やられたらやり返す…主義でしたが、笑顔でお礼を言えそうです。

羽月☆

文字の大きさ
21 / 25

21 手に入れた宣言をさっさと済ませてしまった征四郎。

しおりを挟む
やっと手に入れたと思っていいのだろうか?
多分、自分以外にはそう言える。
誰にも譲れないという意味で。

彼女にも言いたい。
逃がさないと。


そうは思っても、口にすることはないだろうけど、しばらくは。

違和感はないかと聞かれても、最初から想像を裏切られっぱなしだった。
まさに、今日のこの展開も・・・・その内容も。
聞いてなければ気がつかなかっただろう。
本当に、そうだったのか?
そう思うけど、さすがに嘘をついてまで駆け引きしたいタイプじゃないから、本人が言ったように、初めてだったのだろう。
こっちはうっかり、途中気を遣うのも忘れたくらいだったけど。

それも、ついついだ。

軽く抱きしめたまま頭のてっぺんを見下ろしていた。

少し動き出して、こっちをゆっくり見げる彼女と目が合った。





見慣れた無表情の顔もやはり少し緩んでる。
それでも普通に話しかけられた。
さすがにモジモジとするようなタイプじゃないらしい。
その辺の切り替えは素晴らしい。うれしいような、そうでもないような。

ただ、そのあっさりした態度をちょっとだけ崩したいと思って聞いたのに、やはりそこも冷静だった。
ただ、それなりだったようで、とりあえずは及第点だろう。

ああ、またついついなのだ。

シャワーを浴びてもらおうとは思ってた、そう聞いて、使いたいとも言われた。
なにより帰ってきてすぐに準備はしていたのだ。

そう思いながらも手が勝手に、動いて、嫌がられない反応に『ついつい』が調子に乗った。
そこは思いっきり表情を崩してくれた彼女に満足した。

控えめな一回目より、遠慮を忘れ去った二回目を楽しんだ。

終わった後、やっぱり腰を抱いて近くにいた。

細い腰、上に行けば美しい起伏が、下に行けば長くまっすぐに伸びた魅力的な足が。
そう、想像するだけでも手の動きが迷うくらいだ。
さすがに、疲れたように、目を閉じる彼女を見て大人しくはしている。

うっかり目を閉じたら、いい夢を見て寝てしまいそうだ。

手に触れたその体温に意識を集中する。


しばらくして顔を埋めるようにくっつかれた。

「恩田さんは?」

くぐもった声が聞こえた。

「何?」

「さっき聞いたのに、答えてもらってません。」

相変わらず声がくぐもって下から聞こえる。

何だろう?
さっきとは、どのさっきだ?

「ごめん、なんだろう?」

「私には聞いたのに、恩田さんは、どう思いましたか?」

何だっただろう?いろいろ考えて、いろんな表情も思い出して、勝手に会話してた気分だし、全く分からない。

「本当に、何だろう?いろいろ聞いたり、お願いしたり、どれかな?」




ゆっくり顔が上がった。
ちょっと怒ってるような顔だけど、緊張してる時もそんな感じだと分かってる。
ただ、その二つの違いは眉間のシワだったりするけど、ちょっと暗いし、分かりにくい。


「恩田さんは、楽しみにしてるって言ってましたよね。」

「ああ、そうだね。それは隠せないし、隠さない。楽しかった。うれしかった。良かった、すごく。」

顔を首筋に埋めそうになって気がついた。

「あ、ごめんね、で、何?」




「わざとじゃないなら、もういいです。」



分かりましたから。

小声でそう言って視線をそらされた。


「いいの?」


「いいです。」


「ごめんね、シャワー浴びたいんだよね。汗かいたしね。お腹空いたよね。喉乾いたし。」

それでも名残惜しく頭を撫でる。キスをして、起きだす。

「先に浴びて、バスタオル持って来るから、もう少し待ってて。」

そう言ってそのままバスルームに行った。


適当に上から洗い流して、バスタオルを巻いて、用意したバスタオルを手に寝室に戻る。

「トイレの横だから。適当に使って。」

床に落ちた自分の服を拾い集めて、バスタオルを渡してそこを出た。

リビングで水を飲みながら、背後で彼女がバスルームに入った足音を聞いた。


寝室の換気をして、ごみを片付ける。



シーツは・・・・また後で汗をかくからいいか。予定は予定だけど。

そう思ってそのままにした。

それでも、少しめくっておいた。


ドライヤーの音が聞こえる。
彼女の髪ならばすぐ乾くだろう。


本当にお腹が空いた。
大量に買い込んだ食料、何でも食べれる、あっという間に出来上がる。
疲れた夜にぴったりだ。

「バスタオルありがとうございました。洗面台に置いておきました。」

「お腹空いたんだけど、何食べる?」


二人で選んでお皿において便利な電子レンジへ。
その間に洗濯をする。


電子レンジが出来上がりを知らせるまでの数分。

スッピンになった彼女を見る。
そう変わらない。
貸したパジャマ代わりはさすがに大きくて、その中の体が頼りなげに細く見える。
彼女の弟が着たら明らかにブカブカというような音がするんだろう。
足元も袖も捲られるかもしれない。

チン。


適当に箸とスプーンとコップを出して運んでもらう。


「ねえ、これで分からない?全然人を呼ぶような感じじゃないでしょう?」


バラバラのお皿や箸やスプーンで自分のこだわりのなさと、おもてなし感が不要だった今までが分かるというものだ。
だいたい食べ物を買ってくる時も割り箸やスプーンまでもらってくる。

洗うよりは捨てたい、エコじゃないと分かっててもそういうタイプだから。
楽を選ぶ。

「そんなに疑ってません。それに、そんな事があっても、それはきっと驚くことじゃないと思ってます。」


「うん、一応傍証という感じ。もしまた来てくれるなら、今度買いに行くのに付き合ってくれたらうれしいけど。いろいろと必要なものがあるかなって。それも大きくて重いでしょう?」

パジャマをさす。

「さすがに大きいですね。」

そう言って自分を見られた。

「紬君とは大きさが違うからね。」

「紬は恩田さんくらい・・・とまではいかなくても、もっと身長が欲しかったと思います。女の子にも頼りないって思われてるって言ってました。」

「千歳さんと逆でも良かったのにね。」

「多分そう思ってます。さすがにもう諦めたでしょうが。」

「恩田さんのお姉さんも背が高いんですか?」

「まあ、普通よりはってくらい。千歳さん程スタイルはよくないよ。」

「今気を遣いましたよね。背が高くないよっていうのも悪いかなって。」

「ううん、全然。本当にそう思ってるよ。姉の足が長いとか思ったことがない。肉がある分まあまあグラマーな方だとは思うけど。」




「恩田さんもスタイルいいですね。」

「さっきの今、言われると自信が出るなあ。暗くても分かった?」



「取り消してください。」


「珍しく褒めてくれたのに。」


つい、正直にそう言ったら顔を見られた。


「僕はすごく何度も褒めてるのに。優しいとかは言われたかな?気を遣ってくれるとか。」

今、そう言えばって思ってるかも。
自分がさんざん言い過ぎるくらい褒めてる。
それに比べると、あんまり見た目のことは言われてない。
うっすら聞こえてきた会社での評判くらいだ。


「どう?」


「本当に今まで彼氏がいないとしても、好きになるタイプとかない?」



「今までは分かりません。本当に、ないんです。でも本当に、さっき言ったのはそうだと思います。そう思ってます。だから会社でも人気があったし、たくさん彼女もいたんですよ。」


「遠回しの褒め言葉として受け取っておく。できたら、いつでも褒めて欲しい。褒められて、期待されて、力が出る方だから。」

「分かりました。」

「だからって義務みたいに言わないでね。サラリと笑顔で自然にお願いしたいな。」



「笑顔は優しいって、ずっと思ってました。すごく自然で、すっかり見慣れてしまいましたが。」



それだって言われたことはない。どちらかというとクールだと。
まったく無感動だったのだ。
あんなに彼女の表情を無感動だと思いながら、自分こそそうだっただろう。
本当に何度目かの反省だ。

「優しいかあ、ありがとう。もう一歩踏み込んで欲しいけど。」

「その内に。」

「楽しみにしてる。」

そんなに褒められたいんだ自分。初めて知った。
今までなら言われても適当に聞き流してたのに。
褒めることも珍しいけど、褒められたいと待ってるのも珍しい。

色んな珍しい現象が起こってる。



自分にこそ違和感を覚えそうだ。




食事の後はできるだけ自然にと思ってテレビをつけて一緒に見ていた。
三度くらい同じところで笑って、自然と手が出て、そのままくっついた。



一度くっついたら離れたくないし、くっつく部分は増えるしかない。
そんなに時間もかからなかった。


「どこも辛くない?」

「大丈夫です。」


何でそう聞いてるのか分かってないのだろうか?
我慢してる感じではない。
ならそうなんだろう。

すっかり自分に応えることにも慣れたみたいで、緊張感もぎこちなさもない。

ソファに横になってぶかぶかのトレーナーに手を入れる。
めくり上げるようにして顔も近づけてくっつけると、声をあげながらトレーナをかぶせられた。
慣れ親しんだ自分の服の匂いと彼女のにおいが混じる暗くて狭い空間に閉じ込められた。

腰に手を回してその中で自由に顔を動かして刺激した。

トレーナー越し、自分の頭に彼女の手を感じてる。

多少暴れても叩かれることなく、大人しく添えられてたと思う。

何度か名前を呼び捨てで呼んで愛してると言った。

さっきも大好きだとは言ったけど、愛してるとは今まで言ったことがあっただろうか?
普通に出た言葉のパワーにびっくりするぐらいだった。
好きとは違う。
だから言ったことはない。
もちろん最近は全くなかった気がする。


途中、私も、と聞こえた気がした。
きっと言ってくれたんだと思いたい。
気のせいだとしても、それを信じた。

頭を抜いて、抱きしめた

「何もかもが邪魔だ。ここじゃなくて、あっちに行きたい。」

そう言いながら体を起こしたら、さっさと立ち上がって手をひかれた。

窓を閉めて邪魔なものを全部脱いだ、本当に全部。

暗がりにまっすぐな綺麗な体を見た。

あんなに焦って来たのに、ここで動きが止まった。

「ねえ、本当に綺麗だ。すごく、綺麗だよ。」

腰に手をやって。ゆっくりと動かす。

やっぱり上に行くか、下に行くか。
指でゆっくりなぞり往復する。

彼女の手も自分の腰に来る。

少し距離をとっていたのに、自分の我慢を見られて、ゆっくり距離をつめられた。
何よりもそれが先に触れる。
唇より先に。

腰を引き寄せ合いながらキスをして、ゆっくりベッドに横になる。

初めから大人しくない。
二回目より更に遠慮も何もなく。

ほぼ全力で彼女を攻めて、声を出させた。


言葉にならないくらいに揺らして、愛してると告げる。
誰にも渡さないとも、絶対離さないとも。
自分のものだ・・・・とも。
しばらくは言えないと思ってたのに、思ったよりすぐに言ってしまった。



さすがに疲れたし、眠い。
そのまままた抱き寄せるようにして、抵抗することなく目を閉じた。


「絶対、離したくない。」

最後に伝えた。
お互いに目を閉じてたと思う。
聞こえただろうか?
聞こえてなくてもいい、明日も言えるし、これからだって何度でも言うだろう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染に10年片想いしてたら、冷酷御曹司にプロポーズされました

ほーみ
恋愛
 春の匂いが、駅前の並木道をくすぐる。満開の桜の下、私はひとり歩いていた。駅までの道は、高校時代、彼とよく歩いた道だ。  制服姿の学生が笑いながらすれ違っていくのを横目に、私はスマホを見下ろした。  「今日、伝えるって決めたんじゃなかったの?」  送信したきり返信のないメッセージ。画面には「既読」の文字があるだけだった。  ――渡瀬 湊。私が10年間片想いをしている、幼馴染。

10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。

不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。

翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。 和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。 政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...