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18 聞きたいことは聞いておきたい私。
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急に近くなった。
名前を呼ばれて、すぐに返事もできた。
笑顔で呼ばれるとそれでも普通に思えて。
すごく褒めてくれたから、うれしくて、舞い上がってるんだろうか?
誰にでも優しそうな人。
そう思う。
あの時被害にあったのが私じゃなくても助けただろうし、助けられた人と同じようにお酒を飲みに行って、会う約束をして。
そうなる?
あのオヤジにも思った、何で私なの?
恩田さんにも思う、何で私なの?
それを一つにまとめたら・・・・。
「恩田さん、もしセクハラにあってたのが他の誰かでも、助けましたよね。」
「そう、だね。」
「じゃあ、この間あのお店に誘われたのは、私じゃなかったかもしれませんよね。」
「ああ、それはないよ。絶対。」
何でそう言い切るんだろう?
優しい顔のまま。
絶対お礼を、とか言われると思うのに。
「社内の人とは飲みに行かない主義だから、この間も飲み会は断ったよ。」
「でも、お礼と言われて、きっと誘われますよ。」
「休憩室でコーヒーは奢られたかもしれないね。千歳さんは?助けたのが僕じゃない誰かだとしても、やっぱりお礼をしたいって思ったんだね、きっと誘ったんだよね。」
「それは・・・・・お礼は言いました。恩田さんのことは同じ営業で知っていたし、評判も聞いてたから、だから・・・・、だと思います。」
「仮定の話は難しいでしょう?」
そうかも、もしこうだったらとか、どこかで小さなズレがあって何かが違ってたら、全然違うことになっているとは思う。
「なんで社内の人とは飲まない主義なんですか?」
「そこは聞き流してくれてもいいのに。」
そう言って困った顔をされた。
何となく分かった気がする。
そう言えば、最初の日に、向いてないとか何とか、いい奴じゃないとまで言っていた。
きっと困った事があったんだろう。
じゃあ、なんで?
またそう思った。
「これでもすごく慎重なんだ。偶然見かけてから随分経つけど、その間はずっと見てた。視線がついつい隣の課に行ってしまって。同じ人かなあとか、やっぱりそうだよなあとか思ってた。でもあの笑顔が自分に向いたらうれしいなあって思い始めて。だから主義はそのまま、例外のただ一人。」
今、少しだけ、その言葉をうれしく思った自分がいたのが分かった。
・・・少しだけじゃないかもしれない。
すごくドキドキしてきたし、顔が熱い。
お水を飲んだ。
「最初の日よりは随分笑顔が見れてうれしいと思ってる。でもまだまだ弟君には負けるなあ。」
見慣れた笑顔は自分に向けられてる。
『向いてない』って、何がだろう?
分からない事をそのままにしてていい事はないから、聞いてみた。
「そんなに優しいのに、何で最初の日に向いてないとか言ったんですか?浮気されるんですか?それとも誰にでも優しくて・・・。」
・・・・・そんなに誰にでも優しくはないとこの間言っていた。
じゃあ、何だろう?
「そんないい奴じゃないよ。なんとなく付き合ってもそこまで好きになれない自分に気がついて、別れる。そんなのはどう?あの来賓と同じ、禄でもない大人の部分を見せてないだけだよ。」
どう?と言われても、どう答えればいいのか。
「だって、出会った人がみんな相手を一番だと思ったら、みんな初恋が実りますよ。」
そう言うことじゃないだろうか?
そう思っても見つめ返された目は、そうじゃないと言ってる気がした。
名前を呼ばれて、すぐに返事もできた。
笑顔で呼ばれるとそれでも普通に思えて。
すごく褒めてくれたから、うれしくて、舞い上がってるんだろうか?
誰にでも優しそうな人。
そう思う。
あの時被害にあったのが私じゃなくても助けただろうし、助けられた人と同じようにお酒を飲みに行って、会う約束をして。
そうなる?
あのオヤジにも思った、何で私なの?
恩田さんにも思う、何で私なの?
それを一つにまとめたら・・・・。
「恩田さん、もしセクハラにあってたのが他の誰かでも、助けましたよね。」
「そう、だね。」
「じゃあ、この間あのお店に誘われたのは、私じゃなかったかもしれませんよね。」
「ああ、それはないよ。絶対。」
何でそう言い切るんだろう?
優しい顔のまま。
絶対お礼を、とか言われると思うのに。
「社内の人とは飲みに行かない主義だから、この間も飲み会は断ったよ。」
「でも、お礼と言われて、きっと誘われますよ。」
「休憩室でコーヒーは奢られたかもしれないね。千歳さんは?助けたのが僕じゃない誰かだとしても、やっぱりお礼をしたいって思ったんだね、きっと誘ったんだよね。」
「それは・・・・・お礼は言いました。恩田さんのことは同じ営業で知っていたし、評判も聞いてたから、だから・・・・、だと思います。」
「仮定の話は難しいでしょう?」
そうかも、もしこうだったらとか、どこかで小さなズレがあって何かが違ってたら、全然違うことになっているとは思う。
「なんで社内の人とは飲まない主義なんですか?」
「そこは聞き流してくれてもいいのに。」
そう言って困った顔をされた。
何となく分かった気がする。
そう言えば、最初の日に、向いてないとか何とか、いい奴じゃないとまで言っていた。
きっと困った事があったんだろう。
じゃあ、なんで?
またそう思った。
「これでもすごく慎重なんだ。偶然見かけてから随分経つけど、その間はずっと見てた。視線がついつい隣の課に行ってしまって。同じ人かなあとか、やっぱりそうだよなあとか思ってた。でもあの笑顔が自分に向いたらうれしいなあって思い始めて。だから主義はそのまま、例外のただ一人。」
今、少しだけ、その言葉をうれしく思った自分がいたのが分かった。
・・・少しだけじゃないかもしれない。
すごくドキドキしてきたし、顔が熱い。
お水を飲んだ。
「最初の日よりは随分笑顔が見れてうれしいと思ってる。でもまだまだ弟君には負けるなあ。」
見慣れた笑顔は自分に向けられてる。
『向いてない』って、何がだろう?
分からない事をそのままにしてていい事はないから、聞いてみた。
「そんなに優しいのに、何で最初の日に向いてないとか言ったんですか?浮気されるんですか?それとも誰にでも優しくて・・・。」
・・・・・そんなに誰にでも優しくはないとこの間言っていた。
じゃあ、何だろう?
「そんないい奴じゃないよ。なんとなく付き合ってもそこまで好きになれない自分に気がついて、別れる。そんなのはどう?あの来賓と同じ、禄でもない大人の部分を見せてないだけだよ。」
どう?と言われても、どう答えればいいのか。
「だって、出会った人がみんな相手を一番だと思ったら、みんな初恋が実りますよ。」
そう言うことじゃないだろうか?
そう思っても見つめ返された目は、そうじゃないと言ってる気がした。
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