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6 ちなみ ~やっと三人目が目覚めた朝~
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ゆっくり眠れた。
本当にゆっくりで、目覚ましになったのは昨日知り合ったばかりの女の子の声だった。
新藤先輩の妹、新藤水鳥ちゃん。
いきなり昨日の夜に目の前に現れた時は・・・・邪魔・・・そう思った。
でも、ごめんなさい。そんな失礼なことを思った自分を殴りたい。
少しはそんな気持ちも漏れだしてしまったのかもしれない。
ずっとずっと味方の様に動いてくれた気がする。
酔い醒ましに立ち寄ったコーヒー屋から気を遣ってくれた。
酔いを醒ますどころか延長タイムを作ってくれて、二次会と称してまた飲んで。
いろいろ話をした。
私も酔っていたと思う、そして新藤さんも、兄の方、新さんも。
楽しかったと言ってくれたし、連絡先も交換してくれた、もしかしたらまた会ってくれるかも・・・・・・、全部水鳥ちゃんのお陰だと思う。
そんな気がしてた。
そして今、目が覚めた状態でじっとしてる私。
ずっと二人の話し声が聞こえてる。
それだって妹の水鳥ちゃんと話をする素の新藤さん。
その声をずっと聞いていたい。
このまままた眠りそう・・・・なんてもったいない。
起きるのも、まだ・・・・もう少し、どうぞ二人で語らってください。
あと少しだけでいいから、この奇跡の時間を味わいたい。
いや、もう一度朝までの時間をしっかり振り返り、味わいたい。
だってお揃いのバスローブを着て、隣り合って飲んだ後、ベッドでも近くにい・・・・た。
私が二番目に寝ることになったから。
先にベッドに入った新藤さんの背中を見て。本当はついて行きたくて、見てた。
しばらくして水鳥ちゃんに勧められて、隣に寝ることになった。
だって同じ布団の中、同じシーツの上、体温が伝わる。
こっちを向いてくれなかったけど、仰向けに寝てるだろう新藤さんを思って、そっちを向きたいのを我慢して、私も天井を向いて横になった。
そっと手を体から離して、二人の間のスペースの半分くらいにおいた。
新藤さんの手にはぶつからなかった。
ベッドが広かったのか、お腹の上にのせてたのか。
気がついたら今朝までぐっすり。
ああ、もったいない・・・・・。
でも、今、私の体は明らかに新藤さんの寝てた方に向いて横向きで。
それは、いつからだったんだろう?
もしかして新藤さんもこっちを見て目を覚ました?
もうそんな事を想像するだけで体温が上がる。
目も覚める。
それでも身動きせずに。
ソファの辺りでは兄妹の会話が続けられてる。
「もう、大きな声を出さないで。ちなみさんが起きちゃうじゃない。」
確かに新藤さんの声が大きかったけど、さっきから普通に話し声は聞こえてた。
今もひそめたのは最初だけ。
また普通に戻ってる二人。
そして私にとってはすごい出来事だったあのことを新藤さんは忘れてる。
水鳥ちゃんが言ったヒント『半年くらい前』、それだけじゃあ全く思い当たらないらしい。
水鳥ちゃんもそれ以上は教えないで、私と新藤さんが話しできるようにしてくれてる。
この後朝ごはんを食べることになった!
また会ってもらえるらしい!
うれしい返事は聞けなくても水鳥ちゃんの満足そうな声でそう思った。
本当にありがとう。
すごく楽しかった時間をありがとう。
水鳥ちゃん、邪魔だなんて、あの時はごめんなさい、今は感謝だけです。
そんな事を思いながら、一人だけ寝てる振り。
でも、さすがにね・・・・・ゆっくり目が覚める演技を・・・・。
腕を伸ばし、良く寝ました!みたいに。
二人も気がついたと思う。
『起きたのかな?』
小さい囁きが聞こえた。
ゆっくり体を起こしたら、胸元が緩かった。
びっくり、ちょっと寝乱れです。
あわてて胸元を合わせて、振り向く。顔だけにした。
もはや腰下のバスローブがどうなってるやら。
黙って見つめ合う三人。
「あ、起きた?ちなみさん、おはよう。」
「おはようございます。」
「おはよう。」
きっと自分ひとりだけボサボサの髪だと思う。
やっぱり早く起きるべきだったと思う。
お布団の中、バスローブを腰あたりから綺麗にして、ゆっくり背中を向けてベッドから降りた。
「お兄ちゃん、テレビの方を向いててよ。ちなみさん、バスタオル、新しいのをどうぞ。」
そう言って水鳥ちゃんが化粧ポーチと私のバッグを持って、シャワールームについて来てくれた。
「何か欲しいメイク道具ある?」
「あんまりしない方だから、諦めます。眉とリップがあるし。肌色のUVクリーム
で間に合わせる。」
「そう?色物もあるけど、必要だったら使って。時間はまだまだ大丈夫だからゆっくりでいいよ。」
なんて気の利く子。
なんて女子力の高い子。
そして、すっかりため口になってる。
まあまあ同じくらいの年だしね。
とりあえずシャワーを浴びて、顔を洗って。
大きな鏡越しに顔を作った。
だって昨日スッピンで飲んだし、いいかな。
それでも軽く目じりにだけ色を乗せた。
あんまりがっつりとグラデを作るような技術はない。
ゆっくり二人の元に戻った。
「遅くまで寝ていてすみませんでした。」
「大丈夫だよ。私が珍しく一番で、ちょっと前にお兄ちゃんも起きてきたの。ちなみさん、お腹空いてるよね。朝ごはんにしよう!」
さっきつけられたテレビが消されて、窓を開けられて、新藤さんがジャケットを羽織る。
水鳥ちゃんに化粧ポーチを返しお礼を言って、自分のジャケットを持った。
「忘れ物無し?」
くるりと見渡した。
テーブルの上には空き缶が綺麗に並べられていた。
飲み過ぎだ。
でも楽しかった二次会。
仲良く三人で部屋を後にした。
ホテルを出るまで誰にも会わず、それは良かった。
だって、変だよね。三人って変だよね?
駅まで行ったら、くるりと向きを変えて手を振る水鳥ちゃん。
「じゃあ、私は家に帰ります。お兄ちゃんとこに泊ったことになってるからね。よろしく。」
まあまあ間違いじゃない?
大学生でまだ実家暮らしだと言っていた。
そして残された二人。
「朝ごはん食べようか?食べれる?」
「はい、軽めに。」
見つめ合ってしまった。
だっていろいろ恥ずかしくて。
さっきまでの水鳥ちゃんのいた気配が消えて、二人きりになって。
やっぱり感謝だった。
昨日二人だったとしても、あんまり期待は出来なかったから。
「じゃあ、行こうか。」
「どこかお店を決めてますか?」
「水鳥が教えてくれたところでいいかな?女子向きだとは思うよ。」
「はい。よろしくお願いします。」
それでいいなら。
「あ、昨日からずっとご馳走になってばかりで、お金お支払いします。宿泊のお金も、お酒と化粧品まで買っていただいたし。」
「う~ん、あれは水鳥が決めたことだし、いいよ。じゃあ、朝ごはんはお願いしていい?」
「もちろんです。ありがとうございます。」
「夕方の飲み会で妹の話をしたからって、直ぐに会うことになるなんて思わなかったよね。」
「はい。本当に偶然だったんですよね。」
「うん。そんなに連絡とってた方じゃないよ。時々親の伝言と、後何かニュースがあった時と、愚痴と、ボーナスの後のお願いと。」
それでも結構ありますよね、気がついてます?
「可愛い妹さんでした、水鳥ちゃん。名前の漢字も珍しいですね。」
「そうだよね、別に親が特別に鳥が好きって訳じゃないんだけどね。二人で悩みぬいて決めたらしい。あんなにうるさい感じだから膨れた雀か、騒がしいだけのインコだよね。」
やっぱり可愛いって顔が言ってる。
「『あらた』さんもそんな感じで決められたんでしょうか?」
「ああ・・・・・僕は予定より大分早くに生まれて、まだまだ決め手にかけてて、いよいよってところでバンって決めたらしい。それまで候補にも挙がってなかったのに。」
「でも、忘れませんよ。」
だってなんで『新藤新』なの?
読みが『しん』じゃなかっただけでもいいのかな。
『しんどう しん』それはちょっと。
『しんどう あらた』
そう、ひらがなだとそうでもないけど、漢字だとちょっと不思議な名前。
だから余計に興味がわいたんだと思う。
あの時、ビックリして、お礼を言って、別れた後、その名前が印象に残って、返そうと思った、もう一度会いたいと思った。
やっとそのチャンスが来た。
本当にゆっくりで、目覚ましになったのは昨日知り合ったばかりの女の子の声だった。
新藤先輩の妹、新藤水鳥ちゃん。
いきなり昨日の夜に目の前に現れた時は・・・・邪魔・・・そう思った。
でも、ごめんなさい。そんな失礼なことを思った自分を殴りたい。
少しはそんな気持ちも漏れだしてしまったのかもしれない。
ずっとずっと味方の様に動いてくれた気がする。
酔い醒ましに立ち寄ったコーヒー屋から気を遣ってくれた。
酔いを醒ますどころか延長タイムを作ってくれて、二次会と称してまた飲んで。
いろいろ話をした。
私も酔っていたと思う、そして新藤さんも、兄の方、新さんも。
楽しかったと言ってくれたし、連絡先も交換してくれた、もしかしたらまた会ってくれるかも・・・・・・、全部水鳥ちゃんのお陰だと思う。
そんな気がしてた。
そして今、目が覚めた状態でじっとしてる私。
ずっと二人の話し声が聞こえてる。
それだって妹の水鳥ちゃんと話をする素の新藤さん。
その声をずっと聞いていたい。
このまままた眠りそう・・・・なんてもったいない。
起きるのも、まだ・・・・もう少し、どうぞ二人で語らってください。
あと少しだけでいいから、この奇跡の時間を味わいたい。
いや、もう一度朝までの時間をしっかり振り返り、味わいたい。
だってお揃いのバスローブを着て、隣り合って飲んだ後、ベッドでも近くにい・・・・た。
私が二番目に寝ることになったから。
先にベッドに入った新藤さんの背中を見て。本当はついて行きたくて、見てた。
しばらくして水鳥ちゃんに勧められて、隣に寝ることになった。
だって同じ布団の中、同じシーツの上、体温が伝わる。
こっちを向いてくれなかったけど、仰向けに寝てるだろう新藤さんを思って、そっちを向きたいのを我慢して、私も天井を向いて横になった。
そっと手を体から離して、二人の間のスペースの半分くらいにおいた。
新藤さんの手にはぶつからなかった。
ベッドが広かったのか、お腹の上にのせてたのか。
気がついたら今朝までぐっすり。
ああ、もったいない・・・・・。
でも、今、私の体は明らかに新藤さんの寝てた方に向いて横向きで。
それは、いつからだったんだろう?
もしかして新藤さんもこっちを見て目を覚ました?
もうそんな事を想像するだけで体温が上がる。
目も覚める。
それでも身動きせずに。
ソファの辺りでは兄妹の会話が続けられてる。
「もう、大きな声を出さないで。ちなみさんが起きちゃうじゃない。」
確かに新藤さんの声が大きかったけど、さっきから普通に話し声は聞こえてた。
今もひそめたのは最初だけ。
また普通に戻ってる二人。
そして私にとってはすごい出来事だったあのことを新藤さんは忘れてる。
水鳥ちゃんが言ったヒント『半年くらい前』、それだけじゃあ全く思い当たらないらしい。
水鳥ちゃんもそれ以上は教えないで、私と新藤さんが話しできるようにしてくれてる。
この後朝ごはんを食べることになった!
また会ってもらえるらしい!
うれしい返事は聞けなくても水鳥ちゃんの満足そうな声でそう思った。
本当にありがとう。
すごく楽しかった時間をありがとう。
水鳥ちゃん、邪魔だなんて、あの時はごめんなさい、今は感謝だけです。
そんな事を思いながら、一人だけ寝てる振り。
でも、さすがにね・・・・・ゆっくり目が覚める演技を・・・・。
腕を伸ばし、良く寝ました!みたいに。
二人も気がついたと思う。
『起きたのかな?』
小さい囁きが聞こえた。
ゆっくり体を起こしたら、胸元が緩かった。
びっくり、ちょっと寝乱れです。
あわてて胸元を合わせて、振り向く。顔だけにした。
もはや腰下のバスローブがどうなってるやら。
黙って見つめ合う三人。
「あ、起きた?ちなみさん、おはよう。」
「おはようございます。」
「おはよう。」
きっと自分ひとりだけボサボサの髪だと思う。
やっぱり早く起きるべきだったと思う。
お布団の中、バスローブを腰あたりから綺麗にして、ゆっくり背中を向けてベッドから降りた。
「お兄ちゃん、テレビの方を向いててよ。ちなみさん、バスタオル、新しいのをどうぞ。」
そう言って水鳥ちゃんが化粧ポーチと私のバッグを持って、シャワールームについて来てくれた。
「何か欲しいメイク道具ある?」
「あんまりしない方だから、諦めます。眉とリップがあるし。肌色のUVクリーム
で間に合わせる。」
「そう?色物もあるけど、必要だったら使って。時間はまだまだ大丈夫だからゆっくりでいいよ。」
なんて気の利く子。
なんて女子力の高い子。
そして、すっかりため口になってる。
まあまあ同じくらいの年だしね。
とりあえずシャワーを浴びて、顔を洗って。
大きな鏡越しに顔を作った。
だって昨日スッピンで飲んだし、いいかな。
それでも軽く目じりにだけ色を乗せた。
あんまりがっつりとグラデを作るような技術はない。
ゆっくり二人の元に戻った。
「遅くまで寝ていてすみませんでした。」
「大丈夫だよ。私が珍しく一番で、ちょっと前にお兄ちゃんも起きてきたの。ちなみさん、お腹空いてるよね。朝ごはんにしよう!」
さっきつけられたテレビが消されて、窓を開けられて、新藤さんがジャケットを羽織る。
水鳥ちゃんに化粧ポーチを返しお礼を言って、自分のジャケットを持った。
「忘れ物無し?」
くるりと見渡した。
テーブルの上には空き缶が綺麗に並べられていた。
飲み過ぎだ。
でも楽しかった二次会。
仲良く三人で部屋を後にした。
ホテルを出るまで誰にも会わず、それは良かった。
だって、変だよね。三人って変だよね?
駅まで行ったら、くるりと向きを変えて手を振る水鳥ちゃん。
「じゃあ、私は家に帰ります。お兄ちゃんとこに泊ったことになってるからね。よろしく。」
まあまあ間違いじゃない?
大学生でまだ実家暮らしだと言っていた。
そして残された二人。
「朝ごはん食べようか?食べれる?」
「はい、軽めに。」
見つめ合ってしまった。
だっていろいろ恥ずかしくて。
さっきまでの水鳥ちゃんのいた気配が消えて、二人きりになって。
やっぱり感謝だった。
昨日二人だったとしても、あんまり期待は出来なかったから。
「じゃあ、行こうか。」
「どこかお店を決めてますか?」
「水鳥が教えてくれたところでいいかな?女子向きだとは思うよ。」
「はい。よろしくお願いします。」
それでいいなら。
「あ、昨日からずっとご馳走になってばかりで、お金お支払いします。宿泊のお金も、お酒と化粧品まで買っていただいたし。」
「う~ん、あれは水鳥が決めたことだし、いいよ。じゃあ、朝ごはんはお願いしていい?」
「もちろんです。ありがとうございます。」
「夕方の飲み会で妹の話をしたからって、直ぐに会うことになるなんて思わなかったよね。」
「はい。本当に偶然だったんですよね。」
「うん。そんなに連絡とってた方じゃないよ。時々親の伝言と、後何かニュースがあった時と、愚痴と、ボーナスの後のお願いと。」
それでも結構ありますよね、気がついてます?
「可愛い妹さんでした、水鳥ちゃん。名前の漢字も珍しいですね。」
「そうだよね、別に親が特別に鳥が好きって訳じゃないんだけどね。二人で悩みぬいて決めたらしい。あんなにうるさい感じだから膨れた雀か、騒がしいだけのインコだよね。」
やっぱり可愛いって顔が言ってる。
「『あらた』さんもそんな感じで決められたんでしょうか?」
「ああ・・・・・僕は予定より大分早くに生まれて、まだまだ決め手にかけてて、いよいよってところでバンって決めたらしい。それまで候補にも挙がってなかったのに。」
「でも、忘れませんよ。」
だってなんで『新藤新』なの?
読みが『しん』じゃなかっただけでもいいのかな。
『しんどう しん』それはちょっと。
『しんどう あらた』
そう、ひらがなだとそうでもないけど、漢字だとちょっと不思議な名前。
だから余計に興味がわいたんだと思う。
あの時、ビックリして、お礼を言って、別れた後、その名前が印象に残って、返そうと思った、もう一度会いたいと思った。
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