転生したら宗教テロリストだった。だけどオレ、推しのために闘うわ!

大友有無那

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2 時空を超えてららたむを守る

2ー7 言い訳を用意した

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 ららたむ、ごめん。
「ズワーには少し離れた村か町の人がいいと思う」
 女の人には親切にするべきだ。今世では余計そう思う。
「おれとじゃ実家から離れられない」
 「中学生と結婚」への生理的な拒否感にはそれでも勝てなかった。

「お前はうちで暮らす訳じゃねえだろ」
 跡継ぎでもないアブドゥラはどちらにしろ別の場所に世帯を持つとバシルがゆっくり指摘する。厳格な長兄までこの話にノリ気だとは意外だ。
 それでも何でも言ったからには押し切らなければ!

「何かと思い出しちゃうだろ? それに」
 用意した理由二つ目。
「おれは普段家にいてやれないから」
 一転バシルの視線が険しくなる。
 駐屯地暮らし、兵士の生活を否定したと受け取ったのだろう。
「違うって! ズワーだからっ!」
 急いで言葉を継ぐ。
「おれたちとは違うから! おれはかあさんにもとうさんにも、兄さんたちにも大事にされて、家がどんな所かってのは知ってる」
 前世まえの両親や兄弟にも守られた。
「だからこんなおれでもやってこられた。だけどあの子は違う!」
 いつもうつむいていて水汲みの時までしばらく顔も見ていなかった。
「あったかい家庭の雰囲気を知らない女の子が、結婚してもずっとひとりの時間が多かったら家の凄さっていうか、良さがわからないだろ?」
 兄たちを見回す。
「そんなのは可哀想だ!」

「お前、意外ともの考えてるんだな」
 イサーンは感心したように小さく頷いた。
「ん? まあちょっと考えることもあるかな? と」
 照れ隠しで視線が泳ぐ。

「本当にいいんだな」
 確認したバシルに、いい人がいたらぜひズワーへと頼んで話は終わりとなった。
「世帯を持てば落ち着くと思ったんだがな」
「もういいでしょう兄さん? そっちは若い男いっぱいいるんですから見繕ってくださいよ」
「……いたらな」
 シーシャを手にぼやくバシルから自分をかばうようにイサーンがとりなす。
 あの子を愛するあまり自分では条件が悪いと泣く泣く身を引いたと誤解されているのか必要以上にバシルはしかめっ面、イサーンは悲しげで時折唇を噛む。
 騙しているようで申し訳ない。

(ズワーのお婿さんはまずうちの村の人間じゃなくて、家で仕事しているか勤め人でー)
 前世の常識で、若すぎる結婚は教育を奪いその後の人生に悪影響を与えると知ってはいたけれど、あの家にいる限りズワーが学ぶ機会などない。この世界ならいい男と縁付いた方がマシだ。
(それから、早く死ななそうな人がいい)
 準備しておいた三つ目のアブドゥラがズワーと結婚しない理由。
 前線近くの住人ではなくアブドゥラのような組織の兵士でもない男。
(夫が早く死んじゃったら可哀想だろ)
 一度幸せを知った後で希望が消えたら、望みを知らないよりもっと酷い。
 今の状況ではアブドゥラもいつまで生き延びられるかわからないからー
(あれ⁈)
 逆にもし長生きしたらどうなる?
 不意に気付いた。

 21世紀になればそう遠くなく俺ー三内暉が生まれるはずだ。
おれアブドゥラ、それまでに死んじまうのかな)
 ららたむ!
 ズワーを傍観者として見捨てて、無謀なテロリストとして村の人たちも守れず、生まれ変わってすらららたむにも何もできないのか⁈

 何のために、時を継いで生きている?
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