優良なハンターと言われたその人の腕前は?

羽月☆

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20 今後のお茶会のゲストについて。

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大人しく留守番をして、仕事も前より集中して頑張って。
時々早く終わった夜、週末、一緒にご飯を食べたり、部屋に行ったり。


「今日は何か買ってくるから。一人で隠れ食いしないように。」

そう朝から言われてた。
お昼あとに外に出る専務の予定。
お土産を買ってくる宣言だと思った。

「分かりました。別腹を空けてお帰りをお待ちしてます。」


お昼も部屋で少なめにしていた。
これで高いけど小さいチョコ二粒とかだったら、絶対お腹空く。
お昼も軽くしたんだから、そのくらいの埋め合わせをしてほしい・・・・なんて、いつも食べてるお茶の時間のおやつも本当に少しなのに、過剰に期待をしてしまう。
量より質なんだから、美味しく味わって食べたい。

なんだろう?

そんな事を思って平和に過ごしていた。

午後、帰ってくる時間だったからノックも専務だと思った。
笑顔で席を立ったのに、ドアが開かず。

「はい。」

急いで返事をしてドアを開けたらコーヒーを持った林森さんだった。
カップは一つだけ、自分の分のコーヒー?

「専務はもうすぐお帰りです。」

一応普通の表情できちんと対応した。

「知ってる。コーヒー持って部屋で待っててほしいって連絡がきたんだ。もうすぐ帰ってくると思うよ。」

お茶会ですか?
三人で?
おかしくない?


そう思ってたら本当に専務が帰ってきた。
ノックの後すぐにドアが開いて、大きな紙袋を持った専務が帰ってきた。

「お帰りなさい、専務。」

そう言っても袋を見てしまった。

「今、明らかにこっちに言ったよな?」

紙袋を掲げてそうクレームをつけてきた。

「ちゃんと専務の顔を見て、専務と呼びかけるように言いました。」

「はいはい、お仕事中です。」

「林森さんが言ってもおかしいです。」

「コーヒー二つ、よろしく。」

「はい。」

そう返事して、外に出た。

二つコーヒーを持って、部屋に戻ろうとしたのに。
そこに副社長が来た。

滅多に会わないのに。
休憩室は初めて、廊下で背中を見かけるのが数回ってレベルだったのに。


「お疲れ様です。」

すごく緊張してしまう。
一応覚えてもらえてるよね。
下のフロアから無料のコーヒーをもらいに来た図々しい社員とは思われないよね。

「お疲れ。あいつが楽しそうに仕事してるけど。」

そう言われた。
あいつ・・・・って。当然専務で弟で『大地』と呼んでるその人でしょう。

「邪魔にならないように、少しでも役に立つように、指導されて頑張ってます。」

「まあ、聞いてるから。いろいろよろしく。」

そう言われた。
その間にコーヒーのボタンを押して出来上がりのコーヒーを手に去って行った副社長。

何を聞いてるの??????


手に持ったカップが震えそう。

とりあえず部屋に戻ろう。
少し探ってみよう。もちろん林森さんがいなくなってから。

部屋に戻ったら林森さんが専務の椅子に座っていた。
私の椅子が専務の机のところに。
そこには黒っぽい箱が空けられて、チョコレートが行儀よく並んでいた。

「ああ、はやくはやく。新山さんから選ばせるって誰かが言い張るから待ってたんだよ。」

林森さんにせかされた。

コーヒーを机の上に置いて、早速一つ選ぶ。
その前にちゃんと説明書きの紙を読んだ。
なんの味だか知ってから選んだ。

その後二人が手を出す。

「美味しいです。」

「ああ、いいなあ。こんなおいしい午後。俺もここで働きたい、邪魔したい。」

林森さんが専務に向かって言う。

「心から邪魔だ、断る。」

「だって、酷くない?あんなに協力したのにさ。」

こっちに言う林森さん。

「歓迎です。いつでもどうぞ。」

「留守番で暇な時でもいいよ。一人だとつまんないでしょう?」
「今日だけだ。」

すかさずダメだと言われたみたいだ。
冗談なのに。

「でも良かったよね。楽しく働けるのが一番だよ。あれから優樹菜にも愚痴ってないみたいだね。聞き出しても何も言われないって言ってるよ。」

「ないです。」

あっても言わないです。
お酒が入ると保証の限りではないですが、今のところ、まあ、ないです。
でも優樹菜さん、やっぱり聞き出したくて連絡して来てたんだ・・・そうは思ったけど。

「じゃあ、大地に聞こうかな。」

専務を見た。あるの?

「当たり前だ。」

え~、あるの?あるか・・・あるんだ・・・・ある?

「愚痴は一つもない、おたがいに。」

勝手にないと私の分まで言い切った。
なんだ、ないんだ・・・・ないよね、そうだよね、私もまあ、ない・・・・ということでいい。


「甘いなあ、これ。」

林森さんが三つ目を口にしてる。
いや・・・四つ目かも。

急いで手を伸ばす。
まだ二番目に食べたかった種類が残ってるうちに。

「甘いですね。美味しいです。」

「なるほど、こんな笑顔を見たくてね。」

コーヒーを飲みながら指さされた私。

「なんですか?」

「今日はお土産を買って帰るから来いって言わ・・・。わあぁ。」


主に追い出された林森さん。
途中からは大人しく自分で部屋を出て行った。
四つも食べたらいいよね。

でも何か言いかけたけど。

「まったくちょうど連絡が来たから誘っただけなのに、うるさい、しかも遠慮もしないし。」

「楽しかったですね。残りは冷蔵庫に入れておきますか?」

「持って帰る。週末に部屋で食べよう。」

「はい。ごちそうさまでした。」



副社長の事はすっかり忘れてた。

真面目に仕事をして、終わらせて。


結局手伝えることが増えてるとは思えない。
でも言われた仕事のほかは専務以外がすることはないと言われたら、じゃあ別にいいのかと思ったり。

時々笑顔で会話して、ずいぶん前より優しい笑顔をこの部屋でもしてくれてる。
じゃあ、ちょっとだけ気分よく仕事出来てるんじゃない?

そう思った。



週末、夜にお酒を飲みながらチョコレートの残りを食べた。
お酒のお供が何だとしてもお酒が美味しいから楽しく飲める。

柔らかいソファにもたれてだらんとした格好で、姿勢で。
隣でもくつろいでる専務がいて。

「この間ついでに兄さんにもあのチョコを渡したんだ。打ち合わせ相手に勧められたって言ったのに・・・。」


「そういえば、あの時会ったんだって、少し話をしただろう?」

お酒を堪能して至福の気分だったのに、急に思い出した。
そう、何で忘れてたの?

「ああっ、そうです。あの時にコーヒーを手に持って帰ろうとしたところでバッタリです。それに聞いてるとかいろいろよろしくって言われました。・・・・どういうことですか?」

「なかなか隠し事は出来ないんだよ。あの時犬を諦めた兄さんに不満だったのもすぐに謝られたし、そんな訳で今回もすぐにバレた。」

また引き取り手募集の犬の事を言いたいらしい。
そんな訳でって、何?

「バレるほうが単純なんじゃないですか?今までのあれこれと同じパターンで分かりやすいとか。」

「目撃談では緊張感もなくうれしそうな顔でコーヒーを持ってたって言ってたけど。」

「当たり前です、お土産が待ってたんです、林森さんとも初めてのお茶会でしたし。」

「俺とも初めてだろう。まあ、だからあの日渡したチョコレートがついでなんだろうってバレたんだけど。」


「・・・何か言ってませんか?」

ちょっと冷静になってみた。
あの時は笑顔の感じでよろしくと言われただけだった。

「楽しそうでいいなって言われた。一体どんな顔を目撃されたんだか。」


普通だ、そこは普通に。
でも2人分持ってたから専務の分だとはすぐに分かるだろう。
楽しく働いてることも。

その話は社長までは行ってないよね。
男の子だし、いいよね、ちょっとくらい遊んでも楽しそうだったらいいよね。
でも本当に社内は初めてなんだろうか?
先輩たちは意外に慎重だったの?それともアピールが凄すぎて専務の方が引いてしまうくらいだったとか。
中には逆に背負ってるものを考えて諦める人はいると思う。
『おまけ』が逆に邪魔って思う人もいると思う。

私は・・・・もちろん、邪魔と思ってる・・・・でもそれが専務だし、スマートなのも、美味しいご飯やお酒をご馳走してくれるのもそのおかげでもあるし。
チョコレートとお酒のボトルを見てそう思ってた。

「あ、あと親父も母親も知ってるから。そうは言ってもどんな子かは知らないだろうけど、一応そんな子が近くにいるってことは兄さんがうっかり言ったらしい・・・って絶対うっかりじゃないと思うけど。」

何?
思わず顔が上がった。

「・・・・。」


「よろしくって伝えてほしいって伝言預かったって。直接言えばいいのにな。」




「直接って、誰が誰にですか?」

「この二人にだよ。社長訪問を受けたら一発で分かるのに。手土産でも持ってきたらお茶会に誘ってやろうな。」


冗談、絶対無理。林森さんを呼んで逃げてやる。

「だいたいあの時一回だけでお茶会なんてしてないじゃないですか。」


「誰かが太った太ったっていうから控えてたのに。」

そう言って肉をつままれた。アゴの肉だ。
私が言ったのはウエストなのに、顔は言ってないのに。
ちょっと自分でも頬に手を当てた。

「どのくらい太るんだろうって言ったじゃないか。」

ずいぶん前だ。

「絶対太りません。」

「太ったんだろう?」

「気のせいです。」

「そうか。じゃあ、買ってくる。」

それはまあまあで・・・って話は社長のことだったのに。
はぐらかされたんだろうか?


「まあ、そのうちな。」

「はい、いつだろうって楽しみにしてます。でもその時はこの間みたいに先に言ってくださいね。」


「ランチの時間にしてもらうか?それだったら時間は読めるし。」

は?

「親父に言っとく、ランチ弁当持参でって。」

「なんで社長の話になってるんですか?今はお茶会の話です。社長の話なんてしてません、それに会いたいわけないです・・・・あちらも。」

そう言ったら何も言われなかったけど頭を撫でられた。


「ごちそうさまでした。」

結局一本空けた、チョコレートをつまみに、美味しく飲んだ。


「本当に満腹な時の笑顔が一番素直でいいよな。」

そう言われた。
正面に顔がある。
そういう専務の顔も最高の笑顔です、そう教えたい。
美味しいと思った顔がいちばんだと、それはあの日林森さんにも言ったらしい。
最高の笑顔を見に来いと・・・偉そうに・・・・・。
あのあとでこっそり林森さんが教えてくれた。


でもよく考えたら、キリリと仕事を頑張ってる私とか、専務が帰ってきた時のうれしさ全開のお帰りなさいの私とか、こうやって近くにいるときのドキドキしてる私とか・・・。
食べ物が一番だなんて、ちょっとおかしいじゃない。

もしかして目を閉じてる?

こっそり目を開けた。
目が合った。
ちゃんと見てるじゃない。

顔が離れた。

「どうした?」

そう聞かれると恥ずかしくなって、自分からくっついて目を閉じた。
そんな押し倒す勢いはなかったけど、そのままゆっくり後ろに倒れた専務にくっついて。

耳元にキスをして、首にも吸い付く。
同じように専務が唇を寄せてきて囁く。

「そろそろ寝るぞ。」


そう言ってもまだ歯磨きもしてない。
腰に回された手は緩みもしないし、上に乗ってる私を下ろすこともせずにキスも止まない。

くるりと反転して、上からのぞきこまれた。

「寝る。」

そう宣言されて歯磨きをしに行く。


ボトルやグラスを片付けた専務と交代してベッドにもぐり込んだ。
ちゃんとパジャマは脱いで頭の方に置いてる。
小さな明かりをつけて待つ。

専務の向こうで次々に明かりが落ちて、暗闇を背負って入ってきた。
既にパジャマははだけてる。
歯磨きをしながらだってボタンは外せるし。

起き上がり手を伸ばした。

鼻で笑われたけど優しい笑顔だから許す。
それくらい明かりが弱くてもわかる。

座ったままさっきの続きでキスが始まり、静かな部屋に甘い吐息が満ちる。
遠慮なく体を這う手が落ちつかくて、くすぐったかったり、寂しかったり、物足りなかったり。

「んぅん・・・。」

「そんな甘えたように怒るのにも慣れた。可愛いなあ。」

専務の手が胸に落ち着いた。

ちゃんとわかってるじゃない。

大切に包み込まれて先端を軽くはじかれる。
それだけで声が大きくなるのに、またすぐにもっと違う刺激を欲しくなる。
のけぞって胸を差し出すと顔を寄せてくれる。


自分の胸にくっついて動く頭に手を置いて、耳を触ってお互いの熱を感じ合う。

腰の手に力が入り、片足を押さえられると、自分から足を開いてしまう。
そこにある手がさまよってるのを誘うように。

我慢できなくて時々自分が動かしてしまう。
そんなのだって分かってるはずなのに、気まぐれにじらされる。


だから時々反撃して自分から手を出す。
無防備に足が開いてるのはお互い様だから。

そっと触れると一瞬専務の手が止まり、唇の遊びも止まる。

ゆっくり握りこみ動かす。

「待てないって言えばいいのに。」

そう言って専務の手がすっかり濡れた私のところにくる。

「はぁぁっ。」

もう満足の吐息でしかない。
自分の手は力が抜ける。

それもだいたいいつもの事だ。


あとは薄い布越しに触られて、声をあげて、専務のタイミングで脱がされる。
横に倒される前に専務も同じように脱いで、お互いの体をくっつける。

さっきまで手の中にあった力強さをしっかり腰に感じる。

自分の立てる音を聞きながら声をあげて感じる。
何度も止められるたびに甘えてお願いしたり、うなったり。
休憩と言われたり、笑われたり。
最後まで行くまで本当にじらされる。


「欲望に素直だよな。だから食べ物にもあんな笑顔ができるんだもんな。やっぱあの時の犬だったんじゃないか?」

誰が捨て犬よ・・・・。
そう思っても疲れてて答える気にもならない。



「時間かけ過ぎた。」

そう言ってくっついてくる専務。

するりと体はお互いの落ち着き場所を探し当てて収まる。
ここで何度も繰り返された。
もう、何度も。

覆いかぶさってきた身体に抱きしめられて、目を開ける。

「大地さん、大好き。」

時々名前を呼んで告げる。
包まれた温かさが心地よくて、素直に今に満足して、伝えたくなる。

「香月、愛してる。」

鼻をくっつけながら言われる。
いつもそう答えてくれるのも分かってる。

「大好き。大好きなの。」

肩に手を置いて縋るように言う。

「知ってる。」

小さく言いながら揺れると少し休んでた身体の奥も目が覚める。

本当に時間をかけ過ぎたらしく後は一気にのぼりつめる。

お互いが叫ぶように声を出して相手を感じる。

「おねがい・・・・。」

お互い我慢の限界で一緒に行きついた。

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