にしないで欲しい。」


ずいぶんなタイムラグのある会話がさっきからなされてる。
今日言いたかったのはきっとそのことだったのだろうと思ってあげよう。
弁解がしたかったと。

そしてあの早退指令に関する愚痴の内容がバレてるのは分かった。


「本当に。」

念押しされたら返事はしよう。

「はい。」

もう忘れることにした。


ゆっくりデザートを食べ始める。

ゆっくりじゃなかったら三口くらいで完食できる。
いくら早く帰りたくても、さすがにそれはないかな。


それでも五回くらいの往復ですべてが消えた。
ゆっくり紅茶を飲んで、お終い。



向かいでため息をつかれた。
結構大きく聞こえた。
それは・・・・満足のため息と思ってもいいのでしょうか?


「ごちそうさまでした。美味しかったです。」

デザートのお皿を下げに来たお店の人には笑顔が出た。

微妙な雰囲気を感じてるだろうに、営業スマイルで微笑まれて「良かったです。」と言葉をもらえた。

正面を見たら不機嫌な顔が見えた。
ずいぶん態度が違うようだな・・・・そんな言葉まで聞こえてきた。
それは私が今日も思った事だろう、そこはお互い様で、営業先だけに見せて部下には見せない顔があるじゃないか!!

思わず睨んでいただろうか、そんな事を思っていたら目をそらされた。

林森さんのせい?どうしてこうなったの?


「じゃあ、終わりにしよう。経費にするから。」

そう言われた。

「ありがとうございます、ごちそうさまです。」

そうお礼を言った。
会計が終わるのを席で待ち、そのままお店を出た。

当然駅に二人で向かうことなくその場で解散となった。
望んだ直帰だった。でも食事時間が足されていつもより遅くなったくらいだった。
まあ、ご馳走になったので文句も言わないようにしてますが・・・・。


よく考えなくても月曜日。
まだまだ週末までは遠い。

とりあえず一番ショックだったあのセリフが変な気の遣いまわし故の物だと分かって、私の中ではかなりホッとしているのも事実だった。
そこまで嫌われていたら悲しいと何度も思ったし。
そこまで嫌な奴でもなかったらしい。


だからと言ってまだまだ距離がある二人。
お互いがたてる音を聞き取れるくらい静かな部屋で過ごす二人だった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

処理中です...