同居始めた修行中の狐犬に振り回されています。

羽月☆

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21 時々ポケットが軽くなってる事、名前を呼んでも返事がない事。

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「今日は元気ない?どうかした?」

「ううん、大丈夫。」

つないでいた手を離して、腕に自分の腕を絡めた。
近い距離の二人になる。

全然知らない街を歩く。
時々見かけるお店を覗き込みながら、気になったら入って見つめる。

目的地はたくさんの招き猫がいる場所。

本当に名前をつけることが出来ないくらいたくさんいた。
コケに覆われたシロネコさん、耳の壊れたシロネコさん、シロネコと分かるけど、汚れた猫もたくさん。

「緑が綺麗だね。紅葉の季節もいいかもね。」

「そうだね。」


「でも千早ちゃんは犬派じゃないの?」

「そ・・・うでもないよ。どっちかな?両方好きだし。」

「高森くんは?犬っぽいけど?」


「う~ん、犬かな?」

「大きな声で言ったら聞こえるよ。あんなに沢山の猫に睨まれたら怖い夢を見そうだよね。」

小さな声で言った。

「猫も好き。」

普通の声で高森君が言った。

ちょっと壁の向こうに視線を向けてこっそり笑った。


違う道を通り、途中スイーツのお店でジェラートを買ってベンチで食べて。
スプーンでお互いの物をつつき合いながら。


「ねえ、僕の部屋に来ない?ここからだと近いんだ。」

それは分かってた。
どこに行くって話になって『僕の駅からちょっとだけ行ったところだけど・・・』そう言っていたから。

「うん。じゃあ、お邪魔します。」

お腹もいっぱいだし、大きな町の通りほどあちこちと見るようなお店がつながってるわけじゃない。
本当に住宅がたくさんある場所だったから。

駅からは大分歩いてるから、またゆっくり駅まで戻って。
入り込んできた短い電車に乗って、少し。

「ここだよ。」

言われて降りて、手を引かれるままについて行った。


やっぱり住宅街の中の小さなマンションだった。
駅から近いからいい。

商店街もないし、スーパーも小さいけど。


鍵を開けて部屋に入った。

「お邪魔します。」


そう言って後をついて行く。

シンプルに片付いた部屋、壁には何枚かの写真がはられていた。
知らない人たちと写った写真に同期で撮った集合写真、最近いろんなところに行った時に撮った二人の写真もたくさんあった。

じっと見てたら名前を呼ばれたので、テーブルの方へ行った。


紅茶をいれてくれていた。

カップが二つ置かれていて、一つの前に高森君が座り、残りの一つの前に座った。
手をつなぐのには慣れたのに、少し距離感に戸惑うし、やっぱりさっきから緊張してるみたいでドキドキがうるさい。

自分の部屋なのに高森君もちょっとぎこちない気がする。


「すごく片付いてるね。」




「昨日、頑張って掃除した。」

今日連れてくる予定は決まってたみたい。
無駄にはならなかった。
断ることはないし。


「ねえ、葉山君にはどう言ったの?」

あれから少しも飲みに行ってない。

「本当のことを言った。昔隣の家で過ごしてた時期があって、すごく久しぶりに会えたんだって。ずっと会いたかったからうれしかったって伝えたって。」



「驚いてた?」

「うん、ものすごく驚いてた。そしてその後謝られた。」

「何を?」

「全然どっちのことにも気がつかなかったし、稲田君にも悪いことしたって。」



「今日、緑のモミジを見て思ったんだ。赤くなる季節にも一緒に見に行きたいなあって。」

「そうだね。きれいだろうね。」



「ねえ、もう少し進みたいって言ったら、変?」



多分それを言いたかったんだろうと分かった。
言いたいことも、もちろん。


「そんなこと思わない。」

少し近寄った。

目を合わせたまま、ゆっくっりと手が顔に伸びてきた。
前髪を触られる。
目を閉じるタイミングじゃないからずっと高森君の目を見ていた。

ゆっくり体が倒れてきたタイミングで自分も近寄る。

ただ、髪をよけられたおでこにキスをされただけだった。
最後の瞬間・・・・目を閉じずにそのままで平気だった。
視線をずらして胸元を見ていた。

少し離れて、視線をあげた。

高森君の手は私の耳の辺りから、頬にあって。

もう一度近づいたタイミングは目を閉じるタイミングだった。
触れた唇が軽く音を立てて、少し離れたと思ったのに、繰り返られて、その間ずっと目を閉じていた。
顔を離してキスは終わったのに、体が近寄って抱き合った。

足を曲げていた高森君の腰に腕を回してもたれかかるように、引き寄せられた体ごと抱きしめられて、また唇が触れた。

「千早ちゃん。」

そう呼ばれた声に体が震える。

「高森君。」

自分も鼻にかかった声で呼んだ。

首に手を回して体をくっつける。

お互いの触れ合ったところに唇を寄せて音を立て合う。
息苦しいくらいに抱きしめられた体に、甘く息をあげてキスを繰り返し、体に触れる部分をずらして手を動かす。


頭ごと抱えられて強く抱きしめられた。

「千早ちゃん、今日は一緒にいたい。明日まで一緒にいたい。帰したくない。」

勢いよくそう言われた。

「私も、ここにいたい。」

そう答えたら体に巻き付いていた腕が緩んで、ゆっくりため息をついた高森君。


「千早ちゃん、うれしい。良かった。断られたら、どうしようって思ってた。」

「そんな可能性考えてたの?」

「少しは考えるよ。・・・・だからおでこにキスした。」

「それで。」

「千早ちゃんが、あれ?って顔してたから、安心してもっとキスが出来た。」

「そんな顔はしてない。」

一応言ってみた。

「そう見えたんだもん。」

うれしそうな笑顔に、なんだか悔しい思いがして、私からキスをした。



忘れられた紅茶はすっかり冷めていた。

夕飯の買い物を一緒にと外に出て、スーパーで買い物をする。
私は自分の買い物を。

デザートにパン屋さんでプリンを買った。


帰って一緒に夕飯を作ってプリンも食べて、交代でお風呂に入ってテレビを見て。
高森君がお風呂に入ってる時にナナオの事を思い出した。
夜にいないなんてことないのに。
心配するだろうか?
でもきっとわかってると思う。
神様の御遣いなんだから、そんなこと分かってるよね。

寂しがってるだろうか?
それとも・・・・・どうだろう?

「千早ちゃん。」


お風呂から出てパジャマを着た高森君が横に来る。

髪の毛が少しだけ湿ってる。
まっすぐ顔に落ちているとなんだか本当に昔の写真の頃と同じように思えてしまう。
女性が化粧を落とすほどには変わらないと思うのに、パジャマだとすごく頼りない感じに見えるのもあるかもしれない。
自分も高森君に借りて、同じようなパジャマを着てるのに。
そう思って笑えた。

ナナオはきっと大丈夫。
明日帰ってから思いっきり撫でてあげよう。
一緒に散歩に行ってもいいし。
そう言えば最近一緒に部屋から出るのは仕事の時くらいだった。
そうしよう。


「千早ちゃん、僕が言うのは変だけど、あんまり・・・・変だったらいいからね。」

「大丈夫だよ。」

そう言うのも変だよなあって思ったから、また笑った。

しばらく一緒にテレビを見て、緊張しないように、時間を感じないようにしていた。
それでも番組が終わると視線を逸らせない時間があって、名前を呼ばれた。


「千早ちゃん。」

そう呼んだ唇がすごく近くにあって、そこから視線が動かない。
息をひそめるようにしてたけど、自分から近寄った。

キスをしながら、手を握り合って、そのまま寝室に移動した。



「初めてだから・・・・ごめんね。」

何て言ってたのに、パジャマを脱いだら普通に大人になったみたい。
頼りないと思っていたのに、前髪も汗で湿ってきて、そっと後ろに流した。
それだけでも違う。


やっぱり大人になった、あの頃から比べると、ずっと大人に、それはお互いに。



目が覚めて見慣れない天井と部屋の感じにびっくりした。
隣には高森君はいなくて、リビングの方から物音がする気がして、パジャマを元通りに着て部屋を出た。


「おはよう、千早ちゃん。」

懐かしいように呼びかけられた。
急いで近くに行って抱きついた。

「ごめんね、すごくよく寝てたから。」

頭を撫でられて体を受け止めてくれた腕に力をこめてくれる。

「お腹空いた。」

小さく言った。
もっと違うセリフを期待されるかと思ったら急に恥ずかしくなって、さっさとそんなセリフを言った。

さすがに腕の力も緩んで体も離れた。


「今用意する。昨日のパンでいい?」

「うん。」


そう言ってバスルームを借りた。
顔を洗って着替えをしたら昨日に続く自分が出来上がった。

一緒にパンを食べて、コーヒーを飲んで。

やっぱりナナオが気がかりで、着替えがしたいと言って昼前には部屋に帰った。




「ただいま、ナナオ。」

玄関の鍵も閉まらない内にそう言う。
部屋はカーテンも引かれてないままで明るい。

リビングにもいなくて、寝室に行ったらやはり明るい中でいつもの場所で丸くなっていた。
そこまで行って座り込んで頭を撫でる。

「ナナオ、ただいま。ゴメンね、留守番お願いして。」

一度目が開いてこっちを見て、尻尾がパタパタと上下してまた目を閉じられた。

「・・・・ナナオ、怒ってる?」

「怒ってないよ。エンヤと一緒だったなら安心。」

そうとしか思われないだろう。その通りだし。

「着替えをしたら散歩に行く?」

そう言ったらゆっくり起き上がって背伸びした。
いつもならとっくに起きてる時間だったけど。
まさか心配で眠れなかったとか、そんなことないよね。
高森君と一緒だって思ったよね。

着替えをして、お化粧をして、ゆっくり紅茶を飲んだ


「買い物行くから、ナナオも一緒に行こう。散歩しよう。」

そう言ったらそのままショッピング用のトートバッグに飛び込んで顔を出したナナオ。
少し風が吹いて、でも少しも重くならないバッグ。
誰にも気がつかれないけど、犬の近くは通れないバージョンだった。


バッグを肩にかけて散歩に出かけた。


のんびりとあまり通らない道を適当に歩く。
スーパーとは違う方へ。


「千早、そろそろ俺の研修終わりそうなんだけど。」

思わず立ち止まった。
この間着々と進んでいるとは言っていた。
もう、終わり?

「そろそろって、あとどのくらいなの?」

トートバッグに向かって、小さく聞いた。

「数日で終わってもいいくらい。」

「終わらなくてもいい・・・・の?」

「終わったらしょうがない。」

「そうしたらどうなるの?」

「一度あそこに帰って、次の課題をもらう。」

「また違う人のところに行くの?」

「それは分からない。」




「会えなくなるの?」





「あそこでは会える、確実に。」




「まだ先のことだよね。」



「だからあと・・・・・・・。」

少し・・・・・なのは間違いないらしい。
いきなり・・・・。


ずっと一緒にいてくれたのに。
二ヶ月くらい一緒にいてくれたのに。
急にいなくなったら寂しいと思う。
おじいちゃんとおばあちゃんのところに行くからって言われても、私は会えない、あそこになんて滅多に行けないのに。
だいたいいつそんな研修してた?
いつも大人しくポケットにいたか、寝てたか、走ってただけじゃない。
不合格になることもあるんじゃないの?
やり直しって事にはならないの?


元気よく出てきたのに、トボトボと適当に歩いてる。


見覚えのある場所に出てきて、ぐるりとスーパーの方へ折り返すように戻る。
適当な食材を買って、簡単に野菜スープを作って食べた。

片付けもせずにゴロンと横になる。
目の前にナナオがいる。
ペットとの違い、いろんな話はするけど過剰なスキンシップをしたりはしない。
最初から小生意気な相手で同居の相手で。
だけどずっと撫でてる。
気持ちいい、偽物なのか作りものなのかマヤカシなのか分からないその毛並みを感じて。

いなくなることを考えられない自分がいる。

尻尾の先だけがパタパタと可愛く床を叩く。

何が言いたいんだろう?


「千早、明日は仕事だよ。」

「知ってる。ナナオもだよ。一緒に行くよね。」

「ついて行くよ。」

「準備しなきゃいけないんだ。早起きしなきゃいけないし、電車で揺られないといけないし、仕事しなきゃいけない・・・、ナナオ、あそこに帰りたい?」

「どうだろう。いつかは帰るし。」

いつか・・・・ってすぐじゃないの?

「そう。」

ゴロンとなった体を起こして片づけをした。

アイロンはかけてる、スーツを出してバッグの中身を入れかえて、目覚ましを確認して。





「楽しい週末だった?」

朝一でリリカちゃんに聞かれた。
思わずドキリとしてしまう。

「うん。それなりに楽しんで過ごしてた。リリカちゃんは?」

自分の事はサラリと言い、聞き返したら思いっきりうれしそうな顔でピースサインを作られた。
それは聞いてほしいと言ってるような顔。
明らかにハッピーな話。

「ランチの時に聞く!」

「うん。」

やっぱりいい事みたい、話したいみたい。
もしかして本当に・・・?

パソコンを開いてサクサクとメールを片付けていく。

まだ先輩について一緒に行動していく。
上手くリリカちゃんとランチの時間を合わせられて、二人で外に行った。


食事を頼んだらリリカちゃんが勝手に話をし出した。

偶然会った同級生とその友達と食事をしたらしい。
その素敵な友達の方と仲良くなったらしい。
写真を見せてもらったけど、スポーツできそうな素敵な人だった。
・・・・少しも高森君とは被らない・・・・・・????

「実は連休中もお互いに休みがおんなじだったから、楽しくデートを繰り返しました。」

嬉しそうに報告をしてくれた。
私は全力で喜んだ。
良かったね、そう言って友達の恋愛を応援するふりして、心ではほっと溜息をついていた。

もう何も気にしなくていいんだと思った。
むしろ気のせいだった?

「偶然の出会いって、なんだかすごいね。」

「うん。」

「もう、すごくうれしそう。」

「うん、隠せない。」


食事をしながらデートの内容を聞いたりして、逆に聞き返されることもなくランチタイムは終わった。


うれしいのは私もそう。
ポケットに手を入れてナナオに触れようと思ったらいなかった。

えっ?

下を見てポケットを見る。

確かに今日もいつものように転がった変化姿のナナオをポケットに入れた。
それなのに、いない。

落としたつもりもない、そんな事ほぼ起こりえないし。
そうであっても自分で戻れるナナオ、それはよく分かってる。
もしかして今日も一人で研修に出かけたの?

いつも一緒にいても重みも感じないのに、急にポケットが軽くなった気がして、寂しくて。
心配しなくてもいいと分かってるから、とりあえず仕事に集中した。

仕事が終わってふとポケットに手を入れたら、いた。
そのままトイレに行って小さい声で話しかけた。

「心配したのに。ねえ、黙っていなくならないで。」

「だって千早は仕事中だったし。」

「・・・・・分かった。心配しないよ。絶対戻って来てくれるんだよね。」

「もちろん。」


ヘラッと答えたのでそのままポケットに押し込み返した。

もう・・・・・・本当にナナオの馬鹿。



携帯を見ても特に誰からも誘いはなく、リリカちゃんに声をかけて、先に帰った。
部屋で変化を解いたナナオも疲れたのか、丸くなってる。


「ねえ、ナナオ。リリカちゃんに彼氏が出来たの。」

「ほうほう。良かったじゃん。」

「うん。すごく嬉しそうだった。」

チラリと顔を見られた。
『千早も同じくらい嬉しそうだけど。』そう言われた気もした。
言葉はなかったから、その話はそのままで。


夜にリリカちゃんに彼氏が出来た事は高森君に教えた。
『そうなんだ。』
そんな感想が帰って来ただけだった。




次の日も同じようにナナオをポケットに入れて通勤した。
真面目に仕事をしてて、ポケットに手を入れることもなかった。

仕事が終わった夕方、ふとポケットが空っぽなのに気がついた。

また・・・・。

しょうがないから、私はいつものように仕事を終わりにして、部屋に戻った。
部屋に入る前にも確認したけど、ポケットは空っぽで。



玄関のドアを開けて、明かりをつけて廊下を進みながら声をかけた。

「ナナオ?」

朝出かけたまま、何も変わらない部屋。
明るくなった部屋にはナナオはいなかった。

寝室に行ってみてもいない。

「ナナオ?」

大きな声で呼んでも出てくる気配はない。

先に戻ってるって事もなかったみたい。

「ナナオ。」

入ったことがないのに、トイレやバスルーム、クローゼットまで開けて探した。


でも狭い部屋だから探す場所も限られてる。

いつも変化をした後転がるテーブルの上、スーツのポケット、仕事用のバッグのポケット。

どこにもいない。
今日もこっそり研修に出かけてて、夜になったら帰ってくる?


独り言のようにつぶやいて、座り込む。


勝手に出ていくなんてしないと思う。
きっと戻ってくる。
ちょっと外に出てるだけだと思う。

研修だと思う。一人でいなくなる理由はそれしか思いつかない。
そう思ってるのに、足りない小さな影に寂しさを覚えてそのままぼんやりしてた。




ノロノロと着替えをして、楽な服に着替えた。

仕事には大分慣れたけど、今度はナナオのいない日常に慣れないといけないの?



携帯をバッグから出した。

高森君から連絡があった。
でも今は気がつかないふりでそれをやり過ごす。

おじいちゃんの家の電話番号を表示させてかけてみた。


『千早ちゃん、どうしたの?』

「おばあちゃん、昨日と今日、ナナオは遊びに来た?」

『来てないわよ。あれからはお兄さん犬が来てくれてる代りに、ナナオ君は全然来てくれないわね。どうかしたのかしら、心配よね。千早ちゃんもどうかしたの?』

「私も何だか元気のないナナオの夢を見たから、心配になっただけ。きっと元気だよね。」

『そうね。大丈夫だと思うけど。遊びにきたら連絡しようか?』

「ううん、平気。この間元気だったし。変な夢は忘れる。」

『無理しないで、何かあったらいつでも連絡してね。』

「ありがとう。じゃあ、おじいちゃんにもよろしく伝えて。」

『うん、伝えとく。』

「じゃあね。」


あそこには帰ってないみたい。
帰ったらきっと二人のところに顔を出してくれてるだろうから。


じゃあ、どこにいるの?

もっと研修について聞いておけばよかった。


ナナオ・・・・・・。


風がそよと吹いた気がして、小さな足音がして、玄関からナナオが歩いてきた。
ドアは開いてない、開けてない。

勝手に出て行って、勝手に帰ってこれるみたい。

『あれ、帰ってたの?』

そんな顔をして帰ってきた。


腰を浮かせた状態から、立ち上がり、走った。

びっくりして立ち止まったナナオ。

「ナナオ、いないから心配したのに!どこ行ってたの?」

「え・・・・ええと、研修。」

じっと見つめた。

「一人でも出入りできるの?」

「まあ、・・・・その辺は自由に。」

抱き上げて視線を同じ高さで合わせた。


「今度こそ、黙っていなくなったのかと思った・・・・・。」


ぎゅっとその体を抱きしめる。


「帰ってこなかったらどうしようって思った・・・・・・。」


「ごめん。ほら、あと少しで研修も終わりだから。仕上げにいろいろとすることもあって。」


「うん、そうだね。でも良かった。帰ってきて。」



「帰ってくるよ。」

そんな事言ってサヨナラまであと少しなのに。


ナナオを下におろして、ホッと息をつく。
慣れないといけないのに。
・・・・全然無理そうじゃない。


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