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『凶なこと』
試練 Ⅰ
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ものすごい跳躍力で飛び去った人形が見えなくなるのを呆然と見つつ、勝ち目の無さを悟った。
そして聞く。
「なぁ、あの人形は俺とほぼ同じ行動を取るって言ってたよな?」
「え? うん」
エイレネは、" 逆に何? "というような表情
をしてこちらを見つめる。
「……俺あんなに飛べないんだけど」
「うん、知ってる」
「なぁ、人形側に普通の人間より優遇された能力があるってのなら俺にだって何かくれてもいいんじゃないか?」
「何言ってんのー? だめだよー! そこの差を知恵でなんとか出来るか、って話なんだから!」
「…いや、でも! あんたは平等を良しとしてるんだろ? それなら不公平はおかしいじゃないか!」
相手を逆手に取った交渉である。
「それと、あの人形は挙動や思考がほぼ俺なんだよな!? だったら原理的に俺があいつに勝つのは不可能じゃないか!??」
「えー、…そりゃそうなんだけどさー。 んー、……じゃあちょっと待って!! 一時的に残り時間と人形の動きを止めるから!」
そういうとエイレネは1m程浮かび、目を瞑った。 そして誰かと通話でもしているかのように話し出す。 おそらくどこかと交信(?)的なことをしているのだろう。
「あー、わたしだけどさ、今回の試練にクレームつけられちゃってさー」
「…うん、考えることも一緒なのに身体能力強化が施されてる人形に知恵で勝てる見込みなんてないだろ、的なことー」
「……まぁそう言われたらあっちの能力は人間レベルだと完全に異常だから」
「うん、うん。 ……あー、うん? えっ、ほんとにいいの?!」
何かの許可が出たらしい。
「……いや、ちょーっと私がしんどいかなーって…」
「いーーっ!! ……わかった、わーかったよー!! もー、バカ姉!! じゃあね!!」
どうやら交信が終わったらしい。 なんとなく先程の状況よりは良くなっていると思う。
「声大きいんだよもー、すぐ怒るんだから! 頭ガンガンするー」
そうぶつぶつ愚痴を漏らすと、エイレネは俺の目の前へと降りてきて、こう説明を始めた。
「えっと、上の方から許可が降りたんだけども、あなたに望んだものを強化する能力を一時的に貸します!!」
「望んだものを一時的に強化する能力??」
「そう!! 具体的にいうと、跳んで行っちゃったあの人形は人間の標準的な能力をベースに作られてて、それに基礎能力強化が施されてるの!! あ、言い忘れてたけど、この基礎能力強化に関しては思考力も強化されてるから!」
「強化度合いとしては、約10倍くらいなのかなー? 詳しくはわかんない! あの跳躍力から考えてる大体そのくらい?」
「……それを、秦裕一君、君に一時的に付与します!! えっへん、私に感謝してよね!!」
願ってもない話である。
「ぅお、まじか!! そんな能力が使えるのか!! それならなんとかなりそうだ!」
「自分にも身体能力強化をして、そんで思考力も強化して、さらに足の速さを上書きして強化すれば追いつける!」
わかりやすくやれそうな気がしてきた、これで捕まえればこんな変な生物とはおさらばというものだ。
……とはいかないのが人生である。 この発言に対してエイレネはこう告げた。
「あー、残念だけどそのプランは無理かなー。」
「まず第一に、君に付与される能力は1回しか使えません! あともちろん能力の回数を増やす、みたいなズルはだめー! あと、なんかの間違いで2回以上使えたとしても、同一部位への重ねがけはできないから!」
「というわけで残念でしたー!」
エイレネはこのような調子で俺のプランをぶち壊してくれた。
全く人の夢というものは儚いものだ。
……なんて言ってる場合ではない、どうすれば良いというのか??
「身体能力と思考能力が俺の10倍なんだろ? あと他に助けもないって、これどうやって捕まえれば良いってんだよ!!」
「はい、そこは考えてくださーい!! それじゃー、再スタート!!」
エイレネのカウントが始まった。 わかりやすくスマホでアラームをかけることにする。
ともかく何か作戦を立てなくてはならない。
現在俺は校門にいるが、あの人形は校内のどこかに隠れ、見つかりそうになれば恐ろしい速度で移動し、また隠れるのだろう。
自分の考えであるから間違いはない、思考能力が10倍されてるとはいえ俺はそういう男だからだ。
捕まえる方法を考えるうちに、ある疑問が浮かんだ。
そしてこの疑問をエイレネにぶつけてみることにした。
エイレネはこう答えた。
「え? それは望んだように強化されると思うよ?」
その答えを聞いて確信した。
どうやら俺は冴えているらしい。
人形を捕まえる手段を見つけた。
理解しているつもりでも、見方を変えるとどうだろう
そして聞く。
「なぁ、あの人形は俺とほぼ同じ行動を取るって言ってたよな?」
「え? うん」
エイレネは、" 逆に何? "というような表情
をしてこちらを見つめる。
「……俺あんなに飛べないんだけど」
「うん、知ってる」
「なぁ、人形側に普通の人間より優遇された能力があるってのなら俺にだって何かくれてもいいんじゃないか?」
「何言ってんのー? だめだよー! そこの差を知恵でなんとか出来るか、って話なんだから!」
「…いや、でも! あんたは平等を良しとしてるんだろ? それなら不公平はおかしいじゃないか!」
相手を逆手に取った交渉である。
「それと、あの人形は挙動や思考がほぼ俺なんだよな!? だったら原理的に俺があいつに勝つのは不可能じゃないか!??」
「えー、…そりゃそうなんだけどさー。 んー、……じゃあちょっと待って!! 一時的に残り時間と人形の動きを止めるから!」
そういうとエイレネは1m程浮かび、目を瞑った。 そして誰かと通話でもしているかのように話し出す。 おそらくどこかと交信(?)的なことをしているのだろう。
「あー、わたしだけどさ、今回の試練にクレームつけられちゃってさー」
「…うん、考えることも一緒なのに身体能力強化が施されてる人形に知恵で勝てる見込みなんてないだろ、的なことー」
「……まぁそう言われたらあっちの能力は人間レベルだと完全に異常だから」
「うん、うん。 ……あー、うん? えっ、ほんとにいいの?!」
何かの許可が出たらしい。
「……いや、ちょーっと私がしんどいかなーって…」
「いーーっ!! ……わかった、わーかったよー!! もー、バカ姉!! じゃあね!!」
どうやら交信が終わったらしい。 なんとなく先程の状況よりは良くなっていると思う。
「声大きいんだよもー、すぐ怒るんだから! 頭ガンガンするー」
そうぶつぶつ愚痴を漏らすと、エイレネは俺の目の前へと降りてきて、こう説明を始めた。
「えっと、上の方から許可が降りたんだけども、あなたに望んだものを強化する能力を一時的に貸します!!」
「望んだものを一時的に強化する能力??」
「そう!! 具体的にいうと、跳んで行っちゃったあの人形は人間の標準的な能力をベースに作られてて、それに基礎能力強化が施されてるの!! あ、言い忘れてたけど、この基礎能力強化に関しては思考力も強化されてるから!」
「強化度合いとしては、約10倍くらいなのかなー? 詳しくはわかんない! あの跳躍力から考えてる大体そのくらい?」
「……それを、秦裕一君、君に一時的に付与します!! えっへん、私に感謝してよね!!」
願ってもない話である。
「ぅお、まじか!! そんな能力が使えるのか!! それならなんとかなりそうだ!」
「自分にも身体能力強化をして、そんで思考力も強化して、さらに足の速さを上書きして強化すれば追いつける!」
わかりやすくやれそうな気がしてきた、これで捕まえればこんな変な生物とはおさらばというものだ。
……とはいかないのが人生である。 この発言に対してエイレネはこう告げた。
「あー、残念だけどそのプランは無理かなー。」
「まず第一に、君に付与される能力は1回しか使えません! あともちろん能力の回数を増やす、みたいなズルはだめー! あと、なんかの間違いで2回以上使えたとしても、同一部位への重ねがけはできないから!」
「というわけで残念でしたー!」
エイレネはこのような調子で俺のプランをぶち壊してくれた。
全く人の夢というものは儚いものだ。
……なんて言ってる場合ではない、どうすれば良いというのか??
「身体能力と思考能力が俺の10倍なんだろ? あと他に助けもないって、これどうやって捕まえれば良いってんだよ!!」
「はい、そこは考えてくださーい!! それじゃー、再スタート!!」
エイレネのカウントが始まった。 わかりやすくスマホでアラームをかけることにする。
ともかく何か作戦を立てなくてはならない。
現在俺は校門にいるが、あの人形は校内のどこかに隠れ、見つかりそうになれば恐ろしい速度で移動し、また隠れるのだろう。
自分の考えであるから間違いはない、思考能力が10倍されてるとはいえ俺はそういう男だからだ。
捕まえる方法を考えるうちに、ある疑問が浮かんだ。
そしてこの疑問をエイレネにぶつけてみることにした。
エイレネはこう答えた。
「え? それは望んだように強化されると思うよ?」
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どうやら俺は冴えているらしい。
人形を捕まえる手段を見つけた。
理解しているつもりでも、見方を変えるとどうだろう
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