悪女の取り扱いには注意してください。

羽月☆

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18 理由も分からず反省する同期が一人。

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日常が戻ってきた。
下の会社のあの人がどうなったのかは分からない。
非常階段でも話がもり上がっていたから、同じ会社で働くというのは難しいだろう。

それならそれでいい。

ほんのちょっとした関わりですんで、忘れられる。

そして元の環境で働くだけだ。
当然、まったく潤いのない週末もそのままだろう。


午後、休憩をしながら背伸びをする。

本当に思った。
社内で話しかけられても誘われても絶対に乗らないことにする。
他の会社の人でも同じ。
同じ会社の人のいる飲み会には参加しない。
女性も男性も、・・・同期も。

結局いろんな噂が、溢れるくらいあるらしい。
そんなのは尾ひれと背びれがくっついただけなのに。

一緒に飲みに誘われて、その後普通にしゃべってるだけでも囁かれる。
しゃべりたかったらしゃべればいいじゃない。
本当に欲しかったら邪魔してでも奪えばいい。
別に本当に欲しいときには相手をするけど、そうじゃなきゃ私は消えますから。

結局嫌われてるんだろう。
両隣の二人以外には、少なくとも好かれてはいないらしい。


ずっとずっと前に林に聞いたことがある。
これでも最初は女子友も欲しかった。
飲みにいくたびに友達が減っていく気がして、そのうち誘われなくなって。

「ねえ、何で私ばっかり嫌われるの?」

「そう俺に聞いてくるところも嫌がられるだろうな。」

結局答えてはもらえなかった。
それでもそのたびに思い返していた。
その理由はつまらない話だった。

誰かの特別に不用意に近寄っただけ。
意中の人を二次会で私が奪ったことになっていた。
隣にいたから話しただけだったのに。
それだけでも恨みに思われる。

じゃあ、私はどこで出会えというんだ!!

そう思ったのに誰も答えてくれず、もちろんチャンスもくれない。





「よう、お疲れ。」

林が来た。

「お疲れ様。」

愛想はいらないから楽。
言葉だけ、窓に向かって放つのみ。

「なあ、泊まったんだって。」

直接聞いたんだろう。

「場所を貸しただけ。」

「何か怒らせたらしいとしか言ってないんだが。悪かったって反省はしてる。」

そうだろう、林が泊めてやればよかったんだ。
朝早くって言ったって、起こして追い出せばよかったんだから。


「何か言われた?された?」

はぁ? うるさい、休憩中に。

「何か不用意に言ったか、したかだろう?それで怒ってるんだろう?本人は寝てしまった記憶しかないらしい。声をかけられた気がするっては言ってるけど。粗相したとか?気に障ることを言ったとか?本当に何かした・・・とか?」


覚えてないらしい。
反省してるのは林じゃなくて佐々木君らしい。

反省すればいいってもんじゃない。
どんな風に私を見てたんだ。
友達の友達なのに。
そんな噂どおりの女だと思ったら大間違いだ。

だから忘れていただいて結構です。


「もういい。」

背中を向けた。

「待てよ、せめて、怒ってるなら謝らせたい。」

歩きだしたのに腕をつかまれた。

「離して、すぐに噂されるから。」

すぐに手は離された。

「だから、もういいから。」

土曜日のタクシー代と宿泊費、これであの事件のことは忘れる。


林の視線を感じたけど、背中でも全力無視を決め込んだ。


ぬるくなったコーヒーを手に席に戻った。
隣から様子をうかがう視線が来る。
うっとうしいぞ。


残業もない。
一人先に声をかけて帰る。
鬱陶しい空気はやめて欲しい。
そう大きな声で言えないし、ハッキリとも言えないので余計にストレスがたまる。


取り戻せたと思った日常も、居心地が悪くてしょうがない。


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