なぜか訳ありの恋にハマりました。

羽月☆

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10 敵わないと諦めるのにも慣れた週末。

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頭を撫でられる感覚に目を開けた。

「可愛いなあ。あんな甘い声を聴かせてくれるならいつもの小憎らしい言葉も、たまに吠える唸り声も我慢する。」

そう言ってお尻を撫でられる。
その手がゆっくりと太ももの内側に入る。

ずっと視線は合ってる。

ニッコリと笑いながら私を見てる。

「まだまだ聞きたい。唸り声じゃない、甘い声の方を。」

キスをされて目を閉じる。
その後もずっと閉じたまま。
望み通りたくさん甘えた。

きっと満足してもらえた、きっと褒められると思う。



最後の最後の瞬間の寸前までは可愛かったはず。



朝、目が覚めたのは横にいた温もりが急になくなって、気を遣うような静かな足音を聞いたときだった。

それでも体が疲れてて、すぐに起きる気にはなれなかった。

シャワー浴びたい。
温かいシャワー。


しばらくしたら足音が返って来たと思うけど、また出て行ったみたい。

起きれないまま、また少し眠ったんだと思う。


「愛内、起きないか?」

なんとなく目が覚めてた、おでこにキスをされてたんだと思う、頭も撫でてもらってたかもしれない。
ゆっくり目を開けて、課長の顔に焦点があった。

余りに近くてびっくりした。

思わず少し顔を引いた。

「課長、おはようございます。」

「おはよう。」

そう言って布団ごと抱きしめられた。

「まだ起きたくないなら付き合うが。」

「起きます。すみません。寝坊しましたか?」

「大丈夫だ。じゃあ、タオルを置いてるからバスルームを使えばいい。」

そう言って部屋を出て行った。

時計が頭の方にあった。まだ早い。今日は土曜日なのに、ぐうたらしていい週末なのに・・・・・。

あっ!

急いでバスタオルを体に巻いて寝室を飛び出した。

「課長、出かける用事がありましたか?まだ時間、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。用事もないし。ゆっくりシャワー使ってもいいし、のんびり湯船に入ってもいいぞ。」

まさかです。

「シャワーだけ借ります。」

そう言ってバスルームに入った。

お湯が体を温める。

気持ちいい。


適当に洗って、置かれていた着替えを借りた。
ドライヤーも出しててくれたので遠慮なく借りた。
肌を整えてリビングに行った。


ベーグルを半分づつ食べて、コーヒーをもらう。

その間テレビからはいつも途中から見てる朝の番組がついていた。


食べたら、着替えをして、ちょっとだけ化粧をして帰ろう。
急展開の夜を超えて、ここにいる事実。
もう一度確認したいけど、課長も何も言いださない。

何だか無言の二人。

昨日確認し合ったと思うのに、何故か会話は弾まず。


褒めてもらいたい自分をどうすればいいのか。
それどころじゃない雰囲気に包まれてる。

コーヒーを飲んでぼんやりしていたら、課長がおかわりをいれてくれた。

「ありがとうございます。」


半分くらい飲んでカップを置いたときにちらりと見られて、そばに来られた。

包むように抱きかかえて聞かれた。

「帰りたいか?」

「着替えたいです。化粧もちゃんとしたいです。」

「買って来ればいい、洗ってやる。明日までここにいてもいいから、・・・・出来たらいて欲しい。」


課長こそそんな甘い声聞いたことないです。
昨日の声より甘いです。

近寄って囁かれたから、すぐそこに顔はあって、頬に手を当てて目を閉じた。

夜じゃなくてもベッドの上じゃなくても甘い声は出る私。
くっついてたら出る、どこかが、ちょっとでもくっついてたら。


そう、さっきのお願いはきっとそんなお願いだったと思う。
何度か軽いキスをされても目を開けないでいた私。



「仕事のことなんだけどな、愛内、いつも言ってるシュミレーションなんだよ。頭の中で実際に人を動かしてみて、いろんな場面を想定するんだよ。」

思っていて期待していたのとは違う話が始まった。

何故か、仕事の話をされた。
会社では内緒だぞ・・・・とか、そんな二人の甘いルールの話じゃなくて。
いつものデスク前の指導、赤ペン先生の指導、具体的アドバイスだった。

さすがに目も開いて、それなりに聞く姿勢になる。

姿勢を正すともいう。


もしかして課外授業が必要だったから、お泊り学習?
本当に課外授業じゃない!
何で今?

聞いてはいても私の疑問はもっともだと思う。
遮れない話・・・・・。

そして・・・・・。


「分かったか?」

そう言われた。
休日、初めてのお泊り、午前中の起きぬけ朝ごはんのあとの時間。
行われたありがたい個人レッスン。

分かったけど、分かりたくはない!

正直にそう顔に出ただろう。

「そんな目で見上げてくる表情も好きだと言ってるんだけどな。」

そんな褒め方じゃ機嫌は直らない。
だってさっきの流れは違うはず。
・・・・でも、もっと甘い展開を期待してたのにとは言えない。

「続きは夜な。買い物に行くか?」

まだ言いたいことがある?
たくさんあるの?
まだまだ授業は続くの?

「何の続きですか?」

憮然と言う音がするくらいの表情で聞いただろう。

「さっきのおねだりの続きだよ。」

おねだり?

「別にいいけど、今でも。」

そう言われてグイッと手をひかれた。

朝起きだして後にした寝室に戻った。
カーテンも窓も全開で明るい。

外が見えた。
同じくらいの高さのマンションが向こう三軒くらいの距離に見える。

カーテンを閉めて課長に抱き寄せられてベッドに横になった。
思わずバタバタと手足を動かして逃げ出そうとした。

「何してるんですか?」

「愛内のおねだりに応えようかと。」

「おねだりはしてないです。」

誤解です・・・・とは言わないけど、違います。
ただ甘い会話がしたかっただけです!


「我慢しなくてもいいのに。」

「してないです。何で仕事の話をするんですか?と思っただけです。」

「なんとなく思い出したから、忘れないうちに言った方がいいと思っただけだ。深い意味はない。」

「そんなの会社でいくらだってできます。」

「そうだな、反省する。今はここで出来ることをってことだよな。」

「買い物に行くって言ったじゃないですか?」

「後でいい、急がない。」

「行きたいです。買い物行きたいです。」


さすがに手足を動かすのも疲れたから、両手を突っ張ってそう言った。

「なんだ、そうか。分かった。」

そう言って突っ張った手を外されて、そのまま体重を預けてくる。
遠慮なく上に乗ってる、重い。

「課長、重たいです。さっさと上から降りてください。」

「愛内~、何でそう冷たく言えるんだ?昨日はあんなに抱きしめてくれたのに。夜だけ別人になるのか?変なひっつき虫でも食べたか?」

ただただ重いだけなんだから、息苦しい。

ゆっくりと位置がズレて、課長の腰が隣に落ちた。
それなのにさっきからまったく顔が動いてない。
それでも体は重さからは解放された。
動いてない・・・・いや動いてる。

肩口に顎を感じる。
首筋には温かい刺激を。


「課長!」

思いっきり首を振ったら固いものに当たった。課長の頭だろう。

「痛いなあ。何してるんだよ。あと、窓は開いてるから声は押さえて。」

何してるとはこっちのセリフだ。
買い物の約束はどうなったの?
さっき散々普通の声でしゃべってたのに。
急に小さく注意されてもピンとこない。

そう思ったのに、しつこく首に耳にキスされて、音が聞こえる。
半分ズレて楽になった胸に手も来る。

課長の息遣いを耳元で聞いて、刺激が追加されて、自分でもつられて反応してしまった。

負けた・・・・・。


ただ、途中で窓は閉めてもらった。
服を剥がされる前にお願いしたから、すっかりその後は余分なものをベッドの下に放り投げられた。

窓を閉めたのは正解だったと思う。
最初から閉めれば良かったのに。

絶対わざとだ、そうじゃなきゃ人に無計画と説教することは出来ないだろう。


「可愛いなあ。まったく懲りずに反抗してくるのも毎回毎回だし、どうせ最後には俺が言った通りになって言うことを聞くのにな。最初から素直に聞けばいいのに、それじゃあお互い物足りないかな?」

「そんなに毎回って程ないです。昨日と今じゃないですか。」

「仕事でも必ずムッとした目をするくせに。途中まで言い返せるところがないか、探してるだろう。」

それは・・・・しょうがない。
私だって最初からすごく考えて提出してるんだから、指摘されるだけじゃ悔しい。
ただ、課長が言う通り、反抗が無駄にならなかったのはたった二度だけ。

「なんだか俺を楽しませるためのパフォーマンスにすら思えてくる。」

「そんな訳ないです。」

「あんなに『重いからどけっ。』とか悪態ついて、やっぱり絡みついてくるんだから、可愛いなあ。ひねくれた愛情表現だと思ってやる。」

確かにくっついたあと、かなり絡みついて足で引き寄せると言う『努力』をしてしまった。

「課長こそ、せっかくのこんな時間に揶揄って楽しむなんて、雰囲気ぶち壊しです。」

「そうだな。」


そこはすんなり反省してくれたらしい。


体をきつく抱きしめられて上に乗せられた。
片手がさわさわと動いてる。
背中だけじゃなく、腰やお尻や、太ももにまで。

『何してるんですか!!』 
またそう言いたいけど、それが無駄に終わる気はする。
じゃあ、素直になってもいい。



課長の顔の横に手をついて上から見下ろしてキスをする。

軽いキスを音を立てるようにして。

今度は私が逃げるようにすぐに離れてるつもりだったのに、腰に置かれた手が意味ありげに位置を合わせて動かしてきた。

やっぱり、無理だった。
我慢できない声を殺すために首元にくっつくしかなかった。
しょせん小娘の浅い経験なんて、おじさんにはお見通しらしい。



ベッドの上でつながったまま向き合って座り、お互いの腰に絡みつく。

それでも足りなくて激しく動いてお互いの声を聴く。

汗がお互いの体を濡らす。
寝室は冷えてるはずなのに、少しも寒さを感じない。


一緒にのぼりつめながら、タイミングを合わせた。


窓は閉まってても、それだけで安心していいんだろうか?
私の部屋のようなワンルームじゃないから、大丈夫だと思いたい。

夫婦で住んでいた部屋・・・・・二人で使っていた・・・・ベッド・・・・。
浮かんだ二人の影に首を振って、しがみついた。



またシャワーを浴び直して身支度をしてお昼ご飯を食べに、買い物をしに外に出た。


「お腹空きました。」

「そうだな。ガッツリ食べたい。久しぶりに精魂尽きた気分だ。文字通り吸い取られて空っぽだ。」

冗談じゃない。吸い取られたのは私の方だから。

「若いエネルギーを分けてあげたんです。絶対課長が若返ってます。」

「誰かにそう言われたら若い彼女が出来たと自慢することにする。」

「誰に言えるんですか?」

「友達だな。」

「恥ずかしいので止めてください。きっと聞きたくないですよ。」

「そうかな。」

そんな自慢したいタイプでもないだろうに。

会社では独身だと言うことを明らかにしないつもりだろうか?
もし私とのことがバレたら、不倫をしてるって言われるのに。

「課長は、同期の人は会社にたくさん残ってますか?」

「ああ、男は結構残ってる。女性は半分くらいだろうな。今ほど子供を産んだ後戻ってくる割合は高くなかったから。」


「そうですか。」

じゃあ独身の同期がまだまだいると言うことだろうか?
課長が一人になったと言ったら飲みに行きたいと誘いが増えるのかもしれない。


「その人たちも課長が一人になったって知らないんでしょうか?」

「そうかもなあ。意外にバレないもんなんだよなあ。自分でも驚きだが。」

『誰も課長に興味を持ってないんじゃないですか?』

冗談ならそう言えるけど、今は言えない。
バレないでほしいとも思う。
私の事がバレなければこのままでもいい。


いつまでもラブラブな奥さんがいる課長のふりでいて欲しい・・・・だろうか??



日曜日も無駄な抵抗をねじ伏せられて、相変わらず可愛いなと言われながら可愛がってもらえた・・・・のかもしれない。
すごく近くで笑顔を見て、ちょっと目元にできるシワを見慣れるくらいには。


夕方一人の部屋に帰った。

改めて思う、やっぱり課長の部屋は寂しい空気がある。
小さなサボテンでも置いてもらいたい。
あんな寂しい部屋にいて、奥さんのことを繰り返し思い出したんだろうか?
私だって何度も奥さんのことを聞いた。
今までだって皆に聞かれた。
何で言わないんだろう?
皆知ったらビックリすると思う。
自分がうかつに発言したことを申し訳なく思うのに。
今までそんなそぶりも見せてないなんて、本当にどうでもいいと思った出来事だったんだろうか・・・そんな訳はないけど、皆が思うほどではなかった?
でも・・・・やっぱりそんな事はないだろう。

どのくらい落ち込んだんだろう。

ずっと前に別れた・・・・そう言われても具体的にどのくらい付き合い、どのくらい一緒にいて、別れてどのくらいなのか、私は聞けない。

そう考えてあの部屋を思い出す。
その中にはしっかりと自分が入り込んでいる。
課長の横で満足そうな笑顔の私、ちょっとむくれて甘えてる表情の私がいるのを思い浮かべてしまう。

課長はどうなんだろうか?
私がいた気配があそこに残っているならうれしい。
それを課長に感じてもらえたらうれしい。
私がいなくても、それとなく感じてくれると嬉しい。

それが無理なら、私の選んだものを一つくらいは置いてくれるだろうか?


今、目の前のテーブルには穣君からもらったうさぎのチョコレートがある。
私はこれを見ると穣君を思い出す。

今頃借りた服なども洗濯して、使い残してきたメイク商品も片付けられて、またさっぱりとした部屋になっただろう。
私が残してきた欠片は課長の視界には入らないかもしれない。

二日前までは見知らぬ場所だったのに、自分の何かを残したくなる。

携帯を取って連絡した。

お礼だ。

『課長、いろいろとありがとうございました。明日からまた仕事を頑張ります。』


会社では普通に。
・・・・出来るだろうか?

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