優しいマッチョ先輩とみたらし

羽月☆

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23 けんかの後始末

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布団の上からポンポンと背中を叩かれて目が覚めた。
そろそろ起きる?
目を開けると目覚ましが鳴った。
止めてもらって、ちょっとだけくっつく。

軽くキスをして、離された。

「遅刻するよ。」

確かに会社に行かないといけないから、起きる時間。
行きたくない、このままいたい。
昨日とは違う理由で休みたい。

それでもさっさと起き上がる先輩。
下着を手にして先に寝室を出る。

あっさりと。

仕方ないので下着をつけてパジャマを着る。
バスルームで顔を洗っていつものように準備する。

「さっさと会社の近くに行って朝ごはん食べる?」

「はい、そうします。」

化粧して着替えて。
手をつないで駅に向かう。
駅に着いたら車両がはなれるけど。

「先輩、今日は同じ車両に乗っていいですか?」

やっぱり一緒にいたくてそう言った。

「大丈夫?」

「一緒にいたいんです。」

「うん、でも本当に混んでるし、守れないからいつもの通りにしてくれる?」

「はい。」

「降りたら一緒にいれるから。」

「はい。」

大人しく分かれていつもの場所で電車に乗る。
少し早い電車。
目を閉じて一人の時間をやり過ごす。
途中、端が空いたので滑り込む。
携帯を出して写真を見る。
『秘密フォルダ』
私の携帯にもあった。
いろんな写真が入ってる。ほとんど先輩だけかツーショット。
ゆっくりスライドさせながら見る。
あやしい写真は二、三枚くらい。でも服は着てるし。
ちょっと膝の上で撮りましたという程度のもの。
ラブラブぶりが馬鹿っぽくて恥ずかしいだけで、やばいという写真はない。

朝からにやけるような写真を見てたら駅に着いた。
携帯をバッグに入れて電車を降りて先輩のところまで急ぐ。

昨日から自分が犬になったみたい。
今までちょっとだけあった余裕がなくなって、思いっきり甘えてくっつきたい気分。

誰かに取られるかもと分かったからかもしれないし、ちょっとしたことですれ違うって分かったからかもしれない。
だから絶対近くにいて自分のものだとくっつきたい。
トイレの人々には別れてないよって見せつけたい気分。

喫茶店でモーニングを食べる。
すごくお腹も空いてる。

早く着いて歯磨きをして、隣の席に座り皆を待つ。
百合先輩が来て眉をあげる。
私を見て笑ってくれた。

「マッチョ馬鹿、面倒掛けないでね。緑ちゃん、心配したよ。」

小さい声で先輩に容赦なく言い切り、私を気遣ってくれた。

「元気になりました。ご心配かけました。」

「本当に緑ちゃんの私物だけど剣山で殴りたいくらいだった。」

剣山って・・・・あれは武器ではありません。
頭から流血する先輩を想像する。
痛い・・・・。
頭皮は鍛えられないから。


「今日はおごり決定、三人でランチ行こう。」

ササッと言って決めると仕事を始める準備をする百合先輩。

「やった~、奢りですって。先輩、よろしくです。」

「了解しました。」

決定。

正面の石作さんと目が合った。
ビックリした顔の後、笑われた。
ちょっとだけ頭を下げた。

本当に下げなきゃいけない先輩はどうだったか。
石作さんの視線が隣に動いたので見たらちゃんと下げてたみたい。
反省のポーズとみる?

気が付かないふりで仕事を始めた。
わりと集中してました。指先が軽やかでしたから。

ランチの時間、三人で外に出た。

お蕎麦屋さん。先輩の財布にも優しい。
衝立があって少し区切りもあるけど内緒話には向かない。
注文をして、先輩がトイレに立った隙に急いで小声で聞いた。

「百合先輩、変な噂無いですか?私と石作さんがホテル行ったとか、先輩と別れたとか、先輩が新しい彼女作ったとか。」

「聞いてないから。もし聞こえてきたら全部否定してあげる。」

取りあえずホテルの事が噂にならなきゃいい。
変な尾ひれはごめんこうむりたい。

先輩が帰ってきて予想通り百合先輩に怒られて。
それでも二度目だからかニコニコ聞く先輩。
百合先輩が呆れ果ててやめた。

「なに?全然反省の色が見えない。」

「そんなぁ、昨日は大変だったんだから。ギリギリだったし、反省もしたし、緑ちゃんに許すとも言われたから。」

「・・・・そう、で、2人で仲良く出勤してきて、にやけてるわけね。」

こっちまで飛び火が。

「うん、昨日は緑ちゃんがすごっ・・・」

びっくり、手は思ったより簡単に出るらしい。

顎を叩いて黙らせた。
ベロを出して指さして涙目の先輩。
ベロが赤くなっていた。
食事前なのに気の毒。
お蕎麦で良かった・・・・。

ごめんなさいと言いたいけど・・・しゃべり過ぎだから。

「・・・・すごいんだ。」

百合先輩に見つめられて、妖しく微笑まれた。

「はい、先輩をすごんで睨みつけて殴りつけました。」

合ってる?ごまかせた?とっさにしてはうまくいったと思いたい。

「緑ちゃん、真っ赤。」

ベロを痛がりながら、わざわざ先輩が言うことじゃないでしょう。

ランチが来てその話は流れた。忘れて欲しい。

本当に先輩の言動が軽すぎて困る。
そんなに同期って仲がいいの?
百合先輩が近すぎる。


同期・・・・、ちょっと嫌なことを思い出した、首を振って忘れたい。

美味しくお蕎麦を食べて。
会計は先輩のお財布に任せて外で待っていた。
なかなか出てこない先輩、まさかお金が足りない?
心配になって二人でのぞくと、会計の前じゃなくて奥にいた。
隣にいるのは・・・・・。

百合先輩が「あっ。」っと小さく声を出したのが聞こえた。
見たくなくてその場を離れて少し歩いた。

百合先輩が気が付いて横に来る。


「緑ちゃん・・・・。」

「あの人、先輩を好きなんでしょうか?日曜日に一緒にご飯して、連絡先交換して、またねって約束したみたいです。・・・・私から奪っちゃおうって、トイレで他の人に言われてました。多分あの人です。」

「あいつには言った?」

「はい。断るって言ってました。ただの同期だって。」

「じゃあ・・・。」

「百合先輩と仲がいいのはいいです。信じてますから。コアラさんもいるし。でも、同期でも・・・私の方が後だから、あの人にとっては私の方が目障りですよね。」

「よし、出てきたら一緒に睨もう。」

そう言ってもなかなか目を見れずに逸らしてしまった私。

「おおっ、何?・・・・・ああ。」

睨んでたらしい百合先輩。感謝です。

「ちゃんと断ってきたから。連絡先も後で、目の前で消すから。」

「すみません。」

百合先輩が手をつなぐ。

「もう、謝る必要ないんだから。行こう。」

引っ張られる前に顔を見た。
先輩は笑顔で、私も安心した顔が出来た、先輩見えた?

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