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第二章:二つの顔、二つの世界
最悪の告白
卒業式の予行演習が終わり、教室に戻ると終礼して下校の時間になった。
(もう学生生活が終わるんだ――)
卒業式を終えたら、僕は無職ニートだ。手にマメができるようなバイトはできない……。すぐに鬼頭さんにバレてしまう。
肉体労働ではなくて、事務系の仕事で単発バイトがあるのを探そう。
荷物を鞄に詰め込み、教室を出ようとすると声をかけられた。
「柊、一緒に帰ろう」
振り返ると篤志が立っており、優しい笑みを浮かべて鞄を肩にかけている。いつもと変わらない篤志の姿に胸が締めつけられ、視線を逸らした。
「ごめん、今日は――」
篤志に捕まる前に帰宅しようと思っていたのに。篤志のほうが、僕より上手だった。
言葉を濁し、篤志の横を通り過ぎようとすると腕を掴まれた。強い力で引き止められ、身体が止まる。
「――もう別れたから」
(これ以上、話すことはない)
いや、話したくない。話したら、弱音を吐いて縋りつきたくなるから。
篤志の顔を見ないように視線を逸らすと、僕の腕を掴む力がいっそう強くなる。
(……痛い)
「別れてない」
篤志の声に不機嫌さが滲んでおり、いつもの優しい口調が消えていた。低く抑えた声で、怒りを堪えているような響きがあった。
メッセージ一つで関係を終わりにすることに、納得いかない気持ちは理解している。でも話し合う余裕が僕にはない。
察してほしいと思うのはおこがましいとわかっているけど――何も聞かずにこのまま篤志と距離を置きたい。
(篤志を好きな気持ちは変わってないから)
今の状況が辛い。
篤志が顔を覗き込んできた。
「柊に一方的に言われたけど、俺は認めてないから。ちゃんと話し合おうって言ったよね?」
胸が痛んだ。一方的だったのはわかっているし、できるなら理由は言いたくない。
好きな気持ちは変わらないし、これからも先一緒にいたいと思う気持ちだってある。なのに一緒にいればいるほど、どんどんと自分が薄汚い大人になっていくと感じてしまう。借金のために身体を差し出し、しかも生活費の面倒までもらっている状態で、三日と開かずに抱かれ続ける自分が、闇を知らない綺麗な篤志と交際なんて続けられるはずがない。
「……無理」
やっとの思いで口にすると、声が震えていた。喉が詰まり、それ以上言葉が出てこない。
「嫌だ」
篤志に即答されると、ぐいっと強く腕を引っ張られた。僕は篤志に腕を掴まれたまま、引きずられるように廊下を進んでいく。
「ちょっと、篤志――」
抗議する間もなく空き教室の扉が開けられ、中に押し込まれると背後で扉が閉まる音がした。
「篤志?」
名前を呼ぶと篤志が振り返り、いつもと違う表情を見せた。眉を寄せて唇を噛み、荒い息をしている姿に戸惑いが生まれる。
(篤志にこんな表情をさせてしまうなんて)
篤志が近づいてきた。後ずさろうとするが背中が壁に当たり、逃げ場がない。篤志の手が腰に回されて身体を引き寄せられ、硬い胸板に押し付けられると篤志の顔が近づいてくる。
唇が重なった。激しいキスだった。いつもの優しいキスとは違い、貪るような荒々しい口づけで、舌が強引に侵入してきて口の中を這い回る。息が詰まり苦しくなって、唾液が溢れて飲み込めずに口の端から零れていく。
(こんなの篤志じゃない――)
でもそう行動せざるを得ない状況を僕自身が作り出しているのだと思うと、いよいよ覚悟を決めないといけないのだと痛感した。
僕は篤志の胸を押した。力を込めて押すと篤志の唇が離れ、顔を背けて篤志から視線を逸らす。荒い呼吸で心臓が激しく跳ね、全身に血液が駆け巡っていくのが分かった。
「柊?」
(このままでは、僕は篤志を壊してしまう)
篤志の声が震えており、驚きと戸惑いが混じっていた。顔を上げると篤志が目を見開いて僕を見つめており、動揺の眼差しで理解できないという表情を浮かべている。
「そんなに別れたいなら、納得できる理由を教えてくれ」
篤志が静かに告げ、真剣な声には揺らぎのない確固たる意思が込められていた。
「――わかった」
僕は制服のブレザーを脱いで肩から滑り落とし、床に落とす。篤志が怪訝な顔をして僕を見つめている。
ネクタイを外した。首から引き抜いてブレザーの上に落とし、ワイシャツのボタンに手をかける。一つ、また一つと外していく。
シャツを開いて上半身を晒すと、白い肌に無数の痕が残っていた。赤く紫色に変色した跡で、首筋から鎖骨、胸、腹と至る所にキスマークがついている。鬼頭さんに刻まれた印であり、所有の証だった。
篤志が息を飲んだ。目を見開いて僕の身体を見つめており、信じられないという表情で唇が震えて顔が青ざめていく。
「これは……浮気?」
絞り出すような声で、篤志の声が掠れていた。
「違う」
僕はすぐに否定し、首を横に振ってシャツの前を掴む。
「父が、いなくなった」
言葉を紡ぐのが苦しく、喉が詰まって声が震える。
「多額の借金を残して消えた。一千万円。僕が代わりに身体で返済していくことになった」
篤志が黙って聞いており、顔色が悪くて唇の色が失われている。
「三日と開かずに呼び出される。夜中でも、昼間でも。断れない」
篤志の身体が揺れ、壁に手をついて身体を支えている。
「父親の借金を息子が支払う義務はないはずだ」
篤志が言うことは法律的には正しい。でも――。
「ヤクザみたいな風体の男がいきなり家に乗り込んできて、自分が払う必要ないって追い払えると思う?」
僕は問い返した。
あの状況は味わった人間にしかわからない。言えるものなら、とっく言っているし――抱かれるために足を広げたりしていなかった。
今だって呼び出されても無視できる。それができないから、こういう状況なんだ。
「篤志と一緒に大学生活も送れない。こんな自分、知られたくなかった」
シャツを着直し始め、ボタンを留めていく。
(これで納得してもらえただろうか)
篤志がふらついた。壁に寄りかかって頭を抑え、暗い表情で苦痛に顔を歪めながら額に手を当てている。
「そんな……」
悲痛な声が漏れ、篤志の声が震えていた。信じたくないという響きと受け入れられないという絶望が混じっているように見える。
「僕はこれからもこういう生活を続けるから。篤志とは付き合えない」
僕はできるだけ冷たく聞こえるように低い声で告げた。
本当はまだ好きだし、別れたくないと言いたい。喉元まで出かかっている。
(――言えない)
ネクタイを拾い上げて首に巻き、ブレザーも拾って羽織った。
「じゃ、そういうことだから」
扉を開けて廊下に出ると、足が震えていた。膝が笑ってまっすぐ歩けず、壁に手をつきながら廊下を進んでいく。
階段の前まで来ると、よろめきながら手すりを掴んだ。一段ずつ足を運び、身体を引きずるようにして上がっていく。
途中で、もう動くことができずに蹲った。床に膝をついて顔を伏せ、声を殺して泣いた。嗚咽が漏れそうになって口を手で覆う。胸が痛くて張り裂けそうだった。
(気が狂いそう……)
床に手をついて身体を丸め、肩が震えて呼吸が乱れる。喉の奥から押し殺した声が漏れ、誰も来ない階段の踊り場で僕は一人で泣き続けた。
(もう学生生活が終わるんだ――)
卒業式を終えたら、僕は無職ニートだ。手にマメができるようなバイトはできない……。すぐに鬼頭さんにバレてしまう。
肉体労働ではなくて、事務系の仕事で単発バイトがあるのを探そう。
荷物を鞄に詰め込み、教室を出ようとすると声をかけられた。
「柊、一緒に帰ろう」
振り返ると篤志が立っており、優しい笑みを浮かべて鞄を肩にかけている。いつもと変わらない篤志の姿に胸が締めつけられ、視線を逸らした。
「ごめん、今日は――」
篤志に捕まる前に帰宅しようと思っていたのに。篤志のほうが、僕より上手だった。
言葉を濁し、篤志の横を通り過ぎようとすると腕を掴まれた。強い力で引き止められ、身体が止まる。
「――もう別れたから」
(これ以上、話すことはない)
いや、話したくない。話したら、弱音を吐いて縋りつきたくなるから。
篤志の顔を見ないように視線を逸らすと、僕の腕を掴む力がいっそう強くなる。
(……痛い)
「別れてない」
篤志の声に不機嫌さが滲んでおり、いつもの優しい口調が消えていた。低く抑えた声で、怒りを堪えているような響きがあった。
メッセージ一つで関係を終わりにすることに、納得いかない気持ちは理解している。でも話し合う余裕が僕にはない。
察してほしいと思うのはおこがましいとわかっているけど――何も聞かずにこのまま篤志と距離を置きたい。
(篤志を好きな気持ちは変わってないから)
今の状況が辛い。
篤志が顔を覗き込んできた。
「柊に一方的に言われたけど、俺は認めてないから。ちゃんと話し合おうって言ったよね?」
胸が痛んだ。一方的だったのはわかっているし、できるなら理由は言いたくない。
好きな気持ちは変わらないし、これからも先一緒にいたいと思う気持ちだってある。なのに一緒にいればいるほど、どんどんと自分が薄汚い大人になっていくと感じてしまう。借金のために身体を差し出し、しかも生活費の面倒までもらっている状態で、三日と開かずに抱かれ続ける自分が、闇を知らない綺麗な篤志と交際なんて続けられるはずがない。
「……無理」
やっとの思いで口にすると、声が震えていた。喉が詰まり、それ以上言葉が出てこない。
「嫌だ」
篤志に即答されると、ぐいっと強く腕を引っ張られた。僕は篤志に腕を掴まれたまま、引きずられるように廊下を進んでいく。
「ちょっと、篤志――」
抗議する間もなく空き教室の扉が開けられ、中に押し込まれると背後で扉が閉まる音がした。
「篤志?」
名前を呼ぶと篤志が振り返り、いつもと違う表情を見せた。眉を寄せて唇を噛み、荒い息をしている姿に戸惑いが生まれる。
(篤志にこんな表情をさせてしまうなんて)
篤志が近づいてきた。後ずさろうとするが背中が壁に当たり、逃げ場がない。篤志の手が腰に回されて身体を引き寄せられ、硬い胸板に押し付けられると篤志の顔が近づいてくる。
唇が重なった。激しいキスだった。いつもの優しいキスとは違い、貪るような荒々しい口づけで、舌が強引に侵入してきて口の中を這い回る。息が詰まり苦しくなって、唾液が溢れて飲み込めずに口の端から零れていく。
(こんなの篤志じゃない――)
でもそう行動せざるを得ない状況を僕自身が作り出しているのだと思うと、いよいよ覚悟を決めないといけないのだと痛感した。
僕は篤志の胸を押した。力を込めて押すと篤志の唇が離れ、顔を背けて篤志から視線を逸らす。荒い呼吸で心臓が激しく跳ね、全身に血液が駆け巡っていくのが分かった。
「柊?」
(このままでは、僕は篤志を壊してしまう)
篤志の声が震えており、驚きと戸惑いが混じっていた。顔を上げると篤志が目を見開いて僕を見つめており、動揺の眼差しで理解できないという表情を浮かべている。
「そんなに別れたいなら、納得できる理由を教えてくれ」
篤志が静かに告げ、真剣な声には揺らぎのない確固たる意思が込められていた。
「――わかった」
僕は制服のブレザーを脱いで肩から滑り落とし、床に落とす。篤志が怪訝な顔をして僕を見つめている。
ネクタイを外した。首から引き抜いてブレザーの上に落とし、ワイシャツのボタンに手をかける。一つ、また一つと外していく。
シャツを開いて上半身を晒すと、白い肌に無数の痕が残っていた。赤く紫色に変色した跡で、首筋から鎖骨、胸、腹と至る所にキスマークがついている。鬼頭さんに刻まれた印であり、所有の証だった。
篤志が息を飲んだ。目を見開いて僕の身体を見つめており、信じられないという表情で唇が震えて顔が青ざめていく。
「これは……浮気?」
絞り出すような声で、篤志の声が掠れていた。
「違う」
僕はすぐに否定し、首を横に振ってシャツの前を掴む。
「父が、いなくなった」
言葉を紡ぐのが苦しく、喉が詰まって声が震える。
「多額の借金を残して消えた。一千万円。僕が代わりに身体で返済していくことになった」
篤志が黙って聞いており、顔色が悪くて唇の色が失われている。
「三日と開かずに呼び出される。夜中でも、昼間でも。断れない」
篤志の身体が揺れ、壁に手をついて身体を支えている。
「父親の借金を息子が支払う義務はないはずだ」
篤志が言うことは法律的には正しい。でも――。
「ヤクザみたいな風体の男がいきなり家に乗り込んできて、自分が払う必要ないって追い払えると思う?」
僕は問い返した。
あの状況は味わった人間にしかわからない。言えるものなら、とっく言っているし――抱かれるために足を広げたりしていなかった。
今だって呼び出されても無視できる。それができないから、こういう状況なんだ。
「篤志と一緒に大学生活も送れない。こんな自分、知られたくなかった」
シャツを着直し始め、ボタンを留めていく。
(これで納得してもらえただろうか)
篤志がふらついた。壁に寄りかかって頭を抑え、暗い表情で苦痛に顔を歪めながら額に手を当てている。
「そんな……」
悲痛な声が漏れ、篤志の声が震えていた。信じたくないという響きと受け入れられないという絶望が混じっているように見える。
「僕はこれからもこういう生活を続けるから。篤志とは付き合えない」
僕はできるだけ冷たく聞こえるように低い声で告げた。
本当はまだ好きだし、別れたくないと言いたい。喉元まで出かかっている。
(――言えない)
ネクタイを拾い上げて首に巻き、ブレザーも拾って羽織った。
「じゃ、そういうことだから」
扉を開けて廊下に出ると、足が震えていた。膝が笑ってまっすぐ歩けず、壁に手をつきながら廊下を進んでいく。
階段の前まで来ると、よろめきながら手すりを掴んだ。一段ずつ足を運び、身体を引きずるようにして上がっていく。
途中で、もう動くことができずに蹲った。床に膝をついて顔を伏せ、声を殺して泣いた。嗚咽が漏れそうになって口を手で覆う。胸が痛くて張り裂けそうだった。
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