公園のベンチで出会ったのはかこちゃんと・・・・。(仮)

羽月☆

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1 衝撃的な出会い。

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風が気持ちいい。
美味しいパンを持ってコーヒーを片手にお昼ご飯の時間。
春の日が暖かく外の席が気持ちいい、大好きな季節。

でも、数ヶ月前の私は自分を見失っていた。

皆と同じように頑張った就職活動。
友達が次々と内定をもぎ取って卒論に取り組んでいく中、いつまでも決まらないでいる私。
とりあえずギリギリまで頑張って卒論に切り替えて無事卒業はした。
後は実家にバイトでしばらく暮らしていくことを告げた。

田舎出身の私、実家の両親はガッカリはしたけど女の子だから大丈夫だからと気を遣うように慰めてくれた。
そして自分らしく頑張りなさいと。
せっかく大学まで行かせてくれたのに私は結局何も残せなかった。
そんな思いの毎日で気分は落ち込んでいた。

大学の通学に便利なようにと住んでいたアパートを引っ越した。
そして落ち着いた先は大学生の時に何度か行ったことのあるパン屋さんの近く。
友達の家に遊びに行った時に気に入ったパン屋さんだった。
美味しいし、カフェもあってゆっくり食べられて、お店の人も優しそうで。
友達の家に行くと毎回と言っていいほど立ち寄った。

ふとあのパンを食べたいと思い立ち出かけて、その時にバイト募集の張り紙を見た。

働きたい!!

その時私はパンの匂いや暖かい店や人に癒されたいと思った。
そのままパンを買い聞いてみた。
後日履歴書を持って面接にいき採用となった。
仕事にも、バイト生活をしてる自分にも随分慣れた。
辛くて暗くて落ち込んだ時間はゆっくり過去になろうとしてる。

最初思ってたようにとても働きやすいバイト先だった。本当に良かった。
ささくれた心もすっかり癒されていた。
だから今年又就活をしようとは思わなかった。
そこは本当に逃げたとしか言いようがない。
過去形じゃなくて逃げてるという現在形。
また自分を全否定されるようなあんな体験、私には無理そうで少しもチャレンジしてなかった。

バイトのお昼休憩は一時間、お店のカフェでは食べずに外に出る。
私は失敗したパンを二つもらい、時々買い、袋に入れて外に出る。
いろんなところにあるベンチに座る。

今日いるベンチの周りは誰もが知る大きな会社だったりする。
お昼時間には首から社員証を下げた人々がわらわらと出てくる。
どの人も頭よさそうな、勝ち組の人たち。
中には仕事が辛い人もいると思う。
でも私にはキラキラの勝ち組の人たちにしか見えない。
だって一度でも狭い門をくぐり採用を勝ち取ったんだもん。
時間のズレた私のお昼時間、そんな皆は真面目に仕事をしてる時間だろう。

友達もしばらくは会っていた。
企業に就職した友達、いろんな話題、広がる人間関係、そして誰もが大人っぽく、おしゃれに、きれいになっていく。どうしようもなく開く差を感じる。
ゴールデンウィークや夏休みなどの長期休みには旅行に行ったり、普段取れない休みを満喫しようとする友達。そんな話をキラキラした顔でしてる友達。

そんな友達が羨ましくて・・・・・。
そして徐々に誘いを断るようになった。
多分みんな分かってる。私だけが寂しい、空っぽな自分を見せられてるみたいで。
バイト先のパン屋さんには全く不満はない。本当に満足。
今も一人で食べる私のパンの袋を見てうれしそうな声が通り過ぎる。

『あのパン屋さんのパン、急に食べたくなった。今日寄っていこうかな?』

そんな言葉を聞くとうれしい。でも私がやってるのは袋に詰めてお金を預かるだけ。
それだけ。
それだけだと言い切ると物足りなさを感じてしまう。
私には十分のはずなのに。


食べ終わり、大きく息をついて笑顔になり、お店に戻る。

「ただいま戻りました。」

歯磨きをして挨拶する。交代で休憩してもらう。
今は一人でも留守番できるくらいだから。

このお店は商店街の中にある。この商店街も大好き。
昔ながらの小さい専門店がいくつもある。
八百屋さん、お魚屋さん、お肉屋さん、豆腐屋さん、電気屋さん、本と文房具屋さん、手芸屋さん、時計屋さん。靴屋さん。

食べ物屋さんの店先にはいろんなお惣菜が並ぶ。これがおいしくて。
私は帰りにちょっと安くなったお惣菜を買い込む。
時々はお野菜も買うけどそれもおまけしてくれる。
商店街で働く私にお店の人達はとてもやさしい。
大好きな商店街。その中に私の大好きなパン屋さんはある。

商店街のお休みが月曜日。パン屋さんも月曜日は定休日。
いつものようにのんびりと起きて洗濯や掃除を終わらせて、遅いお朝用のパンを持って公園に行く。
広い公園の大きな木の陰、たくさんのベンチがあって好きなように休める。
子供たちが向こうの方で元気に遊んでるのが見える。
大きな子がほとんどで小さな子とお母さんたちの姿は隅っこの砂場のあたりに少し。
私は一人で持ってきた小説を読みながらコーヒーとパンでお昼にする。
このパンは売れ残りのもらい物。
なんだかんだと商店街だと食費が浮いてる。

多くはないお給料の代わりと言って、残り物や形崩れのパンをくれるお店の人、今日子さんと務さん夫婦。
パン屋修行をやめてワゴン販売を経て店舗を持った努力家の夫婦、35歳。
その間の一粒種のさやかちゃんはすくすく育って今5歳。
とてもかわいい。

パン屋の2階に住んでいる今日子さん夫婦。
さやかちゃんも時々お店に来るけど、基本は幼稚園の近くに住むおばあちゃんのお世話になることが多いみたい。
夕方おばあちゃんの家へ今日子さんが迎えに行く。
なので夕方からは一人になる私。
でもパンも追加焼き上げがなくなると後はある分を売りぬいて、あとはカフェ利用のお客様が少しいるだけ。
ゆっくりとする一人暮らしらしい人がほとんどで顔なじみになる。
あとは近くの商店街の人がたまに遊びに来る。

ちなみに商店街にあるコーヒー屋さんというか昔ながらの喫茶店は渋い。
窓ガラスから中が見えないのでなかなか入りにくい。一度も入ったことがない。
食パンを買いに来てくれるマスターは髭のある素敵なおじい様。
お店に来てねと言われてもなかなか一人では行けてない。

水筒からコーヒーをいれたコップを持ってぼんやりと子供たちを見てたら、いきなり後ろから声がした。

「見つけた、かこちゃん。」

かこちゃん?誰?誰がいるの?
後ろを向こうとしたら鋭い声でとめられた。

「ダメ、動かないで、そのまま。すみません。そっと足を上げてもらえませんか?」

そんなことを言われてどうすればいいの。

「お願いします。ベンチの下にかこちゃんがいるんです。足を上げて。」

良く分からない。だからかこちゃんって誰。
それでも下も見れずそっと、ゆっくり足を上げた。

しばらくしたら雄たけびが聞こえた。

「やった~、かこちゃん~、つかまえた~。」

私は足を下ろしてもいいんでしょうか?ワンピースでこの姿勢って・・・・。
恥ずかしいし、疲れる。変な人でしょう完全に。

「あの・・・もう・・・足を下ろしてもいいでしょうか?」

「ああ、すみません。どうぞ大丈夫です。」

後ろの声が前に回る。
そこには大人の男の人、でも手には虫取り網、網の中には・・・・・ゲコッ。

カエル?本当にカエル?

ゲコッ。

かこちゃん・・・ゲコッちゃんの間違い。しかも足下にいたの?うそ?
思わず下を見る。ちょっとワンピースから出た生足に鳥肌が立つ。
触ってないよね・・・踏んづけてないよね。

ちょっと私を見たその人は虫取り網をしっかり握り『かこちゃん』とやらが飛び出さないようにしてる。
斜めがけされた虫取りケース・・・・大人よね。

ハッとしたその人が私にお礼を言う。

「ありがとうございました。おかげでかこちゃんを捕まえられました。家出中のペットなんです。かこちゃん。可愛いですよ。」

こっちに虫取り網を近づけようとするので全力で悲鳴を上げベンチをずれる。
危うく落っこちそうになる。

「ああ、すみません。見慣れないとダメですかね。かこちゃん残念。きれいなお姉さんなのに、面食いの上に足下狙うあたり、メスなのにどうなんだろう?」

ぶつぶつ言いながら虫取りケースにいれる、その・・・かこちゃんを。
プラスティック越しに見えるかこちゃん。
見慣れても可愛いとか思えないと思う。
何でかこちゃん?どうしてペットがこのカエル?
猫じゃない、ハムスターじゃない理由が分からない。
それに今の独り言ちょっとセクハラじゃないの?
だいたいカエルにそんな意識ないし。


「無事に捕まえれて良かったです。飼い主さんも安心すると思います。」

「そ、そうですか。それは良かったですね。」

貴方が飼い主じゃないのね・・・。じゃあ何?
ケースをベンチの足元に置く。

「あの、手を洗ってくる間だけ少し見張り番をお願いしていいですか?誰も盗まないとは思いますし、逃げ出すこともないでしょうが。」

「はっ?」

何で私が?びっくりして了解の返事をしたつもりもないのにその人はくるりと向きを変えて去っていった。公園の水道で手を洗ったら帰ってくるだろう、すぐに。
かこちゃん、やっぱりよく分からない。
そのチョイスと可愛いの価値基準が。

アクリルのケースの中で大人しく外を見てるかこちゃん。
メス・・・女の子らしい・・・・・。

その男の人が帰ってくる前に小学生が寄ってきた。

「やった、捕まえたんだ、かこちゃん。」

その子はケースの中のかこちゃんを興味深そうに見る。
好きなの?飼い主?この辺では有名なカエル?

男の人が走りながら戻ってきた。

「ありがとうございます。あれ、直樹、良かった~。今かこちゃんを捕まえたんだ。世話になったな。」

「光司さん、良かったね。」

ナオキ君らしい。コウジさんらしい。
私の目の前の登場人物2人。名前もうっすら判明した。

「これお礼な。また何かあったら頼むから。」

財布を出しコインを渡すコウジさん。

「サンキュー。じゃあね。」

500円を握り手を振り去っていくナオキ君。
ぼんやりと眺める私。

「あ、ありがとうございました。かこちょっと窮屈だけど我慢してな。もう少ししたら家に戻ろうな。」

何故かすっきりした顔のコウジさん。ベンチの後ろに行ってバッグの中からごそごそと服を出すとおもむろにTシャツを脱いだ。

「きゃ。」

つい視線で追っていた私は悲鳴を上げ前を向く。
なんなの?無駄肉のない体を一瞬見てしまいびっくりしてしまった。
ごそごそと音がしてコウジさんが戻ってきた。
髪の毛から少ししずくを垂らしてる。
水浴び?着替え?何なのこの人?

「あ、そのパン。『森のキノコさん』のパンでしょう?おいしそう。」

ジッと見られる。
忘れてたけど私は静かに休日の読書を楽しみながらの遅い朝ごはん中だった。
なんだか疲れたし、目の前には・・・ゲコッ。かこちゃん。

「あの・・・食べますか?」

そう言うまで視線を外さないのでは?
そう言うしかないような状況?
顔をあげてにっこりと笑われた、とてもうれしそうに。子供のように。

「本当ですか?」

「はい、どうぞ。」

メロンパンを半分食べて、あとは食パンにお総菜屋さんでおまけにもらったカボチャサラダを挟んでいた。
パン屋の袋ごと横に座ったコウジさんに差し出す。
あ、メロンパン。食べかけだった。
そう気がついて手を伸ばそうとする前にコウジさんの手がメロンパンを手にしてかぶりついていた。大きな口でおいしそうに。

あの欠食してますか?

「今日は朝からかこちゃんを探してウロウロしてたんです。ナオキ・・・さっきの子がこの辺にいたかもって教えてくれたからずっと探してたんです。お腹空いて空いて。」

ブフッ。胸をトントンとする。むせたらしい。
私はコーヒーカップの蓋を取ってついで差し出した。

私何してるの?
まるで・・・まるでデートみたいな感じですが。



「すみません。美味しいです、コーヒーも。」

「あの、カップは別にあって使ってないですから。」

「へ?」

何か?みたいな顔をされる。
私は自分のカップを指さす。
それでもぴんと来ないらしい。

「あの、もういいです。こっちもどうぞ。」

一人意識してると思われるのも恥ずかしいのでサンドイッチをすすめた。
だってもうメロンパンはすっかりお腹の中へ。

さっきの細い体の中のどこにはいるの?

思い出して又恥ずかしくなった。
いきなり知らない人の半裸を見てしまったのだ。
しかも着替え中を覗いた様な感じになって、何であの時後ろを振り向いたんだろう。
しかも声が聞こえて見られたと分かってるのに平然としてるこの人って。

メロンパン、本当はかぶりついてたから・・・歯形ついてなかったかな。

「美味しいです。サラダ上手ですね。なんだかすみません。彼氏に怒られますよね、僕。」

「・・・・大丈夫です、いませんから、そんなひと。」

なぜ馬鹿正直に答えたの?
恥ずかしくて小さい声になった。うつむく。

「それに商店街のお惣菜を挟んだだけです。本当においしいんです。」

「ああ~、あの・・・・もしかして真奈さん?」

え?何?知ってる人、誰?
顔をよく見る、見つめ合う感じになった。分からない、思い出せない。

「すみません、初対面です。でも今日子さんからバイトに可愛い子が入ったって聞いてたので。他からも。」

「え?」何で。

「今日子さん達がお店開けた時に少し手伝いました。バイトです。あ、僕こういうものです。」

かこちゃんの上に置かれたリュックから名刺を取り出しこっちに差し出してくる。

『何でもやってみます。お手伝い屋。代表 佐野 光司』

電話番号とメルアドがのっていた。

「こちらもどうぞ。困ったことがあったら駆け付けます。今日子さんに相談してくれても大丈夫です。」

チラシをもらった。そこには過去の業務内容が列記されていた。
持っている資格も。

「偉そうに名刺作ってますが一人でやってます。でも代表って書くとかっこいですよね。なんてね。いろんな師匠にハッタリも必要と言われたんです。」

どこから話していいのやら。手に持った名刺とチラシを見下ろす。
横でサンドイッチをぱくつくコウジさん改め佐野光司さん。

「は~、美味しかったです。ごちそうさまでした。それに楽しかったです。話ができてうれしかったです。また会いましょう。」

ゴミをまとめて、蓋の水分を切りながら言う。
良く分からない会話はスルー。

「あ、ごみはそのままで大丈夫です。」

「本当にありがとうございました。いつでも連絡を待ってます。じゃあ。」

かこちゃんを静かに持ち上げて覗き込んでいる。

「かこちゃん、帰るか。」

荷物を背負い、ご丁寧に網まで背中にさしてかこちゃんを抱えて手を振って去っていった。




「何だったの?」

手に持ったままの名刺とチラシだけがリアルに残った。
馴れ馴れしい人、でも無邪気な笑顔で嫌な気もしない。
ずっと向こうに背中が見える。目印に虫取り網があるから間違えない。
あれはナオキ君だろうか?男の子と会話中。途中お母さんたちにも声をかけられてるみたい。
なんだか疲れてしまい小説を読む気もしない。
読んだところに栞の様に名刺とチラシを挟んで帰る準備をする。
すっかりなくなった私のパン。
でもゴミとカップが揃えられているのを見たらつい微笑んでしまった。
部屋で続きを読もう、そう呟いて帰る。
結局なんとなくぼんやりして小説も読まずに1日を終えてしまった。

テーブルの隅に置かれた本は開かれることなく、名刺とチラシを抜き取りしばらく見つめて本棚の上に置いた。明日読もう。本は明日のバッグへ。
ふと思いついて画用紙とクレヨンを出してカエルのイラストを描いた。

時々絵を描く。色を塗るのはとても癒される。
自分の心の色も楽しく染まってくるみたいな気分になる。
出来るだけ明るい色をたくさん使う。
出来上がったかこちゃんはレインボーカラーで、虹を登ろうとしていた。
他にもくるくる渦巻のかこちゃんが蓮の葉に乗って旅をするような絵、水玉のかこちゃんがテルテル坊主と一緒に空を見上げる絵。
楽しくて何枚か夢中で書いた。

何でかこちゃんって名前で呼んでるの?カエルよカエル。
自分に呆れながらも、その内お話をつけたくなって、物語風に話を作り絵を描いてみた。
簡単に下書きをして今度暇な時に色を塗ってみよう。
主人公カエルはやっぱりかこちゃん。
かこちゃんは大きなグレーのカエルだった。

満足してお風呂に入って明日の準備をして寝た。
なんだか楽しい夢を見たかもしれない、ぐっすり寝たのかもしれない。
朝目が覚めたら気分がよくて空も快晴。

昨日に引き続きいい天気だった。

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