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4 すり減る反省の気持ちと増える愚痴。
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確かに自分が言った。
お詫びをしたいと。あの頃いろいろと押し付けていた代りに、今度は私が手伝うと。
あくまでも手伝うだ!
しょうがない、言ってしまったのだから、それ以外お詫びの方法が分からないから。
労働以外できることはない。
ただ、言ってはみたけど、最初からこれ?この量?
手にした資料を見てげんなりとした。
『マジ、加減なしなの?』
下を向いてちょっと毒づく。
ただ手に余ります・・・だけは言えない。
黙々とするしかない。
やってやろうじゃないの。
本当に黙々とやっつけた。
終わったあと、軽く確認もして大丈夫だと思う。
あとは提出すればいい。
とっくに帰った他のメンバー。
手伝うって言ってくれたけど、それは丁寧に断ったのは言うまでもない。
それじゃあ意味がない。
反省の裏返しなんだから。反省・・・・・というか・・・・子供らしかった自分の過去の・・・・やっぱり反省か。
まあ、そうは思った。
しばらくは自分の仕事が終わった後、他に手伝うことがないか聞きに行こうと思ってる。
ないことはなく、それなりに次の日も、仕事が与えられた。
それは実に面倒というほどのものでもなく、まあ普通レベルのものだった。
とりあえずいない時を見計らって付箋をはって提出した。
自分で他には、と言ってもらった仕事は全部そうするつもりだ。
それはほぼ時間外だった。
先に辺見さんが・・・・アイツが帰ってた。
ちょっとムッとした。
だんだん最初の反省の気持ちは消えた。
二日として保てなかった。
その日は何も聞かずに帰った。
たまには残業無しで帰りたいと思った。
何より、その日は週末でもないけど飲み会だった。
友達から招集がかかった飲み会だった。
自分に与えられた仕事を鬼のようなスピードでこなしてさっさと帰ってやった。
気持ちが良かった。
数日のモヤモヤを晴らすように友達に愚痴り、飲んだ。
正直何を言ったか覚えてないくらい吠えたと思う。
やっかいな小虎になっただろう。
気がついたらウーロン茶を飲みながら、吠え声もかすれてきて、だんだん心も頭も冷めてきた。
「大丈夫?なんだかすごい顔で愚痴を言ってたけど。前に何度か聞いたことがあるよ、小さい頃の『ポチ』君の話。そんな展開があったなんてびっくり。」
本当に全部話をしたらしい。
今まで『ポチ』を語る時は楽しかったのに。
「本当に運命の再会?面白そうじゃない。いっそ二人で残業して、そのままお疲れ様会しちゃえば。『大人ポチ』に彼女はいるの?」
何でそんな話になると思うの?
「いるんじゃない。一緒に暮らしてるっぽい。」
歓迎会の時、その辺は微妙な言い方をしていた。
「ええっ、じゃあダメじゃん。つまんない。『大人ポチ』失格じゃん。」
そう思う。全然『ポチ』感がないんだから、もはや私の『ポチ』じゃない!
私のって・・・・・まあ、あの頃は他にいなかったから。
ウーロン茶のお陰で目も覚めたし、冷静にもなれた。なんだかスッキリした気分。
残業回避で帰って来てやったのも、何だか意趣返しみたいな気分になっていた。
それでも電車の中で、辺見さんの机の上の書類を思い出す。
どうだっただろう?
まあ、少しは残業しただろう。
それはいつものことだ。
今までも、いつも私が帰る時はいた。
今までいろんな仕事を私達より余分にしてたんだから。
どうせ明日からはまた手伝うんだし、いいだろう。
一人で残業してる姿を思い浮かべても、首を振って追い払った。
次の日、最近の集中力を褒められた。
近くの席の先輩後輩とのランチの時。
「最近、すごく全力で仕事してる気がするんだけど。嫌な事あった?」
隣の吉野先輩にそう聞かれた。
「なんでですか?真面目に仕事してるだけです。」
「だって午後の終わりなんて目が吊り上がりそうだよ。昨日は仕事後に楽しい予定があったからなんだなあって分かったけど。」
何でそう思う。
「友達と女子会でした。」
「メンズは?」
「女子会です。」
「なんだ、その割には必死さが伝わってきたけど。」
「だって久しぶりにお酒が飲みたかったんです。確かに頑張りましたよ。」
「今日は楽しい顔をして出勤してくるかと思ったのに、普通だったし。そうだったんだ。」
「そうです。」
じっくり観察されてたらしい。
「皆で絶対飲み会があるんだろうって言ってたんだ。」
皆って、誰ですか?
彼氏がいないことは皆知ってる。
時々ある男女混合編成の飲み会に気合を入れていくこともあり、たまにそのことも聞かれたりしていた。
新しい環境にも慣れて、先輩とも仲良くなれて、後輩女子とも話せるようになって、馴染んできた。個人情報のやり取りはすっかり終わってる。
ちょっとした天敵が一人出来たこと以外はまあまあだ。
「辺見さんも笑ってたよ。『だから必死だったんだ。』って。」
何?必死?
ちょっとムカついた。勝手にムカつく。
先輩もそんな情報を共有しないで欲しい。
もしや残業を回避するたびにそんな想像をされるんだろうか?
たまには無しでもいいじゃないか、手伝いなしで早く帰りたい日もある。
本当に女子の目は怖いのだ。
抜け駆けするとしっかり事情聴取されて、揶揄われて、進捗は定期的に報告義務があり・・・・。
落ち着くまでは探られるのだ。
破局したら盛り上がるのだ。
もっと悲惨な目に合うとパーティーレベルになる。
『愚痴を言いな。』と慰められる風に言いながら、ガンガンに飲まされて、話題を提供させられて、全部の事情を吐かされる。
『慰める会』と呼べるのは最初の30分くらいだ。
本当にちょっとした娯楽ネタ、活かすべき教訓として活用される。
前の課で本当に大虎になって一部始終を吐き出して、それ以来気をつけてる。
相手は外の人だったから、変な事にはならなかった。
だいたい傷が新しい時にそんなグリグリとえぐるようなことを言ってくるんだ。
女は本当に厄介な生き物だ。
会社の人と飲んだ時に『ポチ』話はした事はない。
良かったと思う。
一応忘れよう。披露しないように記憶の引き出しに鍵をかけておこう。
下僕扱いしていた『ポチ』がいたエピソードも人間性を疑われるし、成長した当人がそこにいることも恥ずかしいし、仕返しされてる今なんて死んでも言いたくない。
仕返し・・・・・つい、そう思ってしまった。
あんなに謝ったのに。
おかしい、自分から手伝うと言ったお詫びの気持ちはどこに行ったんだろう?
だいたいいつまで続けるべきなんだろう。
その内にもういいよと言ってくれるんだろうか?
まだまだ数日しか経ってないのにそう思った。
今日は・・・聞くべきなんだろうか?そうだろうなあ・・・・・。
まだ反省中ですという態度でいるべき頃だよね。
ああ、面倒だ。
なんでこうなった?
「そういえば辺見先輩は彼女と一緒に暮らしてるみたいですね。」
新人の杉野ちゃんが話をそっちに持って行った。
「そうなの?」
「なんとなくはぐらかされました。否定はされてません。」
「ふ~ん、そうか・・・・・。」
先輩がそう言う。
さっき名前が出たから話題に上った大人ポチ。
「どうかしたんですか?」
「なんとなく新人の頃にいろいろあったみたいって聞いて。」
「いろいろですか?」
四年くらい前のことだろうが、嬉しそうに聞きたそうに前のめりの杉野ちゃん。
どんな感じだったんだろう、四年前。
まだ少しは『ポチ』感があっただろうか?
でもすっかり体は大きくたくましかったんだろうから、ないか。
「・・・・だって。ちょっといろいろあったらしいとしか聞いてない。その時の彼女はすぐに仕事を辞めたけど、続いてるのかな?責任をとるってこともあるだろうし。」
責任?何だろう?頭の中でいろいろ考えていて話を聞いてなかった、最初の部分。
「そうですか・・・・。でも入社してすぐ子供って・・・・・やっぱり無いですよね。ドジだなあ。」
杉野ちゃんがしっかり言ってくれたから、大体わかった。
妊娠・・・・いろいろ・・・・・退社。
なるほど。本当にドジだ。
「でも噂。そんな感じじゃないしね。」
先輩もつい漏らしたことを後悔するように否定する。
「会社の飲み会には誘われるんですかね?」
「それが全く。全然参加してないみたい。誘っても来ないって諦められてるくらいに。同期の仲のいい人としか飲みに行かない主義らしい。」
「じゃあ、やっぱり、その人と・・・・かもしれませんね。ちょっと残念でしたね。ドジなんて言って悪かったかな・・・・。」
素直に反省する杉野ちゃん。
「あ、本当に噂だから、広めたらダメよ。」
先輩がそう言う。
無理でしょう・・・広まるでしょう。噂の拡散パターン通りです。
ちょっと静かなテーブルになった。
「じゃあ、寧々先輩は?」
いきなりこっちに来た。
この間は何も聞かれなかったのに。
「何?」
「彼氏と好きな人とそれ候補です。」
「影も形も無し。」
言い切った。しょうがない。
前に教えたよね。あれからそう時間も経ってないのに?
「じゃあ、今度飲みましょうよ。年下も含めて、誘います。」
三つ年下の彼女らと並ぶらしい。
それはどう?
「年上のお姉さん好きにはたまらないです。美人だし、真面目だし、スタイルいいし。」
必死になって褒めてくれてるんだろうか?どうだろう?
「ありがとう、褒めてくれて。」
喜ばないようにお礼は言った。
「あんまりうれしそうじゃないですね。年下はダメですか?やっぱり年上好きですか?」
やっぱりって何?
年下は付き合ったことがない、どうなんだろう。たかだか三つや四つ・・・・変わらないじゃない・・・とは言えない。
首を倒すにとどめた。
「誘って誘って。」
隣から先輩が食い込む。
「あ、年下希望ですか?」
「何でもいい。いい子だったらいい。」
「じゃあ、来週あたり仕込みますよ。社外ですが、その方がいいですよね。」
急に楽しそうになったテーブル。
「寧々先輩も頭数です、よろしくお願いしますね。」
返事も待たれなかった。
・・・・嫌がらせの残業がなかったらね。
ランチが終わり、午後の仕事が始まった。
柔らかい顔を心がけて仕事に取り組む。
食べ過ぎたのか、ちょっとムカムカする気がする。
それとも昨日のお酒のせいだろうか?
途中休憩をとろうと席を立った。
どうせ残業はするんだから。
ぼんやりと椅子に座って、コーヒーをブラックで飲んでいた。
「昨日は楽しかったらしいね。残業もせずに一目散に帰っただけの成果があった?」
いきなり声をかけられた。
誰かは振り向かなくても分かったのに、ビックリして振り向いて目が合った。
ヘラヘラと笑ってる。
あの日も見なかった表情。
楽しそうじゃないか・・・・。
「プライベートですよ、先輩。」
平坦に答えた。誰かが聞いたら冗談のやり取りに聞こえただろうか?
「何とかハラスメントか。あの時、小さい頃そんな言葉があったら、何だったんだろうと思うことがあったりなかったりだな。」
何が言いたいか分かった。
「小さい頃ですか?そこにハラスメントは成立すると思いますか?」
「どうだろう?あくまでも主観だからね。」
そうですか。たとえ成立してても時効くらいあるでしょう?
もっとだいそれた犯罪にだって時効があるんだから、あるはずです。
精神的に病んでたりの被害があったのか、なかったのか、です。
あの別れの日の車からの笑顔が解放感だった・・・・ということか。
そりゃどうも失礼してました。
「最近笑って仕事してる?」
「今度はセクハラですか?」
二連チャン。
さすがにうんざりしたという気配が漂う。
何も言われずにいなくなった。
気分が悪い。
本当に最初の頃みたいな人生史上最高に無駄な笑顔はもう出番はないだろう。
なんであんな笑顔が出来てたんだろう?
素直に・・・褒めてもらえたら喜んでたし、仕事がきちんと問題なかったと聞きたくて安心もしたかった。それは社会人として、当然だ。
一応新人よりは出来てると思いたい。
そこは四年目のプライドがあるんだから。
席に戻るのも嫌になった。
仕事面倒。したくない。休みたい。
『あああ・・・・・つまんない。』
「寧々先輩、大丈夫ですか?唸り声が聞こえてきましたけど。ストレスたまってますか?」
杉野ちゃんが来て声をかけられた。
「大丈夫。」
昨日発散出来たはずだ。
「じゃあ、つまらないなんて言わずに、今度の飲み会楽しみにしててください!」
そう言っていなくなった杉野ちゃん。
声に出てたらしい、一人で唸っていたらしい。
そろそろ仕事に戻るか。しょうがない。
コーヒーを手に席に戻った。
まさか・・・・・、書類が机の上にあった。
付箋付き。
『今日の分』そんなノルマという感じでおかれていた。
『よろしく』くらいつけろ!!
唸る前に毒づいた。
だいたい誰の仕業だか分かる。
付箋は有効に使いまわしてくれたらしい。
二重線で消された『終わりました。』の自分の文字を見る。
意志の強さというより、強情な気質とちょっとした負の感情が読み取れそうな自分の字。
線で消されてもなお・・・・という感じだ。
まだ今日の分も終わってないのに、重ねて来やがるとは。
昨日の意趣返しだ。それ以外ない。
・・・・・あ、あった、さっきの腹いせだろうか。
小さい男だ。
鼻で息を吐いたら、置かれた書類がはらりと捲れた。
ちょっと鼻息にも勢いがあったらしい。
深呼吸してまず今日の分から始めた。
間違いなく釣り目になっていたかもしれない。
もう笑顔がないのは当たり前だ。
やっともともとの自分の分を終わり、アイツが席を離れた隙に提出した。
あとは新しく付箋で依頼された分だ。
さっき鼻息で捲るまでもなく、面倒そうなものだった。
ひたすらやっつけ仕事だけど、面倒。
指を動かせば済むけど、面倒。
頑張って取り掛かった。残業覚悟とは言っても、早く帰りたい。
やっぱりみんなは先に帰った。
「寧々先輩、来週はいい週にしましょうね。」
ほんとにいい子なのかもしれない。
若くて可愛くて愛嬌もあって・・・・先輩を心配してくれて?
「お疲れ様。」
そう言って杉野ちゃんの背中を見送った。
あと一時間くらいだろう。
まあいい。昨日の分とさっきの失礼な態度の分だと思ってあげよう。
どうせ小さい男だから。
でっかく育ったのは想定外だった。
おばさん、なんで空手なんてさせたのよ。
もしあのままの『大人ポチ』だったらどうなってただろう?
まさか私が仕事を押し付けたりして・・・・・、さすがにそれはないか。
でももっと仲良く出来たかもしれない。
しょうがないなあと言って手伝ってあげて、代わりにご飯を奢らせて?
絶対楽しかっただろうに。
ああ・・・・・もうどんな設定なのかわからなくなってきた。
やはり一時間かかった。
いつものようにいない隙に提出したいと思ったのに、ずっといる。
しょうがない、付箋はさらに使いまわし、『今日の分』にバッテンをして封じ込めて、『お願いします。』とふてぶてしさが見える字で書いて、提出した。
付箋が一往復半。意地でも新しくはしないぞ!
「辺見さん、出来ました。」
提出したら、くるりと向きを変えてトイレに行った。
化粧を直して、席に戻って、無言で背中を向けた。
こっちを見たような気がしたアイツに。
一日一日すり減ってる気がする。
なんだか性格変ってない?
もともと・・・・を隠す気がなくなったとも言う。
ああ、眉間のしわが取れないし、唸るし、笑顔は消えたし。
ちょっと酷いじゃないか。
部屋でその日の分も愚痴を吐き出すように言いながら、スッキリした後笑顔を作り笑った。
笑い方を忘れただらどうするのよ!!
お詫びをしたいと。あの頃いろいろと押し付けていた代りに、今度は私が手伝うと。
あくまでも手伝うだ!
しょうがない、言ってしまったのだから、それ以外お詫びの方法が分からないから。
労働以外できることはない。
ただ、言ってはみたけど、最初からこれ?この量?
手にした資料を見てげんなりとした。
『マジ、加減なしなの?』
下を向いてちょっと毒づく。
ただ手に余ります・・・だけは言えない。
黙々とするしかない。
やってやろうじゃないの。
本当に黙々とやっつけた。
終わったあと、軽く確認もして大丈夫だと思う。
あとは提出すればいい。
とっくに帰った他のメンバー。
手伝うって言ってくれたけど、それは丁寧に断ったのは言うまでもない。
それじゃあ意味がない。
反省の裏返しなんだから。反省・・・・・というか・・・・子供らしかった自分の過去の・・・・やっぱり反省か。
まあ、そうは思った。
しばらくは自分の仕事が終わった後、他に手伝うことがないか聞きに行こうと思ってる。
ないことはなく、それなりに次の日も、仕事が与えられた。
それは実に面倒というほどのものでもなく、まあ普通レベルのものだった。
とりあえずいない時を見計らって付箋をはって提出した。
自分で他には、と言ってもらった仕事は全部そうするつもりだ。
それはほぼ時間外だった。
先に辺見さんが・・・・アイツが帰ってた。
ちょっとムッとした。
だんだん最初の反省の気持ちは消えた。
二日として保てなかった。
その日は何も聞かずに帰った。
たまには残業無しで帰りたいと思った。
何より、その日は週末でもないけど飲み会だった。
友達から招集がかかった飲み会だった。
自分に与えられた仕事を鬼のようなスピードでこなしてさっさと帰ってやった。
気持ちが良かった。
数日のモヤモヤを晴らすように友達に愚痴り、飲んだ。
正直何を言ったか覚えてないくらい吠えたと思う。
やっかいな小虎になっただろう。
気がついたらウーロン茶を飲みながら、吠え声もかすれてきて、だんだん心も頭も冷めてきた。
「大丈夫?なんだかすごい顔で愚痴を言ってたけど。前に何度か聞いたことがあるよ、小さい頃の『ポチ』君の話。そんな展開があったなんてびっくり。」
本当に全部話をしたらしい。
今まで『ポチ』を語る時は楽しかったのに。
「本当に運命の再会?面白そうじゃない。いっそ二人で残業して、そのままお疲れ様会しちゃえば。『大人ポチ』に彼女はいるの?」
何でそんな話になると思うの?
「いるんじゃない。一緒に暮らしてるっぽい。」
歓迎会の時、その辺は微妙な言い方をしていた。
「ええっ、じゃあダメじゃん。つまんない。『大人ポチ』失格じゃん。」
そう思う。全然『ポチ』感がないんだから、もはや私の『ポチ』じゃない!
私のって・・・・・まあ、あの頃は他にいなかったから。
ウーロン茶のお陰で目も覚めたし、冷静にもなれた。なんだかスッキリした気分。
残業回避で帰って来てやったのも、何だか意趣返しみたいな気分になっていた。
それでも電車の中で、辺見さんの机の上の書類を思い出す。
どうだっただろう?
まあ、少しは残業しただろう。
それはいつものことだ。
今までも、いつも私が帰る時はいた。
今までいろんな仕事を私達より余分にしてたんだから。
どうせ明日からはまた手伝うんだし、いいだろう。
一人で残業してる姿を思い浮かべても、首を振って追い払った。
次の日、最近の集中力を褒められた。
近くの席の先輩後輩とのランチの時。
「最近、すごく全力で仕事してる気がするんだけど。嫌な事あった?」
隣の吉野先輩にそう聞かれた。
「なんでですか?真面目に仕事してるだけです。」
「だって午後の終わりなんて目が吊り上がりそうだよ。昨日は仕事後に楽しい予定があったからなんだなあって分かったけど。」
何でそう思う。
「友達と女子会でした。」
「メンズは?」
「女子会です。」
「なんだ、その割には必死さが伝わってきたけど。」
「だって久しぶりにお酒が飲みたかったんです。確かに頑張りましたよ。」
「今日は楽しい顔をして出勤してくるかと思ったのに、普通だったし。そうだったんだ。」
「そうです。」
じっくり観察されてたらしい。
「皆で絶対飲み会があるんだろうって言ってたんだ。」
皆って、誰ですか?
彼氏がいないことは皆知ってる。
時々ある男女混合編成の飲み会に気合を入れていくこともあり、たまにそのことも聞かれたりしていた。
新しい環境にも慣れて、先輩とも仲良くなれて、後輩女子とも話せるようになって、馴染んできた。個人情報のやり取りはすっかり終わってる。
ちょっとした天敵が一人出来たこと以外はまあまあだ。
「辺見さんも笑ってたよ。『だから必死だったんだ。』って。」
何?必死?
ちょっとムカついた。勝手にムカつく。
先輩もそんな情報を共有しないで欲しい。
もしや残業を回避するたびにそんな想像をされるんだろうか?
たまには無しでもいいじゃないか、手伝いなしで早く帰りたい日もある。
本当に女子の目は怖いのだ。
抜け駆けするとしっかり事情聴取されて、揶揄われて、進捗は定期的に報告義務があり・・・・。
落ち着くまでは探られるのだ。
破局したら盛り上がるのだ。
もっと悲惨な目に合うとパーティーレベルになる。
『愚痴を言いな。』と慰められる風に言いながら、ガンガンに飲まされて、話題を提供させられて、全部の事情を吐かされる。
『慰める会』と呼べるのは最初の30分くらいだ。
本当にちょっとした娯楽ネタ、活かすべき教訓として活用される。
前の課で本当に大虎になって一部始終を吐き出して、それ以来気をつけてる。
相手は外の人だったから、変な事にはならなかった。
だいたい傷が新しい時にそんなグリグリとえぐるようなことを言ってくるんだ。
女は本当に厄介な生き物だ。
会社の人と飲んだ時に『ポチ』話はした事はない。
良かったと思う。
一応忘れよう。披露しないように記憶の引き出しに鍵をかけておこう。
下僕扱いしていた『ポチ』がいたエピソードも人間性を疑われるし、成長した当人がそこにいることも恥ずかしいし、仕返しされてる今なんて死んでも言いたくない。
仕返し・・・・・つい、そう思ってしまった。
あんなに謝ったのに。
おかしい、自分から手伝うと言ったお詫びの気持ちはどこに行ったんだろう?
だいたいいつまで続けるべきなんだろう。
その内にもういいよと言ってくれるんだろうか?
まだまだ数日しか経ってないのにそう思った。
今日は・・・聞くべきなんだろうか?そうだろうなあ・・・・・。
まだ反省中ですという態度でいるべき頃だよね。
ああ、面倒だ。
なんでこうなった?
「そういえば辺見先輩は彼女と一緒に暮らしてるみたいですね。」
新人の杉野ちゃんが話をそっちに持って行った。
「そうなの?」
「なんとなくはぐらかされました。否定はされてません。」
「ふ~ん、そうか・・・・・。」
先輩がそう言う。
さっき名前が出たから話題に上った大人ポチ。
「どうかしたんですか?」
「なんとなく新人の頃にいろいろあったみたいって聞いて。」
「いろいろですか?」
四年くらい前のことだろうが、嬉しそうに聞きたそうに前のめりの杉野ちゃん。
どんな感じだったんだろう、四年前。
まだ少しは『ポチ』感があっただろうか?
でもすっかり体は大きくたくましかったんだろうから、ないか。
「・・・・だって。ちょっといろいろあったらしいとしか聞いてない。その時の彼女はすぐに仕事を辞めたけど、続いてるのかな?責任をとるってこともあるだろうし。」
責任?何だろう?頭の中でいろいろ考えていて話を聞いてなかった、最初の部分。
「そうですか・・・・。でも入社してすぐ子供って・・・・・やっぱり無いですよね。ドジだなあ。」
杉野ちゃんがしっかり言ってくれたから、大体わかった。
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なるほど。本当にドジだ。
「でも噂。そんな感じじゃないしね。」
先輩もつい漏らしたことを後悔するように否定する。
「会社の飲み会には誘われるんですかね?」
「それが全く。全然参加してないみたい。誘っても来ないって諦められてるくらいに。同期の仲のいい人としか飲みに行かない主義らしい。」
「じゃあ、やっぱり、その人と・・・・かもしれませんね。ちょっと残念でしたね。ドジなんて言って悪かったかな・・・・。」
素直に反省する杉野ちゃん。
「あ、本当に噂だから、広めたらダメよ。」
先輩がそう言う。
無理でしょう・・・広まるでしょう。噂の拡散パターン通りです。
ちょっと静かなテーブルになった。
「じゃあ、寧々先輩は?」
いきなりこっちに来た。
この間は何も聞かれなかったのに。
「何?」
「彼氏と好きな人とそれ候補です。」
「影も形も無し。」
言い切った。しょうがない。
前に教えたよね。あれからそう時間も経ってないのに?
「じゃあ、今度飲みましょうよ。年下も含めて、誘います。」
三つ年下の彼女らと並ぶらしい。
それはどう?
「年上のお姉さん好きにはたまらないです。美人だし、真面目だし、スタイルいいし。」
必死になって褒めてくれてるんだろうか?どうだろう?
「ありがとう、褒めてくれて。」
喜ばないようにお礼は言った。
「あんまりうれしそうじゃないですね。年下はダメですか?やっぱり年上好きですか?」
やっぱりって何?
年下は付き合ったことがない、どうなんだろう。たかだか三つや四つ・・・・変わらないじゃない・・・とは言えない。
首を倒すにとどめた。
「誘って誘って。」
隣から先輩が食い込む。
「あ、年下希望ですか?」
「何でもいい。いい子だったらいい。」
「じゃあ、来週あたり仕込みますよ。社外ですが、その方がいいですよね。」
急に楽しそうになったテーブル。
「寧々先輩も頭数です、よろしくお願いしますね。」
返事も待たれなかった。
・・・・嫌がらせの残業がなかったらね。
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柔らかい顔を心がけて仕事に取り組む。
食べ過ぎたのか、ちょっとムカムカする気がする。
それとも昨日のお酒のせいだろうか?
途中休憩をとろうと席を立った。
どうせ残業はするんだから。
ぼんやりと椅子に座って、コーヒーをブラックで飲んでいた。
「昨日は楽しかったらしいね。残業もせずに一目散に帰っただけの成果があった?」
いきなり声をかけられた。
誰かは振り向かなくても分かったのに、ビックリして振り向いて目が合った。
ヘラヘラと笑ってる。
あの日も見なかった表情。
楽しそうじゃないか・・・・。
「プライベートですよ、先輩。」
平坦に答えた。誰かが聞いたら冗談のやり取りに聞こえただろうか?
「何とかハラスメントか。あの時、小さい頃そんな言葉があったら、何だったんだろうと思うことがあったりなかったりだな。」
何が言いたいか分かった。
「小さい頃ですか?そこにハラスメントは成立すると思いますか?」
「どうだろう?あくまでも主観だからね。」
そうですか。たとえ成立してても時効くらいあるでしょう?
もっとだいそれた犯罪にだって時効があるんだから、あるはずです。
精神的に病んでたりの被害があったのか、なかったのか、です。
あの別れの日の車からの笑顔が解放感だった・・・・ということか。
そりゃどうも失礼してました。
「最近笑って仕事してる?」
「今度はセクハラですか?」
二連チャン。
さすがにうんざりしたという気配が漂う。
何も言われずにいなくなった。
気分が悪い。
本当に最初の頃みたいな人生史上最高に無駄な笑顔はもう出番はないだろう。
なんであんな笑顔が出来てたんだろう?
素直に・・・褒めてもらえたら喜んでたし、仕事がきちんと問題なかったと聞きたくて安心もしたかった。それは社会人として、当然だ。
一応新人よりは出来てると思いたい。
そこは四年目のプライドがあるんだから。
席に戻るのも嫌になった。
仕事面倒。したくない。休みたい。
『あああ・・・・・つまんない。』
「寧々先輩、大丈夫ですか?唸り声が聞こえてきましたけど。ストレスたまってますか?」
杉野ちゃんが来て声をかけられた。
「大丈夫。」
昨日発散出来たはずだ。
「じゃあ、つまらないなんて言わずに、今度の飲み会楽しみにしててください!」
そう言っていなくなった杉野ちゃん。
声に出てたらしい、一人で唸っていたらしい。
そろそろ仕事に戻るか。しょうがない。
コーヒーを手に席に戻った。
まさか・・・・・、書類が机の上にあった。
付箋付き。
『今日の分』そんなノルマという感じでおかれていた。
『よろしく』くらいつけろ!!
唸る前に毒づいた。
だいたい誰の仕業だか分かる。
付箋は有効に使いまわしてくれたらしい。
二重線で消された『終わりました。』の自分の文字を見る。
意志の強さというより、強情な気質とちょっとした負の感情が読み取れそうな自分の字。
線で消されてもなお・・・・という感じだ。
まだ今日の分も終わってないのに、重ねて来やがるとは。
昨日の意趣返しだ。それ以外ない。
・・・・・あ、あった、さっきの腹いせだろうか。
小さい男だ。
鼻で息を吐いたら、置かれた書類がはらりと捲れた。
ちょっと鼻息にも勢いがあったらしい。
深呼吸してまず今日の分から始めた。
間違いなく釣り目になっていたかもしれない。
もう笑顔がないのは当たり前だ。
やっともともとの自分の分を終わり、アイツが席を離れた隙に提出した。
あとは新しく付箋で依頼された分だ。
さっき鼻息で捲るまでもなく、面倒そうなものだった。
ひたすらやっつけ仕事だけど、面倒。
指を動かせば済むけど、面倒。
頑張って取り掛かった。残業覚悟とは言っても、早く帰りたい。
やっぱりみんなは先に帰った。
「寧々先輩、来週はいい週にしましょうね。」
ほんとにいい子なのかもしれない。
若くて可愛くて愛嬌もあって・・・・先輩を心配してくれて?
「お疲れ様。」
そう言って杉野ちゃんの背中を見送った。
あと一時間くらいだろう。
まあいい。昨日の分とさっきの失礼な態度の分だと思ってあげよう。
どうせ小さい男だから。
でっかく育ったのは想定外だった。
おばさん、なんで空手なんてさせたのよ。
もしあのままの『大人ポチ』だったらどうなってただろう?
まさか私が仕事を押し付けたりして・・・・・、さすがにそれはないか。
でももっと仲良く出来たかもしれない。
しょうがないなあと言って手伝ってあげて、代わりにご飯を奢らせて?
絶対楽しかっただろうに。
ああ・・・・・もうどんな設定なのかわからなくなってきた。
やはり一時間かかった。
いつものようにいない隙に提出したいと思ったのに、ずっといる。
しょうがない、付箋はさらに使いまわし、『今日の分』にバッテンをして封じ込めて、『お願いします。』とふてぶてしさが見える字で書いて、提出した。
付箋が一往復半。意地でも新しくはしないぞ!
「辺見さん、出来ました。」
提出したら、くるりと向きを変えてトイレに行った。
化粧を直して、席に戻って、無言で背中を向けた。
こっちを見たような気がしたアイツに。
一日一日すり減ってる気がする。
なんだか性格変ってない?
もともと・・・・を隠す気がなくなったとも言う。
ああ、眉間のしわが取れないし、唸るし、笑顔は消えたし。
ちょっと酷いじゃないか。
部屋でその日の分も愚痴を吐き出すように言いながら、スッキリした後笑顔を作り笑った。
笑い方を忘れただらどうするのよ!!
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