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『凶なこと』
理由 Ⅱ
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「俺の、体重と一緒だ。」
今朝学校を出る前に測ったから間違いない。
だがこればっかりは流石に理不尽だ。
「いや、だからってなんで俺なんだよ!! 体重だろ!!? この世界に体重が" 61.95kg "のやつが俺だけな訳ないだろ!」
「まぁねー、体重だけでみたらそりゃそうなんだけどさ、その数字にもう1個ない? 心当たり。」
エイレネはおちょくったような表情で俺を見る。
「…心当たり? ……あっ!」
俺は思い出す。漢文のテストの点数である。
テストで変な点をとったのだ。
記述式の設問に対する途中点である。
白文を書き下し文にする問題で、読む順番を間違えてしまい、途中点をもらうこととなった。
採点側の遊び心なのだろうか、配点が1点だったにもかかわらず、本当に些細なミス、ということで0.05点の減点をされた。
……ちなみにそこで間違えていたのが、" 天地人点 "の問題だったのだ。
「そういうわけで!! 今日、本日、現時点で! 世界中で" 61.95 "という数字に1番縁があったのが、秦裕一、君だけってわけ!! わかったー??」
「まぁ、たまたま偶然が重なって、選ばれたって感じかな!」
「ひょんなことから! いや、凶なことから、ね。」
凶なこと、か。
本当にに不運だとしか言えない、やはり突発的に生じることは、よくないことが多いのだろうか。
意味のわからない理屈を聞きながらも、なんとなく気分が落ち着いてきた。
色々説明されたが、一つだけわかったことがある、これから何が起こるかわからないが、とにかく覚悟を決めるしかないようだ。
「じゃー、理由がわかったところで! 君には試練に挑戦してもらいます!」
「し、試練?」
「そう、試練! というかゲームかな! こんな不憫な状況になってしまった君に、生き残りのための最後のチャンスをあげますってはなし!!」
「一応理由は説明したけどさ、……まぁ、不憫じゃん? だからそんな君に起死回生のチャンスをあげます!」
一応ありがたい話である。
「あ、そうそう! 君も気になってるとは思うけど、私の後ろにいる秦君そっくりの子はね、神が作った人形なの!」
「ぱっと見人間だしー、生活する上での挙動も秦君と同じ行動を取る人形!」
「これから秦君はエネルギーの補填要員として質量を21gずつ分割されてー、神隠しが生じた瞬間の過去へタイムスリップされていってー、過去改変を通して現在の神のエネルギーを補填していくの!」
「そうすると、この世界から君は消えちゃう。 するとまたこの世界の質量バランスが崩れちゃうから、帳尻を合わせるための代わりの存在ってことね!」
「あ、ちなみに秦君をタイムスリップさせるのは私ね! こう見えても私の能力は重力操作。 すっごい説明省くけど、重力を操作すると、タイムスリップみたいなことが出来ちゃうの! すごいでしょ!」
「…….まぁ、この能力のお陰でこんなパシリみたいなことさせられているんだけど」
どうやらこの生物から発せられている能力はこの重力操作によるものらしい。
「んで、チャンスってのを簡単にいうと、あるゲームをして、秦君がこの子、もとい神の作った人形よりも能力が高ければ、今回の質量補填はなしにして、先延ばしにしようってはなし!」
「なんか神的には、普通の人間以上の能力を持つように作った人形よりも、秦君の能力が高かったら、レアだろうし、生かしておこうって思ったらしいのよ!」
「なーんか、わがままって感じもするけど、神の言うことだしさ、しょうがないよねー」
「まったくだよ、ほんっとに迷惑な話だ。 で、俺はどんなゲームに挑戦させられるんだ?」
俺は問いかける。
「お! やっぱ気になっちゃう? それはねー、この子との鬼ごっこ対決です! イェーイ!!」
エイレネはどこから取り出したかわからないラッパを吹きながら盛り上げようとしている。
一方俺は盛り上がる雰囲気では全くないのだが。
「鬼ごっこは知ってるよね?」
「あぁ、鬼ごっこ自体はもちろん知っている。 とはいえ2人でやる場合は片方が逃げ、もう片方が捕まえるという役割にしかならないが、そういうことでいいのか?」
「うん、そういうこと!! で、今回はこの" 人形秦君 "が逃げる側で、" オリジナル秦君 "が鬼側っていうのは決まってる!」
「あと、ゲームの範囲は秦君が通っている学校の敷地内で、制限時間は1時間、鬼側は逃げる側を一度だけ捕まえれば良い、っていうルール!」
「ね?ルールは簡単でしょ??」
「いや、そりゃ流石に簡単、というか普通の鬼ごっこだしな。」
「よーし、話が分かればとりあえず移動だ!! 校門まで、ごー!!」
その刹那、エイレネ、人形、俺の体が一瞬で10m程浮く。
そしてジェットコースターほどの速度で校門まで飛ばされる。
「はぁ!!!!? なんだよ、これはっ!!!!」
徒歩だと10分ほどかかる距離にも関わらずわずか5秒ほどで校門まで着く。
「ふー、到着っと!! いやー、飛ぶと気持ちいいね!」
「気持ちいいじゃねーよ!! こういうことするなら先に言ってくれよ!!」
「え? あー、ごめんごめん! 歩くとしんどいし時間かかるからさー、私の能力で行った方が速いのよ。」
「む、そんなことより早く中に入る入る!」
人形と共にエイレネに背中を押されながら高校の敷地内に入れられる。
「よーし、じゃあこの敷地内全体に結界を張ることにするね!」
エイレネは目を閉じると周りの雰囲気が歪んだように感じる、するとみるみる敷地の境界が薄いピンク色の壁のようなもので覆われた。
「はー、疲れた! でもこれで準備が整ったね!」
「あ、言い忘れてたけど、人払いもしてあるから秦君と人形君以外は誰もいないから!」
その結界とやらに近づき触れてみると、不思議な感触であった、温かみを感じるがとても強固な壁のように感じる。
「これで2人が準備万端ならゲーム始めるよ!」
「人形君は大丈夫だから、秦君さえよければ! 秦君、どう?」
「捕まえればいいんだよな、それなら、わかった。」
「よし、じゃあ2人とも準備万端ってことで!! 始めちゃうよ!!」
エイレネはまるでゲームを楽しむ子どものように跳ね回る。
「じゃあ先に人形君!、君は逃げる側だから、先に逃げてください! よーい、どん!!」
エイレネがそう言うと、人形は移動した。
やはり俺はただの鬼ごっこというルールを熟知したものである手前、なんとなく甘く見ていたようだ。
エイレネが、開始の号砲を上げた直後、人形は前方斜め上方向へ跳んだ。
高度にしておよそ30mを助走なしの立ち幅跳びの要領でだ。
そこで理解した。
俺の相手は、化物である。
あれを捕まえる? 馬鹿なことを。
どうやら、このままでは間違いなく俺は死ぬらしい。
今朝学校を出る前に測ったから間違いない。
だがこればっかりは流石に理不尽だ。
「いや、だからってなんで俺なんだよ!! 体重だろ!!? この世界に体重が" 61.95kg "のやつが俺だけな訳ないだろ!」
「まぁねー、体重だけでみたらそりゃそうなんだけどさ、その数字にもう1個ない? 心当たり。」
エイレネはおちょくったような表情で俺を見る。
「…心当たり? ……あっ!」
俺は思い出す。漢文のテストの点数である。
テストで変な点をとったのだ。
記述式の設問に対する途中点である。
白文を書き下し文にする問題で、読む順番を間違えてしまい、途中点をもらうこととなった。
採点側の遊び心なのだろうか、配点が1点だったにもかかわらず、本当に些細なミス、ということで0.05点の減点をされた。
……ちなみにそこで間違えていたのが、" 天地人点 "の問題だったのだ。
「そういうわけで!! 今日、本日、現時点で! 世界中で" 61.95 "という数字に1番縁があったのが、秦裕一、君だけってわけ!! わかったー??」
「まぁ、たまたま偶然が重なって、選ばれたって感じかな!」
「ひょんなことから! いや、凶なことから、ね。」
凶なこと、か。
本当にに不運だとしか言えない、やはり突発的に生じることは、よくないことが多いのだろうか。
意味のわからない理屈を聞きながらも、なんとなく気分が落ち着いてきた。
色々説明されたが、一つだけわかったことがある、これから何が起こるかわからないが、とにかく覚悟を決めるしかないようだ。
「じゃー、理由がわかったところで! 君には試練に挑戦してもらいます!」
「し、試練?」
「そう、試練! というかゲームかな! こんな不憫な状況になってしまった君に、生き残りのための最後のチャンスをあげますってはなし!!」
「一応理由は説明したけどさ、……まぁ、不憫じゃん? だからそんな君に起死回生のチャンスをあげます!」
一応ありがたい話である。
「あ、そうそう! 君も気になってるとは思うけど、私の後ろにいる秦君そっくりの子はね、神が作った人形なの!」
「ぱっと見人間だしー、生活する上での挙動も秦君と同じ行動を取る人形!」
「これから秦君はエネルギーの補填要員として質量を21gずつ分割されてー、神隠しが生じた瞬間の過去へタイムスリップされていってー、過去改変を通して現在の神のエネルギーを補填していくの!」
「そうすると、この世界から君は消えちゃう。 するとまたこの世界の質量バランスが崩れちゃうから、帳尻を合わせるための代わりの存在ってことね!」
「あ、ちなみに秦君をタイムスリップさせるのは私ね! こう見えても私の能力は重力操作。 すっごい説明省くけど、重力を操作すると、タイムスリップみたいなことが出来ちゃうの! すごいでしょ!」
「…….まぁ、この能力のお陰でこんなパシリみたいなことさせられているんだけど」
どうやらこの生物から発せられている能力はこの重力操作によるものらしい。
「んで、チャンスってのを簡単にいうと、あるゲームをして、秦君がこの子、もとい神の作った人形よりも能力が高ければ、今回の質量補填はなしにして、先延ばしにしようってはなし!」
「なんか神的には、普通の人間以上の能力を持つように作った人形よりも、秦君の能力が高かったら、レアだろうし、生かしておこうって思ったらしいのよ!」
「なーんか、わがままって感じもするけど、神の言うことだしさ、しょうがないよねー」
「まったくだよ、ほんっとに迷惑な話だ。 で、俺はどんなゲームに挑戦させられるんだ?」
俺は問いかける。
「お! やっぱ気になっちゃう? それはねー、この子との鬼ごっこ対決です! イェーイ!!」
エイレネはどこから取り出したかわからないラッパを吹きながら盛り上げようとしている。
一方俺は盛り上がる雰囲気では全くないのだが。
「鬼ごっこは知ってるよね?」
「あぁ、鬼ごっこ自体はもちろん知っている。 とはいえ2人でやる場合は片方が逃げ、もう片方が捕まえるという役割にしかならないが、そういうことでいいのか?」
「うん、そういうこと!! で、今回はこの" 人形秦君 "が逃げる側で、" オリジナル秦君 "が鬼側っていうのは決まってる!」
「あと、ゲームの範囲は秦君が通っている学校の敷地内で、制限時間は1時間、鬼側は逃げる側を一度だけ捕まえれば良い、っていうルール!」
「ね?ルールは簡単でしょ??」
「いや、そりゃ流石に簡単、というか普通の鬼ごっこだしな。」
「よーし、話が分かればとりあえず移動だ!! 校門まで、ごー!!」
その刹那、エイレネ、人形、俺の体が一瞬で10m程浮く。
そしてジェットコースターほどの速度で校門まで飛ばされる。
「はぁ!!!!? なんだよ、これはっ!!!!」
徒歩だと10分ほどかかる距離にも関わらずわずか5秒ほどで校門まで着く。
「ふー、到着っと!! いやー、飛ぶと気持ちいいね!」
「気持ちいいじゃねーよ!! こういうことするなら先に言ってくれよ!!」
「え? あー、ごめんごめん! 歩くとしんどいし時間かかるからさー、私の能力で行った方が速いのよ。」
「む、そんなことより早く中に入る入る!」
人形と共にエイレネに背中を押されながら高校の敷地内に入れられる。
「よーし、じゃあこの敷地内全体に結界を張ることにするね!」
エイレネは目を閉じると周りの雰囲気が歪んだように感じる、するとみるみる敷地の境界が薄いピンク色の壁のようなもので覆われた。
「はー、疲れた! でもこれで準備が整ったね!」
「あ、言い忘れてたけど、人払いもしてあるから秦君と人形君以外は誰もいないから!」
その結界とやらに近づき触れてみると、不思議な感触であった、温かみを感じるがとても強固な壁のように感じる。
「これで2人が準備万端ならゲーム始めるよ!」
「人形君は大丈夫だから、秦君さえよければ! 秦君、どう?」
「捕まえればいいんだよな、それなら、わかった。」
「よし、じゃあ2人とも準備万端ってことで!! 始めちゃうよ!!」
エイレネはまるでゲームを楽しむ子どものように跳ね回る。
「じゃあ先に人形君!、君は逃げる側だから、先に逃げてください! よーい、どん!!」
エイレネがそう言うと、人形は移動した。
やはり俺はただの鬼ごっこというルールを熟知したものである手前、なんとなく甘く見ていたようだ。
エイレネが、開始の号砲を上げた直後、人形は前方斜め上方向へ跳んだ。
高度にしておよそ30mを助走なしの立ち幅跳びの要領でだ。
そこで理解した。
俺の相手は、化物である。
あれを捕まえる? 馬鹿なことを。
どうやら、このままでは間違いなく俺は死ぬらしい。
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