内緒ですが、最初のきっかけは昔の彼の記憶でした。(仮)

羽月☆

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14 友達から信じられる大切な人へ。

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待つ。

私もシャワーを浴びて。
そして待つ。

本当にシャワーを浴びて体をざっと洗って。
バスローブを着た。それだけ。

ソファに座って夜景を見てるのに、背後の音に耳を澄ませていて。

思ったより隣の音は響かない。
全くわからなかった。

カチャッと音がして立ち上がる。

バスローブを着た石神君が入ってくる。

ソファーを回り迎えに行く。
抱きつくように首に縋る。

腰を抱かれてくっついて。
キスをされる。
あっという間に深いキスになりその音が響く。
背中をさすられるように触られて、腰もお尻も。
気が付いてるかもしれない。
私も確認するように腰を触る。

分からないけど、もしかして同じかもしれない。

「舞さん、本当に信じられないんだ。何で僕、いつから・・?」

キスを止めて聞かれる。

「最初に・・・『ありがとう。』って言われた時から。」

「ありがとう・・・・それは何の時?」

「新人研修の時、食堂から部屋までジュースを持つのを手伝った時。」

「・・・・・随分、前だね。手伝ってもらったのは僕の方なのに。」

「最後にありがとうって言ってくれたの。その時に、すごく信じられるって思ったの。うまく言えないけどそんな風に聞こえたから。でもそれだけだった。あの部屋に女の人がいたのも分かってたし、私は入れないって思ってたから。」

「その後は偶然だったよね?」

「同期会で座った位置は偶然だったの。だって何も起こらないって思ってたから名前も知らなかったくらい。」

だって友達は欲しいと思ってたけど、会社で彼氏ができるとは思ってなかったから。
あえて探そうとも、知ろうとも思わなかった。あの日までは。

だいたい最初に『パシリ君』なんて呼んでいたのは内緒だ。
なんだかいい人すぎて、どうしても構いたくなって、一緒にいてやっぱり信じられるって思って。
だから楽だって思った。そのまま友達でいいだろうって。
大切な友達・・・・なのに、他の女の人にとられるのが嫌だって思ってた。


最初から違ったんだろうか?
二人で出かけるのに服を悩んだり、ちょっと違う雰囲気にドキドキしたり。
本当にいつからって言われると、最初からだったと思う。

「きっと誰も信じないよ。」

キスをされた。

「誰にも言わないからいい。」

「また誘われるよ、それをずっと見てなきゃいけないの?」

「もう行かない、だから、もう行かないで。梓さんも・・・・。」

「それは誤解だから。特定の人ってきっと男の人だよ、舞さんに向けての訳ないじゃない。もしかしてその人は気が付かなかったかもしれないのに、舞さんだけがまんまと騙されてて。」

笑われた。
ちょっとムッとした顔に気が付いたらしい。

「ごめん、怒らないでよ。なんで、僕のことであんなに傷ついたのか、本当に不思議。ちゃんと聞いて。誤解する前に確かめてね。」

「分かってる。・・・・もう、いいから、ベッドに行きたいのに。」

「うん。もちろん。」

照明を消された。

すぐには暗闇に目が慣れない。
でもバスローブを脱いだ音がして石神君が近づいてきた。
背後から窓の外の明かりが少し入る、ぼんやりと見えた。
すぐ正面に立たれた。
腰の紐をほどかれて肩から私のバスローブも落ちた。

もう一歩近づいたら体の一部が触れた。
ビックリして、見たいけど見れないまま見つめ合って。

ゆっくり石神君の視線が落ちる。

「すごく綺麗。欲しい、ずっと欲しかった。」

肩に手を置かれた。立ったままキスをする。
ほとんど体がくっついて、もう一部は気にならない・・・・。

「・・・・お願い。」

立ったままなんてじらされてる、ずっと待ってたのに。
ささっとシャワーを浴びて待ってたのに。

体を引いて手をつなぐ、一歩下がってベッドに入る。

一緒に横になり体を重ねる。
我慢できなくて自分から腰に絡みつく。

「ぁぁっ」

声をあげて腰を押し付けられた。

「っ。」

自分でも分かってる。全然我慢できてなかった。

時々激しく揺れながらもキスが顔から耳元へ、首へ降りていく。

「石神君っ、我慢できない・・・・。」

目を開けて布団をはぐ。

「お願い、今すぐがいい・・・・。」

手首をつかんで自分の中央に持って行く。

「お願い・・・・・。」

ちょっと離れた体を引き寄せるように背中に手を回す。

恐る恐る手を動かしてくれる。

自分でも信じられないくらいに声を出して反応してしまう。
動かす指に遠慮がなくなる頃には二人の息も上がっていた。

「もっと、もっと、・・・・・・。」

腰を揺らしてほしがる私に名前を呼びながら刺激を強めてくれる。


さっさと一人で達して体の奥が震える。
荒い息をつきながら目を閉じる。

石神君がゆっくりさっきの続きを始める。
その内に枕の方を探りごそごそしている。

目を開けるとちゃんと持ってたみたいで。
動きでそうと分かった。

「さっき、水を買いに行ったときに買った・・・・売ってたから。」

なかなか帰ってこなかったとき、少しは悩んだ?どうなるんだろうって?

あの時、もう会えないって思ってたのに。
ちゃんとポケットに入れてたんだ。

「今度は一緒に・・・・。」

顔を見て言った。

ずるいよ、それは無理かも。小さく言われた。

それでも一緒にのぼりつめて、果てたことは覚えてる。

やっぱり体力がなくなってた。ちょっと食事量が減ってたし。
疲れて、沈んだベッドに吸い込まれるように眠った。


あっという間に時間はたったらしい。
カーテンを開けていた窓から明るい外が見えた。

時計を見るとまだ早い時間だった。
ちょっとだけ顔を見る。
すごくよく寝てるみたい。

起こさないようにくっついてまた眠った。

ゆるゆると体を触られる感覚に目が覚める。

「おはよう。舞さん。」

「おはよう・・・・。石神君。」

途中、下の名前で読んで欲しいと言われたけど、また普通に戻った。

「起きて、夢だったらどうしようかと思った。現実だなんて、本当に・・・・すごかった。夢にしてはちょっと舞さんをはじけさせ過ぎたし。」

自分でもそう思った。
ずっと我慢してたんだって思った。
あんなに我慢がきかないなんて、はっきりと変だった。


「昨日遅かった。シャワー浴びて来てくれるのが遅くて。ずっと心配して待ってたのに。」

「結構急いだよ。スリッパに履き替えて、脱ぐもの脱いでシャワー浴びて、体を拭いて、バスローブ着て。箱をポケットに入れて。遅かったかなあ?」

「待ってたから。」

「分かってる。」

視線を合わせてキスをする。
思ったより荒っぽく触られてる気がする。
もっとゆっくり丁寧に触れてくれそうなのに。

「朝はちゃんと僕が待ってた。舞さんが起きるのを、早く早くって待ってた。」

そう言われた。

目を開けるとすごく色っぽい顔をして言われたみたい。
その顔だけでもじんわりしそう。

何度もキスを繰り返す。

「舞さん、僕の顔良く見えるよね。カーテン開いたままだけど、構わない?」

昨日の夜外を見てたからカーテンは開いたままだった。
明るい部屋の中。
このまま布団をはいだら絶対見える。

閉めて来てもらってもいいの?

動きを止めたから分かったみたいでベッドを出てカーテンを閉めてくれた。
部屋がまた暗くなった。

戻ってくる体を見る。
暗がりでもなんとなくわかる。

石神君が横になる前に飛びついた。
座ったままお互いの体に触れてキスをして、膝立ちになって胸に愛撫を続ける石神君の頭を抱える。


「舞さん。隠さないね。」

「だって好きなの。隠さないよ。信じてる。」

「ありがとう。」

こんな時なのにやっぱりすんなりとうれしい響きを伴って心にしみこむ。

「お願い。」

やっぱりお願いするのは私で。



お昼のチェックアウトの時間いっぱいまでくっついていた。
着替えをして備え付けの化粧品と小さなバッグに入れたリップとで何とかする。

どこかで化粧したい。


手をつないでロビーに降りる。
カードキーを手から引き抜かれてフロントへ行く石神君。

「ちょっとそこで待ってて。」

そう言われてソファ席で待つ。

現金はそんなに持ってない。
後日ちゃんとお金を渡そう。
二部屋分も、一部屋分はほとんど無駄にしたみたいで申し訳ない。



「お腹空いたんだけど、食べて行こうか?」
チケットを見せられた。
ロビーのレストランで使える食事券だった。

笑顔で手を出されて立ち上がってついて行く。

窓際の席に案内された。ホテル自慢の庭がきれいに見える席だった。
ランチセットが食べられるみたいでサンドイッチと紅茶を頼んてもらった。

「どうしたの?疲れてる?」

「あの、ごめんなさい。あとできちんとお支払いします。すごく高かったでしょう?」

「ああ、・・・・それ気にしてるなら全然大丈夫。ここを選んだのは優待券をもらってたからだから。食事もついてるし、全然払ってないよ。領収書見る?」

大きな紙に書かれていたのは確かに金額ではなく『優待クーポン』と。

「気にしてた?大丈夫だから。どうせもらっても使うことなかったから、役に立ってよかった。」

本当に?
優待券・・・・。

ゆっくり食事をして、すっかり美味しく食べて紅茶も頂いて。

すっぴんなのをうっかり忘れてた。

お昼過ぎ、帰るには少し早い時間。

ゆっくり坂を下りる。

駅のドラッグストアでちょっとだけ見本を借りて粉を振り、色をのせた。
少しのことで落ち着く。
このまま別れたら部屋に帰るだけだから必要なかったなって笑いそう・・・・。

駅の改札に着いて握られた手を離せない。
部屋に帰るなら別々の電車に。

「ちょっと買い物に付き合ってもらえる?」

顔をあげるといつもの笑顔でそう誘われた。

「うん、いいよ。」

先に改札に入るのについて行く。
滅多に来ない駅。駅中の店をちょっとだけ見て。

ハチミツの専門店があった。
ミルクを注げばできるチャイティーに惹かれる。
部屋で一人で飲んでる自分が想像できる。
ぼんやりとしながら飲んでるだろう。

手に取ってレジへ。

勧められるままハチミツを舐めてる石神君。
店員さんに勧められたがお腹いっぱいで丁寧に断る。

「おいしい?」

「おいしいね。あんまり味わうことないから。」

他にも変わったお店をみて電車に乗って移動する。
何を見たいのかはわからない。

「どこまで行く?何を買うの?」

「ちょっと二人の人に、捧げもの。」

「何?」

何だか分からなかった。

ついて行ってデパ地下で洋菓子の売り場をウロウロする。

「あまりどこにも売ってないお店ある?」

「知らないのはあそこだけ。」

さっき通ったお店を指さす。

「じゃあそこでいいかな。」

そう言って小さな箱を買いプレゼント用にしてもらった。

「舞さん、本当に僕、叱られたんだから。絶対聞かれるよ。」

「何?」

「浅井さんと筒井さんだよ。」

あっ・・・・・。
そういえばそんな事を言ってた。

「お詫び。」

小さな袋を指す。

「じゃあ、私も出す。」

「いいよ、バレたら怖いから。」

「・・・・ごめんね。」

「いいよ。」

その他にもふらふらと駅ビルを歩き回りお茶をして、駅で別れた。

「またね。」

視線を合わせる。

「本当に大したことない事でも連絡していい?」

「もちろん。」

「夜はたいてい10時過ぎると部屋にいる。出れない時はこっちから連絡するし。」

「私も、いつでも部屋にいる。」

「分かった。じゃあね。」

「うん、ありがとう。」

最後まで目をそらさずに手を振る。

「ありがとう。またね。」

やっぱり心に響く。手を振り返して背中を向けた。

一人部屋に帰る。

珍しく悲しい思いをしてない今。
信じられるって思った印象が始まりなのに、勝手に裏切られたような気持になって。やっぱり信じようと思って。
昨日から同じ格好、顔は適当で、大丈夫?ちゃんとして見えてるの?
それでもきっと今の表情は満足そうだと思う。

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