異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第61話:隕石落下!? コガネ・タワーを宇宙へ飛ばせ!?

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「……終わった。私の人生が」

火曜日の夜。 コガネ・タワーのリビングは、お通夜のような静けさに包まれていた。 テレビのニュースキャスターが、震える声で原稿を読んでいる。

『……NASAの緊急発表です。直径5キロメートルの巨大隕石が、地球への衝突コースに乗りました。……衝突予想地点は、日本の東京都港区……ピンポイントで「コガネ・タワー」です!』

「……なんでウチなんだい!!」

私はクッションをテレビに投げつけた。 原因は分かっている。地下ダンジョンから持ち帰った『ドラゴン・ハート』だ。 あれが宇宙の彼方から「親(星喰い)」を呼び寄せるビーコンになっていたのだ。

「……あと24時間で衝突だそうです」 鏡が淡々とタブレットを操作する。 「避難しますか? オーナー。今ならスイスの地下シェルターが空いていますが」

「逃げたらどうなる?」

「タワーは消滅。地下ダンジョンも崩壊。……そして、貴女の資産(不動産価値)はゼロになります」

「……ふざけるんじゃないよ」

私は立ち上がった。 このタワーは、私が異世界転生のチート知識と、現世での血の滲むような金策で手に入れた城だ。 それを、ぽっと出の宇宙怪獣に壊されてたまるか。

「……紫雲! いるかい!」

「ヒッ! は、はい! ここに!」

白衣のマッドサイエンティスト・紫雲が、ソファの裏から這い出してきた。

「あんた、前に言ってたね。『タワーの改修工事は完璧です』って」

「は、はい。耐震構造、魔力循環システム、そして……『緊急脱出機能』も実装済みです」

「……その機能、タワーごと動かせるのかい?」

「えっ? ま、まあ、理論上は……巨大な魔導スラスターを内蔵していますから……」

「よし」

私はニヤリと笑った。

「なら、話は早い。……タワーごと宇宙へ飛ぶよ」

「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」

全員が絶叫した。

「ヒナよ、正気か!? 建物ごと宇宙へ行くなど!」 ルシファーが目を見開く。

「だって、ここで待ってたら潰されるだけだろう? なら、こっちから出向いて、大気圏外で迎撃するんだよ!」

私は拳を握りしめた。

「私の城(資産)を守るためなら、地球の重力なんて振り切ってやるさ!」

***

【作戦名:オペレーション・バベル】

作戦はこうだ。 コガネ・タワーを巨大な「魔導ロケット」として運用し、成層圏まで上昇。 そこで待ち構え、隕石(星喰いの卵)を撃墜する。

問題は二つ。 1.莫大な推進エネルギー。 2.世界各国の防空システムからの攻撃(巨大建造物が飛べばミサイルが飛んでくる)。

「……エネルギーならある」

私は地下室の「巨大ハムスターホイール(発電機)」を指差した。

「バッファロー! あんたがメインエンジンだ!」

「御意! 宇宙、行ッテミタイデス!」 バッファローがやる気満々でホイールに入る。 さらに、地下ダンジョンから汲み上げた魔力を直結させれば、出力は足りるはずだ。

「問題は2だね。……鏡」

「お任せください」

鏡が眼鏡を光らせ、キーボードを叩く。

「……ペンタゴン、クレムリン、防衛省……。全世界の軍事ネットワークにハッキング完了。『これは映画の撮影です』というフェイク情報を流しました。……ミサイルは飛びません」

「仕事が早いねぇ。さすが元掃除屋」

準備は整った。 だが、タワーの外にはまだ「彼ら」がいた。

***

タワーのエントランス。 駐留していた米軍特殊部隊(デルタフォース)と、魔術結社グリモワールの一団が、慌ただしく撤収準備をしていた。

「……Hey, Little Girl. ニュースを見たぞ。ここに隕石が落ちるそうだな」

デューク大佐が、私の顔を見るなり言った。

「……逃げないのかい?」

「逃げる? 米軍は敵に背を向けんよ。……それに、まだ『カレーのレシピ』を聞き出していない」

大佐がニヤリと笑う。

「……ワシらもじゃ」 賢者クロウリーが進み出る。 「このタワーには、魔法の真理(と美味い飯)がある。……ここを捨てては、魔術師の名折れじゃ」

彼らは知っていたのだ。私たちが何かとんでもないことをしようとしているのを。

「……いいかい。これからこのタワーは『飛ぶ』。……あんたたちは地上に残って、発射台(土台)を守りな。発射の衝撃で周りのビルが崩れないように、結界とバリケードを頼むよ」

「……Understood.(了解した) 地上の守りは任せろ」 「うむ。ロケットの発射など、老骨には堪えるからのう。見送ってやろう」

かつての敵が、今は頼もしい地上スタッフだ。

***

【発射10分前】

タワー内部。 住人全員がシートベルト(ガムテープで体に固定)を装着していた。

「……怖いですわ! 高所恐怖症なんです!」 アリスが涙目でレオナルドにしがみつく。

「大丈夫だアリス。僕が支える……うっ、僕も乗り物酔いが……」 レオナルドの顔色が青い。

「……ヒナ。我は魔王ぞ? なぜガムテープでグルグル巻きにされねばならん」 ルシファーが不満げだ。

「G(重力)に耐えるためだよ! 舌噛まないようにしな!」

私はコックピット(リビングのちゃぶ台)に座り、マイクを握った。

「……総員、準備はいいかい?」

『エンジンルーム、準備完了デス! プロテイン注入済ミ!』 地下のバッファローからの通信。

『管制室(鏡)、オールグリーン。いつでもいけます』

「よし。……行くよ!」

私はちゃぶ台の上の「赤いボタン(自爆スイッチを改造したもの)」に手をかけた。

「コガネ・タワー、発進(リフトオフ)!!」

私はボタンを叩いた。

ドッゴォォォォォォォォン!!!!

凄まじい轟音と共に、タワーの地下から爆炎(魔力噴射)が吹き出した。 港区の地面が揺れる。

「……Go! Go! Go!」 地上では、デューク大佐たちが歓声を上げている。 「……飛びおったわい」 クロウリーたちが杖を振って見送る。

バリバリバリバリッ!!

タワーを固定していたアンカーが弾け飛び、30階建ての高層ビルが、ゆっくりと、しかし確実に空へ浮かび上がった。

「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」 善さんの悲鳴がGで押しつぶされる。

「出力全開! 行けぇぇぇぇッ!!」

ズドオオオオオオン!!!

コガネ・タワーは音速を超え、東京の空を切り裂いて上昇した。 窓の外の景色が、ビル群から雲海へ、そして群青色の空へと変わっていく。

「……見ろ、ヒナ! 地球が丸いぞ!」 ルシファーが窓に張り付く。

「観光してる場合じゃないよ! ……間もなく大気圏離脱だ!」

空の色が青から黒へ。 無重力が私たちを包み込む。

タワーはついに、宇宙(そら)へ到達した。

だが。 感動している暇はなかった。

『……警告! レーダーに感あり! ……敵性体、接近!』

鏡の声が響く。

目の前の漆黒の宇宙空間に、禍々しい紫色の歪みが出現した。 そこから現れたのは、隕石――ではない。 無数の触手を生やした、巨大な「卵」のような有機要塞。

宇宙怪獣『星喰い』の卵だ。

『キシャァァァァァ……!』

真空のはずの宇宙空間に、不気味な精神波が響き渡る。 そして、卵の表面から、無数の小型エイリアンが射出され、タワーに取り付こうと迫ってきた。

「……っ! 歓迎してくれてるねぇ!」

私はシートベルト(ガムテープ)を引きちぎって立ち上がった。 タワーは今、巨大な宇宙船だ。 そして私たちは、そのクルーだ。

「総員、戦闘配置! ……これより『船外活動(EVA)』を行う!」

「えっ? 宇宙服なんてありませんよ!?」 レオナルドが叫ぶ。

「あるよ! 紫雲!」

「はい! ……開発コード『コガネ・スペース・スーツ(改)』! ……要するに、全身をビニールと結界で覆っただけの代物ですが!」

「十分だ! ……レオくん! ルシファー! 外に出て迎撃しな!」

「「はぁぁぁぁ!?」」

魔王と勇者による、史上初の宇宙遊泳戦闘が始まる。 タワーのローン完済(星を守る)ため、いざ、銀河の果てへ!
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