クリスマス、不機嫌な私は遅れて神様に感謝します。

羽月☆

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4 目が覚めた日曜日は。

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朝、目が覚めてびっくりした。

すごく近くに青野君がいた。
腕が腰のあたりに置かれて少し抱き寄せられるような感じで。
ただそれが布団の上からで。動いて起こしたらきっと離れるだろう。
・・・ビックリして離れると思う。

そのまま静かにまた目を閉じた。
俯いてうとうとするようにまどろんでる中で。
背中を撫でられて、頭に温かい息がかかるのを感じて。

目を開けようと思ったけど、それより先に青野君が起きだして部屋を出て行ったのが分かった。

大きく息を吐いて丸くなる。
吸い込んだ息にはすっかり覚えた青野君の匂いがする。

寂しくなったベッドの真ん中に移動した。
布団も青野君が使っていたものを引き寄せて。
あんまり寝てないのに。
布団をかぶって丸まる。

ゆっくり扉が開く音がして急いで起きた。

「あ、起こした?」

首を振って急いでベッドの端に行って布団をさりげなくスライドさせる。

「もしかして、起きてた?」

「ううん。おはよう。また寝る?」

「ううん、服を取りに来ただけなんだ。」

扉の所から動かない青野君。

「青野君、今日も一緒にいてって言ったら困る?」

「ううん。いいよ。食事に行こう。まずは美味しいものを美味しく食べよう。」

そう言って服を取り出して出て行こうとする。

「起きる?」

「うん。」

「じゃあ洗面台にタオル置いてるから使ってね。コーヒーいれとくよ。」


寝室を出るとそこに青野君の着替えが置かれていて。
私はバスルームに入り顔を洗い軽く化粧をした。
恰好は借り物のパジャマのまま。

コーヒーの匂いがして、寝室からすっかり出かける格好の青野君が出てくる。
自分のパジャマ姿が何だか恥ずかしいけど、さすがに昨日のワンピースをすぐ着る気にはならない。

「もう少し借りてていい?」

言い訳の様にパジャマを引っ張って聞く。

「うん。」

コーヒーを飲みながらどこに行くか話をする。

まだまだクリスマス真っ最中。
レストランはクリスマスの特別メニュー。
ランチなら大丈夫だろうか?



私から手をつないであちこち引っ張りまわした。
元気になったふりで笑顔でいたら、本当に楽しくなって。
いろんなお店を見て回りながら買い物をして、ご飯を食べて、また買い物をして、お茶を飲んで。デザートまで食べたからすっかり食欲も戻ったみたい。

楽しそうに付き合ってくれた青野君には感謝しかない。

でも時々疲れたような表情することに気が付くと、そろそろ帰ろうと言い出すしかなかった。
私は昨日から着替えてない。
よく考えたらあり得ないよね。

「青野君、すっかり元気になりました。久しぶりにいっぱい食べれた。もう、大丈夫だから、帰ります。付き合ってくれてありがとう。ほとんど寝てないし疲れたよね。本当にありがとう。そばにいてくれて、ずっといてくれてうれしかった。じゃあ。明日、会社で。」


一気に言い切って返事も聞かずに改札に向かった。

メールアドレスも電話番号も知らないままだった。
帰ってから気がついた。お礼もできない。
明日会社で伝えよう。


ゆっくりお風呂に入って早めに寝た。
久しぶりに朝までぐっすり眠れた。




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