異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第35話:東京上空ドッグファイト! リオの対空砲火とヒナの広域殲滅魔法

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「うじゃうじゃと……ハエみたいに鬱陶しいねぇ!」

コガネ・タワーの屋上ヘリポート。 強風が吹き荒れる中、私はジャージの裾をはためかせながら空を見上げた。

夜空を埋め尽くすのは、数百匹のガーゴイル。 石像の体を持つ悪魔の手先どもが、キィキィと不快な鳴き声を上げながら、私たちの「城」を取り囲んでいる。

『……愚かな人間どもよ。恐怖に震え、ひれ伏すがいい』

上空で腕を組む道化師、ギルバートが嘲笑う。

「リオ! 準備はいいかい?」

「いつでも!」

リオが屋上のフェンスに足をかけた。 その手には、何も持っていない。武器がない? いや、彼女にとっては「そこにあるもの」全てが武器だ。

「鏡! 武装解除(アンロック)!」

「了解。……屋上設備、パージします」

鏡がタブレットを操作すると、ガコンッ! という音と共に、屋上に設置されていた巨大な空調室外機(数トンある)の固定具が外れた。

「……へっ、いいボールだ!」

リオがニヤリと笑う。

(――支援術式展開。【剛力(ヘラクレス)】・【軽量化(フェザー・ウェイト)】・【投擲誘導(ホーミング)】!)

私の杖から放たれた3つの支援魔法が、リオと室外機を包み込む。

「オラァッ!!」

リオが室外機を片手で軽々と持ち上げ、ピッチャーのように振りかぶった。 そして、上空のガーゴイルの群れに向かって、剛速球を放つ!

ドヒュオオオオオッ!!

音速を超えた室外機が、空気を切り裂いて飛んでいく。 それは空中で「く」の字に曲がり(誘導魔法だ)、密集したガーゴイルの群れに突っ込んだ。

ガシャアアアン!!

「ギャアアアッ!?」

ストライク。 十数匹のガーゴイルがまとめて粉砕され、石礫となってバラバラと落ちていく。

『なっ……!? 人間が、あんな質量のものを投擲だと!?』

ギルバートが驚愕する。

「まだまだァ! 弾はあるぞ!」

リオは次々と、屋上の備品――給水タンク、鉄骨、さらにはベンチなどをひっつかみ、対空砲火のように投げまくった。 私の魔法で強化された投擲物は、ミサイル並みの威力でガーゴイルを撃ち落としていく。

***

一方、階下のスタジオ。

「あー、えーっと! ご覧ください! これが我が社の開発した最新AR(拡張現実)技術です!」

善さんが冷や汗ダラダラでカメラに向かって叫んでいた。 画面の向こうでは、視聴者たちが大興奮している。

『すげえええ! 室外機投げたぞ!』 『CGのクオリティ高すぎワロタ』 『映画かよ! さすがヴェルベット様!』 『スパチャ止まんねぇwww』

ヴェルベットは、窓の外で繰り広げられる激戦を背に、ポーズを決めていた。

「ふふん! 見たか、我が下僕(リオ)の力を! 貴様らなど、室外機の錆にしてくれるわ!」

(……あいつ、順応早すぎだろ)

私はモニター越しにその様子を確認し、呆れつつも感心した。 よし、世論操作は完璧だ。あとはこの害虫どもを駆除するだけだ。

***

「……チッ。数が多すぎる。キリがないね」

屋上では、リオが健闘しているものの、ガーゴイルの数は減らない。 ギルバートが次々と新たな影を召喚しているからだ。

『ククク……無駄だ。我が「影の軍勢」は無限。貴様らの体力が尽きるまで、じっくりと甚振ってやろう』

ギルバートが手を振ると、ガーゴイルたちが急降下を開始した。 狙いは私だ。

「ヒナッ!」 リオが助けに来ようとするが、別の群れに阻まれる。

「……私を狙うとは、いい度胸だね」

私は【世界樹の杖】を構えた。

私は攻撃魔法が使えない。 「火の玉」も「雷撃」も撃てない。 だが、相手は「悪魔」だ。そしてここは私の「陣地」だ。

「鏡! ビルの全館照明、及び外壁LED、出力最大!」

「御意! 電力、魔力炉へ直結! オーバーロード上等!」

鏡がエンターキーを叩く。

瞬間。 コガネ・タワー全体が、カッッッ!! と白く発光した。 夜の東京に、巨大な光の柱が出現したような輝きだ。

「うおっ、眩しっ!?」 リオが目を覆う。

『な、なんだ!? 目くらましか!?』 ギルバートがたじろぐ。

「ただの電気じゃないよ……」

私は杖を掲げ、ビルの光に自らの魔力を乗せた。

(――全域浄化術式。【聖なる光(ホーリー・レイ)・タワーVer.】!!)

私の得意な「浄化(おそうじ)」魔法。 それを、ビル全体の照明装置を増幅器(アンプ)にして、広域に拡散放射したのだ。

普通の人間には「ちょっと眩しい光」でしかない。 だが、闇に属する魔物にとっては――。

『グギャアアアアアアッ!?』 『熱イッ! 焼ケルゥゥゥ!!』

空を埋め尽くしていたガーゴイルたちが、一斉に悲鳴を上げた。 聖なる光を浴びた石の体が、ボロボロと崩れ、塵となって消滅していく。

「一掃だ!」

夜空が真っ白に染まり、黒い影が消え去っていく。 それはまるで、汚れた窓ガラスを一拭きで綺麗にするような爽快感だった。

『ば、馬鹿な……! 魔王軍の精鋭が、ただの光で……!?』

ギルバートが呆然とする。 彼のマントも、端の方が焦げて煙を上げている。

「……見つけた」

私は杖を、上空のギルバートに向けた。

「そこだね、本体」

ギルバートは「幻術」の使い手だ。空に浮いている姿も、実は幻影かもしれない。 だが、この光の中で、一つだけ「影」が伸びている場所があった。

「リオ! 2時の方向、高度50メートル! あの看板の裏だ!」

「了解ッ!」

リオは、私の指示した方向へ振り向く。 手元にはもう投げるものがない。 リオは、自分の履いているヒールを脱ぎ捨てた。

「行ってきな!!」

(――支援。【超・加速】!)

リオが全力で投げたハイヒール(片方5万円)が、赤い流星となって夜空を駆けた。 それはギルバートの幻影をすり抜け、何もない空間に突き刺さる。

ドスッ!!

『グベッ!?』

空中で男の悲鳴が聞こえ、光学迷彩が解けた。 看板の裏に隠れていた本物のギルバートが、額にヒールを突き立てて落下していく。

「ナイスコントロール!」

ギルバートは屋上の床に激突し、ゴロゴロと転がった。

「ぐ、うぅ……貴様ら……人間ではない……」

ギルバートが血を流しながら顔を上げる。 その仮面は割れ、素顔が露わになっていた。

私はゆっくりと彼に歩み寄った。

「人間だよ。……ちょっと金の亡者なだけのね」

私は杖の先を彼の鼻先に突きつけた。

「さあ、どうする? 灰になるか、それとも……」

私はニヤリと笑った。

「『地下労働施設(コガネ・ラボ)』で、一生タダ働きするか」

ギルバートは、私と、後ろで拳を鳴らすリオ、そして不気味な笑みを浮かべて注射器を持つ鏡を見て……。 そして、涙目で言った。

「……働かせて、いただきます」

***

こうして、東京上空決戦は幕を閉じた。

配信の画面では、善さんがドヤ顔で締めくくっていた。

『いかがでしたか! これがコガネ・グループの技術力! ラストの光の演出、感動的でしたね!』

『感動した!』 『浄化された気がする』 『ヴェルベット様万歳!』

スパチャの総額は、一晩で五千万円を超えた。

「……ふぅ。儲かったけど、修理代もかかりそうだね」

私はボロボロになった屋上で、夜風に吹かれた。 ガーゴイルは全滅。幹部は捕獲。 完全勝利だ。

だが。 捕らえたギルバートが、連行される直前に、気になることを呟いた。

「……私だけだと思うなよ。……『時空の亀裂』は、広がっている。……次は、魔王様ご自身が来るかもしれんぞ」

「……は?」

魔王。 異世界のラスボス。 かつて私が命がけで封印しようとした、諸悪の根源。

あいつが、この東京に来る?

「……冗談じゃないよ」

私は頭を抱えた。 私のスローライフ計画は、どうしてこうも邪魔が入るんだい。

その頃。 都内某所の公園。 ベンチで新聞紙を被って寝ていたホームレスの男が、ふと目を覚ました。

「……む。ここはどこだ?」

男が起き上がる。 その体からは、隠しきれない王者の覇気が溢れ出ていたが、お腹の虫がグゥと鳴った。

「……腹が減った。……まずは、この世界の支配の前に、飯だ」

最強の魔王、東京にてホームレス生活スタート!? ヒナとの再会は、最悪の形(炊き出し会場)で訪れることになる。

次回、「魔王、炊き出しに並ぶ。そしてヒナと豚汁を巡る争い」 お楽しみに!
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