44 / 152
第4章 繰り返しへようこそ(新1日目)
4ー3 新1日目会議(上)
しおりを挟む
「議論は論理的に行いたい」
自己紹介が終わってすぐラクシュミが口火を切った。
「個人的には24番のロハン、女性の敵を排除してしまいたいけれど、男の人たちが同意しない。おそらく同数投票に持ち込まれてしまう。そんな悠長なことをやっている暇ないから」
ロハンの始末は後日というラクシュミの強い口調と、もうしないよぉ! とのロハンの弱い謝罪が対称的だ。その言い方が余計自分たち女の怒りをかき立てているのも奴にはわからないのだろう。
「私たちについて言えば、三日目まで『ゲーム』をやらされた時点で『人狼』は最低ひとり残っていた」
ゲームが終わっていない以上『狼』はいる。
「今回『人狼』が五人になったからー」
「へ?」
「えっ?」
妙な声を出したのはレイチェルとロハンと、後は誰だ?
「ラクシュミさんっ! 『配役表』が変わっているのをわかっていない人たちがいるみたいです。ざっと説明してもいいですか」
自分たちの命に関わる「ルール」を確認していないなんて何を考えているのか、と文句を垂れつつ彼女はアビマニュにバトンを渡した。
「今までいた人たち、注意してくれ。ひとつ、『人狼』が五人になった。ふたつ目、『武士』はふたりになった。三点目。三日目の夜に起こる『変成』は役なしの『村人』から『人狼』のみで、『武士』への『変成』はなくなった」
アビマニュがタブレットに目を落とす。
・「人狼」 3 → 5
・「武士」 1 → 2
・「変成」(3日目夜終了時) 役なし「村人」1 → 「人狼」1
「それって、もの凄く『村人』が不利になったってことだよね」
アンビカが救いを求めるように目を泳がせる。
「『ゲーム』としてはこれで普通」
日本でのネット対戦を思い出す。
「スタート時点の二十七名を基準にするなら今までが『狼』に不利過ぎだった。私は十九名でのプレイをよく見たけど『狼』は四人、十二人ゲームなら二人だったよ。もっとも『連中』はすぐ人数が減ることを見込んでいるみたいだし、命のかかったゲームなんだから、アンビカの言う通り洒落にならないけれど」
不安顔のアンビカに意味があるのかわからないが頷く。
「アビマニュはどうだった?」
「僕は大人数で遊んだことはないので。友達が集まればって感じで、十二人なら二・三人、八人なら『狼』はひとりだった。あ、今僕たちが話しているのはー」
彼とクリスティーナが「人狼ゲーム」経験者であることを新入り組に説明する。今回の「連中」のアナウンスでは「人狼ゲーム」を知っている人は? との問いはなかった。微調整にはぬかりがないようだ。
「新しい人たちの中で『人狼』は三人か四人」
ラクシュミが話を再開する。と新入り組が互いを見回し始めた。あなたが狼なの? と探す目だ。
「違う!」
すぐさま打ち消す。
「十一人の中で『人狼』役が三人または四人割り当てられたってこと。亡くなった人たちの中に『狼』が全部入っていたなら助かるんだけどね」
「……人が死んで良かったみたいなこと言うのどうかと思いますけど」
ディヴィアが上目使いで睨む。
「明日になればわかる。静かな薬殺とは違う死体を見ればね」
シャッター前に並べられた真新しい遺体に目を眇める。
「僕は皆さんが理解しない方を希望するな。『武士』が生き残っていて上手く守りが当たって、ここにいる全員が明日の朝も顔を揃えられる方がいい」
「意味のないこと言わないで。今は投票への会議中」
ラクシュミがアビマニュを斬る。
人々は余計不安気な顔になる。明日の朝、また私は皆の顔を見られるのだろうか。
「これからの投票に大切なことは一点。新しい六人の中には『狼』がいるかどうかわからない。私たち十六人の中には最低ひとりの『狼』がいる。ならば、今日の投票はこちらの十六人から選ぶべきでしょう?」
幾分緊張した表情で告げる。
自分たちに刃を向けるのだ、それはそうだろう。
(私にはそこまでの度胸はない)
単純に驚嘆に値する。だがー
(またノンベジラン?)
その通りラクシュミは『人狼』ノンベジ論を繰り返した。「占星術師」のクリスティーナと占いで白が出たアビマニュを除く八人から選べと言う。
「僕はその考えが論理的だとは思いません、って前から言ってます」
初日はシド本人が襲撃対象を自らに指定したことなどアビマニュは主張し返す。
これも今までの繰り返しだ。
空しい行為を積み重ねている気分になる。この「リアル人狼ゲーム」は本当に終わるのか。
(いや、必ず終わる)
いくら金持ちだって無駄には金を振り撒かない。
(私はそんなに恐くて仕方ないのか)
落ち着けと自分に言い聞かせる。
「ノンベジタリアンの中でも、私はやはりアンビカとラジェーシュがかばい合ったのが気になっている。あなたたちふたりが『狼』ではとの疑いは捨てていない」
何人かー例えばイムラーンなどーはまたかとの顔をしているが、新入り六人は真剣にラクシュミの話を聞く。
「アンビカさんの飯が旨いのは事実なんだから仕方がねえだろ! こんな状況の中で、せめてまともな飯は手放したくねえと思って何が悪いんだよ。あんたはこっちの飯を食べてないからわからないだけだ。なあ」
ラジェーシュは隣のサラージに振る。
「お前も『こんな旨い飯今まで食べたことない』って言ってたよな」
そうだと頷く。きれいに揃えられた口ひげが印象的な男だ。
ラジェーシューアンビカラインに疑いを持ったことはクリスティーナもある。だが根拠はない。それに、
「かばい合ってはいないと思う。アンビカの方が投票や議論でラジェーシュの味方をした覚えは私はないけど」
「投票は?」
「二日目、ラジェーシュは一回目も決選投票もラクシュミに入れた。アンビカは初回は私と同じ同数投票組で、二回目はプージャ分と分けて一票ずつ。特におかしなことはないと思う」
アビマニュに返す。
「凄い、本当に覚えているんですね」
プラサットの感嘆を、
「書いているからね」
とさっと流す。
「二回目、私の票として入れたのはアイシャの方です」
アンビカ本人が答えた。
「証明出来ないのはわかっているから、私は『人狼』じゃない、としか言えない」
言う彼女にラクシュミはざっと目を走らせるだけだ。
(そうだ)
「ついでにその日の投票で一点確認したいことがある。スンダル?」
「はいっ?」
びくりと前を向く。
「最初の投票と二度目の投票で人を変えた理由を聞きたい。あなたは最初はラクシュミに、決戦投票ではアイシャに入れた」
決選投票の対象となったふたりに投票した中で、投票先を変えたのは覚えている限りスンダルのみだ。
「参りましたね」
髪を掻き上げて天井を仰ぐ。注意して見るが表情はいつも通り飄々としたものだ。
「……本当に大した理由はないんですよ。どちらが『狼』かそうでないか全く確証がなかった。やたらと人に『あなたは狼か』と聞いて回るところが『人狼』っぽいな、ってラクシュミさんに入れたんですが、前日のミスもあるしアイシャの方があやしいかもな、ってこれまた根拠もなく変えただけです」
「わかった。そういう風に考えた、というのは納得した」
脅かさないでくださいとスンダルは頬に笑みを貼り付けて返した。
「今のどういうことですか?」
眉を顰めて口を開いたのはディヴィア。
「確認したんだ。誰が誰に投票したかというのは『人狼』を見つける役に立つから」
日本での観戦経験からと何とか説明する。アビマニュが、
「『人狼』は殺される可能性がある場合、具体的には突出して票を集めそうな時、他の候補とあまり票差がつかないおそれのある時は味方の『人狼』に絶対投票しない。一方余裕がある時はわざと味方に投票したり、『狼』同士で投票先を変えて組んでいることがわからないようにする。だからたどっていくと村人として矛盾する投票をしていることも多いんだ」
僕がやってきたカードゲームではねと付け加える。
「よくわからない。そちらは今まで二回投票をしたんですよね。十六人の中に『人狼』らしい人はいたんですか」
「わかっていない」
ジョージは投げやり気味に答え、
「多少の目安はある。『人狼』はノンベジ」
ラクシュミは相変わらずだ。
「そんな程度で投票出来るの? 軽すぎる。これって」
ディヴィアが見回す。
「誰かを殺せ、ってことでしょう?」
一瞬の沈黙。
「軽くも何もわからないんですよ。誰が『人狼』だか。だけど選ばなきゃいけないっていうなら、感覚でも気分でも非合理的に選ぶしかないでしょう」
スンダルの返しにラクシュミが眉を寄せる。
「それとも、えーとー」
「ディヴィアです」
「ディヴィアさん、今ここで『狼』が誰かわかります?」
ふっと首を伸ばして見回してから左右に振る。
(そう、それが当たり前の感覚)
自分たちはたった三日で人を殺すこと、殺されることに慣れてしまったー
私たちは「元」に戻れるのだろうか。様々な意味で。
「ぼくも気分で人に死ねなんて言えない」
ゴパルが非難の目で自分たち古株組を見る。
「投票で決まった人を『処刑』と称して殺してきた人がいると聞いていますが、誰ですか」
「ジョージ」
ラクシュミが迷わず答えた。
「でしたらぼくはジョージさんに一票を入れます」
(!)
ちょうどノンベジタリアンのようですし、とゴパルはコピー用紙に書いたメモを見る。
「人殺しを殺すことには罪悪感を感じません」
「ジョージだけじゃない」
クリスティーナは切り込んだ。
「『狼』がいるって言うんでしょう?」
わかっていますと若干のいらだちを滲ませてゴパルは左隣からこちらを見返す。
「それもそうだけど、初日にザハールを瀕死に追い込んだのはラジェーシュとプラサットだった」
あとひとりのサミルは死んだ。
ザハールの名にひくりと反応した右隣のエクジョットに、彼を殺した人について、と布巾に書いて見せる。
「彼らも入れなければ公平じゃない」
プラサットの視線が自分に刺さるのは無視する。
可能性は全て拾うべき。そうでなくては正しい判断は出来ない。
「三人のうちプラサットはベジだから、投票はジョージかラジェーシュにということね」
ラクシュミが言った。
「人狼」ノンベジ論はいただけないが高校生を投票候補から外せることには正直ほっとした。
自己紹介が終わってすぐラクシュミが口火を切った。
「個人的には24番のロハン、女性の敵を排除してしまいたいけれど、男の人たちが同意しない。おそらく同数投票に持ち込まれてしまう。そんな悠長なことをやっている暇ないから」
ロハンの始末は後日というラクシュミの強い口調と、もうしないよぉ! とのロハンの弱い謝罪が対称的だ。その言い方が余計自分たち女の怒りをかき立てているのも奴にはわからないのだろう。
「私たちについて言えば、三日目まで『ゲーム』をやらされた時点で『人狼』は最低ひとり残っていた」
ゲームが終わっていない以上『狼』はいる。
「今回『人狼』が五人になったからー」
「へ?」
「えっ?」
妙な声を出したのはレイチェルとロハンと、後は誰だ?
「ラクシュミさんっ! 『配役表』が変わっているのをわかっていない人たちがいるみたいです。ざっと説明してもいいですか」
自分たちの命に関わる「ルール」を確認していないなんて何を考えているのか、と文句を垂れつつ彼女はアビマニュにバトンを渡した。
「今までいた人たち、注意してくれ。ひとつ、『人狼』が五人になった。ふたつ目、『武士』はふたりになった。三点目。三日目の夜に起こる『変成』は役なしの『村人』から『人狼』のみで、『武士』への『変成』はなくなった」
アビマニュがタブレットに目を落とす。
・「人狼」 3 → 5
・「武士」 1 → 2
・「変成」(3日目夜終了時) 役なし「村人」1 → 「人狼」1
「それって、もの凄く『村人』が不利になったってことだよね」
アンビカが救いを求めるように目を泳がせる。
「『ゲーム』としてはこれで普通」
日本でのネット対戦を思い出す。
「スタート時点の二十七名を基準にするなら今までが『狼』に不利過ぎだった。私は十九名でのプレイをよく見たけど『狼』は四人、十二人ゲームなら二人だったよ。もっとも『連中』はすぐ人数が減ることを見込んでいるみたいだし、命のかかったゲームなんだから、アンビカの言う通り洒落にならないけれど」
不安顔のアンビカに意味があるのかわからないが頷く。
「アビマニュはどうだった?」
「僕は大人数で遊んだことはないので。友達が集まればって感じで、十二人なら二・三人、八人なら『狼』はひとりだった。あ、今僕たちが話しているのはー」
彼とクリスティーナが「人狼ゲーム」経験者であることを新入り組に説明する。今回の「連中」のアナウンスでは「人狼ゲーム」を知っている人は? との問いはなかった。微調整にはぬかりがないようだ。
「新しい人たちの中で『人狼』は三人か四人」
ラクシュミが話を再開する。と新入り組が互いを見回し始めた。あなたが狼なの? と探す目だ。
「違う!」
すぐさま打ち消す。
「十一人の中で『人狼』役が三人または四人割り当てられたってこと。亡くなった人たちの中に『狼』が全部入っていたなら助かるんだけどね」
「……人が死んで良かったみたいなこと言うのどうかと思いますけど」
ディヴィアが上目使いで睨む。
「明日になればわかる。静かな薬殺とは違う死体を見ればね」
シャッター前に並べられた真新しい遺体に目を眇める。
「僕は皆さんが理解しない方を希望するな。『武士』が生き残っていて上手く守りが当たって、ここにいる全員が明日の朝も顔を揃えられる方がいい」
「意味のないこと言わないで。今は投票への会議中」
ラクシュミがアビマニュを斬る。
人々は余計不安気な顔になる。明日の朝、また私は皆の顔を見られるのだろうか。
「これからの投票に大切なことは一点。新しい六人の中には『狼』がいるかどうかわからない。私たち十六人の中には最低ひとりの『狼』がいる。ならば、今日の投票はこちらの十六人から選ぶべきでしょう?」
幾分緊張した表情で告げる。
自分たちに刃を向けるのだ、それはそうだろう。
(私にはそこまでの度胸はない)
単純に驚嘆に値する。だがー
(またノンベジラン?)
その通りラクシュミは『人狼』ノンベジ論を繰り返した。「占星術師」のクリスティーナと占いで白が出たアビマニュを除く八人から選べと言う。
「僕はその考えが論理的だとは思いません、って前から言ってます」
初日はシド本人が襲撃対象を自らに指定したことなどアビマニュは主張し返す。
これも今までの繰り返しだ。
空しい行為を積み重ねている気分になる。この「リアル人狼ゲーム」は本当に終わるのか。
(いや、必ず終わる)
いくら金持ちだって無駄には金を振り撒かない。
(私はそんなに恐くて仕方ないのか)
落ち着けと自分に言い聞かせる。
「ノンベジタリアンの中でも、私はやはりアンビカとラジェーシュがかばい合ったのが気になっている。あなたたちふたりが『狼』ではとの疑いは捨てていない」
何人かー例えばイムラーンなどーはまたかとの顔をしているが、新入り六人は真剣にラクシュミの話を聞く。
「アンビカさんの飯が旨いのは事実なんだから仕方がねえだろ! こんな状況の中で、せめてまともな飯は手放したくねえと思って何が悪いんだよ。あんたはこっちの飯を食べてないからわからないだけだ。なあ」
ラジェーシュは隣のサラージに振る。
「お前も『こんな旨い飯今まで食べたことない』って言ってたよな」
そうだと頷く。きれいに揃えられた口ひげが印象的な男だ。
ラジェーシューアンビカラインに疑いを持ったことはクリスティーナもある。だが根拠はない。それに、
「かばい合ってはいないと思う。アンビカの方が投票や議論でラジェーシュの味方をした覚えは私はないけど」
「投票は?」
「二日目、ラジェーシュは一回目も決選投票もラクシュミに入れた。アンビカは初回は私と同じ同数投票組で、二回目はプージャ分と分けて一票ずつ。特におかしなことはないと思う」
アビマニュに返す。
「凄い、本当に覚えているんですね」
プラサットの感嘆を、
「書いているからね」
とさっと流す。
「二回目、私の票として入れたのはアイシャの方です」
アンビカ本人が答えた。
「証明出来ないのはわかっているから、私は『人狼』じゃない、としか言えない」
言う彼女にラクシュミはざっと目を走らせるだけだ。
(そうだ)
「ついでにその日の投票で一点確認したいことがある。スンダル?」
「はいっ?」
びくりと前を向く。
「最初の投票と二度目の投票で人を変えた理由を聞きたい。あなたは最初はラクシュミに、決戦投票ではアイシャに入れた」
決選投票の対象となったふたりに投票した中で、投票先を変えたのは覚えている限りスンダルのみだ。
「参りましたね」
髪を掻き上げて天井を仰ぐ。注意して見るが表情はいつも通り飄々としたものだ。
「……本当に大した理由はないんですよ。どちらが『狼』かそうでないか全く確証がなかった。やたらと人に『あなたは狼か』と聞いて回るところが『人狼』っぽいな、ってラクシュミさんに入れたんですが、前日のミスもあるしアイシャの方があやしいかもな、ってこれまた根拠もなく変えただけです」
「わかった。そういう風に考えた、というのは納得した」
脅かさないでくださいとスンダルは頬に笑みを貼り付けて返した。
「今のどういうことですか?」
眉を顰めて口を開いたのはディヴィア。
「確認したんだ。誰が誰に投票したかというのは『人狼』を見つける役に立つから」
日本での観戦経験からと何とか説明する。アビマニュが、
「『人狼』は殺される可能性がある場合、具体的には突出して票を集めそうな時、他の候補とあまり票差がつかないおそれのある時は味方の『人狼』に絶対投票しない。一方余裕がある時はわざと味方に投票したり、『狼』同士で投票先を変えて組んでいることがわからないようにする。だからたどっていくと村人として矛盾する投票をしていることも多いんだ」
僕がやってきたカードゲームではねと付け加える。
「よくわからない。そちらは今まで二回投票をしたんですよね。十六人の中に『人狼』らしい人はいたんですか」
「わかっていない」
ジョージは投げやり気味に答え、
「多少の目安はある。『人狼』はノンベジ」
ラクシュミは相変わらずだ。
「そんな程度で投票出来るの? 軽すぎる。これって」
ディヴィアが見回す。
「誰かを殺せ、ってことでしょう?」
一瞬の沈黙。
「軽くも何もわからないんですよ。誰が『人狼』だか。だけど選ばなきゃいけないっていうなら、感覚でも気分でも非合理的に選ぶしかないでしょう」
スンダルの返しにラクシュミが眉を寄せる。
「それとも、えーとー」
「ディヴィアです」
「ディヴィアさん、今ここで『狼』が誰かわかります?」
ふっと首を伸ばして見回してから左右に振る。
(そう、それが当たり前の感覚)
自分たちはたった三日で人を殺すこと、殺されることに慣れてしまったー
私たちは「元」に戻れるのだろうか。様々な意味で。
「ぼくも気分で人に死ねなんて言えない」
ゴパルが非難の目で自分たち古株組を見る。
「投票で決まった人を『処刑』と称して殺してきた人がいると聞いていますが、誰ですか」
「ジョージ」
ラクシュミが迷わず答えた。
「でしたらぼくはジョージさんに一票を入れます」
(!)
ちょうどノンベジタリアンのようですし、とゴパルはコピー用紙に書いたメモを見る。
「人殺しを殺すことには罪悪感を感じません」
「ジョージだけじゃない」
クリスティーナは切り込んだ。
「『狼』がいるって言うんでしょう?」
わかっていますと若干のいらだちを滲ませてゴパルは左隣からこちらを見返す。
「それもそうだけど、初日にザハールを瀕死に追い込んだのはラジェーシュとプラサットだった」
あとひとりのサミルは死んだ。
ザハールの名にひくりと反応した右隣のエクジョットに、彼を殺した人について、と布巾に書いて見せる。
「彼らも入れなければ公平じゃない」
プラサットの視線が自分に刺さるのは無視する。
可能性は全て拾うべき。そうでなくては正しい判断は出来ない。
「三人のうちプラサットはベジだから、投票はジョージかラジェーシュにということね」
ラクシュミが言った。
「人狼」ノンベジ論はいただけないが高校生を投票候補から外せることには正直ほっとした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる