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7 ちなみ ~半年くらい前の雨の日、夕方のふたり~
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その日は朝からどんよりとした天気だった。
予報では昼間は降るけど、夕方から後は大丈夫とのことだった。
まあ、大丈夫かな、そう思って傘は持たずに家を出た。
仕事中、外を見ることもなく、夕方会社を出て外を見てびっくり。
降ってるじゃない、普通に雨の日ですというくらいに。
駅までの距離だとしても、絶対濡れる。
会社のロッカーに傘は置いていた。
戻ろうか、そうするしかないよね。
唸る様に考えていたら、隣から声がかかった。
見上げたら知らない男の人だった。
「これ良かったらどうぞ。持ち歩き用でもう少し軽いのを買いたいと思ってて。それは返さなくても大丈夫だから。使って。」
そう言って大きな傘を広げた人。
ちゃんと朝の空を見て自分の目で判断して備えていたらしい。
「じゃあ。」
そう言って前を向いた背中にギリギリお礼が言えた。
「あ、ありがとうございますっ。」
少し振り返ってちょっとだけ手を振られた。
バイバイじゃなくて、大丈夫だよ、そんな感じに。
歩いていく背中を追いかけることは出来ないし、ゆっくり手に持った傘を開いて、雨の中に踏みだした。
軽いと思う。
それでも最近の持ち歩き用の傘は、どんどん軽く、小さく、薄くなってる。
これだってそんなに古くない気もする。
本当に返さなくていいのだろうか?
どうしようかと思ってた。
返すにしても、どこの人か分からない。
同じ会社の人ならまた会えるかも。
でもよくわからない。
同じビルの人だとは思うけど、違う会社の人だったら全く会えないだろう。
電車に乗ってる間はくるりと巻いて、手に持っていた。
自分の駅でまた開いて、視線を上げたところでちょうど紐が見えて。
そこに文字が書いてあった。
小し薄くなってたかもしれない。
もう一度傘を閉じて、紐を持って確認した。
さっき『新』だけ見えた文字。
三文字、名前以外に書くものはないからそうは思ったけど。
『新藤新』
名前だよね?『新』さんだよね?おまじないにすら思える字の並び。
ここに書くの?
持ち手じゃなくて?
それは普通なのかな?
書くとしてもたいてい持ち手の柄の部分にイニシャルくらかも。
でも今持ってる傘には書いてないと思う。
ビニール傘ならちょっとした目印はつけるけど、名前はない。
もしかしてずっとずっと昔から使ってたのかな?
高校生とか、大学生とか・・・・さすがにそれはないか。
働いてる人がわざわざ名前を書くの?
ちょっと笑ってしまった。
不思議な名前の漢字の感じに、呪文のようなその雰囲気に。
随分雨は弱くなってきた中、傘を広げて屋根の下から出た。
見つけてみようと思った。
どうすればいいんだろう?
思いつかないけど、まずは同じ会社の人から見つけてみよう。
そう思ったあの日。
部屋に帰ってシャワーを浴びて、浴室で傘を広げて乾かした。
友達で一番仲のいい濱田 朱里(あかり)が経理にいた。
私よりは会社の人の名前を知ってるだろう。
次の日にランチに誘って頼んでみた。
「多分先輩だよ。だって名前が三文字で、それって、覚えがあるもん。良かったね。」
あっさりと判明。同じ会社だった、良かった。
「うん、ちゃんと返せる。」
確認してもらって部署も教えてもらった。
『営業二課の新藤先輩、名前は『あらた』さん。五期くらい上だと思うよ。チャンスは有効にね。』
ちょっとだけ興味があることがバレてしまったのはしょうがない。
そう教えられて、傘はロッカーからバッグに入れてある。
あっさり見つかったから、良かったけど、もっと楽しみたかったって気分もあったけど、こっそり営業のある廊下を通っても、覗けるわけもなく。私が望むような偶然なんてなくて。
傘は綺麗に畳まれて、しばらくしたらまた私のロッカーにしまわれた。
それから一ヶ月が経った頃。
「え?まだ返せてないの?」
朱里が驚いた。すっかり返せたと思ってたらしい。
「だって会えない。会ったら分かると思うけど、会うことないよ。廊下でもすれ違うこともない。」
「営業に行けばいいじゃない。そんなに外に出てるのかな?」
「行けないよ、偶然がないと、そんな席にまではいけないよ。」
「そうかな?私たちの方が行けるのかもね。申請書が不完全だと戻すから。でも今まで話したことはないと思う。席も分からないな。聞いてあげようか?」
「無理無理。だって元々いらないからって言われたの。だから返しに行くより・・・・できたら偶然の方を狙いたい。」
恥ずかしくて声が小さくなる。
「だっていつも傘を手にしてるわけじゃないでしょう?傘を返したいって言ったら、別にいいよって言われるかもよ。」
えっ・・・・・、そうかな?
私としては、ありったけの勇気をふりしぼってお礼をしたいと言って、夕方にでも待ち合わせをしたいって思ってたのに。
何度もシュミレーションはした。夢の中でも何度も。
言い出せる自信なんて15パーセントくらいしかない気もするけど、一応そんなチャンスがあるかもと期待してたのに。
そうか。そうなるか・・・・。
二度目と三度目を期待してたけど、まったく違う可能性の方が大きいらしい。
「う~ん。もっと情報を集めよう。彼女のいるなし、性格、評判などなど。ちょっと時間はかかるけど、聞いてみる。」
自分じゃ無理。でも彼女がいたらもっと無理。
とりあえずは知りたい、誘っていいのかどうかは、知りたい。
「任せて。」
「ありがとう。すごく頼もしい。うれしい。お願いしたい。」
「うん、まずはそこから始めよう。何か分かったら連絡するよ。」
営業の同期に声をかけたらしい。
何人かいる内の誰か、でもみんな男子だけど。
『彼女はいないらしい。数カ月前に別れたらしい。かなり落ち込んだらしい。』
それはしょうがない。いても不思議じゃない。
むしろ今いない事だけを喜びたい。
『あんまり飲み会には来ないみたい。本当に友達とは飲むけど、男女の飲み会には来ないって。彼女いたし、しょうがないよね。』
『でもその内誘いたいね。』
どうやって誘うの?
その時点で話が出来てるよね。
傘を返すより上級者コースじゃない。
『飲みに行きませんか?』なんて、『誰だ、お前。』って思われるよ。
そしてその後の続報は『普通レベルで目立つこともないし、特別人気があるという噂があるわけでもない。』と。
誰が言ってるのよ!!と言いたくなるような評価を聞いて。
それ以上は何もなかった。
一度だけ廊下ですれ違った。
あれ以降最高に近くにいたのに、でも視線も合わなかった。
気がついてからずっと見てたのに、隣の人と話をしてて、前を向くこともなく、当然私には気がつくこともない。
そんなこんな半年くらい経った今。
そもそも気がつくとか、つかないとか、当たり前だった。
私のことなんて少しも覚えてないんだから。
あのことすらたくさんの雨の日の中に埋没した記憶だったのかも。
本当にいらない傘だったんだろう。
昨日、会社の人との飲み会に誘われた。
嬉しそうに誘って来たのが朱里で、『三文字の人も来るから。』小さくそう言われた。
わざわざ私のところに来て教えてくれた。
『三文字の人。』
一人しか思い当たらないけど、本当に?
だけど本当に来てくれたんだからうれしかった。
しかも隣に座ってくれた。
勇気を出して、なんとか話をしに、近くに行こう!
そう思ってたのに、絶対動きたくない席、そのまま動かないでください!!
そう念じて始まった。
お酒をガンガンと飲んで、勢いでずっと話をした。
本当にうれしくて、少しもイメージと変わらない。
優しい人。妹と仲がいいらしいお兄ちゃん。
嫉妬するより自分にも妹が出来たって思うくらい、いろいろ教えてもらった。
最後まで二人で話をしていた。
そういえば朱里はどこにいたの?
誰と話をしてたの?
他にどんな人がいた?
全く気にもしなくて。
でも私が『三文字の人』と話が出来てるのを見て安心してたと思う。
そして飲み会は終わり。
あの傘の事は言い出せないままだった。
もう夢中過ぎて、大切なあの日の事も忘れてた。
とにかく小道具なしでも、たくさん話をしたから。
そうは言っても酔って覚えてないところがあるかもしれない。
それはもったいないことだけど。
ただただ永遠に続けばいいと願ったハッピーな時間だった。
予報では昼間は降るけど、夕方から後は大丈夫とのことだった。
まあ、大丈夫かな、そう思って傘は持たずに家を出た。
仕事中、外を見ることもなく、夕方会社を出て外を見てびっくり。
降ってるじゃない、普通に雨の日ですというくらいに。
駅までの距離だとしても、絶対濡れる。
会社のロッカーに傘は置いていた。
戻ろうか、そうするしかないよね。
唸る様に考えていたら、隣から声がかかった。
見上げたら知らない男の人だった。
「これ良かったらどうぞ。持ち歩き用でもう少し軽いのを買いたいと思ってて。それは返さなくても大丈夫だから。使って。」
そう言って大きな傘を広げた人。
ちゃんと朝の空を見て自分の目で判断して備えていたらしい。
「じゃあ。」
そう言って前を向いた背中にギリギリお礼が言えた。
「あ、ありがとうございますっ。」
少し振り返ってちょっとだけ手を振られた。
バイバイじゃなくて、大丈夫だよ、そんな感じに。
歩いていく背中を追いかけることは出来ないし、ゆっくり手に持った傘を開いて、雨の中に踏みだした。
軽いと思う。
それでも最近の持ち歩き用の傘は、どんどん軽く、小さく、薄くなってる。
これだってそんなに古くない気もする。
本当に返さなくていいのだろうか?
どうしようかと思ってた。
返すにしても、どこの人か分からない。
同じ会社の人ならまた会えるかも。
でもよくわからない。
同じビルの人だとは思うけど、違う会社の人だったら全く会えないだろう。
電車に乗ってる間はくるりと巻いて、手に持っていた。
自分の駅でまた開いて、視線を上げたところでちょうど紐が見えて。
そこに文字が書いてあった。
小し薄くなってたかもしれない。
もう一度傘を閉じて、紐を持って確認した。
さっき『新』だけ見えた文字。
三文字、名前以外に書くものはないからそうは思ったけど。
『新藤新』
名前だよね?『新』さんだよね?おまじないにすら思える字の並び。
ここに書くの?
持ち手じゃなくて?
それは普通なのかな?
書くとしてもたいてい持ち手の柄の部分にイニシャルくらかも。
でも今持ってる傘には書いてないと思う。
ビニール傘ならちょっとした目印はつけるけど、名前はない。
もしかしてずっとずっと昔から使ってたのかな?
高校生とか、大学生とか・・・・さすがにそれはないか。
働いてる人がわざわざ名前を書くの?
ちょっと笑ってしまった。
不思議な名前の漢字の感じに、呪文のようなその雰囲気に。
随分雨は弱くなってきた中、傘を広げて屋根の下から出た。
見つけてみようと思った。
どうすればいいんだろう?
思いつかないけど、まずは同じ会社の人から見つけてみよう。
そう思ったあの日。
部屋に帰ってシャワーを浴びて、浴室で傘を広げて乾かした。
友達で一番仲のいい濱田 朱里(あかり)が経理にいた。
私よりは会社の人の名前を知ってるだろう。
次の日にランチに誘って頼んでみた。
「多分先輩だよ。だって名前が三文字で、それって、覚えがあるもん。良かったね。」
あっさりと判明。同じ会社だった、良かった。
「うん、ちゃんと返せる。」
確認してもらって部署も教えてもらった。
『営業二課の新藤先輩、名前は『あらた』さん。五期くらい上だと思うよ。チャンスは有効にね。』
ちょっとだけ興味があることがバレてしまったのはしょうがない。
そう教えられて、傘はロッカーからバッグに入れてある。
あっさり見つかったから、良かったけど、もっと楽しみたかったって気分もあったけど、こっそり営業のある廊下を通っても、覗けるわけもなく。私が望むような偶然なんてなくて。
傘は綺麗に畳まれて、しばらくしたらまた私のロッカーにしまわれた。
それから一ヶ月が経った頃。
「え?まだ返せてないの?」
朱里が驚いた。すっかり返せたと思ってたらしい。
「だって会えない。会ったら分かると思うけど、会うことないよ。廊下でもすれ違うこともない。」
「営業に行けばいいじゃない。そんなに外に出てるのかな?」
「行けないよ、偶然がないと、そんな席にまではいけないよ。」
「そうかな?私たちの方が行けるのかもね。申請書が不完全だと戻すから。でも今まで話したことはないと思う。席も分からないな。聞いてあげようか?」
「無理無理。だって元々いらないからって言われたの。だから返しに行くより・・・・できたら偶然の方を狙いたい。」
恥ずかしくて声が小さくなる。
「だっていつも傘を手にしてるわけじゃないでしょう?傘を返したいって言ったら、別にいいよって言われるかもよ。」
えっ・・・・・、そうかな?
私としては、ありったけの勇気をふりしぼってお礼をしたいと言って、夕方にでも待ち合わせをしたいって思ってたのに。
何度もシュミレーションはした。夢の中でも何度も。
言い出せる自信なんて15パーセントくらいしかない気もするけど、一応そんなチャンスがあるかもと期待してたのに。
そうか。そうなるか・・・・。
二度目と三度目を期待してたけど、まったく違う可能性の方が大きいらしい。
「う~ん。もっと情報を集めよう。彼女のいるなし、性格、評判などなど。ちょっと時間はかかるけど、聞いてみる。」
自分じゃ無理。でも彼女がいたらもっと無理。
とりあえずは知りたい、誘っていいのかどうかは、知りたい。
「任せて。」
「ありがとう。すごく頼もしい。うれしい。お願いしたい。」
「うん、まずはそこから始めよう。何か分かったら連絡するよ。」
営業の同期に声をかけたらしい。
何人かいる内の誰か、でもみんな男子だけど。
『彼女はいないらしい。数カ月前に別れたらしい。かなり落ち込んだらしい。』
それはしょうがない。いても不思議じゃない。
むしろ今いない事だけを喜びたい。
『あんまり飲み会には来ないみたい。本当に友達とは飲むけど、男女の飲み会には来ないって。彼女いたし、しょうがないよね。』
『でもその内誘いたいね。』
どうやって誘うの?
その時点で話が出来てるよね。
傘を返すより上級者コースじゃない。
『飲みに行きませんか?』なんて、『誰だ、お前。』って思われるよ。
そしてその後の続報は『普通レベルで目立つこともないし、特別人気があるという噂があるわけでもない。』と。
誰が言ってるのよ!!と言いたくなるような評価を聞いて。
それ以上は何もなかった。
一度だけ廊下ですれ違った。
あれ以降最高に近くにいたのに、でも視線も合わなかった。
気がついてからずっと見てたのに、隣の人と話をしてて、前を向くこともなく、当然私には気がつくこともない。
そんなこんな半年くらい経った今。
そもそも気がつくとか、つかないとか、当たり前だった。
私のことなんて少しも覚えてないんだから。
あのことすらたくさんの雨の日の中に埋没した記憶だったのかも。
本当にいらない傘だったんだろう。
昨日、会社の人との飲み会に誘われた。
嬉しそうに誘って来たのが朱里で、『三文字の人も来るから。』小さくそう言われた。
わざわざ私のところに来て教えてくれた。
『三文字の人。』
一人しか思い当たらないけど、本当に?
だけど本当に来てくれたんだからうれしかった。
しかも隣に座ってくれた。
勇気を出して、なんとか話をしに、近くに行こう!
そう思ってたのに、絶対動きたくない席、そのまま動かないでください!!
そう念じて始まった。
お酒をガンガンと飲んで、勢いでずっと話をした。
本当にうれしくて、少しもイメージと変わらない。
優しい人。妹と仲がいいらしいお兄ちゃん。
嫉妬するより自分にも妹が出来たって思うくらい、いろいろ教えてもらった。
最後まで二人で話をしていた。
そういえば朱里はどこにいたの?
誰と話をしてたの?
他にどんな人がいた?
全く気にもしなくて。
でも私が『三文字の人』と話が出来てるのを見て安心してたと思う。
そして飲み会は終わり。
あの傘の事は言い出せないままだった。
もう夢中過ぎて、大切なあの日の事も忘れてた。
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