異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第55話:地下侵入! ダンジョン・レース開幕! トロッコで暴走チェイス!?

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「……鏡、状況は?」

地下へと急降下する業務用エレベーターの中。 私はスマホのモニターを食い入るように見つめていた。

『……最悪です。敵の本隊は、地下鉄の廃線を利用して、ダンジョンの第3層「結晶洞窟」まで侵入しています。……奴ら、大型の掘削機を持ち込んでいますよ』

「掘削機だって!? 私の鉱山を勝手に掘り返す気かい!」

第3層は、最高純度のオリハルコンが眠る最重要エリアだ。 あそこを荒らされたら、被害額は億単位じゃ済まない。

「……急ぐよ! 総員、準備はいいかい?」

エレベーターの扉が開く。 そこは、かつて紫雲が掘り当てた大穴の入り口。 そして、そこには私が(将来のテーマパーク化を見越して)整備させておいた、トロッコのレールが闇の奥へと伸びている。

「……ヒナよ。まさか、あれに乗るのか?」 ルシファーが、錆びついたトロッコ(定員4名)を見て顔をしかめる。

「文句を言うんじゃないよ。……バッファロー! あんたがエンジンだ!」

「御意! 任セテクダサイ!」

私たちは二台のトロッコに分乗した。 1号車:私、鏡、リオ、そして動力源のバッファロー。 2号車:ルシファー、レオナルド、アリス、ヴェルベット。

「……行くよ! 出発進行(レッゴー)!!」

「フンヌッ!!」

最後尾についたバッファローが、凄まじい馬力でトロッコを押した。 キキーッ!! 車輪が火花を散らし、トロッコはロケットのような加速で急勾配のレールを滑り降りていった。

「ギャアアアアアッ!?」 「速すぎじゃあああ!!」

暗闇の中、猛スピードで風を切る。 ディズニーランドのビッグサンダー・マウンテン? あれの比じゃない。 シートベルトなし、ブレーキなしの死のジェットコースターだ。

***

数分後。 地下数百メートル。第2層「灼熱エリア」。 マグマが流れる赤い空間を、トロッコが疾走する。

「……ヒナさん! 前方! 敵影確認!」 レオナルドが叫ぶ。

遥か前方、平行して走るレールの上に、黒塗りの装甲トロッコ(武装付き)が見えた。 黒竜会の別動隊だ。

『……チッ、追手か! 撃てェ!!』

敵のトロッコから、マシンガンの火線が伸びる。 ダダダダダッ!!

「危ないッ!」 アリスが杖を掲げる。

(――防御術式。【聖なる盾】!)

トロッコの周りに光のドームが展開され、銃弾を弾き返す。 キンキンキンッ!

「……人の敷地で発砲とは、いい度胸だねぇ」

私は仁王立ちになり(足は固定ベルトで固定)、杖を振るった。

「リオ! やっておしまい!」

「あいよ!」

リオがトロッコの縁に足をかけ、並走する敵車両に向かって跳躍した。

「オラァッ!!」

空中で回転し、敵のトロッコの屋根に着地。 そのままサンルーフを蹴破り、車内へ侵入する。

『ぐわぁぁ!? なんだこの女!』 『撃て! 撃てぇ!』

ドカッ! バキッ! 車内で悲鳴と打撃音が響き、数秒後、リオが敵兵を次々と車外へ放り出した。

「……制圧完了!」

リオは無人のトロッコから、こちらのトロッコへ華麗にジャンプして戻ってきた。 敵のトロッコは制御を失い、カーブを曲がりきれずに脱線。マグマの池へとダイブしていった。

ジュワァァァ……。

「……ふぅ。資源ごみが増えたね」

***

さらに奥深く。第3層「結晶洞窟」。 壁一面に青白く輝くクリスタルが群生する、幻想的なエリアだ。 だが、その静寂は爆音によって破られていた。

ガガガガガガッ!!!

巨大なドリルを装備した掘削機が、オリハルコンの壁を無慈悲に削り取っている。 周囲には、黒竜会の武装兵たちが護衛を固めている。

「……見つけたよ、泥棒猫ども」

私たちのトロッコが、ドリルの作業現場へ突っ込んだ。

キキキキーッ!!

「……何者だ!?」 敵の指揮官らしき男が振り返る。

「……ここから先は『私有地』だ。入場料(命)を払ってもらおうか!」

私はトロッコから飛び降りた。 レオナルド、アリス、ルシファーたちも展開する。

「……フン、ガキの集団か。やれ!」

指揮官の合図で、敵兵たちが一斉に銃口を向ける。 だが、その時。

『グルルルル……』

洞窟の奥から、地響きのような唸り声が響いた。 天井からパラパラと岩屑が落ちてくる。

「……ん?」

闇の奥から現れたのは、無数の赤い目。 岩石の体を持つ「ロック・リザード」の群れだ。 ドリルの振動と騒音に怒り、巣穴から出てきたのだ。

「……魔物!? 数が多いぞ!」 敵兵が動揺する。

「……ふふっ。ここはダンジョンだ。魔物が出るのは常識だろう?」

私はニヤリと笑った。

「レオくん! アリス! 魔王軍! ……敵(黒竜会)と魔物、まとめて蹴散らしな!」

「了解! ……乱戦ですね!」 レオナルドが聖剣を抜く。

ここから先は、三つ巴のバトルロイヤルだ。

「撃てぇ! 魔物も人間も近づけるな!」 黒竜会が銃火器を乱射する。

「ギャオオオッ!」 リザードたちが銃弾を鱗で弾き返し、敵兵に襲いかかる。

その混乱の中、レオナルドが閃光のように駆け抜ける。

「ハァッ!!」

聖剣の一撃が、リザードの首を刎ね、返し刀で敵兵の銃を切断する。 魔物には容赦なく、人間には峰打ち(骨折レベル)。器用な戦い方だ。

一方、ルシファーは。

「……騒がしい」

彼は戦場の真ん中を、優雅に歩いていた。 襲いかかるリザードに対し、指一本触れずに睨みつける。

「……平伏せ」

ズシンッ!!

強烈な「覇気」を受け、リザードたちが泡を吹いて気絶する。 それを見た敵兵も、「ヒィッ!?」と腰を抜かして失禁する。

「……雑魚ばかりじゃ。プリンのカロリー消費にもならぬ」

そして、アリス。

「穢れし者たちよ! 悔い改めなさい!」

彼女は【聖光(フラッシュ)】で目くらましを行い、怯んだ敵兵を杖(物理)で殴打して回っていた。 「神の鉄槌ですわ! エイッ! ヤァッ!」 意外と武闘派だ。

「……よし、制圧できそうだね」

私が勝利を確信した、その時。

ドゴォォォォン!!!

掘削機の後方、さらに奥の壁が爆破された。

「……なっ!?」

爆煙の中から現れたのは、黒いロングコートを着た長身の男。 黒竜会のボス、**黒崎(くろさき)**だ。

彼は崩れた壁の向こう――「未踏破エリア」から、何かを引きずり出していた。 それは、鎖に繋がれた一人の……。

「……えっ? パパ!?」

私は目を疑った。 黒崎に首根っこを掴まれているのは、タワーでお留守番していたはずの善さんだった。

「ひぃぃぃ! ヒナちゃん! 助けてぇぇ!」

「な、なんでパパがここに!?」

「……簡単なことだ」

黒崎が冷酷な笑みを浮かべた。

「お前たちがトロッコで遊んでいる間に、俺たちは『転移魔法陣(違法スクロール)』を使って、一足先にタワーの最上階へ侵入し、社長を拉致してここまで連れてきたのさ」

「……卑怯な!」

「交渉といこうか、小金沢ヒナ」

黒崎は善さんのこめかみに、魔導銃を突きつけた。

「この社長の命が惜しければ……タワーの権利書と、このダンジョンの全権を譲渡しろ」

人質。 最も古典的で、最も厄介な手だ。

「……パパ」

私は拳を握りしめた。 金は惜しい。ダンジョンも惜しい。 だが、あのポンコツ親父を殺させるわけにはいかない。

「……分かった。降参だ」

私は杖を捨て、両手を挙げた。

「……賢明な判断だ」

黒崎が勝ち誇った顔をする。 だが、彼は知らなかった。 善さんが、極度の恐怖に陥ると「ある特殊能力」を発動することを。

「……う、ううっ……」

善さんが震え出し、その口から蚊の鳴くような声が漏れる。

「……津軽ゥ~……海峡ォ~……冬景色ィ~……」

「……あ?」 黒崎が眉をひそめる。

「……まずい!」 私は叫んだ。

「総員、耳を塞げ!! パパのリサイタルが始まるよ!!」

善さんの歌声。 それはただの演歌ではない。 ダンジョンの魔力と共鳴し、あらゆる封印を解き放つ「魔の波動」なのだ。
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