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13 明るくなった部屋に二人。
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カチャっと音がしてドアが開き、一気に明るい廊下の明かりに体が照らされた。
「うわっ。」
ビックリしたのはドアを開けた石神君。
私もビックリした。
「ごめん、カードキー取ったから暗かったんだね。お水買ってきたんだ、やっぱり具合悪い?」
私がいたのはバスルームの前だったらしい。まあまあ、そんな作りだと思う。
帰ってきてくれたの?
もう会えないと思って覚悟してたのに。
部屋が急に明るくなった。
カードキーを挿されて部屋に明かりがついた。
「大丈夫?」
腕を支えられて、一緒にゆっくり立ち上がる。
「・・・自分の部屋に戻ったんだと思った。」
「ああ、お水を・・・・ちょっと買いに行っただけ。」
ベッドじゃなくてソファに座る。
よく考えたらすごくいい部屋。
普通のホテルよりいいホテルだと思う。
そんな部屋を2つも取ったの?
「体調は大丈夫?」
「大丈夫。」
「話をしてもいい?」
隣に座られた。微妙な距離がある。
何の話?
「この間仕事が終わった時間に浅井さんが来て、びっくりすることを言われた。舞さんをひどく傷つけたって。」
顔を見られた。ちょっとだけ合った視線をそらす。
告げ口したみたいで、悪口を言ったみたいで。
・・・・言ったのは泣き事です。
「誤解したまま、すごく落ち込んでるって。」
「僕が言った言葉も言われた、何でそう思ったのか分からないくらい。本当に何でって。そんなつもりはなかったのに、傷つけるつもりはなかったのに。でも自分の言葉をつなげられたらそう思われてもしょうがないかもって思ったりもして。」
「びっくりするほど怒ってた。途中筒井さんが入ってきて、僕が頭を殴られて、浅井さんが黙った。」
「違うんだったら自分で誤解を解いてって言われたから、昨日話が出来るかと思ってたのに。」
あんなところで?皆がいるのに。
あ、それともお開きになった後・・・・。
確かに、勝手に席を立ったのは私。
「昨日はごめんなさい、先に帰った時にカップを片付けるのを忘れてたって、後で気が付いたの。」
「ねえ、そんな小さい事はいいよ。先に進むよ。」
今、ちょっと怒った?
声が聞き慣れない声だった。
「昨日も話が出来なくて、今日こそお酒を控えて、ちゃんと伝えたいって思ってたのに。」
「一人だとあんなに隙だらけなのに、一緒にいる間は何だか硬いままで、少しも楽しんでなかったから。最後にもう誘わないって言われた時には知念君の顔が浮かんできて。もう誤解も解かなくていいのかなって思った。」
「まだ間に合うのかな?」
「ねえ、舞さんが一緒にいたいって言ったのに、まったく距離が測れないよ。部屋に行きたいって、間違ってないと思ったのに。・・・・本当に横になりたかっただけなのかって。具合が悪いならしょうがないけど。」
「どうしようって思った、フロントでも。もっと広いベッドの部屋でも空いてるって確認したけど、どうしようかって思った。でも、本当に間に合わなかったんだったら、それは最悪だし。とりあえず二部屋とった、隣の部屋と2つ。ねえ、バスタオルとバスローブをもってきていい?」
「一緒にいるだけでいいから。別に、それだけでもいいから。」
「舞さん、もう少し考える?返事は朝までにお願い。任せる。せっかくとったもう一つの部屋を無駄にしないってのも一つの返事で、任せる。」
軽く肩を抱き寄せられて返事を待たれる。
なにもかもが曖昧なまま。
はっきり言ってない私に、はっきり答えてない石神君。
それじゃあ、はっきり言えない、返事って言われても。
「石神君、好きなの。友達じゃなくて。もっと一緒にいたいの、もっと普通の恋人同士みたいになりたいの。」
「うん、僕も同じ。ねえ、みんな舞さんを誘いたいって言ったでしょう?本当に最初っから有名だったんだから。美人だって。そんな人が僕の横にいるって考えられないよ。全然信じられなくてびっくりしたし、変な期待はしないようにしようって最初から思ってた。でも本当に楽しいし、一緒にいたいし、もっと違うことも。それなのに知念君と盛り上がって楽しかったとまで言われて。やっぱりって思ったのに。」
「ただ楽しかっただけ。いろんな知らない沖縄の人の生態を教えられたみたいで。珍しい話でびっくりして。」
「そうかなあ、知念君はきっとすごくアプローチしてくるよ。瀬野尾君は分からないけど佐賀君は諦めたみたいだね。」
何でそう思うの?もしかしてすごく仲がいいとか?
「何でって、分かるよ。見てれば。」
「私の気持ちは全然分からなかったのに。」
「だから信じられないから。」
「知念君は知ってる。好きな人がいるって話した。片思いしてるって。」
「そんな話もしたの?」
「なんとなく流れで。」
「諦めるって言った?」
辛そうな顔をしてたら誘うって言われた。チャンスだと思って誘うって。
すごく前向き。押しつけがましくも感じさせない。
ずるさも隠そうとしない、優しい暖かさがあるから信じられそう。
心が傷ついて痛いときにはじんわりとしみこんで、そっちにゆっくり倒れこんでしまいそうになるかも。
そんな事を思ってたら急に抱きしめられた。
「なんで僕といるのにそんなに別の人のことを思い出してしんみりできるの?酷いよね。」
息苦しいほどで、何とか顔をあげて息をする。
首の髪を払われてキスをされた。
「もう、返事は待たなくてもいいんだよね。」
力を更にいれられて逃げだせるわけがない。
そんなつもりもない。
「石神君、・・・・シャワー浴びたい。」
体のを締め付けていた腕が緩む。
「石神君も。ここで待ってるから。こっちの部屋に帰ってきて。」
「分かった。」
「じゃあ、カード抜いていく。電気はつくから。」
ボタンを押してからカードを抜いた。
電気は今度は消えなかった。
「うわっ。」
ビックリしたのはドアを開けた石神君。
私もビックリした。
「ごめん、カードキー取ったから暗かったんだね。お水買ってきたんだ、やっぱり具合悪い?」
私がいたのはバスルームの前だったらしい。まあまあ、そんな作りだと思う。
帰ってきてくれたの?
もう会えないと思って覚悟してたのに。
部屋が急に明るくなった。
カードキーを挿されて部屋に明かりがついた。
「大丈夫?」
腕を支えられて、一緒にゆっくり立ち上がる。
「・・・自分の部屋に戻ったんだと思った。」
「ああ、お水を・・・・ちょっと買いに行っただけ。」
ベッドじゃなくてソファに座る。
よく考えたらすごくいい部屋。
普通のホテルよりいいホテルだと思う。
そんな部屋を2つも取ったの?
「体調は大丈夫?」
「大丈夫。」
「話をしてもいい?」
隣に座られた。微妙な距離がある。
何の話?
「この間仕事が終わった時間に浅井さんが来て、びっくりすることを言われた。舞さんをひどく傷つけたって。」
顔を見られた。ちょっとだけ合った視線をそらす。
告げ口したみたいで、悪口を言ったみたいで。
・・・・言ったのは泣き事です。
「誤解したまま、すごく落ち込んでるって。」
「僕が言った言葉も言われた、何でそう思ったのか分からないくらい。本当に何でって。そんなつもりはなかったのに、傷つけるつもりはなかったのに。でも自分の言葉をつなげられたらそう思われてもしょうがないかもって思ったりもして。」
「びっくりするほど怒ってた。途中筒井さんが入ってきて、僕が頭を殴られて、浅井さんが黙った。」
「違うんだったら自分で誤解を解いてって言われたから、昨日話が出来るかと思ってたのに。」
あんなところで?皆がいるのに。
あ、それともお開きになった後・・・・。
確かに、勝手に席を立ったのは私。
「昨日はごめんなさい、先に帰った時にカップを片付けるのを忘れてたって、後で気が付いたの。」
「ねえ、そんな小さい事はいいよ。先に進むよ。」
今、ちょっと怒った?
声が聞き慣れない声だった。
「昨日も話が出来なくて、今日こそお酒を控えて、ちゃんと伝えたいって思ってたのに。」
「一人だとあんなに隙だらけなのに、一緒にいる間は何だか硬いままで、少しも楽しんでなかったから。最後にもう誘わないって言われた時には知念君の顔が浮かんできて。もう誤解も解かなくていいのかなって思った。」
「まだ間に合うのかな?」
「ねえ、舞さんが一緒にいたいって言ったのに、まったく距離が測れないよ。部屋に行きたいって、間違ってないと思ったのに。・・・・本当に横になりたかっただけなのかって。具合が悪いならしょうがないけど。」
「どうしようって思った、フロントでも。もっと広いベッドの部屋でも空いてるって確認したけど、どうしようかって思った。でも、本当に間に合わなかったんだったら、それは最悪だし。とりあえず二部屋とった、隣の部屋と2つ。ねえ、バスタオルとバスローブをもってきていい?」
「一緒にいるだけでいいから。別に、それだけでもいいから。」
「舞さん、もう少し考える?返事は朝までにお願い。任せる。せっかくとったもう一つの部屋を無駄にしないってのも一つの返事で、任せる。」
軽く肩を抱き寄せられて返事を待たれる。
なにもかもが曖昧なまま。
はっきり言ってない私に、はっきり答えてない石神君。
それじゃあ、はっきり言えない、返事って言われても。
「石神君、好きなの。友達じゃなくて。もっと一緒にいたいの、もっと普通の恋人同士みたいになりたいの。」
「うん、僕も同じ。ねえ、みんな舞さんを誘いたいって言ったでしょう?本当に最初っから有名だったんだから。美人だって。そんな人が僕の横にいるって考えられないよ。全然信じられなくてびっくりしたし、変な期待はしないようにしようって最初から思ってた。でも本当に楽しいし、一緒にいたいし、もっと違うことも。それなのに知念君と盛り上がって楽しかったとまで言われて。やっぱりって思ったのに。」
「ただ楽しかっただけ。いろんな知らない沖縄の人の生態を教えられたみたいで。珍しい話でびっくりして。」
「そうかなあ、知念君はきっとすごくアプローチしてくるよ。瀬野尾君は分からないけど佐賀君は諦めたみたいだね。」
何でそう思うの?もしかしてすごく仲がいいとか?
「何でって、分かるよ。見てれば。」
「私の気持ちは全然分からなかったのに。」
「だから信じられないから。」
「知念君は知ってる。好きな人がいるって話した。片思いしてるって。」
「そんな話もしたの?」
「なんとなく流れで。」
「諦めるって言った?」
辛そうな顔をしてたら誘うって言われた。チャンスだと思って誘うって。
すごく前向き。押しつけがましくも感じさせない。
ずるさも隠そうとしない、優しい暖かさがあるから信じられそう。
心が傷ついて痛いときにはじんわりとしみこんで、そっちにゆっくり倒れこんでしまいそうになるかも。
そんな事を思ってたら急に抱きしめられた。
「なんで僕といるのにそんなに別の人のことを思い出してしんみりできるの?酷いよね。」
息苦しいほどで、何とか顔をあげて息をする。
首の髪を払われてキスをされた。
「もう、返事は待たなくてもいいんだよね。」
力を更にいれられて逃げだせるわけがない。
そんなつもりもない。
「石神君、・・・・シャワー浴びたい。」
体のを締め付けていた腕が緩む。
「石神君も。ここで待ってるから。こっちの部屋に帰ってきて。」
「分かった。」
「じゃあ、カード抜いていく。電気はつくから。」
ボタンを押してからカードを抜いた。
電気は今度は消えなかった。
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